2011年2月26日敦賀新港のメバルです。26日は九頭竜川でベイトタックルのキャスティング練習をしていたのですが、それだけでは何なので、帰りに敦賀に寄りました。このメバルの前、よりによってシーバスが掛かってしまい、堤防の下に走られて切られてしまいました。一時期三重県や福井県にシーバスを狙って通ったものですが、結局かすったこともありません。なんで狙ってもおらんときに食いつくのでありませうか、あの魚は。 (2011/3/7)

 ロッドは新調したオリムピックのヌーヴォフィネッツア。中国製の安いのでもよかったのですが、やっぱこの時代に国内生産でがんばっている姿勢に敬意を表して、メイド・イン・ジャパンのこのモデルにしました。でも、すべての釣り具を日本製にするのはきついよなあ。

 この魚がけっこう気持ちよかったので、3月5日にも(九頭竜抜きで)また敦賀に行ってしまいました。昼間は暖かくなるという予報だったので年券買いがてら庄川も考えたのですが、何年か前「明け方は冷えるが昼は温度が急激に上昇する」という予報にそそのかされて庄川御母衣ダムに行ってひどい目に遭ったのを思い出して、敦賀にしたのでした。

 あの御母衣ダム釣行では、夜中に着いて車の中で寝袋をかぶって寝たのですが、寒くてぜんぜん寝られませんでした。結局そのまま夜が明けてしまい、車から出てタックルの準備を始めました。ところが、手袋から出た指が割り箸のようにかじかんでラインが結べません。ネオプレーンのウエーダーを履いていたもののブーツ部分から冷えてきて爪の先が千切れそうになってきました。

 これはあかんと車に戻り、7時か8時まで待ってからあらためて出ました。しかし、やはり一睡もできず寝ぼけていたのか、なぜか雪の山から凍ったアスファルトに飛び降りて、見事横倒しにこけました。このときあばらがグワンとたわむのが感じられ、ひびが入ったのかその後半年くらいくしゃみをするとわき腹が痛んだものです。

 そんなこんなで雪を掻き分けて湖岸に下りたところ、上には上がいるものですでに何人かがルアーを投げていました。でも、ガイドが凍って釣りになりません。日が上がったらとがんばったのですが、11時くらいになってもまだガイドが凍る有様でアタリもなく退散、湖から上がると先に上がっていたアングラーが、「今日の朝はマイナス14度だった」と聞かせてくれました。寒いはずです。

 スキー帰りの渋滞が始まる前にと12時くらいに帰ったのですが、そのときの路面の温度表示は4度でした。朝からは18度も上昇していたのですから、「昼は温度が急激に上昇」という予報は当たっていたのですが、いかんせんスタートが低すぎたというわけで・・・。

 そんなわけで、5日は敦賀にしたのでしたが、やっぱりボウズだったからおんなじことだったのか、敦賀ですらネオプレーングローブから出た指がかじかんだくらいだったから庄川など行っていたらもっと地獄だったのか・・・。

 2011年2月20日、26日と、新しく作ったベイトロッドの試し投げに九頭竜川まで行ってきました。私はあくまでロッドとリールの調子を見るために行ったのであって、魚を釣ろうなどとはゆめゆめ思っておりません。それなのに、なぜ1日あたり1500万円もの入漁証を購入してから川に入らねばならないのでありませうか。まったくもって理不尽な話であります。 (2011/2/28)

 昨年サクラマスを釣ったようなことをここに書いてしまいましたが、やはりあれは幻覚だったようです。サクラマスのように見えた写真は、川原にタックルを置いてシャッターを切ったとき偶然写った何かの霊だったのでありましょう。

 リールは、アンバサダーレコード40。アブ4000番台は昔のウルトラキャストになったばかりの4600Cとジャパンスペシャルの4601Cガンナーを持っていますが、どっちも買った当時(15年以上前)に1時間か2時間投げただけです。だから、はっきりとはいえませんが、レコード40はちょっと別物みたいです。

 4601Cガンナーは琵琶湖で大きいトップウォータープラグを投げていて、調子いいなあと思ったのもつかの間、ものの1時間か2時間で遠心ブレーキ(2点固定式)に水が入って効かなくなり、それっきり使ったことがありませんでした。

 そんなこともあって、レコード40は遠心ブレーキ(6点可変式)に最初からオイルをつけて水が入ってもブレーキ力が変わらないようにしたうえで、ブロックを6個すべてオンにしてから投げていきました。そして最終的に決まったセッティングはブロック2個でした。

 メカニカルブレーキは普段、ロッドを軽く振ったとき20〜30cmくらいルアーが落ちる程度にしていますが、フリーまで緩めてもけっこうだいじょうぶでした。このとき投げたのはスプーン中心で、4601Cガンナーのときとはルアーが違いますが、かなり特性が違うリールに仕上がっているみたいです。メインで投げたのは16〜18gのスプーンでしたが、8gくらいのスプーンや14gとはいえ回転しやすいDコンタクト85もけっこういけました。ロッドが硬いので10gを切ると投げにくくなりましたが、ロッドが軟らかければ7gくらいでもいけるのではという感触でした。

 これはレコードに採用されている、ワンウェイメカニカルブレーキによるものではないかと思います。この機構は、ウルトラキャストデザイン(軸と分離するスプール設計)のスプール内にワンウェイクラッチを入れて、メカニカルブレーキがキャスト時にだけ効くようにしたものです。メカニカルブレーキの締め付けはスプール軸だけに働く設計で、巻き取り時はワンウェイクラッチがオフになってスプールだけが回り、巻き取りが重くならないというわけです。

 しかし、ちょっと考えると、投げるときにはワンウェイクラッチがオンになってスプールとスプール軸が一体になるため、せっかくウルトラキャストデザインで軽くなったスプールの意味がなくなってしまうように思えます。ところがところが、そうではないみたいなのです。

 確かにルアーが飛び始めてスプールが加速していくときは、軸付きスプールと同じことになります。しかし、ラインリリースの一瞬後からは、ルアーの飛速は落ちていきます。この速度をスプールの回転が追い越すとバックラッシュが発生するため、遠心ブレーキとレベルワインダーの抵抗でスプール速度を落としていきます。遠心ブレーキとレベルワインダーの抵抗がスプールを減速させたとき、スプール軸がそれ以上の速度で回り続けようとしても、ワンウェイクラッチがオフになるため、スプール軸の慣性は無視できます。

 すなわち、スプールが加速する瞬間は軸付きスプール、それ以降は軸なしスプールというのが、レコード40のキャスト特性を生んでいるようなのです。

 加速するとき軸の重さが加わるのは飛距離に不利に思えますが、軽量スプールと遠心ブレーキの組み合わせは、(特に重めのメタルルアーでは)加速が鋭敏になりすぎてリリース直後にバックラッシュを起こしたり、遠心ブレーキが急激に効いてかえって飛距離を落とすことがあります。レコード40の場合、こうした特性をスプール軸の重さががうまく抑えているのではないかと思います。それでいて、飛行中は軸なしスプールですから、オーバーランは起こしにくい。

 もちろん、本来の目的である、メカニカルブレーキを締めても巻き取りに影響しない特性は、とてもいいものです。

 また、一見旧式のシンクロレベルワインダーですが、やはりこれは適度なブレーキとして働いているようで、一度うっかり遠心ブレーキブロックを全部オフで投げてしまいましたが、それほどひどいバックラッシュは起こしませんでしたし、メカニカルブレーキの締め具合によっては、投げられなくはありませんでした。

 バンタム1000SGや初代アンタレス(ただしこちらはごく短時間)といっしょに使いましたが、こと重めのスプーンに関してはレコードのほうがむしろ安定して投げられ、飛距離もそん色ないものでした。

 かのように、まことにけっこうなリールなのでありますが、まったくもって分からんのは310gもの自重です。ノーマル4600Cに対して50gも重くなっています。大きな理由は、フレームのプレート部がノーマルモデルのアルミから、クロームメッキされた真鍮に変わっていることです(シマノでいうところの“固定板”も違うっぽい)。海水使用時のサビとかハードな釣りでのカシメ強度を考えたのかもしれませんが、じゃあノーマルモデルの耐久性はアブとして不十分だとみなしているのでしょうか? 百歩譲って、高級品だから自社基準以上の強度・耐久性をもたせたとしても、そのための重量増加が50gとは大きすぎませんか。少なくとも40番に関してはバスなど淡水の使用を考えて軽量なアルミフレームにするべきではなかったでしょうか。

 80年代、すでにアブ・ガルシアの企画開発部門には釣りを分かっている人がいなかったと聞いたことがあります。90年代の迷作スベロンとか今回のレコードとか、重量について無頓着なリールが出てくるところを見ても、その通りかもしれないなあと思ってしまいます。

 レコード40は、軽量化に気を配ったうえで、足のオフセットを大きくしてパーミング性を良くしたら、現代の普通のバスフィッシングにも使えるリールになったはずです。ノーマル4600Cの260gくらいならカルカッタコンクエストの200番やリョウガ同等です。シンクロレベルワインダーも、けっして捨てたものではありません。この設計で30番があったらどうだろうとも考えてしまいます。どうせスウェーデン工場で作るのはこの手しかないのだし、もう少し考えて作ったらいいのになあと思います。

 何年か前、ピュア・フィッシング本体はスウェーデン工場(黒字のはずがないでしょう)をつぶしたがっていると聞いたことがあります。こんなことをやっていたら本当にそうなりますよ(もうなってるかも・・・)。

(2011/3/9こっそり追記) とまあ、レコードのキャスティング性能をすばらしいと言っておりますが、ノーマル4600/4601を最後に使ったのは15年も前の話で、投げたルアーも違います。で、後日根尾川でアマゴ狙いのついでに4600C(89年ころのもの)を投げてみました。2点式ブレーキのブロックは白(大)とし、最初からオイルを付けました。15年前4601ガンナーの黒いブロック(中)に水が回ったらバックラッシュして使えなかったからです。

 そいでもって、投げた感じは思ったよりいけてました。メカニカルブレーキほぼフリーで18gのスプーンはもとより6gでもなんとか投げられました。場所やロッド(66のミディアム・・・アマゴ狙いのついでだし86はトランクに入らないし)が違うのでなんともいえないところですが、びっくりするほどの差ではないのかも・・・。

 ロッドも揃えてもっとちゃんと比較しろ? でもさあ、リールの調子を見るためだけに行ってるんじゃないし・・・。なに? どうせ九頭竜川はキャスト練習だろって?

 2011年2月16日、サクラマスです。16日は九頭竜川の全面解禁日ですからね! なに? バンタム100との縮尺がおかしい? グリップのところに見えているルアーはハスルアーじゃないかって? ネットがサクラマス用に見えない? どこで釣ったって? く、く、く・・・朽木渓流魚センターです。 (2011/2/21)

 九頭竜は雪で埋まっていて車を停めるところもないといううわさだったので行かなかったのですが、20日に見てきたら、雪はあるもののもうぜんぜん問題ありませんでした。

 思えば私の生涯最初(で最後?)のサクラマスは、昨年のちょうど今ごろ、わしもETC1000円高速の恩恵にあずかってみるかと、ぶらぶらっと行って釣ってしまったのでした。

 1000円高速といえば、4月からの新制度で“エコカー”は平日も含めて1000円乗り放題になる予定です。ところが、最近知ったのですが、“エコカー”とは、リッター20キロ以上走る車でかつ軽とエコカー免税対象車なのだとか。減税でなく免税ということは、ハイブリッドカーや電気自動車のみらしいです。と、いうことは、私が昨年買ったリッター21キロの日産の某コンパクトカーは、対象にならないということになってしまいます。

 そんなもんおかしいがや。軽やってわしの車より燃費の悪いやつはいっくらでもあるし、レアメタルをようけ使ったハイブリッドみたいなもんトータルで見たら環境にいいかどうかわからへんぞ。車重が重いで道路はよけい減るがや。なんでそんなもんが優遇されるんや。

 とまあこんなふうに、個人レベルでは高速料金だろうがなんだろうが安けりゃ安いほど助かりますけど、本当はそれではあかんでしょう。どうせ国費でもって人の流れを促して地方の経済をよくしようとするなら、電車やバスなど公共交通機関を安くするほうが環境や資源のことを考えてもよかったのではないでしょうか。車で目的地に行っちゃうよりも人と人とのつながりもできやすいかもしれません。やっぱり、高速無料化とかそれに近づけるためのさらなる値下げとかは、ポピュリズム的愚策だったのではないかと思います。

 高速道路じゃなくて、電車やバス、飛行機が大幅値下げされたらどうなったでしょう。500円でJRも私鉄も乗り放題とか、普段ほとんど誰も乗らない地方のバスはいっそ無料とか、国内線の飛行機は5000円で乗り放題とか。新幹線を含む特急料金は休日1000円・・・これはサラリーマンの出張が日曜日に変えさせられそうだから、かえってひんしゅくか。そいでもって、駅や空港からの移動には近距離の移動に有利な電気自動車のレンタカーを公費で揃えてやれば、新世代自動車の普及にも一役。

 釣りは朝一に釣り場にいたいからあまり活用できなさそうですが、遠くの釣りで高速代との差額を考えて泊まってもいいかということになれば、車で来て帰っちゃう現状よりも地方にお金が落ちてずっといいはずです。

 そういうことになったら、釣り具はどうなるでしょう。とりあえず、パックロッドのラインナップが一気に充実するでしょうね。荷物の中でウエイダーが一番かさばるから、履いたまま電車に乗れるデザインの・・・そりゃムリか。

 2011年2月11日、根尾川のアマゴです。ちょっとシラメ系です。また根尾川かというところですが、この日は前日から大雪が降るぞとマスコミが大騒ぎしていたため、釣行するつもりはなかったのです。ところが、朝起きたら何も降ってません。で、拍子抜けしつつ一番近い(厳密にいうと粕川が一番近いけどルアー向きじゃない)根尾川に行ったのでした。確かにこの地方でも尾鷲とか普段雪が降らないところで降った特異な気象状況ではありましたが、あれは東京で降るから大騒ぎしたんでしょ。首都圏で大雨や大雪が降ると全国ニュースになりますが、ああいうニュースって東京ローカルでやればええんとちがうんかと思うのは私だけでしょうか? (2011/2/14)

 ロッドは、10年以上前に思いつきでガイドを替えてヘンな風にして以来竿袋に封印してあったものを昨年復元したスーパーパルサーです。ちょっと気になったのは、当時の仕様に戻したハードロイガイドでした。ラインは傷むのか?ということですが、わかりません。写真のラインはSiCで1釣行、ハードロイで2釣行していますが、SiCでも3釣行したらこんなくらいじゃないかなあという状態です。

 昔々シマノにいたころ、海外向けのルアーロッドに富士工業製でない海外ガイドを使っていたのですが、ラインが切れるというクレーム報告があってロッド部門の人が実験したことがありました。オモリを付けたラインをガイドリングに通し、ながーいエアシリンダーを使って、しこしこ往復させるというものでした。比較したのは、青白いグレーのセラミックリングに黒いショックリングの付いた海外製のガイドと富士のハードロイガイドでした。この実験で、海外製のガイドは見ているまにラインが切れてオモリが落下したものの、ハードロイのほうはいつまでもラインが切れなかったそうです。

 アルミナ(ハードロイはその一種で商品名)よりもSiCのほうが熱伝導率がいいためラインにはより優しいとされていますが、ちゃんとした製品でかつリングが熱を帯びるほどでない釣種なら、アルミナリングでも十分なのではないかと思います。アメリカのロッドはほとんどこういったアルミナ系ガイドですが、いかにアメリカ人が大雑把だったとしても、少なくとも数回の釣行で明らかにラインの傷みが分かるほどの差があったら受け入れられないはずですし、吸水で傷むナイロンはその前に寿命がきてしまうのではないかと思います。

 まあ、そういいつつ、私自身アルミナ系のガイドが付いたロッドをさんざんSiCに巻き替えてきましたし、表面のツヤだけでもSiCのほうが安心できるのは分かります。これは釣り人の心理でしょう。それに、空気中の砂塵にはアルミナが多く含まれていますから、同じアルミナ(ガイド用にちゃんと作ったものと空気中を漂っているものを同列に語ってはいけないかもしれないが)よりも、さらに硬いSiCのほうが長い目で見て安心だともいえます。

 スピニングのラインローラーにベアリングが入っていないとダメというのも、SiCガイドでないと嫌だというのに通じるものがありそうです。でもこちらに関しては、(よけいなお世話ながら)なんだかなあと思います。ダイワのカルディアキックスなどは、やはり要望が多かったのか、ベアリングに置き換える純正キットまであったみたいです。

 ベアリングベアリングという人は代わりに入れてある樹脂ブッシュのことを知らないからこういうのでしょう。これまた昔々の話ですが、アメリカのボートフィッシングでラインが切れるというクレーム報告がありました。当時のスピニングリールは新素材ブームでセラミックのラインローラーを採用していました。ところが、肝心の支持部が金属の軸で直受けだったため、ドラグを作動させて魚を走らせるとラインローラーが高熱を発生しナイロンラインが一発で切れてしまったのです。そこで、ラインローラーを真鍮にして支持部にジュラコン(ポリアセタールの商品名)のブッシュを入れたところそうしたトラブルはピタッとなくなりました。

 修理品を見たりマシンテストしたりした経験でも、ジュラコンのブッシュ類が磨耗したケースを見たことがありません。磯上物用レバーブレーキスピニングのブレーキシューにも使っていて、「減らないんですか?」と設計している人に聞いたことがありますが、「長年使っても0.1mmも減らない」ということでした。80年代のミッチェルインスプールのラインローラーにも入っていて、小さなローラーだから回転数はものすごいはずだし接触面積が小さいからかなり過酷なはずなのに、磨耗はほとんど生じませんでした。

 もっとも、ラインローラーにベアリングを入れろという人は、効果云々よりもベアリングが入っていること自体がうれしいのだと思いますが、私などはジュラコンのすごさ(?)を知っているので、こういう樹脂が入っているというほうがなんだかうれしいです(これもヘンな心理かも・・・)。

 ガイドにこじつけつつこんなことを書きたくなったのは、アメリカの釣り具サイトでタックルツアーってのがあるでしょ、あそこで最近ルビアスベース(ということは言われたくないのか)のメガバススピニングを取り上げていて、ラインローラーとドラグにベアリングを入れていないのを(ラインローラーは1個くらい入っていると思うからサイトを作っている人の間違いかも)マイナスポイントとしていたからです。まあ、800ドル(!!!!!)もするリールならそのくらい入れたれよという気もしないでもありませんが、アメリカ人よおまえもか(あのサイトをやってるのはアジア系みたいだが)と思いました。

 (リールのことを書き出すときりがないけど、ルビアスをあの値段にするなら、ベール周りとサイドカバーのビス穴に金属のメネジをインサートしてタップビスをやめて、ベールアーム支持部に金属ブッシュを入れて、ベールキックのアタリをジュラコンにして・・・って、金型いじらないといけないからダメか。それ以前に、私が喜ぶようなリールを作った会社は大森やミッチェルのようになってしまうから間違ってもそんなことをしてはいけないのだが)

 で、タックルツアーのサイトがアメリカ市場の感覚とイコールかどうかは分かりませんが、あのサイトですらロッドのガイドがSiCでないとダメとはいってません(英語だから自信がないけどたぶんいままで言ってないと思う)。だから、やっぱりロッドのガイドはアルミナ系で十分なのかもしれませんね。

 2011年2月5日、根尾川のアマゴです。ライズがあったところにハスルアーをヘロヘロと流したらガツンときました。セルテートが写っていますが、この日はロッドもダイワを持ち出したので合わせたのでありました。と言いつつグラスウェイ53が写っているのは途中で替えてしまったからです。最初に使用したロッドは、前の前のここでちらと書いた、10年くらい前にガイドを巻き替えて変な感じにしてしまって、ずーっと竿袋に封印していたハートランドZ591ULSS-Sでした。バットガイドにラインがよく絡んだのでYSG20から25にサイズアップし、それに合わせて他のガイドも大きくしたのでありました。10年ぶりに引っ張り出して投げてみたところ、カーボンソリッドブランクの返りのスローさがガイド大型化でさらに強調され、とても投げにくいロッドになってしまっていました。改造失敗を10年目にして知ったのでありました。とほ。 (2011/2/7)

 だから、思いつきでロッドをいじくるもんじゃないのですが、最近今度は、テーパーアンドシェイプのシートをアップロックにしたいなという衝動がムクムクと起きてきてしまいました。やっぱ、親指の置き場にネジがきてはいかんです。でも、ロッドの印象は8割以上グリップ周りなので、ここを変えてしまうと別のロッドになってしまうし・・・。

 前日2月4日は、大阪フィッシングショーでした。スピニングリールは、ハイスピードモデルが目立ちました。シマノは11ツインパワーや11バイオマスター、昨年出た10アルテグラアドバンスに最初からハイスピードをラインナップしています。ダイワ・セルテートもハイギアカスタムが追加されました。アブ・ガルシアのレボ・ネオスは昨年の登場時からハイスピードがあります。

 シマノは、カタログやブースを見ると、ハイスピードを今年の売りにしているみたいです。11ツインパワーや11バイオのハイスピードでほっとした(?)のは、ステラやカーディフのようにハイスピードのクランクを金色にしていなかったこと・・・あれちょっとやらしいもんね。ハンドルのみならず、ツインパワー、バイオマスターともにシルバー系のカラーになっています。リールはロッドとの組み合わせがあるから、この方がいいのでしょう。エルフも青からシルバーに変わりましたし。変わった色が欲しい人は、エクスセンスとかセフィアとかソアレとかカーディフとかコンプレックスをどうぞということではないでしょうか。

 セルテートハイギアカスタムは、2004CHといってシマノのC2000Sみたいのが出ました。ノーマル2004を買ってしまった者としては最初から出してよというところですが、渓流ぴったりモデルでしょう。セルテートといえば、このサイトで以前「(ノーマル)セルテートはカタログやウェブに“渓流用”と書いたモデルがない。(ノーマルセルテートの)2004は渓流にあまり向かないのであえて書かなかったとしたら良心的だ」などとエラソーなことを書いておいたら、いつも雑誌のカタログページ用の製品画像をもらう担当の人が実はセルテートの企画者で「そうですあれは私の良心です」というメールをもらいました。誰が見とるかわからんからヘタなことは書けんなあ・・・。

 で、セルテート2004CHとツインパワーC2000HGSが対抗品みたいなことになるのですが、空で回した感じでは、セルテートのほうが安定した回転に感じました。というのは、ツインパワーのほうはウォームシャフト(クロスギア)方式のため、巻き取りギア比を上げるとスプール往復まで速くなってしまうからです。もしかすると、私の持っているストラディックCI4 1000Fのように、三段腹巻き(わたくしが学生時代に発見した、スプール1往復間のローター回転数が偶然整数になることで、糸巻き面に3つくらいの山ができてしまう現象)を避けるためにウォームシャフトの溝の巻き数も減らしているのかもしれません。ただ、ツインパワーのHGはベースモデルのスプール往復が遅いので、極端に速いというほどではありません。気になる人は店頭で比べてちょ。

 ツインパワーとセルテートといえば、前もここに書いたように、私のリールはなぜか両方ともベールアーム(シマノでいうアームカム、ダイワでいうアームレバー)の支持部が磨耗してガバガバになってしまいました。運悪く成型状態の悪いものを引いてしまうとなるのだと思いますが、私は些細な回転よりこっちのほうが気になります。両方とも磨耗したベールアームを両社の人に渡してきました。

 ベールアーム支持部については、アブ・ガルシアのレボ・ネオスなどは金属のブッシュを入れています。ベールはスピニングの重要部分ですから、これが本当でしょう。で、そのピュア・フィッシング・ジャパンからは、フルーガーの新しいスピニングが出ていました。前のモデルは足に対して足首が後ろにずれているすっとこどっこいでしたが、この点を改良し、さらにはローターブレーキまで付いていました。旧型が足首を後ろにずらしていたのは薬指と小指の間に脚を挟む人に合わせたつもりだったのかもしれませんが、そういう持ち方をする人は指一本分前を握ることで持ち重りを減らそうとしているわけで、リールの側が足首を後ろにずらしちゃったら、そういう持ち方をする人の意図すら殺してしまうわけです。今回改良されたのは、シェイクスピア/フルーガーのリール担当よりもピュア・フィッシングのリール担当のほうがリールのことを知っていたということでしょう。個人の釣り人が自己流の使い方をするのは自由ですが、メーカーの開発担当が基本と違う使い方をしていると、こういうものを作ってしまうということではないでしょうか。

 (カタログを見て後で知ったのですが・・・)ベイトでは、シマノが8gくらいの超軽量別売スプールを出したりダイワPX68に超浅溝スプール&遠心モデルが出たりしていました。確かアブかフルーガーにも出ていたような(見分けが付かないからよくわからん)。バスの世界ではベイトフィネスというのが流行っていたようですが、とうとう大手メーカーも専用品を出してきました。

 今回一番インパクトがあったのは、富士工業のスケルトンシートです。なんじゃこりゃあと思って見ているとき、ふと横を見たら某有名トラウトルアーマンの人が同じように見本を見ていました。そして一言、「わからん・・・」とつぶやきました。あれは、間違いなく好き嫌いが分かれるでしょうね。実際使ってみないと分からないとはいえ、スピニングの場合、キャストのときの親指はどーするんだとか、なかなか物議をかもしそうです。一方のベイトは少なくともキャストに関しては従来のシートと同じはずですし、巻くときはリールを握っているようなものなので、スピニングほど違和感はないかもしれません(昔のシマノ・スコーピオンバスロッドにも前後分離形状のものがありました)。いずれにせよ、面白いのは確かで、丸いベイトを丸くなくしてしまったBMやバンタムとか、スカートをカットしたエアロキャストとか、グリップレスデザインのファイティングロッド(そういえばちょっと似ている)など、かつてのシマノ製品を連想してしまいました。私はこういうの好きです。

 そういえば、業界は釣りガールというのを流行らせようとしているようで、ティムコブースにはかわいい服が並べてありました。でも、そっちの展示よりデュエルやジャッカル(ラッキークラフトだったっけ?)の露出度の高い衣装を着たおねえさんのほうに目がいってしまったということは、口が裂けても言えません。

 昨年末に、某誌のほうに“10年間書いてきたものをまとめて本にできないか”という話をしたら、まとめて送ってとのことだったので、昔の掲載誌やらデータやらを引っ張り出しました。あらためて読むとひどいのもあって、穴掘って入りたくなりました。半面、怖いものなしで書いている分いまより面白いものも(今は怖いものだらけです)。その話がどうなるかは分かりませんが、わたくしとしてひとつ悔やまれるのは、本を出そうと考える前に、仮面ライダーに出演しておかなかったことです。 (2011/1/29)

 で、「KAGEROU」の感想・・・と言いたいところですが、まだ読んでません。しかしまあ、考えようによっては、彼もかわいそうですよね。純粋に小説を書きたいと思って応募したとしても、いまはネット検索をかければ一発で正体がばれますからね。そして、出版社側が一連の“ストーリー”を描いてしまったとしたら・・・。一番居心地が悪くって、プレッシャーがかかっているはずの本人こそ被害者でしょう。

 で、この1年くらいで読んだ本です。頭がぼけてきたのか根気がなくなったのか、途中で投げ出すことが多くなって、この倍くらいの本を読みかけで放ってあったり、まあいいやって真ん中を飛ばして最後だけ読んでしまったりしています。だいじょうぶかな、わし。

 いきなりミーハーにも「1Q84 BOOK3」。面白いですよ。展開が速くてどんどん読めます。でも、それだけといいますか・・・。

 対照的なのが「小暮写眞館」。最初ちょっと読みにくいというか、退屈です。登場人物の日常やら心の動きやらがしっかり書き込まれているからなのでしょうけれど、話の展開が遅い感じです。しかし、読み進めるうちに(こっちの)エンジンがかかってきて、最後はドドッと読みきってしまいました。1Q84と違うのは、登場人物のその後に思いをはせてしまうこと。垣本順子なんかホント気になっちゃいますからね。1Q84のほうは、そういうところがまったくありません。小暮写眞館も売れたはずですが、数的には1Q84のほうがおそらくずっと多いわけで、こっちも読んでみてよというところです。

 「悪の経典」は先日直木賞の候補になったものの落ちてしまいました。まあ、担任教師がクラスの生徒を皆殺しにする話では、ちょっとまずかったのでしょう。しかし、間違いなく面白い。読み出すと先が気になってどんどん読んでしまいます。伏線がしっかり後ろとつながっています。さすがです。著者は京大出だそうで、そのくらいの頭脳がないとこういうものは書けんのであらうかと思ってしまいます(10年以上前ですが、何かのホラー大賞で大賞か佳作かになった作品を読んで、登場人物のキャラクターに必然性がなかったり、SFとはいえ現実味がなさすぎたりで、いまいちやなあと思ったら、著者が私と同じ学校の出だったということがありました。これがうちの学校の限界かと思ったものです・・・)。悪の経典を読み終わって、勢いが止められず、何年か前に読んだ「新世界より」をまた引っ張り出して、最初から最後まで読んでしまいました。再読してもやっぱり面白い。恐れ入りました。

 読みやすい読みにくいといえば、奥田英朗の小説は、どれもすらすら読めてしまいます。それでいて薄っぺらな感じがしません。最新作「純平、考え直せ」もそうです。けっして私の好きなジャンルの話ではありませんが、どんどん読まされます。作中、主人公について盛り上がるネットの掲示板の書き込みが挿入されていて、これがなかなか面白い。書き込みの形を借りて、けっこうやばいことが書いてあります。しかし、その部分のネット右翼と左翼、面白半分の書き込みとまじめな書き込みのバランスが上手く取ってあって、読者に考える余地があります。こういうところで作者が自分の主張を出してしまうとしらけるものです(某ベストセラー作家の「靖国からの帰還」などは、作者の主張ばりばりで、はいはいそうですかという感じでした)。メインのストーリーも主人公を突き放すわけでもなく、ヒーローにするわけでもなく、うまい。

 「怪物狩り」はただただすごいとしかいいようがありません。昔の開高健の釣り紀行と比べて、自分のお金でやっている分エライという見方もありそうです。そういう見方もできますが、逆に考えると、かつての開高探検隊のようなことをメディアがお金を出して企画することは、もうないのだろうなあとも思います。メディアの力が落ちているわけで、さびしい感じもしなくはありません。

 「底抜けブラックバス大騒動」は、閉店する某バスタックルショップで7割引で買ってきました。著者はエコの流れに異を唱えている池田氏です。「悪者を決めて(中略)みんなで叩くというのが流行っているわけだから。バサーはそういう非道な人たちの娯楽の標的にされているわけね」とは過激ですけど、まったく当たっていないとはいえません。ちょっとまえ私がここで書いたことに近いかも。ただ、これを読んで、「その通り!」と思っちゃうのもなんだかなというところ。いまの日本人はなんでもどちらかに決めないと気がすまない善悪二元論的思考が強まっている気がしますが、それはどうかと思います。

 「月夜にランタン」「ふたたび、時事ネタ」は久しぶりの齋藤ねえさん。2冊通して読んで久しぶりにリベラルなものの見方に触れた感じ。なんだか懐かしい。20年くらい前は、新聞もテレビもこのくらいのスタンスだったんですけどね。最近は特にテレビの右傾化がひどい感じがします。いままではアジアの先進国として優越感に浸っていたのに、それが怪しくなってきて耳ざわりのいい右寄りの発言が受けるようになったのでしょう。そして、そうした発言をする人を出すと数字が上がるのでしょう。太平洋戦争の前も、日本のメディアは大衆に迎合してナショナリズムをあおったわけですが、ふたたびおなじことをやっているように思えます。当時も国会では二大政党が足の引っ張り合いをやっていたはず。歴史は繰り返すのでしょうか。話は変わりますが、齋藤ねえさんは1Q84について、一番悪い奴は主人公の青豆だと断じています。たしかに、1Q84には“悪”としてカルト宗教団体などが出てきますが、主人公青豆は老女に命じられるまま殺人を繰り返していたわけで、言われてみれば、そうですわ。

 「権力に操られる検察」は、郵便不正事件でクローズアップされた検察のストーリーありきの捜査を告発したもの。巻末ではホリエモンも登場します。でもホントのところ私はホリエモンと村上ファンドはあれでええんとちゃうのと思っています。私のような人がいるから、検察が暴走するんでしょうけど・・・。検察も大衆迎合なんでしょう。昔テレビで威張っていたころのサッチーを脱税で捕まえたこともありましたもん。小沢一郎もいかにも(顔が)悪そうだし。村木事件は国民の官僚たたきに便乗したものと考えると、あの事件の異様さ醜さは、日本の大衆の姿といえるかもしれません。

 「塩の街」は「阪急電車」が面白かったから読んでみました。SFです。でも、いくら若い人でも、自衛隊員がああいう話し方はせんやろ・・・という私は古いのか、そういう小説なのか。

 「向日葵の咲かない夏」はこないだ直木賞を取った作家の少し前の作品。主人公が子供だし、非現実的な設定で始まるので、子供向けの推理小説かなと思って読み始めました。ところが、なにやらどんどん怖い話になっていきます。で、最後には、子供向けの設定と思っていた部分まで、うへえそういうことかと思わされます。

 「カランコロン漂泊記」「ねぼけ人生」は水木しげるのエッセイ集。「ゲゲゲの女房」のブームで読んだのかって? ちがいますよお。私はそんなミーハーではありません(ドラマは全部見たけど)。両方とも10年くらい前に買ったもので、最近読み返しました。ドラマが当たるのは当然でしょう。元ネタが面白いんだもん。集金が来ると家の中で息を潜めた話とか、腐って黒くなったバナナを食べた話とか、質札で税務職員を追い返した話とか、全部書いてありますもん。そういえば、私が子供のころも、バナナは黒くなったほうが甘くておいしいとかいって食べたものです。ドラマで向井理と松下奈緒が食べていたバナナは、皮こそ黒かったけど、中身はきれいなものでしたね。「カランコロン―」のほうは、某右翼漫画について書いた部分や戦争体験の部分だけでも貴重だと思います。

 「豆腐小僧双六道中ふりだし」は、お盆に載せた豆腐を持って立っているだけで人間を驚かせることも怖がらせることもできないという妖怪「豆腐小僧」が旅をする話。やっぱり妖怪に関するうんちくが長い長い。三歩歩くと忘れる鳥頭(豆腐小僧はそういう設定)の私は、妖怪についてのうんちくを読んでいるうちに、今どんな場面だったのかを忘れてしまいます。

 京極夏彦は、「姑獲鳥の夏」でデビューしたとき、ちょっとビジュアル系みたいな出方でした。当時、それを見た宮部みゆき女史がキャーキャー言ったと何かで読みました。「わしも小説を書いたら宮部さんにキャーキャーいってもらえるのかのお」と思ったものです。

 「リール小僧東海道中なみつぎ」というお話はいかがでしょう。豆腐小僧は豆腐を持って立っているだけの妖怪でありますが、リール小僧はリールを持ってハンドルをくるくる回しているだけの妖怪でございます。豆腐小僧は豆腐を持っているからこそ豆腐小僧なのでありまして、豆腐を手放したら豆腐小僧でなくなって消滅してしまうと思っております。ですからけっして豆腐の載った盆を放そうとはいたしません。同じように、リール小僧もリールを回すのをやめると消えてしまうと思っておるのですな。ですから、四六時中ハンドルをくるくるくるくる回しているのでございます。

 「豆腐小僧―」には鳴屋(やなり)という妖怪が出てまいります。家を鳴らせる妖怪ですな。「リール小僧―」には鳴歯車(ぎやなり)という妖怪が出てまいります。鳴歯車は実に恐ろしい妖怪でございます。こやつに取り付かれた人間は、どんな些細なギアゴロも気になって仕方がなくなってしまうのでございます。そして、釣具店の店頭在庫をみんな調べてみたり、釣具店にクレームをつけたり、リールが異常なしで返ってきた腹いせにネットの投稿サイトにメーカーの悪口を書き込んだりしてしまうのですな。本当に恐ろしいことであります。

 豆腐小僧は袖引き小僧という妖怪と旅をするのでございますが、リール小僧はベール小僧という妖怪と旅をいたします。類は友を呼ぶと申しますか、ベール小僧もリールを持っております。しかしこやつは、ただハンドルを回すのではございません。ベールを開いてからハンドルを回すのですな。そしてカシャーンとベールが返りますと、うれしそうに微笑むのですな。カシャーンカシャーンと耳障りな奴でありますが、こやつもベールを返すのをやめると消えてしまうと思っておりますもので、やめられないのでございますな。豆腐小僧は自らの存在理由を求めて旅立つのでありますが、リール小僧にたいした旅の理由はありません。まあ、これは作者が適当な理由を思いつかなかっただけのことであります。

 ところが、旅立ち早々大変なことが起きてしまいます。

 カチ。

 「あわわわわ」

 「どうしたのですかベール小僧さん」

 「大変だ、ベールが返らなくなっちまっただよ。リリリ、リールを替えてくれねえだか」

 「だ、だめでございますよお。ハンドルから手を放したら、私は消えてしまうかもしれないのですよお。ベールなんて手で返せばいいじゃないですかあ」

 「なにを言ってるだべ、そんなことはできねえだ。それに、リール小僧さんはリール小僧さんであってリール回し小僧さんではないべ。だから、ハンドルを止めたぐれえでは消えねえべ」

 「そそそ、そんなことを言ったって、消えたらどうするのでございますかあ」

 「せえので替えればだいじょうぶだべ。ほら」

 そう言ってベール小僧、強引にリールを取り替えるのですな。

 「わわわ、なにをするんですかあ」

 リール小僧、一瞬リールを落としそうになりますが、危ういところで受け止めて、またすぐハンドルを回し始めます。ベール小僧もベールを開いて返すのを再開いたします。

 「ほら、だいじょうぶだったでねえか」

 「そうでございますねえ」

 安どの表情を浮かべつつリール小僧は先ほどまでベール小僧が手にしていたリールを見ます。そのボディーにはこう書いてあったのでありますな・・・ML1。

 つづく

 (続きません)

 昨年秋から年末にかけてガイドを巻きなおしたロッド2本です。奥はUFMウエダのスーパーパルサーFWS-60L/C、手前はザウルスフィリプソン・スワンプフォックスSS70Mです。ガイドの巻き替えやグリップ交換などロッドの改造は、やりだすと止まらず、ついつい理由をつけてはやってしまいます。この2本はその犠牲者で、ガイドが余るなどして思いつきで改造し、見るも無残な姿になって放ってあったロッドたちです。そのままでは不憫なので、スーパーパルサーは15年ぶり、スワンプフォックスは10年ぶりに巻きなおしました。 (2011/1/19)

 話せば長いことながら、中学高校のころ使っていたシマノ・オリーブULというロッドがありました。昔のワイヤーガイドなので、1年も使ったら糸溝ができてしまい、大学時代にプロショップ近藤(なつかし)で見つけたゴールドフレームのSiCガイドセットに巻き替えました。ところが、2本足のワイヤーガイドをシングルフットのSiCガイドにしたため、調子がデロンデロンになり、使えなくなってしまっていました。

 その後、90年代にうらしま堂渡辺つり具店で各色のフレームのガイドが手に入ることを知り(今はネットでなんでも分かるけど、昔は売っているところを探すだけでも一苦労だったのだよ)、ガイド巻き替えにどっぷりはました。このとき、オリーブULは、シルバー(C)フレームのSiCニューコンセプトガイドに改造、使えるロッドになりました。

 ここでやっとスーパーパルサーが登場します。このロッドを買ったのは80年代の終わりころ(シマノ在職中だ。つくづくよそのばかり使ってたなあ・・・)で、別に不満はなかったのですが、オリーブULからはがしたSiCガイドが余ったので、ガイドをハードロイ(富士のアルミナガイドのうちの青白いやつ)からSiCにグレードアップしちゃおうと思ったのでした。

 ところがこれが大失敗。まず、理由は分からないのですが、トップガイドを抜くときなぜかどれだけライターであぶっても抜けず、ガイドが抜けたときはあぶりすぎでブランクが白く焼けてしまっていました。そのままトップガイドを付けるとパイプの際で折れそうだったので、ブランクの先をパイプの長さの半分ほどカットしました。

 また、当時ガイドをきれいにはがす方法を知らなかったこともありますが、このロッドは塗装が弱く、ガイドをはがすとき、かなり塗装がはがれ、汚くなってしまいました。さらには、これでいいだろうと巻いた赤のスレッド(たぶんグデブロッド0335キャンディーアップルレッド)が、エポキシを塗っても赤のままで、ガイドのゴールドフレームとともに、実に下品な感じになってしまいました。で、結局、エポキシの硬化が終わると同時に竿袋に仕舞いこみ、そのまま10年以上の年月が経過してしまったのでありました。

 今回、復元するにあたり、どうせならシルバーフレームのSiCにしようかとも思いましたが、よくよく考えたらこのロッドを含めてハードロイなど富士のアルミナ系ガイドでラインが傷んだことなど記憶にないので、保管してあった元のガイドをそのまま付けました。スレッドはバーガンディー(グデブロッド206)でカラーを合わせました。今回もSiCトップ(GLST6)を抜くときもなかなか抜けずにまたブランクが少し焼けてしまいました(なぜだ!)が、もともとのハードロイトップ(LLT7)のほうがパイプが2mmくらい長かったのでそのまま接着し、安心のためスレッドをパイプ部まで巻き上げて仕上げました。今回、最初はガイドをはがした跡が見えるのが嫌で元と同じ位置にガイドを付けましたが、ラインを通して曲げると、やはりティップ部の間隔が不自然なので、先の2個だけやっぱりもう一度はがして位置出しをしました(このあたりは相変わらず無計画・・・)。

 全長はちょっと短くなっているわけですが、自業自得ですし、かえってしゃんとしたようにも感じます。グリップもきれいにして、バッチリ・・・ということにしておきましょう。

 スワンプフォックスも、何本かのロッドのガイドを替えて、たまってきたガイドを見ていたら、少し足せば7フィートのロッド1本分になることに気づき、これまた思いつきでSiC化をやってしまったものです。スレッドのカラーが分からず、グデブロッド0541(薄いほうの茶色。レガシーやランカーギア、初代マジカルトラウトに使ってあった色)にカラープリザーバーをかけたものの大ハズレ、そもそもガンスモークフレームSiCにしたために安物のロッドみたいになってしまい、やっぱりこれも、エポキシの硬化が終わると同時に、竿袋に仕舞いこんでしまいました。

 しかし、去年の春、トラウター78MLを折ってしまい、チタンフレームSiCガイドが一式あまったので、移植して復活させることにしました。

 スレッドのカラーをあらためて調べると、グデブロッドNCP(ノンカラープリザーバー:コーティングしても色が濃くならないタイプ)の0541か5274(ちょっと濃い茶色・チェストナット。ちなみにNCPじゃない5274は富士パイプシートのフェンウィック・クラシックグラスFSに使ってあった)みたいです。紆余曲折あって、結局2色取り寄せて(今回はマタギにちょっと浮気)、バット部に残っているオリジナル部と見比べましたが、なんとも微妙です。ブランクに巻いて水で湿らせたり、日光に当てたり、日陰で見たり、蛍光灯で見たりして、5274だろうと見当をつけ、巻きました。

 ところが、ちゃいますがな。エポキシを塗ったら(NCPでもやっぱりちょっと感じが変わる)、オリジナル部よりも濃くなってしまいました。0541だったのか、それとも別の会社のスレッドだったのか・・・。

 そういえば、こういうケースは以前もありました。ダイワ・ハートランドZのガイドサイズを変えたとき、これだろうと巻いた0468(パープル)が合わず、巻いてしまったガイド部に色を合わせるため、0468でバットのあの凝った飾り巻きを再現(!)、しかし、全体に下品な感じになって、やっぱり竿袋に封印して現在に至ります(あれももったいないなあ・・・でも、目も悪くなったし、もうあの巻きはできんなあ)。

 で、スワンプフォックスもどうしようかと思ったのですが、今回に関しては、NCP5274でもけっこういけてます。好き好きでしょうけれど、かえってメリハリがあるようにも見えるので、巻いてしまったガイドはそのままに、バット部の巻きを5274にして合わせました。結果は写真の通り。まあ、これは成功でしょう。バットガイドとこの部分に関しては、太い分エポキシコートに苦労させられましたが・・・。でも、7フィートミディアムのグラスロッドは、やっぱり重い。スーパーパルサーはともかく、こいつは使うのだろうか・・・。

 こういうガイド巻き替えのぐずぐずずぶずぶぐだぐだな話は山のようにあります。スピニング、ベイト、フライ合わせて50本くらいロッドがあるはずですが、半分近く何らかの手を加えていると思います。おかげでエポキシアレルギーだか化学物質過敏症だかになって、今では防毒マスクをしないとガイドのコーティングやグリップ交換ができなくなってしまいましたが、それでもマスクをしてまでやっているのですから、救いようがありません。エポキシで体調を崩す体になってブレーキがかかっていなかったら、いまごろどうなっていたことやら。

 釣りブームはとっくに終わったはずなのに、何年か前から普通の釣具店にロッドビルディング用品が並ぶようになりました。こんなマイナーな商品が売れるのは、ロッドビルディングやロッド改造をする人がたくさんいるんじゃなくて、人数は少しでも、はまってしまって一人で何本もロッドを作っている人がいるんじゃないかと思ってしまいます。あぶねえ趣味です。

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