新年早々またロッドを作ってしまいました。上が今回作った8フィート6インチのMLベイトロッドです。クリアー塗装のカーボンブランクだったので、スレッドカラーで悩みました。どんな色でも合うといえば合うのですが、どんな色でも浮くといえば浮きます。で、ロッドメーカーのカタログ写真や所有ロッドをながめまくって悩みに悩んだ結論が・・・これかよ。 (2011/1/9)

 手前は昨年秋に作った6フィートULのほうです。このときはつやあり黒塗装のブランク(フレックスULスピン)だったので、迷わずライトブラウン(グデブロッド541)にしました。このカラーの組み合わせは、シマノの最初のフリーストーンFSと同じものです。シンプルですが、シルバー系のガイドと組み合わせるとなかなか品よく仕上がります。あのころ(10年位前)のシマノルアー・フライロッドはこういうシンプルなデザインが多く、初代カーディフXTなどはつやあり黒塗装のブランクにガンスモークフレームのガイドを黒のスレッドで巻いていました。デザインするのを放棄したのかと思うくらいシンプルでしたが、逆にあきがこないデザインでした。最近は(中国の人件費に物を言わせて?)どのメーカーのロッドもスレッドの巻きに凝りまくっていますが、私はこういうデザインのほうが好きです。

 去年の6月くらいの扉に3回くらい登場した7フィート6インチのベイトロッドもクリアーカーボンのブランク(ウェルナー)でしたが、あちらはバーガンディー(グデブロッド206)にNCP白の縁取りでクロームメッキフレームのガイドを取り付けました。この色の組み合わせは、スコットのフライロッドをマネしました(現物は持っていないのでバーガンディーでなく赤かもしれません)。スコットの縁取りはバットだけだったはずですが、あのロッドはすべてのガイドでやっています。

 今回もあの色で行こうかと思ったのですが、ちょっとくどい感じもするし、毎度既成ロッドと同じというのもなになので、今回はEカラーガイドを黒1色で巻きました(ここまでシンプルだと、既成ロッドにはあるまい)。

 以前、エポキシはフレックスコートを使っていましたが、こっちでこれを売っていた店がなくなってしまったので、秋に巻いた6フィートULから、国産のハンドレッドコートというエポキシを使っています。使い慣れたものを変えると、いろいろと試行錯誤が必要になって、難しいものです。ハンドレッドコートは、そのまま使うには粘度が高すぎる感じです。ブランクが細い6フィートULはなんとかなりましたが、グラスロッドや今回のようなロングロッドなど、太いブランクは薄めないとかなり難しくなります。

 6フィートULベイトと今回の8フィート6インチMLベイトの間に、ザウルスフィリプソン、スーパーパルサーFWS、フェンウィックHMXの巻き替えをやった経験から、主剤5cc、硬化剤5ccに対し、最初の塗りを薄め液2cc、2回目1ccとしました。1回目も薄め液1ccのほうが強度的に安心のような気もしますが、水彩用の筆(これまたフレックスコートの使い捨てナイロン筆を使い切ってしまったため・・・今にして思うとあれは優れもので、薄めていないフレックスコートに対してちょうどいい硬さでしたし、斜めのカットで幅広いスレッド巻き幅に対応しました)が粘度に負けて厚塗りになってしまいます。

 薄め液を入れると硬化が明らかに遅くなります。硬さも、最終的には固まるそうですが、軟らかめの状態がかなり長く続きます。だから、本当は薄めたくないのですが、薄めたときの塗りやすさと仕上がりは捨てがたいものがあります。

 薄めたくなければ、デュラグロスやフレックスコートのライトを取り寄せてもいいのですが、ハンドレッドコートを使うようになった理由として、容器もあります。私は化学物質過敏症のけがあって、エポキシの蒸気をかぐと体調を崩すため、皮膚にもできるだけ付けたくありません。ハンドレッドコートは容器自体が油さしのような形状で、カップで計量するため、まったく液に触れずに作業できます。これに対し、これ以外のエポキシはシリンジを容器に突っ込むときどうしても手に付きます。私の買ったフレックスコートなど、最初から硬化剤がにじみ出して容器がネバネバの状態でした。ただ、ハンドレッドコートはカップで計量するために、1回の使用量が多く、あっという間になくなってしまうのが困り物ですが・・・。

 今回一番の難関は、ネーム入れでした。元々ブランクにはNeo Quick Taperという名前(喜楽釣具のブランク)とスペックがプリントされていましたが、ベイトはグリップ全体が長くなるため、グリップ先端からネームまでが2センチくらいになってしまいました。それで、耐水ペーパーでネームを消してしまい、2回目のコーティングの後に(例によって)3時間かけて名前を書きました。

 薄め液を入れると文字が溶けてしまうので、ネーム部のコートはエポキシ原液です。これはむちゃくちゃ緊張しました。モーターを回す前に長手方向に筆を走らせますが、手が震えたくらいです。そのなみなみは消えましたが、やはりエポキシの粘度が高いため、グリップ寄りのスレッド(ここは回しながら塗った)のところがややうねったままになってしまいました。他にも硬化中にホコリが落ちてきて2か所くらい出っ張ってます。でも、ネームの部分がほぼフラットに仕上がっただけでも奇跡的です。町田義人、いや、これでよしとしましょう。

 それにしても、ガイドラップを始めると、固まらなかったらどうしようとか、はじくんじゃないかとか、フィニッシングモーターから落ちていないかとか、ホコリが落ちてこないかとか、ネームは上手く書けるだろうかとか、心配でたまりません。既製品のロッドが少々汚くても許せるのに、自分でやったものはなぜか気になります。こういう性格の人なので、1本やるとどっと疲れてしまい、もうこれを最後にしようと思うのですが、昨年秋からすでに5本・・・困ったもんです。

 (関係ないが、私の書いたQの筆記体は古いらしい。もっとも、Tをあえて筆記体にしていないのだから、どっちでもいいか・・・)

 これはですな、なんとなく軟らかくなったフェンウィックHMX S60L-2のガイドを巻き直す際、ガイドをはがしたものと、ガイドをスレッドで巻いただけのもの、スレッドをエポキシで固めたもののベンディングカーブを撮影しておいて重ねたものです。ガイドスレッドの剥離が“ヘタリ”の原因ではないかという仮説を立て、ブランクのみの硬さとガイドが固定されているときの硬さを比較しようとしたのです。見ての通り、違いがわかりません。荷重50gの曲がりではまったく違いが出ませんでした。はっきりいって実験失敗です。かといって、ガイド巻き替え中のロッドを満月に曲げるわけにもいきませんのでな・・・。 (2010/12/30)

 このロッドはブランク塗装に問題があって、スレッドを固めるエポキシがぜんぜんくっつきません。使用とともにスレッドの端からコーティングが剥がれてきて、よく曲がる部分のガイドの足を光に透かすと半分以上剥がれているのが分かるほどになっていました。

 証明実験は失敗に終わってしまいましたが、ガイドラップ部の剥離でロッドの硬さが変わるのではないかと思ったのには理由があります。以前、フェンウィックFS65のハードガイドをSiCに替えたとき、クロームメッキフレームのガイドをそのまま巻いたら、すべてのガイドが音鳴りを起こすようになり、同時にロッドが明らかに軟らかくなったからです。

 フィッシングショーで富士工業の人に聞いたところ、クロームメッキフレームのガイドは、エポキシ接着剤で足をコーティングしてから巻くといいと教えてもらえました。クロームメッキはエポキシコーティング剤との密着性(接着性)が悪いため、スレッド内でガイドの足が剥離してしまうのです。実際、スレッドを切ってガイドをはがそうとすると、スレッドを取り除いた段階で、ころんとガイドが落ち、ガイドの足にはエポキシのカスひとつ付いていないものです。

 で、教えてもらったとおり、5分硬化のエポキシ接着剤でガイドの足をコーティングしてから、ガイドを取り付けなおしたら、音鳴りが消えたのみならず、ぶんぶんと振ったとき、明らかに芯のある硬さが加わりました。エポキシでも、透明度や流動性を考えたコーティング剤と、接着専用の接着剤は、接着性能が違うのですね。

 よく、ロッドがへたったという話を聞きます。カーボンシートの層間剥離が理由ではないかといわれることがありますが、そうしたことが本当に起こるのだろうかと思います。そういう現象が起こるのならば、半透明のグラスロッドなど、使用にともなって、どんどんブランクが白濁していきそうですが、そんなことはないでしょう。また、カーボン繊維自体が徐々に断線していくとか、軟らかくなるといったことは、もっと考えにくいでしょう。

 私は、いま書いたガイド交換の経験とともに、グリップを替えるとロッドの調子が変わることから、ヘタリの原因として、ガイドラッピング部やグリップ接着部の亀裂や剥離があるのではないかと思っています。クロームメッキフレームでなくても、長年の使用で徐々にラッピング部の剥離が進めば、その部分の添え木効果がなくなって、軟らかくなることが考えられないでしょうか。コルクグリップがロッドの曲がりでもまれて徐々にへたれば、バットが軟らかくなったように感じることもあるのではないでしょうか。

 案外へたってしまったと思っていたロッドが、ガイドやグリップを再組み付けすることで、復活することがあるかもしれません。

 HMXは、ガイドの乗る部分のブランク表面を2000番の耐水ペーパーで曇らせた後、5分硬化のエポキシ接着剤をプライマー代わりに塗りました。ブランクにこんなことは普通しませんが、元々このロッドはいつぞやイーグルGTについて書いたように、製造時に荒いペーパーらしきものでガイドの乗る部分を引っかいてあるので、耐水ペーパーでこするくらいかわいいものです(どういう工場で作っとるんや)。ついでにガイド(チタンフレーム)の足もエポキシ接着剤でコーティングしました。

 壁に押し当ててみると、いっぱいに曲がったときに戻ろうとする力が若干強くなったような気もしますが、使ってみないと分かりません。ただ、最近ベイトにはまっていたり、こいつの前に復活させたスーパーパルサーFWS-60L/C(ベンドカーブひとつ取ってもHMXよりずっといい。やっぱロッドは日本製ですね・・・)も使いたかったりと、結局出番はこないような気もします。

をもって毒を !?

 2010年12月12日、またまたまた天竜川のニジマスです。この日はなぜか釣り始めからいまいち飛距離が出ず、バックラッシュも頻発しました。バンタム100のブレーキブロックを、往時のものから現在海魂用として売られているものに替えていったからかと、1個から2個にしたら今度はぜんぜん飛びません。前の前の釣行でアベイルスプールを初めて使ったときは、往時のブロック2個で投げ始め、釣りになる程度は飛んでいたのに、おかしいなあ・・・と、往時のブロック1個に戻して投げたら、バットガイドにラインが絡みました。それを解いてよく見たら、リールからバットガイドまでのラインがブランクをぐるっと一周巻いていました。飛ぶわけないがや・・・。 (2010/12/20)

 途中で一回バックラッシュを切ったときに通し損ねたのかなと思いましたが、あの状況から考えると、釣り始めに通し損ねたみたい。バックラッシュを切ったとき、ガイドにラインを通すのがめんどくさかったので、ガイドにラインを通したままにしておいて、リールから出した新しい糸先とガイドに通っているラインを結んで引っ張り出したため(文章で書くとややこしいですが、スピニングでもやったことのある人はいるでしょう)、バットに巻いたままになったのでしょう。それにしても釣り始めて1時間、気づかんか、普通・・・。

 ところでこのリール、ベアリングにはグリスをつめています。ブレーキブロックにオイルが回るのが嫌なので、こうしてしまいました。遠心ブレーキに回らないようにオイルを注すには、いちいちベアリングを取り出して注油しなければなりませんし、釣っていていきなりブレーキが効かなくなるのは、絶対嫌です。特に細いラインは一発バックラッシュしたら復元不能になります。グリスはシマノのスプレーグリスですが、粘度が低いので十分飛びます。軽量スプールに遠心ブレーキを組み合わせると加速が急激になりすぎるので、この方がいいんじゃないかなあと思っていますが、オイルを試していないので、あまり参考にしないほうがいいかもしれません。

 昔(たぶんいまも)アメリカ向けのリールはグリス入りベアリングでした。おそらく多くのユーザーは使いっぱなしだったはずですが、ベアリングのグリスが切れたという話は聞いたことがありませんでした。ならば、これでメンテナンスフリーになるんじゃないかと思っていたりします(実はけっこうずぼら)。あらためて考えてみると、国内向けベイトはスプール支持ベアリングをグリスレスにしていますが、マニアだけが買うわけじゃないでしょうから、国内だって注さない人はオイル注さないでしょう。で、現実問題、オイル切れってあるんでしょうか。グリスレスベアリング導入時、高荷重の耐久テストはしていましたが、キャスティングでオイルが飛んでしまうような気がして、結局私は釣りに行くたびに注油していました。でも、やっぱり、けっこう大丈夫なものなのかな・・・。

 グリスの話では、このころのリールのドラグワッシャーにグリスを塗ってはいけません。このバンタム100(前も書きましたが中古品)は、固定版が曲げられていたので、他のリールを部品取りにして直したのですが、そのときギアをパーツクリーナーで洗ってやりました。その際、ドラグワッシャーがドライブギアからはがれなかったので、いっしょに洗ったら、ドラグが生き返りました。写真くらいの魚を3釣行連続で釣っていますが、調整幅、スムーズさともにバッチリです。こうした用途では関係ありませんが、マックス値も十分にあります。

 ただし、ドラグワッシャーにパーツクリーナーをかけたら、すぐ拭き取らないと、ワッシャーが溶けてきます。ワッシャーが溶けると、表面に白い繊維状のものが浮き出してきます。この白い繊維こそ、かの有名なアスベスト先生です。写真のような大きな魚が走ると、アスベストの粉末が飛んで肺気腫に・・・ということはありえませんが、このサイトを見て同じようにしたら病気になったと何年か先に訴えられても困るので、気になる人はメーカーに出してノンアスワッシャーに替えてもらってください(こんな古いのもあるのか?)。

 もうひとつ、バンタム100や200は、レベルワインダーのパイプのメッキがはがれているのが多いようです。部品取りにした10SGマグキャスト(2桁シリーズは黒のはずなのになぜか外観は100と同じ銀色だった)もそうなっていました。これはパイプのメッキが弱いのではなく、レベルワインダーのメッキとの摩擦の問題だと思います。レベルワインダーが樹脂の10SGやマグプラスなどならこういうことは起きないはずです。オイルかグリスが付いていれば大丈夫のはずなので、釣りから帰ったらオイルを1滴注してやりましょう。

 さて、バットへのライン巻きを直してから、鮎釣から雲名へ移動したもののウェーダーのブーツ部が割れていて立ち込んでいられず、立ち込まなくてもいい中島へ行きました。

 ここで、またキャスティングが不調に。ポイントが変わって距離感が違うからかなあと釣っていたものの、これまた1時間くらいして、ジョイント前後のガイド間のラインがブランクを1周しているのに気づきました。二つ折りにして移動して、継いだときに回してしまったようです。どこまでボケとるんや。写真の魚はそれを直して快調に飛ぶようになってからヒットした逆転ホームランですが、ブランクにラインが巻いたままだったらどうなっていたことか。

 2010年11月28日、またまた天竜川のニジマスです。ETC1000円高速だと、高速代の差額だけでもう1回行けますからね。ルアーはバイトの3.0g。バイト3.0gは、なぜか他の重さと違って横方向のアールが付いていません。いわゆるカップがなく、平板がS字型に曲げてあるだけです。だから回るかスライドするかで、最初買ったときは、正直、忠さん何を考えとったんやと思いましたが、なんか釣れます。愛知のNチュラリストのオーナー氏も渓流で使っているみたいです。この日は30〜50cmくらいのストロークでリフトアンドフォールして何尾か釣りました。ウォブリングではなく事実上回転なので、立ち上がり(?)がいいのがいいみたい。前回のヒットルアーのハスルアーといい、規則的なウォブリングイコールいい泳ぎではないのかしらん。 (2010/12/9)

 ベイトをトラウトに使うのは、投げてきもちいい以外のメリットはないと書いたことがありますが、こういう使い方をするときは安心です。スピニングだとふけたラインを巻くのがやっぱり怖いですが、ベイトはどんな風に巻いてもOKですから、アクションの付け方に制約がありません。

 前回のっぺらぼうだったロッドのバットにバットワインドと名前が入りました。ロッドのネーム入れは、漫画家が使うようなインクをつけて使うペンとアクリル絵の具で入れるのが一般的のようですが、やってみたところ、丸いブランクにペンで文字を書くのは人間業ではありませんでした。

 絵の具は水で2倍くらいに薄め、ハジキを防ぐためブランクをサンドペーパーで曇らせておきます。しかし最初は、ブランクを傷つけるみたいで嫌だったので、サンドペーパーなしで書きました。だからよけいにだったのですが、ハジキはしないものの、ぜんぜん上手く書けません。書いては消し書いては消しして、4時間かけて、なんとかかんとか、このへんで堪忍したるわというところまでこぎつけました。

 いろんなサイトを見るとすぐエポキシコートしても大丈夫みたいだったのですが、絵の具メーカーのサイトによると完全乾燥は72時間とのことだったので、念のため2日乾燥させ、エポキシをかけることにしました。

 その直前、ふと、何回も書き直したから手の油が残っていて、エポキシをはじくかも、と心配になりました。アクリル絵の具は乾燥すれば耐水性になるとのことだったので、これくらいなら大丈夫だろうと、カメラのレンズクリーニング用のアルコールでさっと拭くと・・・

 文字が消えました。

 4時間の苦労が・・・と、愕然としつつ、再び文字を書きました。今度はブランクをサンドペーパーでさっと磨きました。すると、はじくはじかないではなく、ペン先とブランクが滑りにくくなり、少し書きやすくなりました。で、2時間後やっとこさ「Flex UL FX-6'0''」「2-7g 2-6lb 2010」の文字が入りました。なお、ロッドブランクはうらしま堂渡辺つり具店のFlex UL SPINですが、ベイトロッドなので、SPINは取りました。代わりにCASTと入れようかとも思いましたが、文字が増える分、書きあがるまでの時間が倍以上になりそうだったのでやめました。

 で、いよいよエポキシコートです。当然ですが、シンナーは入れません(アルコールでも溶けるんだから・・・)。フィニッシングモーターを回す前に長手方向に筆を走らせて塗りました。が、筆に含ませたエポキシが少なくて途中で失速(何か別の棒で練習してからやれよ・・・)。一気に塗れなかった分凸凹になってしまいました。さらに回しているうちになぜかハジキがでて、爪楊枝でエポキシを落として埋めたら、さらに凸凹に・・・。

 上の写真を撮ったときは、まだその凸凹の段階でしたが、1週間くらい放置して完全硬化を待ち、サンドペーパーで整形しました。本来ならこの後エポキシかウレタンで仕上げるところですが、また失敗しそうだったので、クルマ用のコンパウンドで仕上げました。ちょっと曇りが残りますが、これ以上する気力が残っていませんでした。

 もうこりごり・・・と思いつつ、最近またロッドの改造衝動に火がついてしまったようで、現在、十数年前思い付きでガイドを替えて無残な姿にしてしまったウエダのグラスロッドの復元や、ガイドスレッドの剥離で軟らかくなったフェンウィックHMXの再ラップを始めてしまいました。道のりは長いぞ。

 2010年11月21日、天竜川のニジマスです。この日はダム下で釣り大会が行われていましたが、私は別の場所でのんびり釣っていました。釣りなんて人と競争してやるもんじゃないし。あ、でも、1度だけ釣り大会に出たことがありましたね。大学4年の秋、京都でS野正希さんがやっていた尾越(おごせ)カントリーレイクの釣り大会の案内が来たので、自転車で行ったことがあります。しかし結果は、20数名中ただ2人のボウズ。「なんや、釣れんかったんか! S水部長に言っといたるわ。シマノの内定取り消しや!」と、S野さんに言われたものです。だから釣り大会が嫌いというわけでは、ありません。ありませんよ! (2010/11/29)

 さらっと書きましたが、尾越カントリーレイクまで自転車で行くのは、とんでもないことです。花背峠のアプローチから百井峠までノンストップで登ってセディのチェーンを2度も伸ばしたものです。あのころは若かったのですね。

 リールはバンタム100。最近バンタムやBM/BBを眺めて過ごすことが多くなりました。年取ったんですかね・・・。

 このリールにはアベイルのスプールが入れてあります。最初は、“重いスプールも含めてバンタム100だ”と思っていましたが、投げられなきゃ話になりません。この釣行の前、糸を減らして管理釣り場で使ってみましたが、やっぱりムリでした。持参していたアベイル入り2500Cと使い比べて、アベイルスプール導入を決定しました。

 2gもあればスプーンが問題なく飛んでいきます。写真のルアーはハスルアー1/8オンスですが、これくらいなら、「え? あそこが着水点?」というくらい飛びます。投げるごとに顔がほころんでしまうので、知らない人が見たらアブナイ奴だと思われそうです。

 ブレーキブロックは、バンタム100純正のブルー1個です。30年前のモデルのブレーキブロックが手に入るのか? 入るのですね。あのブレーキブロックは、現在イシダイリールに使われているので、「海魂のブレーキカラー」といえば取り寄せられます。たぶんジュラコン製なので、旧アブのガラス繊維入り(だと思う)のように磨耗したりカスが出たりしません。

 このブレーキブロックは、SVSのグレーより大きくなります。効き過ぎるんじゃないかという人がいそうですが、バンタムやBMのころはブレーキドラムの径が24〜26mmくらいで、SVS(赤メタ・銀メタあたり)の30mmより小さいから、これでいいのです。遠心力は、エム・アール・オメガの二乗です。エムは質量、アールは回転半径、オメガは角速度、シグマはザボーガーの悪の組織です。

 アベイルスプールはペラペラで、何かの缶みたいな印象です。絶対的な強度は、リールメーカーのスプールにかなわないでしょう。実際、根掛かりをスプールを押さえて切るようなことはしないようにと、HPに書いてあります。

 じゃあダメじゃんというのは、分かってない人でしょうね。シマノにせよダイワにせよ、完成品メーカーは、あらゆるお客さんを想定しなければなりません。昔聞いた話ですが、アメリカ人の中には、ベイトリールのフレームとレベルワインダーの間に指を挟んだままハンドルを回して、壊れたらクレームに出す人(本人は強度テストのつもりらしい)がいるそうです。スピニングのスプールをモーターにつけて、高速でラインを巻くサービスをする釣り具屋があって、ラインをタオルでつかんでテンションをかけるため、やわなスプールは割れてしまったそうです。日本でも、20ポンド以上のラインを巻いたベイトで、スプールを押さえて根掛かりを切ってシャフトを曲げてくる人がいるそうです。完成品メーカーは、そこまで考えて製品を作らないといけないのです。

 アベイルスプールが、実際どのくらいのことをしたら壊れるかは分かりませんが、仮に強度が限界ギリギリだったとしても(もちろん、何年もにわたってけっこう数を売っているのですから、太いラインで強引に根掛かりを切るなどしない限り大丈夫のはずです)、それと引き換えにこの投げ心地が得られるのならば納得です。例えば超高弾性カーボンを使って、超極細の超軽量ロッドを作ったとします。下手な人が使ったら折れるけれど、それと引き換えにかつてなく軽い・・・そんなロッドがあったら使ってみたいという人はいるはずです。そういう世界ではないでしょうか。

 なにやらバスの世界では、ベイトフィネスというものが流行りかけているらしく、アベイルのみならずZPIとかいろいろあるみたいです。あんまり流行ると、完成品メーカーもアイズファクトリーとか夢屋で、こういうものを出してくるかもしれません。

 でも、それはちょっと野暮だろうと思います。一方に大メーカーがあって、もう一方に大メーカーの出せないものを作る小サプライヤーがいてこそ面白いのですからね。

 2010年11月16日、下呂温泉付近の益田川です。日曜日にマス釣り大会があって、以後1週間は釣りをしてもいいとのことだったので行ってきました。でも、今年から大会方式にしたため大会荒らしのエサのオッチャンが押しかけたとかで、マスはきれいさっぱり消えていました。 (2010/11/19)

 最近バンタムについて書いているブログやらホームページを探して読んでいたら、このリールのコマーシャルをしていた常見忠さんについて「株式会社ツネミの元社長」と書いているところを数か所見つけました。忠さん本人に聞いたわけではありませんが、それはないはずですぞ。

 忠さんはかつて甲子園のマウンドに立ったピッチャーで、二人の兄とともに桐生の常見三兄弟と呼ばれていたそうです。その後明治大学を経て、プロ野球の東急フライヤーズ(いまの日ハム)に入団しました。しかし、肩を壊して退団、薬科大学に入って薬剤師になります。

 当時心のすき間を埋めるためにのめりこんだのが渓流釣りでした。渓流釣りを始めて何年か後、勤めていた病院で聞いたのが、できたばかりの銀山湖というダム湖に流れ込む渓流に無数のイワナがいるという話でした。そうして通い始めた銀山湖周辺の渓流には巨大なイワナが遡上していました。しかし、大イワナは竿釣りでは釣れないとされていて、渓流釣りの範疇ではないという意識でした。

 ちょうどそのころ忠さんはぶらりと行った日本橋三越で当時まだ珍しかったスプーンを見つけます。店員も「マスを釣るものらしい」くらいの知識だったのですが、忠さんは好奇心から3個のスプーンと、スピニングロッド、スピンキャスティングリールを購入します。

 翌1967年、銀山湖への釣行に、忠さんはそのルアータックルを持参します。そして、前夜「そんなブリキのオモチャでイワナが釣れるはずがない」と釣友に笑われたスプーンに、58cmのイワナがヒットします。これがすべてのスタートでした。

 釣り雑誌に発表した銀山湖の記事などを通じて開高健から釣りの案内の依頼が入り、それをきっかけに交流が始まります。そして、開高健がネーミングしたバイトをはじめとするスプーンを開発、セントラルフィッシングという会社を興します。

 おそらくバンタムのコマーシャルはこのころで、セントラルフィッシングのスプーンは一時期シマノの販売網で売られました。

 海外の釣りにも積極的で、アラスカやロシアへも釣行します。開高健の偵察として釣行したモンゴルでは、すでにタイメンを釣っています。海外の釣りを見た川上哲治氏(!)に頼まれて、同氏とロシアに釣行したこともあります。

 現在は魚野川のほとり新潟小出町在住で健在です。

 忠さんの書いた、『ルアー野郎の秘密釣法』、『忠さんのルアーフィッシング』および私の記憶によるとこんな感じになります。

 一冊の本にまとめたい人生ですね。タイトルは『忠さんのスプーン人生』でどうでしょう。開高健の旅に同行した料理人やカメラマンの本があるんですから、釣りの世界から1冊くらいあってもいいし、挫折した元野球人がスプーンひとつで身を立てて野球の神様と釣りに行くなんて、いい話じゃありませんか。

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