2010年6月23日、高原川のヤマメです。構図もろもろはいまいちですが、いい写真はロドリ掲載用に回したので。リールはそのロドリから借りたコプテス・マスコット、つまりオービス50Aの製造元版ですね。私もヤフオクで買った50Aを持っているのですが、ベールスプリングは手巻きしたものが入っているわ、しかも寸法が合ってなくてそもそも動かないわ、回転は明らかにおかしいわ、ラインローラーには糸溝ができてるわというものだったので、撮影用に借りたのを使わせてもらったのでした。ついてないなあ。 (2010/8/20)

 ラインローラーの糸溝は、写真のマスコットもできてました。溝ができたところが銀色、つまり素材が真鍮ではないところから推測すると、ステンレス製のようです。2台が2台糸溝ができているのを考えると、メッキなしのステンレスムクだったのかもしれません。

 最近は金色のチタンコートが主流であまり見かけませんが、ラインローラーの銀色のは硬質クロームメッキです。硬質クロームメッキはアルミナセラミックに近いくらいの硬さがあり、それでいて滑りがいいため、回転式のラインローラーならまず糸溝ができることはありません(PEを泥だらけで使ったらどうかはわかりません)。昔、SiCのラインローラーにチタンコーティング(いまと同じ金色のやつ)したのと真鍮のラインローラーに硬質クロームメッキしたのを耐磨耗テストにかけたことがありますが、硬質クロームが勝ちましたからね(あれは、トーナメントEXに対抗して金色のラインローラーがほしいという営業の要求で、ツインパワーのSiCセラミックラインローラーにチタンコーティングしたのでしたが、コーティングより素材のほうが硬いというへんてこなものでした)。

 硬質クロームはメッキが薄いと糸溝ができます。シマノでも何ミクロン以上あることという規格がありました。と、聞くと、糸溝ができるかどうかは硬さの問題であってメッキ厚は関係ないのでは、という人がいそうです。私も昔はそう思っていました。しかし違うのですね。

 数年前、中国製ミッチェル308のラインローラーに糸溝ができているのを見つけ、市内の硬質クロームメッキをやっている工場に持ち込んで、再メッキしてもらったことがあります。そこの職人さんがラインローラーを見るなり「これはメッキが薄いんです。真鍮はメッキのつきがわるいから、メッキが薄いと破れて剥がれちゃうんですよ」と言いました。そういうことなのです。

 ところで以前、ラインローラーをチタン(さっき出てきた金色ラインローラーのチタンコートではなくて金属のチタン材料)から削り出したらどうだろうという相談を受けたことがあります。チタンが優れているのは、比重のわりに強度が高いことであって、ラインローラー(の表面)に要求されるアルミナや硬質クローム並みの硬度はもっていません。かといって硬質クロームメッキする(それ以前にチタンにできるのかどうか知りませんが)くらいなら別の材料のほうがいいわけで、だから、やめたほうがいいと答えた記憶があります。

 高価で知名度の高い(?)材料を使うのが必ずしもいい訳ではありません。同じことがテフロンにもいえます。チタンも高いはずですが、テフロンも高いですよ。前いた岐阜の会社で見積もりを取ってめんたまが飛び出そうになりましたもん。でも、例えば大森のラインローラーに入れてあったブッシュはテフロンに金属を混ぜたものでした。つまりそのままではダメだということです。ペン716Zのテフロンドラグワッシャーは、少しラインを引っ張ったら表面がむしれてしゃくり始めます。

 (なになに、1時間くらい前と文章が変わってるって? だってさあ、ヤフオク見たら、まだ出てるんだもん。営業妨害だとか叱られても嫌だからね・・・)

 市販リールはコストを考えて作っているからそこそこの材料で、一品生産的に高級材料を使ったらすごいのができると思っている人がいるかもしれませんが、(特に適材適所でなければ)そんなことはないよロバくんなのです(リンクには何の意味もありません・・・)。

 ところで、さっき書いた中国製308のラインローラーの再メッキですが、部品が小さくてものすごく苦労したらしく、「次からは絶対しません! お断りします!」と言われてしまいました。メッキ槽に落として探しまくったとか、バフがけでどっかに飛んでっちゃったとか・・・。だからオービス50Aの再生もできません。

 これはですな、修理中の08ツインパワーC2000Sのローターです。購入した08年に4釣行しただけでベールアーム(アームカム)の穴とローター側の支持部が磨耗して糸巻き形状が変わり、スプリングに遊びができたためベールも少し半開きになってしまいました。その後、新しいローターとベールアームを取り寄せて組み替えたものの、また8釣行で同じ状態になりました。で、写真は仕方なく1個目のローターのボスにセメダイン・スーパーXクリアを塗った0.1mmの真鍮板を巻いてナイロン糸で固定しているところです。この修理後、いまのところ(といっても3釣行しかしてませんが)ひどい磨耗やガタの増加は見られません。それにしても、ほかにこういう不具合は起きていないのでありませうか。 (2010/8/11)

 前も書きましたが、これはツインパワーがどうというのではなくて、成型状態の悪いハズレのリールを引くと起きるようです。同じシマノのリールでもこれよりたくさん使っている07アルテグラAD1000Sはまったくなんともありません。見た目でガタが増えていないだけでなく、耳元でベールを開閉してもこすれる音もしません。08ツインパワーはシャッシャッというガラス同士がこすれるような音がかなり早い段階からして、黒いザラザラした粉を含んだグリスが出ていました。

 他のリールはというと、ストラディックCI4 1000Fがちょっと怪しくて、糸巻き形状が買ったときより前寄りになり、シャッシャッというこすれ音も少しします。でも、同じくストラディックCI4 2500Fはまったく異常なく音もしません。05バイオ2500はまったく異常なし。08バイオ2500Sはちょっと怪しくて、こすれ音がしてザラザラした磨耗粉が横から出ています。

 ダイワリールはというと、旧型フリームス2000はぜんぜん問題ありません。レブロス1500は1回しか使っていないのでなんともいえませんが、ベールアームのサイドとローターの接触部からザラザラした黒いグリスが出ています。07ルビアス2506はちょっと角度が変わったような気もしますが、少なくともザラザラした磨耗粉は出ていません。

 そして、こともあろうに10セルテート2004が・・・2回しか使っていないのに、なんだか角度が変です。ベールアーム側より先に反対側の支持部のストッパーが当たるようになってます。ベールアーム支持部のネジの横から黒いザラザラしたグリスが出ています。ベールアームを動かしてみると穴が大きくなっている感じです。それで仕方なく、トルクス用のドライバーを買ってきてベールを外してみたら、やっぱり磨耗してました。

 しかしまあ、ツインパワーもセルテートも日本が誇る2大メーカーの準高級機でしょうに、なんたることでしょうか。

 ただ、この問題は、表面化しにくい点がやっかいです。最初に書いたように、おそらくこういうことが起きるのは成型状態の悪い部品の組まれた個体であって、すべてのリールで起きるわけではないからです。さらに、表面化しにくい理由として、気づかない人が多いこともあげられます。ツインパワーも、ある程度磨耗したらスクリューの頭が当たってガタの増加が止まり、使えなくなるところまではいかないはずです(04ナビ1000がそうなっていました)。気づかない人は気づかないでしょうし、気がついたとしてもある程度使ってからの磨耗をクレームとして出す人はあまりいません。会社というものは、何かアクションを起こすには、クレームが増えるなどの理由が必要なのですが、それが出てきにくいのです。

 テストで問題を明らかにするのも困難です。開発担当や品管担当が問題に気づいて耐久テストをしたとしても、サンプルリールの部品の成型状態がよければ異常なしで終わってしまいます。かといって、何十台ものリールを抜き取ってきて、1台3日や4日はかかるベール耐久試験をやるのはとてもムリでしょう。

 08ツインパワーについては、ちょっと文句のつけどころがあります。シマノスピニングは07系になったとき、ローターの型が変わっているのですが、そのときベール取り付けカム(ベールアーム反対側のウエイト部品)の支持部の設計が変わり、パーツが増えているんですね。この設計変更はデザインのためです。デザインのためにパーツ点数、つまりコストを増加させるのに、どうしてベールアーム支持部にブッシュのひとつも入れられないのでしょう。

 10セルテートもそうです。取扱説明書には、使用後はベール支持部とラインローラーに注油してくれと書いてあります。マグシールドでメンテナンスフリー(というよりメンテナンス不可能)にしたのなら、この部分にもブッシュを入れてしまえば、(ブッシュの種類によっては)完全メンテナンスフリーにできたはずです。

 ベール支持部の設計に関しては、中国でアブやミッチェル、オクマのリールを作っている会社のほうが、ずっとまともでしょう。ローターのボスに金属カラーを入れ、スクリューの頭も大きくしています。リールによっては、ベールアームのサイドが当たる部分にジュラコンらしき樹脂まで入れています。ベールはスピニングの重要部品だということがわかっています。

 日本の2大メーカーが、(ミッチェル300Xeみたいな)コピー商品を作って平気の平左の中国メーカーなんぞに負けていていいのでしょうか?

 2010年3月20日、坂内川のアマゴです。魚体が硬直して見えますが、これはネットのせいです。T山商事のGレインから出ているラバーコーティングリリースネットなのですが、網が硬いため置き方が悪いとこうなります。このネットで写真を撮るにはコツがあって、網の底をつかんで網をワクから横に引っ張り出してしまい、ワクの中を網のサイドのフラットな部分だけにしなければなりません(書いていてもわかりにくいな・・・)。シーズンはじめで久しぶりに使ったので、忘れていました。 (2010/7/30)

 このネット、A誌の取材でH野氏がこれのワンサイズ下のを持っていたので見せてもらったら、私が買ったものよりも網が細くしなやかでした。なんで違うんやと聞いたら、そのネットは試作段階のものだそうで、これでOKを出したのに、量産に入ったら中国の製造工場が勝手に網を変えちゃったのだそうです。中国ではロッドメーカーも「ブランクの色間違えちゃったけど買ってよ」なんてことを平気で言ってくるとか。そりゃさすがに突っぱねるらしいですが、日本もなめられたものです。

 そんなこともあってこのネットの網はごわごわしているわけですが、普通の網のリリースネット、特に網に伸縮性があるものよりは魚を傷めにくいのではないかと思います。私の持っているネットの中では、アルトモアのリリースネットがそういう感じで、中で魚、特にイワナ系がニョロニョロ動くと完全に網が魚に巻きついてしまいます。あれではヌルを取り去ってしまいそうですが、少なくともこのネットでそういったことはありません。

 ところで、このネット、めちゃくちゃ安いです。たしか3000円くらいだったはずです。そりゃ買う側としては安いに越したことはないのですが、どうなんでしょうね、こういうのって。作っている人はちゃんとした働き方をしてちゃんとした給料をもらっているのでしょうか。中国の場合為替の問題があるので、あちらさんもそれなりにハッピーなのかもしれませんが、こういうものを日本に入れるとネットの価格全体を押し下げるわけで、日本でネットを作っている人のことまで考えると、やっぱりどうなんだろうなあと思ってしまいます。

 釣り具であれ釣り具以外のものであれ、中国など人件費の安い国で作ったものを安い安いとありがたがるのがいいことなのかなあと思うことがあります。もちろん、労働集約的な仕事が人件費の安い国に流れるのは経済の摂理みたいなもので、かつては日本もそうして欧米から仕事を取ってきたわけですが、そういう流れにまかせるだけでいいのだろうかと思うのです。

 よく食べ物は地産地消がいいといいますが、私は工業もある程度地産地消の部分がないといけないのではないかと思います。人間にはいろんなタイプがいて、その中には手先の器用な人や、力の強い人、単純な作業を黙々こなすのが向いている人もいます。手や体を動かして物を作る仕事を人件費の安い国に流してしまったら、そういう人の働く場所がなくなります。

 いまの日本でいけないなと思うのは、そうした実際に物を作る仕事を低く見る傾向があることです。先日も新聞に、「派遣で製造ラインの仕事ばかりしているとスキル(技能、熟練)がたまらないから将来につながらない」と書いてありました。製造ラインで黙々と物を作ることは人間として価値のないことだと、この記事を書いた記者は思っているようです。

 そうなってしまうのは中国などの人件費と比べられてしまうからで、さらには中国製であっても(ついでにいえば社員を使い捨てにしたり過労死させたりする日本企業のモノやサービスであっても)安けりゃ買ってしまう、私たちの消費行動に行き着きます。

 なんだか最近そんなことを考えるようになって、今年は10セルテートとかバックリバー76とか分不相応にも日本製高級品を買ってしまっています。写真の中国製フェンウィックのガイドをSiCに換装したのも、少しでも国産比率を上げるため・・・というのはちょっとこじつけですが。

 2010年7月2日、高原川のイワナです。最初は宮川に行くつもりだったのですが、濁流で断念、庄川方面にいったん引き返したものの、一応見てくるかと宮川と同じ神通川水系の高原川に向かいました。すると、増水はしているものの、水はクリア。釣りをすることができました。6月にも1度、宮川の濁流を見て引き返したことがありましたが、あのときも行くだけ行ってみた方がよかったのかしらん。やっぱり今の雨はスポット的な降り方をしているということなのでしょうか。 (2010/7/21)

 ミッチェルに巻いてあるラインは、ファメルトラウトサイトエディション0.9号5Lbです。今年は、蛍光ナイロンにフィールドメイトのリーダーの組み合わせをやめ、クリアと蛍光が交互に入ったナイロンを使っています。リーダーを使って接続部が2か所あるのに比べ、やっぱり直結は楽です。

 今年試したのは、サンライン・トラウティストエリアLEマイスター(クリア2mとイエロー8m交互)、同・トラウティストエリアLEステルス(グリーン2mとオレンジ8m交互)、ヤマトヨテグス・ファメルトラウトサイトエディション(グリーンとチャートが50cmずつ交互)、同・ファメルトラウトエリアスタイル(グレー70cmとピンク30cm交互)の4種類です。

 使いやすいのは、サンラインの2種類です。見やすいし、リーダーも長めなので安心感があります。ただしこれは、使い始めの印象です。使う前からわかっていたことですが、リーダーがダメになったとき、10mもラインをカットしないといけないのは、やっぱり抵抗があります。それで、ついつい劣化したまま使ってしまうことがあります。笑い話みたいですが、ループを巻き込んで次のキャストでバサッとやってしまったとき、もつれたのがクリア部分だと、キャスト距離プラス10mがいきなりパーになります。最悪40mとか50mが一気にいくわけです。実際最初に使った1号5Lbでそれをやらかしました。その後の使用で、次のリーダーが弱ってきたら・・・。やっぱりリーダー部とカラー部ワンセットが10mというのは長いですね。

 サイトエディションは、50cm交互ですからこういう点は安心です。ラインが弱ったかなと思ったとき、好きな長さでカットできます。ただし、リーダー部50cmはかなり短い感じです。渓流ルアーはカラーライン直結の人もいるくらいですから、たぶん影響はないと思うのですが、心配といえば心配です。単一カラーのラインよりもだんだら模様のラインが走るほうが魚がおびえそうな気もしますし・・・。

 それで一番期待していたのが、エリアスタイルでした。20cmの差ですが、リーダー部が70cmあるとかなり安心感があります。ところが、カラー部分の割合が少ないせいか、ピンク色のせいか、川ではほとんど見えません。とくに、渇水で石に水垢が付いて川が赤っぽく見えるときは、完全にダメです。もっとも、名前からしてエリアスタイルなので、緑色のポンドをバックにすれば、これでいいのかもしれませんが。

 やっぱり黄色とクリアが1m交互くらいのがあるとよさそうだなと思いますが、よさそうだと思っていたエリアスタイルが意外に見にくかったので、なんともいえないところです。

 さっき書いた、ループを巻き込んでバサッは、あまりプラナマミッチェルでは経験したことがないのですが、トラウティストで起きました。ファメルトラウトのサイトエディションは、カーディナルや日本のリール(AB-CスプールやABSスプールのもの)でも、けっこうトラブルがありました。もしかすると、着色部と非着色部に硬さや太さの差があるため、これが引っかかるのかもしれません。ただし、どちらも暖かい季節になったらほとんど起きなくなったので、ラインそのものの硬さの影響も大きいようです。

 ファメルトラウトで気がつくのは、サイトエディションが0.8号で4Lbなのに、エリアスタイルは1号で4Lbになっていることです。私の買ったのはサイトエディション0.9号5Lbとエリアスタイル1号4Lbだったので、スイベルの両側にこれらのラインを結んで対決させてみました。すると、2勝2敗という実に微妙な結果が出ました。0.9号対1号なのに5分と考えると、サイトエディションのほうが強い材料なのかもしれませんが、5Lb対4Lbなのに5分と考えると、IGFA表示とそうでない表示みたいな表示法の違いなのかなとも思います。テスト回数が少ない(10回も20回もやるほどヒマではないぞ)のでなんともいえませんが、表示から受ける印象ほどエリアスタイルが弱いということはなさそうです。

 前も書きましたが、私はラインは号数で選ぶべきだと思っています。現在、川で使うラインはポンド表示にかかわらず1号くらいにしています。サイトエディションが0.9号だったのは、某通販サイトで安売りしていた300m巻きにこれより太いのがなかったため、ギリギリ妥協したからです(セコイな)。

 欲しい1号(トラウティストの2タイプで5Lb、サイトエディションで6Lb)がなかなか売っていないのが困ったところです。通販サイトでも5Lb以上がなかったりします。これはエリアという名前のせいのようです。たしかにエリアで5Lb以上は太いイメージです。いっぽう、大垣の店では1号なのにエリアスタイルの4Lbが置いてありました。ポンド表示しか見ない人や店が多いのでしょう。IGFAラインみたいにもたない数字を表示しているラインだってあるんだから、強度表示なんてあてにならないのにね(問題発言か?)。

 2010年7月11日、石徹白川のイワナです。C&R区間の峠川で数尾小さいのを釣ったものの、川が狭くてストレスがたまるのと、なんとなくここはフライやテンカラの人に残しておいたほうがよさそうな気がして、本流に行きました。しかしまあ、魚の反応のないことないこと。川が大きいから魚がルアーを見切るのか、やっぱりエサのオッサンたちが入れ替わり立ち替わりしてどんどん抜いていくからなのか。なんとか最後に1尾釣ったと思ったら、ヒレの欠けた放流物でした。だから写真もこんな風です。 (2010/7/12)

 7月11日は参院選挙の投票日だったのに行ってないのかって? ちゃんと期日前投票に行ってますよ。当然でしょう。そういえば、4月に終わったTBSラジオのアクセスという番組に評論家の西部邁が出ていて、「今まで一回も選挙に行ったことがない」と発言していました。普通の人でもあまり堂々と言うことじゃありませんが、朝生とか新聞とかメディアに出まくっていた人の正体がこれかいなと、ラジオの前で激しく脱力したものであります。

 参院選といえば、みんなの党が伸びました。小泉構造改革&新自由主義を信奉する政党を躍進させるとは、日本国民はよほどのマゾと見ました。もっとも、事前にマスコミがあれだけ持ち上げれば票も集まるでしょう。 自民党から離れたタイミングが違うとはいえ、たちあがれ日本なんて、できるなり「たちがれ日本」とかボロカスでしたからね。平沼氏の政治信条には少々危険なものを感じますが、それはそれとして、郵政民営化反対の筋を通して、けっして自民党に復党しなかった姿勢は立派でしょうに。マスコミ人は高給取りばかりだから、きっと新自由主義がいいのでしょう。そうでなければ、何か巨大な力が働いて、官房機密費とかでもって、コントロールされているのかもしれません。

 みんなの党の人気の理由は、官僚・公務員叩きでしょう。脱官僚が旗印の民主党はもちろん、自民党も昨年の衆院選の前には「もっと公務員を叩かないと票が集まりません!」なんて会話が党内でかわされたそうです。政治家がこんなことを考えるのは、そうすることで国民が喜ぶからです。つくづく日本人はネタミの民族だなあと思います。私は公務員の知り合いがいないので実感としてはわかりませんが、よくこれだけ叩かれてやる気をなくさないものだと思います。いえ、もしかすると、すでにそうなっているのかも知れません。宮崎で口蹄疫が広がったとき公務員の劣化だなんて声を一部で聞いたことがありますが、あれが現場の士気が下がっているのが理由だったとしたら、日本人のネタミ根性が国の機能を低下させ、しっぺ返しのように自分たちの生活に降りかかってきていることになります。普天間のごたごたも、以前なら官僚が根回しして、もっとうまくまとめたはずだという見方があります。

 郵政選挙もそうでしたが、悪者を作って自分たちの支持を上げようというのは、政治家として一番いけないことではないでしょうか。独裁国家が国民の不満をそらすために戦争を起こすのにも似ています。いえ、自国民同士を反目させる点で、もっと悪質かもしれません。

 不可解なのは、日本人のネタミの向かう先です。公務員とは難しい公務員試験(劣等生の私は受けようという発想すらなかった)をパスした人たちなわけです。さらに、生まれや親の職業に関係なく、努力すれば誰でもなれます。そういう人をねちねちねたむ日本国民が、なぜ究極の特権階級ともいえる世襲政治家を続々と当選させていくのでしょう。

 みんなの党の代表のおとうちゃんは誰でしたっけ?

 2010年6月2日、魚野川のヤマメです。大物用に長手38cmのネットを使っているので小さく見えますが・・・大きくもないですね。魚野川という川はたぶん水源が豪雪地帯で水温が低いからだと思いますが、岐阜の感覚でいったらウグイやニゴイくらいしかいなさそうなところでこういう魚が釣れるのがすごいです。水温は低くても中流域で栄養分が多いからか、どの魚もぶりぶり太っていてぶりぶり引きます。ロッドはウェルナーS76Lのブランクを使ったベイトロッドですが、この魚でも一体何が掛かったんだというくらい曲がりました。 (2010/7/5)

 ただ、ウェルナーはフライ屋さんがプロデュースしたシリーズなので、バットまでぐしっと曲がるアクションになっている面はあります。リールはバンタム・クロナーク100。右ハンドルですが、やっぱりロッドアクションが付けにくいので、左ハンドルにして右手でロッドを持ちたいところです。この釣行ではランディングのとき慣れない左手でロッドを持ったため、けっこうネットですくうときに魚をバラしました。

 ところで、たまにベイトリールの遠心ブレーキは油がついてはいけないと書いてあるのを見ることがあります。たしかにアブの2500Cとか5500Cは乾式ですが、シマノSVSまで同じようにドライにしないといけないというのを雑誌か何かで読んだことがあります。

 特にSVSは形状が入り組んでいるため、ブレーキドラムをティッシュで拭いたくらいではドライな状態にはなりません。投げるたびに遠心力でブレーキユニットやベアリングのオイルが飛んで、ブレーキドラムはオイルで濡れます。たぶん、SVSもドライだいう人は、こういう状態をドライだと思っているのではないかと思います。本当にドライにしようと思ったら、ベアリングへの注油をベアリングだけ取り出して慎重に行い、よけいなオイル分が外に回らないようにした上で、キャスティングでSVSユニットのオイルが完全に振り切れるまでこまめにブレーキドラムを掃除しなければなりません。

 そこまでやった人はいないでしょう・・・というか、実は私は以前それをやってみたことがあります。すると、ブレーキブロックを1個だけにしても、ブレーキが効きすぎて、ザラが5mくらい先の水面にぽとっと落下するくらいになってしまいました。で、こりゃあ釣りにならんと、リールオイルをたらしたら、しゅーっと普通に飛ぶようになりました。

 アブの旧型は乾式ですが、前写真で出したSM1600Cはオイル付きです。あのリールはなぜかブレーキドラム内に水が吸い込まれるらしく、オイルを拭きとって使っていると釣っている最中に突然バックラッシュし始めます。買ったときオイルが付いていたのでおかしいなと拭き取ったら、釣り場でそういう現象に見舞われ、これを見越して大きめブロック(黒)にオイルが付いていたのか、と思ったものです。なお、今のアブは知りません。

 シマノSVSはオイル付きが正解だと思いますが、昔のは乾式だったと思います。思います、というのは、私はBM-2やニューBM-1のブレーキにオイルが付いているとぜんぜん投げられませんが、在職当時のシマノには「オイルが付いていないと効きすぎて飛ばない」という人もいたからです。その一方で、「昔のBMは釣りの最中に回ったオイルを拭き取ったものだなあ」という人もいました。ベイトは投げる人によって変わりますが、作っている側も(といっても当時は全機種マグに切り替わっていましたが)いろんな見解があったのです。

 たまに、ウェブサイトなどを見ていると、昔のバンタム100はバックラッシュしやすかったという人がいます。これは、けっこう知らずにブレーキにオイルが回っていたのではないかと思うのですが、どうなんでしょうね。私のバンタム100は不動品なので投げたことがありませんが、BM-2とバンタム100はほぼスプールが同サイズですから、だいたいわかります。バンタム100の遠心も、ブレーキにオイルが付いていなければ、十分効くはずです。それとも、あれも水が回ったのでしょうか。

 ところで前回私は、遠心力はエム・アール・オメガの二乗であると、嫌みったらしく学をひけらかしてしまいました(どこがや)。これに対し、マグネットブレーキは、フレミングの右手の法則とか左手の法則とか右ネジの法則とか磁界の変化を打ち消す方向に誘導電流が流れるとかなんとかかんとかという、各種法則を駆使すれば説明できますが、なにぶん20年以上も前に習ったことなので、もうできません。

 そんなわけですが、たしかマグネットのブレーキ力は回転速度に比例するはずです。たまに、マグネットブレーキは効きが一定という記述を見ますが、マグネットであれ遠心であれスプール回転速度に応じて効きます。ただし、速度が2倍10倍となったとき、遠心が4倍100倍と急激に強くなるのに対し、マグネットは2倍10倍と比例関係なので、感覚的には一定みたいに感じてしまうのですね。

 で、比例といえば、というこじつけは前もやったような気がしますが、菅新首相率いる民主党は、参院選後に、衆議院の比例代表の定数を180から100に減らす法案を提出するそうです。

 これに関連して、マスコミも議員定数は減らすのがいいというのを既成事実のように言っています。この前も、某元レースクイーンのコメンテータが「議員定数も減らさずに消費税アップなんて言うなよなー」と言っていました。あのねえちゃん、人口6000万のイギリスの下院定数が650だとか人口6500万のフランスの国民議会定数が577とか知ってるのかな。それ以前に日本の議員定数も・・・ってことはないかさすがに。

 報道ステーションの古舘伊知郎は、先週菅首相が出演したときまず「増税の前に議員定数を減らさないのか」と聞きました。この男は小泉政権のころ、政治や経済のニュースを読むたびに「まずは規制緩和、規制緩和」とあのいっちゃった目とともに連呼していたものです。この番組はもう2年くらい見ていませんが、きっと昨年あたりは同じ口で格差拡大を嘆いていたのでしょうね(この番組を見るくらいならTBSラジオのディグでも聞いていたほうがずっとマシ。前番組のアクセスよりはコストダウンでグレードダウンしてしまいましたが、それでもテレビが絶対やらない官房機密費がマスコミに流れた問題だって取り上げます)。

 国会議員とは国民の代表なわけです。それを減らせ減らせと大合唱する日本という国は、どう考えても異常です。もっとも、選挙区選出は世襲議員ばかり、比例代表にはタレント候補が続々では、いっそ減らしちゃえというのもわからないではありません。でも、そんな議員ばかり延々選んできたのは、一体どこの誰なんでしょう。

 「議員自らも血を流す」なんていうと、カッコイイですから、何も考えていないっぽい鳩山前首相がこう言っていたのは、さもありなんというところです。しかし、菅首相となると、それでは済みません。

 減らすのは比例代表です。残る小選挙区制は事実上民主・自民のような大政党以外は当選できない少数派抹殺の制度です。菅首相は、かつて市川房江氏の婦人運動や社民連のような少数派から出てきた人のはずです。菅首相にとって、市川房江氏も社民連も単なる踏み台だったということでしょうか。

 週末に菅首相は「自分も小政党にいたからわかるが、小政党は大政党にくっつかないとやっていけないんだ」と演説していました。いまは自分が大政党なのですから、小政党は俺たちにひれ伏すしかないんだと言っているわけです。この人は市民運動出身ですが、実際はとんでもない権力志向の人なのではないかと思います。えらい人を首相にしてしまったものです。

 2010年6月11日、神通川水系のニジマスです。この日もベイトリールを持ち出してしまいました。こないだ、2500Cみたいに調整できない遠心はあかんと書いておきながら、調整できない遠心のSM1600Cです。なんかアブだと許せちゃうというか、これがアンバサダーのやり方なんだと割り切る潔さというか、その日の気分によってはこういうのもいいかと思えるのです。少なくともギア比は6.3対1で遅くないし。せやけど、ベイトにふさわしいサイズの魚を釣りたいものですなあ・・・。 (2010/6/28)

 このモデルはシマノ・カルカッタにちょっと遅れて出てきた、ダイキャストフレームのプロマックス&ブラックマックス1600C/3600Cの系統ですね。プロマックス&ブラックマックスがハイスピード化してSM&Sになって、SMはその後マイナーチェンジで左サイドカバーがダイキャスト切削から釣り人が浮き出したようなプレスになって、その後T3600C(たしかこのときは1600がなかった)というセラミックガイドのキンキラモデルになって終了したんじゃなかったかな。

 一部アブファンの間では、「プロマックスはシマノ・カルカッタより先に開発していたが、発売時期が遅れて後から出た」と言われているみたい(本か何かで読んだ記憶がある)ですが、真相はどうなんでしょうね(ていうか、なんでそんなことがわかるんだ?)。

 私にはカルカッタにあわててアブが後出ししたように見えましたが、仮に同時進行だったにせよ、このタイプでシマノに先を越されたのは明らかなエラーでしょう。これらが出るまでは、1500C/2500Cが廃盤になっていて、丸の最小モデルは4600Cだったのですから。4600Cじゃあアメリカのバスフィッシングにも大きすぎます(と、当時シマノの開発親分も言っていた)。

 かつてゼブコが「シマノもダイワも怖くない、でもアブの丸だけは怖い」と言っていたそうです。その強力な財産を活用することなく、みすみすシマノ(が丸を出すのがいいか悪いかはおいといて)に先を越されたのですから、これはいけません。

 プロマックス系がT3600Cで終わった後、小型の丸はモラム系にバトンタッチされました。あのシリーズはスペック偏重主義に毒されたシリーズだったように思います。カルカッタがXTになって鍛造フレームを売りにしたら、ダイワがオール削り出しのミリオネアを出して、モラム系は押し出し成型(アルミサッシの枠を作る製法?)のフレームを採用しました。

 おそらく形状に制約のある押し出しフレームのせいだと思いますが、モラム系はやたらパーツが多くコスト高のリールに見えました。これも形状の制約からかもしれませんが、プロマックス系のコンパクトでパーミングしやすい心地よさもなくなっていました。

 鍛造だ、削り出しだ、押し出しだとやっていましたが、性能優先形状である非円形ベイトのフレームがダイキャストなんですから、ダイキャストで十分だったはずです。実に意味のない競争でした。少なくともアブを選ぶ人は、無駄なコストをかけまくったものをありがたがる人ではないはずです(でもないのかな?)。

 後からいうのは簡単ですが、モラムなど作るより、写真のSMを含むプロマックス系をもっと熟成させたほうがよかったのではないかと、私は思います。

 例えばブレーキです。カルカッタは最初の200を除くとSVSを採用していましたが、プロマックス系はずーっと固定式の2点遠心ブレーキでした。調整はメカニカルブレーキでするわけですが、メカニカルブレーキで回転を重くした状態は、スピニングなら回転不良です。こんな機構をクラシックモデルでもないリールに使っているようではいけません。

 かといって、可変遠心は当時SVS以外ありませんでした(そういえばゼブコなどがSVSをパクったようなものを使っていた記憶があるが、パテントはどうだったのだろう)。私は、マグネットでよかったのではないかと思っています。マグネットは低速からブレーキが効いてしまうため、スプールの加速感がいまいちです。しかし、当時のアブのウルトラキャストスプール(シャフトのないスプール)なら、それほど悪くなかったのではないかと思います。昔シマノにバンタム・マグナムライトGTというリールがあって、スプール軸がチタンで軽かったため、マグネットながらけっこう気持ちよく飛んだものです。ならば、プロマックス系のリールにマグネットを組み合わせても、それなりに気持ちよく飛ぶものになったはずです。少々フィーリングが遠心に劣ったとしても、メカニカルブレーキで巻きまで重くするよりマシだし、外から無段階調整できるのは依然として優れていたはずです。

 その上で左のモデルを用意したら、日本でもけっこういけたのではないでしょうか。カルカッタだって、マイナーチェンジしたとはいえいまだ現役なのですから、今も生きていたかもしれません。そうなれば、ダイキャストの金型代もペイできたでしょう。

 いつものミッチェルのごとく、死んだ子の歳を数えるような話になってしまいました。でも、なんともいえず手になじむSM1600Cを使っていると、なんだか惜しいなあと思うのです。

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