ロドリ連載用に撮影したアルチェードミクロンの写真です。組み合わせるロッドは何がいいかなと考えて、思いついたのが、ザウルスフィリプソン。リールシートを替えちゃってますが、スワンプフォックスの7フィートです。このロッドは購入後、何を血迷ったか、ガイドをSiCニューガイドコンセプトに巻き替えました。しかしスレッドの色が合わず、おまけにありあわせのガンスモークフレームガイドを使ったため、とても使う気にならないものになってしまい、ずーっと竿袋に入れたままになっていました。撮影のために引っ張り出して、またムクムクと改造衝動が沸きあがり、撮影後、今年の春に折ってしまったトラウター78MLのチタンフレームSiCを移植してしまいました。でも、使うのかな、これ。 (2010/11/8)

 なぜアルチェードミクロンに、ザウルスフィリプソンかといえば、アルチェードミクロンを(たしか)初めて見たのが『ブラックバス釣りの楽しみ方』だったからです。

 こういうことを書くのがいいのかわるいのかわかりませんが、則弘祐氏はバスたたきで寿命を相当縮めたのではないでしょうか。彼にしてみれば人生を否定されたようなもので、残酷な話だったと思います。

 バスは害魚だなんていう人がいます。しかし、害魚益魚害虫益虫なんてのは、あくまで人間様の都合だけの話です。

 勉強もダメ、スポーツもダメ、だけどバス釣りだけは得意な子供がいたとします。毎日会社でしかられてばかりいるけれど、バス釣りだけは得意なサラリーマンがいたとします。まあ、どちらもきっといたでしょう。彼らが、バスを釣ることでギリギリ自尊心を保っていたとしたら、週末にバスを釣ることでまたつらい日常に戻っていけていたとしたら、少なくとも彼らにとってバスは“益魚”だったとはいえないでしょうか。

 何が自尊心だ、生態系を破壊して得る自尊心なんて嘘っぱちだ・・・きっとエコロジストは言うことでしょう。でも、バスたたきの自称エコロジストの中にだって、バスやバス釣り人という悪者を攻撃して自分を正義の味方か何かだと思うことで、自尊心を得ている人もいるのではないでしょうか。失言したタレントのブログに押しかけて炎上させる人たちと同じ・・・とまではいいませんが。

 オレはそうじゃない、害魚だ益魚だじゃなくて問題は生態系・生物多様性なんだと、ちゃんとしたエコロジストはいうのでしょう。でも、きっとこれはバス論争のころに散々いわれたことだと思いますが、花壇の花や畑の作物に、純日本列島産の原種なんてほとんどないわけで・・・。

 それは食べるためであって、遊びの釣りとは次元が違う? そんなことはありません。人間は精神的な動物です。少なからぬ人にとって、精神の安定に貢献していたとすれば、バスは役に立っていたという考え方は成り立つはずです。

 もちろん、同じ外来魚のニジマスやブラウンと比べても、バスは漁協すら通さずに拡散したわけで、全面的にいいとはいえません。でも、最近の外来生物を絶対悪みたいにいう風潮や、それをかさにきて人を批判するのはどんなものかと思います。世の中には100%の悪とか100%の正義なんてものはまずないわけですし。

 つくづく私はへそ曲がりで、世の中がCOP10だのなんだので、こぞってセータイケーだセーブツタヨーセーだガイライシュクジョだというのを見ているうちに、こういうことを言ってみたくなりました。しょせんCOP10だって、「オレんたの国のいきもんで儲けた金の分け前よこさんけー」という途上国と、「おめーんたみてえ技術も金もねえクセにとろくせえことゆっとるんやねえぞ」という先進国のお金の話だったわけで、人間なんてそんなもんなのよっていうのは、いけない考え方でしょうか。

 渓流禁漁間際の9月、なぜか突然バンタムで投げたくなりました。しかし、私のリールは10年くらい前に買った中古品で、前オーナーがクマだったらしく、固定板がひん曲げられていて使えません。で、ヤフオクで10SGマグキャストを買って固定板その他を移植し、使える状態にしました。犀川あたりに行こうと思っていたのですが、猛暑から一転涼しくなったおかげで体調を崩し、結局10月になってからウグイかナマズでもと近所の揖斐川R21へ行きました。でも、ウグイすら釣れず、おまけにブヨに手を刺されたのが原因で、熱を出して寝込んでしまいました。踏んだり蹴ったりでした。 (2010/10/25)

 ブヨに刺されて寝込むとは初体験です。いままで山で刺されてもこんなことはなかったし、虫が異常に小さくて、刺されたところがあまり腫れなかったので、種類が違うのかもしれません。

 30年越しで初めて投げたバンタム100は、やっぱりスリリングでした。BM-2と同じ35mmスプールですが、スプール単体が20gと重いので、同じようにはいきませんでした。もっとも、BM-2のスプールは樹脂製で13gしかないし、強度不足で割れちゃうくらいなので、比べるほうがムリですけどね。ついでにいうと、私のBM-2に入っている自分で図面を描いて作ってもらったアルミスプールは19gでした。肉が厚すぎたなあ。

 ウグイかナマズのつもりだったので5〜7gくらいのスプーンを投げていましたが、キャスコン(メカニカルブレーキ)を締めないとバックラッシュしました。ラインを切って写真くらいの量(巻きが左に偏っているので写真で見るよりさらに少なめ)になったのですが、この状態で5〜7gのスプーンがキャスコンなしでちょうどいい感じで飛びました。

 空気抵抗の少ないスプーンでこのくらいですから、たぶんプラグ系のルアーやソフトルアーのリグは、かなり苦労しそうです。かつてのルアー少年諸君のブログなどにバックラッシュしまくったと書いてあるのをよく見ますが、さもありなんというところです。なお、ブレーキブロックは標準のブルーで、オイルは回してありません。

 バンタムといえば、昔忠さんが「バンタム、私のリール」とかいってテレビで宣伝していたそうですが、私は見たことがありません。当時中部地方にはテレビ東京系の局(いまならテレビ愛知)がなかったからです。ちょっとラインを控えめに巻いて、重めのスプーンを投げるならけっこういいかなというリールですね。

 バンタムを設計したのは、N田次長(肩書きは私が在職していたころのもの)という人でした(20年も前の話なので記憶がちょっと怪しいがたしかそうだったはず)。デザインはM上課長(同じく)という人のもので、文句なく世界一美しいベイトリールだと思います。バンタムをはじめ当時のシマノデザインはM上氏によるもので、その後自転車も含めたデザインの親分になられたと聞きました。

 何のテストだったか忘れましたが、N田次長と和歌山のほうに実釣テストに行ったことがありました。何のテストだったか忘れたのには理由があって、テストはほとんどしなかったからです。乗合船ではなく、漁師さんの船を借り切って行ったのですが、釣り始めてすぐ他の船から、カツオだかマグロだかの大群を発見したという無線が入りました。

 これを聞いたN田次長、「テストはやめや。そっち行こう」と言い出しました。で、ポイントに着いて、漁船の後部に備え付けてあったバケを流すと、次から次へと魚(魚種は覚えていない、というか私は淡水の人なのでいまいち分からんのだが、ビンナガとかカツオとかそんな感じの魚だったと思う)が掛かります。

 仕掛けは2本あって、私ともう一人の若い社員が糸をたぐって魚を上げると、N田次長がむんずとつかんでハリを外し、魚をクーラーにバケを海に投げ込みます。バケが流されて再び糸が張ると、すぐ次の魚が掛かります。あまりに釣れるので腕がパンパンになってしまい、「N田次長、もうダメですぅ」と言いますが、「何を言っとるんだ、ほれ」と、またバケを海に流します。すぐまた魚が掛かって・・・。

 そんなこんなで、1mくらいあるイグローのクーラー3杯もの魚を上げ、半分くらいは漁師さんにあげてきて、残りは会社に持ち帰って釣り具部門で山分けにしたものです。

 私が辞めた後、N田次長は会社の導入した早期退職制度で退社し(冷酷な話やなあ)、1年くらい釣り三昧の生活を送った後、リョービへ行ってキャスプロ・メタル(ケンクラフトブランドでも売った初代TD-Xみたいなデザインのやつ。LEWのBBのキャスプロのことではない)を作ったと聞きました。

 その後の話は知りません。といっても、20年も経ってるんだから、定年ですね。こんなこと書いてる自分が十分おっさんなんやし。

 2010年10月12日、忠類川のシロザケです。前の週、原稿を3本うっちゃった後、ふと思い立って北海道に行くことにしました。9日に日程を考えると、忠類川は木曜日が休止日なので、これをかわすには11日には現地に着かなければならないことが分かりました。で、その日のうちに宿とフェリーの予約をして深夜1時の船に乗り込みました。昨日の晩まで6日間行っていたわけですが、船が丸1日、苫小牧から標津町まで約400キロの移動に丸1日で、往復4日を移動に使ってしまいます。セントレアから飛ぶほうが賢いのかなとは思うのですが、なんだか飛行機は、落ちたらこれでわしも終わりかとか思っちゃうんですね。将軍様か。 (2010/10/16)

 12日の朝、管理棟に行くと釣り人は10人くらいでした。林道を通って上流に行ったところが川原の広いポイントになっているとのことですが、管理棟には「クマが出没しています。移動は川通しでお願いします」と書いてあります。

 で、管理棟のおじさんに「クマ出るの!?」と聞くと、「出るよ。でも大丈夫だぁ」という返事です。大丈夫なのかと思いつつ管理棟に用意してあるママチャリでポイントに向かいました。片手にロッド、ウェーダー履きで、ダートコースをママチャリで走ります。クマが本気で追いかけてきたらロードレーサーやランドナーでダウンヒルを下っても逃げられるかどうかだと聞いたことがありますから、もし追いかけられたらアウトですが、歩きよりは安心な気分です。

 5分ほどでポイントに着くと、淵を中心にすでに何人かがルアーを投げています。淵の流れ出しのあたりで釣り始めると、サケが遊んでいるのが見えます。でも釣れません。自分だけでなく、まわりもみんなです。去年行ったアラスカでは、よどみで定位している魚よりも瀬の魚のほうがよく反応したので、下流側の瀬を探ってみましたがやっぱりダメです。

 昼前くらいまでやってもダメだったので、再びママチャリにまたがり、「クマ出るなよ〜」といいながら林道を走って最下流部へ行きました。前回(2007年)最下流部の淵(正面が断崖になっているところ)で釣ったのと、前日に橋の上から川を見て、下流側にサケが泳いでいるのを確認していたので、こっちのほうがいいかなと思ったのでした。

 ところが、3年前淵だったポイントは砂で埋まって底が見えています。魚も見えません。出会ったルアーマンも、魚がいないといいます。後から来たフライマンによると、魚は橋までは来てもそこからなかなか上らないということです。前日見た魚はそういうことか・・・。しばらく投げていたもののやっぱり反応も魚影もなく、移動の疲れもあってしんどくなってきたので、いったん駐車場に戻ることにしました。

 で、帰り道、歩きながら小さな落ち込みにスプーンを放り込み、流れを横切らせるように引いてみたら、ククッとロッドティップが引き込まれ、写真の魚が釣れました。

 なんや中途半端な釣れ方ですが、ふと思い立って来て、絶不調(ホテルのおじさんも今年は異常といっていた)の条件下で釣れただけでも良かったということで、中途半端な釣行記もどきを終わります。

 2010年9月18日、犀川のニジマスです。庄川や高原川など岐阜の渓流は9月10日で禁漁になるところが多いので、長野まで足を伸ばしました。うちが岐阜でも西のほうなので長野というと遠いイメージでしたが、高速で行ってしまえば下道の多い高原川方面とそれほど変わらない時間で行けます。しかし、まともに行くと高速代が片道5500円もかかるので、土日以外は難しいところ。たしか参院選前までは、休日1000円高速は休日2000円になり、代わりにリッター20km以上走る車は平日も含めてすべての日で1000円になることになっていたはず。わしの車はリッター21kmやから、早くそうしてくれ・・・。 (2010/10/3)

 リールはミッチェル408。この日は最初、ストラディックCI4の2500を使っていたのですが、なぜか糸がめちゃくちゃにヨレてしまい、手元から先までちょっと緩めるとここにエダスを結んでくださいといわんばかりに、ヨリ糸の腕が伸びていく始末(いままでそんなことはなくまったく原因不明)。で、408に交換しました。

 ちょっと久々に408を使ってみると、やっぱりたいしたものです。プラナマティックのおかげか、同じ1.5号ラインを巻いたストラディック2500と飛距離はほとんど変わりません。ラフなギアと早巻きすると76のロッドがバットから震える回転バランスながら、適度なトルク感で重からず軽からずルアーの抵抗もよくわかり、普通のリーリングなら回転バランスも気になりません。ライントラブルも皆無です。

 私はこのサイトのあちらこちらでこのサイズのミッチェルを改良してまた作ったら・・・などということを書いていますが、最近それはいらないのではないかと思うようになりました。ミッチェルインスプールは408が完成形です。

 これには今年の夏に使った大森シェイクスピア2200もかかわっています。私はこのリールを使うまで、ミッチェルも大森式にベール反転機構をベールアームの逆側につけてローターの軽量化とバランス向上を行ったらいいと思っていましたが、現実の2200はベール反転機構に糸が絡むという問題を抱えていました。

 ミッチェルがベール反転機構をベールアーム側においていたのは、これを防ぐためだったという見方もできます。もちろん、8枚ギアの300ですら変えなかったミッチェルの保守性がそうさせた面が大半だとは思いますが、ミッチェルは糸絡み防止の面ではベールに改良を加えているのです。カーディナル33は、ベールアームの突起部とベール反転レバーの間に糸が挟まることがあります。それを防ぐためにお助けくんなる(正直あまりかっこよくない)商品まで存在します。60年代のミッチェルもカーディナルと同じようにベール反転レバーをベールアームのストッパーにしていました。しかし、70年代つまり写真の408のころにはベールを改良、反転レバーをストッパーにするのをやめています。

 やはり前回書いたとおり「408は最高の実用性能」のリールなのです。ローターがブルブルしようが鉛のバランサーで重くなっていようが、少なくとも釣りの動作を阻害することはありません。しかし、ラインが絡みつくのは間違いなく釣りの動作を止めてしまいます。どちらが実用性能として大切なのかは明らかでしょう。あの回転バランスと鉛のオモリは、逆説的にミッチェルの見識の表れと取ることができるかもしれません。

 ギアに関しても、なんとかスパイラルフェースギアでこのサイズを作れなかったのかと思ったこともありますが、やはりこのサイズなら408の5.5対1くらいのギア比は必要です。そうなると、スパイラルベベル以外ではムリでしょう。ボディーを全面的に変えてハイポイドフェースギアを入れれば話は別ですが、それがミッチェルなのかといわれると難しいところです。絶妙のプラナマティックも入らなくなってしまいます。

 ミッチェルがスパイラルベベルをやめたころ、口の悪い人は「会社が傾いて高価なグリーソンカッターを売っぱらっちゃたんだろう」と言っていたそうです。実際そうなのかもしれないし、そのお金は4400あたりの金型代に変わったのかもしれません。4400だってコケようとして作ったわけではありませんから、その判断が間違っていたとは誰にもいえません。でも、この408や(これも空想物語ですが)スパイラルベベルで再設計した300を細々とでも作り続けていたら・・・やっぱり夢物語ですね。

 2010年7月9日、峠川のイワナです。リールは大森シェイクスピア2200。ピカピカの新品です。届いたリールを回してみて、こりゃすごいと思いました。回転バランス完璧です。後の大森リールのようにラインローラーブッシュが入っておらず、その分ベール周りが軽いからですが、現実にはミッチェル408のラインローラーでもラインは平気なわけですから、問題はありません。試しに使うなら別のリールのラインを一時的に移すところですが、こりゃずっと使っていこうと思い、新品のラインを巻いて釣りに行きました。ところが、このリール、ベール周りにラインが絡みまくります。国内版のマイクロセブンDXで釣りをおぼえた人は、ラインさばきが上手くなったことでしょう。 (2010/9/20)

 あらためて考えると、コメット、プロライン、マイコンも大森リールはこういう点がダメだったわけで、最初期の製品ならこんなものでしょうね。

 絡みは主にベールアーム周りですが、意外に多かったのが、ベール反転レバーの掛かるプレートへの絡みです。もちろんこれはフェザリングを怠ったためですが、ベールを開いた状態でラインは左側にたれるので、けっこう絡みつきます。2200Uやプロライン、コメットのローターが不恰好なまでに深く、回転バランスが崩れるにもかかわらず反転レバーの掛かるプレートを後退させているのは、これが理由だったのです。このほか、コイルスプリング入りで幅広い調整に貢献しているドラグノブにもラインが巻きつきます。カーディナル33でも起きますが、ローター外周にラインが巻きつくことも意外に多くあります。

 つい最近、昔リールを設計していた人への手紙にこのことを書いたら、「2200は最高の店頭性能、ミッチェル408は最高の実用性能」という返事が来ました。

 2200のローターは実によく考えて作ってあります。ミッチェルが反転機構をベールアーム側に付けて、反対側に大きなオモリを入れてしまっているのに対し、2200は反転機構を反対側の支持部にもっていって軽量化しています。しかし、使ってみると、これが糸絡みの原因になるのです。

 大森リールはローター内面を旋盤加工してストレートにし、スプールにモールをつけてライン落ちを防いでいます。これによってスプールに対しローターを小さく設計しているのですが、これが原因でローター外周にラインが巻くことが多くなっているのです。

 店頭性能というと、初期のSBL、ジャイロスピンのように回転慣性が大きく、店頭で勢いよく回すといつまでも回り続けるものの、実際に使うとリーリング感度が悪いものなどを連想します。しかし、2200の店頭性能はそれをわかっている、つまり私のようにリールを知っているつもりでいる人間もだまされる「最高の店頭性能」だったというわけです(もちろん、初期SBL、ジャイロスピンであれ2200であれ、結果的にそうなったのであって、悪意をもって作っているわけではありませんけどね)。

 やっぱり、リールは使ってみないとわかりません。

 2010年9月4日、峠川のイワナです。名古屋の予想最高気温が38度だった日で、下界は地獄の暑さでしたが、さすがに石徹白は快適、水温も16度でした。それでもイワナには高いらしく、2尾釣れた魚はいずれも夏痩せ気味でした。 (2010/9/10)

 2500CにはAvailのマイクロキャストスプールとマグネットブレーキが組んであります。Availはなんとなく名前くらいは知っていましたが、この前のアングリング・ファンのベイトリールアンケート企画でえらい使用者が多かったので、ためしに買ってしまいました。

 2種類あるうちの浅いほうのスプールで、ナイロン1号4Lbが下巻きなしで100m巻いてあります。取り付け数で調整するマグネットは2個で、3gくらいのスプーンならメカニカルブレーキフリーの状態で、まったくバックラッシュせずスピニング並みに飛びます。ミノーは失速が早いので、同じセッティングで投げると半分くらい飛んだときにスプールの回転が飛行速度を追い越してバックラッシュします。しかし、メカニカルブレーキを1〜1.5目盛締めれば、バックラッシュは起きなくなります。スプールが軽いのでメカニカルブレーキの締め付けが最小限で済み、巻きの重さやリリースタイミングのずれへの影響も少なくて済みます。スプールが慣性で回らないため、バックラッシュも重症になりません。ミノーはあまり投げませんでしたが、シュガーミノーの50Fも投げられました。さすがに2500Cでは巻き取りスピードが足りませんが、ハイスピードで左ハンドルのリールなら、渓流でもまずまず使えるのではないかという感触でした。

 ただし、ベイトを使う最大のメリットは、ベイトを使うことそのものでしょう。この前の記事の最初にも書きましたが、釣りを確実に行うのならスピニングのほうが優れています。ベイトを使うことによって、何か具体的なメリットを期待してはいけないでしょうね。あくまで、ベイトリールやその使い心地が好きであることが大前提です。

 この前の記事で、原稿を出す前にちょっと困ったことがありました。あのときは、ネット検索でベイト使いの人を探して片端からピックアップしたのですが、使用リールがコンクエスト50/51に集中してしまったのです。トラウトの人はやはり丸いリールが好きで、そのうち小さくてハイスピードとなると、これしかなかったのでしょう。私は一切操作や選別はしていないのでそのまま原稿を出しましたし、編集部もそのままのっけてくれましたけど、雑誌によってはやめてくれといわれたかもしれませんね。

 そんななか、ひとつ残念だったのは、ほんとうはダイワ使用者(記事では13人中2人だった)がもう1人入るはずだったことです。PX68を使っているブロガーがいたのですが、依頼のメールを送ったものの、なしのつぶてでした。やっぱりいきなり依頼したから気分を害したのかなと思っていたら、1ヶ月くらい経ってから返事が来ました。こともあろうに送ったメールが迷惑メールに誤分類されていたのでした。

 もうひとつ裏話をしましょう。私は、あの記事の企画以前に、魚野川でベイトタックルを使ってイワナやニジマスを釣っている人のブログをよく見ていました。その人にもアンケート依頼を送るつもりだったのですが、ベイトやトラウトなどのワードで検索していたら、そのブログ主がAvailの社長さんだということがわかりました。あれだけAvail製品使用者がいて、当の社長さんまで入ったんじゃああかんでしょ。というわけで、リストから外させていただきました。

 話は変わりますが、写真の2500Cはオリムピック復刻第一弾(88年か89年)のものです。このリールは買ったときからガーコガーコとカエルが鳴くようなギア鳴りがしていました。釣行前ラインを巻く前に部屋で回していたら、ハンドルを押し付けて回すと静かで、引っ張って回すとギアが鳴くことに気づきました。

 そこで、メインギアブッシング(・・・アブの呼び名、シマノでいうメインギア軸、ダイワでいうギヤーシャフト)の本体側に入っているワッシャー(少しそらせたリン青銅のワッシャー)を抜き、代わりのワッシャーをメインギアブッシングの右端とE止め輪の間に入れたら、ギア鳴りしなくなりました。やっぱりスポット生産の復刻版だから復刻33同様パーツ寸法が出ていなかったのでしょう。もし同時期のリールを持っていて、同様のギア鳴りがする人がいたら参考にしてください(20年も放っておく人はいないか・・・)。

 それと、2500Cは川で使うにはロースピードすぎますが、どうしても使いたいならば、せめてハンドルをパワーハンドルにしたほうがいいでしょう。ノブが2個あって、素早く巻き始められるからです。スピニングだってノブは1個だから同じに思えますが、ベイトのシングルハンドルは、反対側に出っ張っているバランサーをつかみそうになって、ワンテンポ遅れることが意外にあります。慣れの問題というか、私がドンくさいだけかもしれませんが・・・。

 ウルトラライトのベイトロッドを作ってしまいました。2500C用にAvailのスプールも買ってしまいました。自分の書いた記事に影響を受けるとは、めでたい奴です。ロッドはスピニングブランクにショップ(うらしま堂渡辺つり具店)でグリップを付けてもらって、ガイドは自分で巻きました。しかし、ガイドのラッピングはたまにしかやらないため、失敗の連続でした。1本作り終わったころに「ああここはこういう風だったなあ」と、コツを思い出すのですが、たぶんまた次やるまでには忘れてしまうのでしょう。何年かおきに作るカーディナル33の品質が安定しないのと同じことですな。 (2010/8/30)

 最初の塗りでは、ガイドの足の空気を追い出すため、バットガイドから先へとガイドの足先にエポキシを1滴ずつ落としていき、それが染み込んだころバットガイドに戻って全体を塗りました。ところが、足先から染み込んだ部分はブランクが透けて黒っぽく、後から筆で塗り広げた部分はスレッドの色が残って茶色っぽくと、マダラ模様になってしまいました。ここ最近太いスレッド(グデブロッドのDタイプ)ばかり使っていたのですが、ULのロッドだったので久しぶりに細いスレッド(グデブロッドのAタイプ)にしたところ、こういうことが起きてしまったのでした(この塗り方は、「こういう方法もある」という言い方ながら、ちょっと前のアングリング・ファンに書いてしまいました。同じようにやって失敗して怒っている人いないかな・・・)。

 自分で使うロッドなので、気にしなければいいのですが、気にし出すと気になって仕方がない性格なので、翌日エポキシが固まってから全部ガイドをはがして巻き直しました。

 で、2回のコーティングで仕上げ、まあこのくらいでいいかと思っていたのですが、原稿を書きながらちょうど撮影用に借りていたアンリパのロッドを眺めていたら、やっぱりきれいです。2回塗りだとガイドの足の角などにまだ糸目が浮いているものですが、既製品のロッドはまったくそれが見えません。ガイドのマダラに気を取られて塗りがおろそかになったグリップ前部の巻きは微妙にデコボコですが、既製品はさすがフラットです。

 で、見ているうちに、やっぱり我慢できなくなって、ガイドに3回目のコーティングするのと同時に、グリップ前部の巻きをやり直すことにしました。はたして、ガイドの部分のコーティングは成功、同時に行ったグリップ前部の下塗りもまずまずです。翌日のグリップ前部の2回目のコーティングも上手くいきました。

 ここでやめておけばよかったのですが、ガイドが3回塗りなんだから、グリップ前部ももう1回塗ることにしました。ガイドのない部分なので十分きれいだったのですが、3回塗るとなんともいえないツヤが出るので、欲が出てしまったのです。ところが、これが大失敗。仕上がったロッドを見たらエポキシがデコボコです。3回塗りならではのなまめかしいツヤが出たのは確かですが、それがうねっている様子はよけいに気持ち悪い・・・。しかしもうさすがに巻き直す気力は残っていなかったので、800番のサンドペーパーでならした後、コーティングすることにしました。

 そして、そのコーティングの直前に、失敗の原因がわかりました。いつかも書いたように私はエポキシの臭いをかぐと体調を崩すので、塗装用のマスクをした上で、自室とは別の部屋で作業をしています。その部屋で最後のコーティングをしようとして、ふと「暑いな。この部屋はいったい何度なんだ?」と思いました。この猛暑ですから、2時間くらい前からエアコンをつけておいたのですが、温度計で測ってみたら35度もありました。西側に大きな窓のある部屋で、エアコンも何年も前のものなので、午後は能力オーバーになっていたのです。コーティングの失敗は、あまりの高温でエポキシがなじむ前に固まってしまっていたのでした。

 危ういところで作業を中止し、あくる日(一昨日)朝涼しいうちに最後のコーティングを済ませて、やっと完成となりました。

 私は気になりだすとそればっかり考えてしまう性格なので、巻き直すかどうか迷い始めたり、失敗してしまって翌日はがさないといけないとかとなると、夜も眠れなくなってしまいます。ただでさえ暑くて眠れないのに、この1週間でへとへとになってしまいました。ロッドビルディングはしんどい・・・。


夏の怪談
 いかれてるのは私の頭か世の中か。

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