2012年5月4日、揖斐川のサツキマス、実に6年ぶりです。ネットに収めて浅場に持っていき、カメラの用意をしていたらいきなり魚が跳ねて、ネットから跳び出しました。浅場をピピピーっと走る魚を必死で追いかけ、危ういところでネットですくいました。考えようによっては、ネットから飛び出した瞬間、川の魚に戻ったわけですから、それを再びネットで捕まえたということは、この魚は釣った魚ではなく網ですくった魚、ということになるのでせうか? (2012/5/7)

 リールはミッチェルクォーツ330。サクラマス、シロザケ、カラフトマス、シルバーサーモン、レッドサーモン、スチールヘッド、そしてこのサツキマスとえらいゲンのいいリールです。もっとも、76以上の硬めの竿に組むリールとなると、国産2500クラス、カーディナル44、ミッチェル300Cあたりになるのですが、国産と44はいまいち好きじゃないし、ミッチェルも300系はやはり逆回転ローターが使いにくい・・・となって、クォーツの出番が多くなるというのが、結果的にいい魚を釣っている一番の理由のような気もします。

 写真のロッドはフェンウィックのワールドクラス76MLで、同じ76でも軽くて穂先の軟らかいテーパーアンドシェイプの76MTなら408を組むことがありますが、ワールドクラスのMLは本来のMLという感じで硬いのでやはりこのクラスのリールになります。

 あらためて、よくこんなリールにミッチェルという会社はOKを出したもんだと思います。仮にインスプールを作ろうと決めたとしても、普通考えたら往年の300イメージを持ってくるでしょう。そうしないと売れませんもん。会社なんてものは金が儲からなかったらどうしようもないわけで、こんなデザイナーやエンジニアが暴走したようなものは、普通の会社は認めないと思います。

 たとえば、シマノスピニングのラインナップは単純明快で、ステラのコストダウンモデルみたいなのが上から下まで連なっています。たとえば次のアルテグラがどんなリールかなんて、予想する必要もないでしょう。でも、それが分かりやすくていいわけです。今の時代3年(今度は違うみたいですが)のMCで計画的に買い換える人には、むしろ親切です。そもそも、ステラのイメージが確固としてあるのですから、そこから外れたものなんて出せるはずがないのです(もっとも、意地悪なことをいってしまえば、ステラってもともとはトーナメントEXの対抗品だったのですけどね)。色だってそう。たまにデザイナーが張り切ってエルフを青くしたり、バイオマスターのハンドルとスプールを青っぽいガンメタにしたりしても、結局はオーソドックスなシルバーに戻ります。ロッドとの組み合わせを考えたら、そうするのがいちばん売り上げにいいのでしょう。ワンパターンだろうがなんだろうが、企業は金が儲からなけりゃどうにもならないのですから、これが正しいのです。

 そう考えてくると、やっぱりクォーツを作ったミッチェルは、すごいというかトンデモというか、つくづくミッチェルなのです。もっとも、そういう路線の果てに、いまじゃアメリカの糸屋に乗っ取られて事実上ブランドを残すだけになってしまったわけですが。

 フランスといえば、社会党候補が大統領選挙で勝ちました。当選したオランド氏は「金融界こそ敵だ」と発言したとかです。そんなことをいったって、しょせん世の中経済で動いてるわけで、フランス大丈夫かなあと思ってしまいます。

 一方で、経済の理論だけで動く社会ってなんなのよとも思います。人間が作ったはずの経済に人間が振り回されるっておかしいでしょう。だから経済を人間の側でコントロールしようというのが社会主義だったはずですが、その実験はとっくの昔に失敗してフランス社会党だっていまさら社会主義をやろうとしているわけではないはずです。でも、それにしたって、この期に及んで社会党に政権をゆだねようというフランスはやはりすごいなと思います。こういう国だからクォーツみたいなリールができたのかなというのは飛躍のしすぎでしょうか。

 2012年4月29日、庄川のイワナです。エビゾリになってしまって、ポーズがいまいち。やっぱりイワナは写真が難しいです。このショットの後にょろにょろとネットから出て、川へお帰りになりました。大きめのネットを持っていくと写真が絵にならず、小さめのネットを持っていくとこういうことがあるのですな。 (2012/4/30)

 ルアーはマスターアングラー(レイカー)5g。忠さんのスプーンというとバイトが代名詞のようになっていて、マスターアングラー、ダムサイド、ギンザンはあまり印象が強くありませんが、最近あらためて使ってみたら、川で使うのにいいみたいです。

 川のスプーンというと、最近ハスルアーをよく使っていて、よく釣れます。なぜあれが釣れるのかと考えてみると、ちょっと不安定な泳ぎとか平板による反射とかが考えられますが、ふと、スリムな形状だからではないかと考えました。

 魚がルアーをなんだと思って食うかには諸説ありますが、スプーンやプラグのサイズなら普通小魚でしょう。ならば、スプーンもスリムなほうが無理なく飛びつくのでは? と考えました。

 マスターアングラーはアップストリームキャストして、流れより速く引いてきます。昔ハスルアーが流行ったころの使い方です。このスプーンは肉が薄いため、こういう使い方でもよく動きます。それでいてハスルアー1/8オンスより重くて浮きにくいので使い分けできます。このイワナはスプーンが流れを横ぎり水面から飛び出した瞬間にガバッと跳び付きました。

 問題は、スプーン自体が大きいためフックが大きくなってしまい、魚へのダメージが気になることです。しかも、スプーンのフックをトリプルからシングルにすると泳ぎが不安定になるので、シングルはさらにサイズを上げる必要があります。マスターアングラー5gはもともと6番くらいのトリプルが付いていたスプーンなので、同等の抵抗を与えようとするならば相当大きなものが必要になります。

 しかし、そう大きなものは付けたくないので細地チヌ5号のスイミングフックにしています。流れの中それもアップで使うなら規則正しいウォブリングは期待できないので、それほど気にすることはないのかもしれませんが、このフックをつけた程度の安定性はほしいなあというところです。これでも特に目の下に抜けるとちょっとひどいことになります。それを避けるために下向きセットにしましたが、写真の魚は上あごにかかっていました。

 前はフックといっしょに4番くらいの太めのスプリットリングを通したりしましたが、いまいち美しくありません。それに、この方法はバイト4.8g、7.5gではあきらかに効きましたが、なんとなくマスターアングラーだと効果がいまいちな感じがします。それに、リングでバランスを取ってフックを小さくするとフッキング率が相当落ちるはず。この辺私もいやしい釣り人なのですな。フックを小さくしつつ赤針にしてフックを食うようにしたら・・・。今度やってみましょうか。

 2012年4月15日庄川のヤマメです。昨年は年券を買いながらも1シーズンなんとアタリひとつなしという悲惨な結果に終わりましたが、1シーズンぶりに魚を釣りました。年券は5000円なので、現時点でこの魚は10000円のヤマメということになります。うへ。 (2012/4/23)

 セルテート2004CHは2シーズン目。取説によると1シーズンに1回はメーカーに預けてとありますが、出してません。もっとも、釣行回数は二桁いったかいかないかですから、まだぜんぜん大丈夫でしょう。

 昔々の話ですが、普通に使っているだけでグリスが枯れてリールがいかれたとかギアや軸受けがひどく減ったという例は見たことがありませんでした。特に欧米人は油一滴注さないといわれていたものですが、海外でもそういった例は記憶にありません。ギアや軸受けがダメになった例は、日本なら海水浸入による塩噛み、海外(特にヨーロッパ)では砂や泥が入ったことによるものがほとんどでした。

 そう考えると、セルテートの場合異物侵入がないのですから、使いっぱなしでもひどい磨耗や劣化が起きるということはないでしょう。では、そこまで極端でなくても、グリスが黒く濁って劣化していってギアの減りが早くなるということは・・・正直いってわかりませんが、昔ベンチテストをたくさんやった感覚ではそういうことが起きるとはあまり思えません。

 昔は、オモリをぶら下げたまま連続回転させるテストがあって、当時のダイワスピニングはメインシャフトとピニオンギアの間にオイルがちょっとついているだけだったので、ここが乾いて焼きつくことはありましたが、そもそも焼きつき自体釣り場では起きないわけですし、いまも20年前と同じオイル・グリスを使っているなんてこともないでしょう。

 とはいえ、ずーっと使いっぱなしというのもあまり気持ちのいいものではありません。かといって店に持っていくのはめんどくさい。そもそも私の場合自分のリールを人にさわらせたくない・・・そーいう人がこーいうリールを買うのがまちがっとるのか?

 これは何かといいますと、某ロックフィッシュムックのカタログページ用にうちにある照明セットで撮った写真が使えるかどうか試し撮りしたものです。6月売りなんでなんとなくのんびりしていたら、これ以外にもいろいろ仕事が詰まってきたような気がしないでもありません。そんなペースで大丈夫か? 大丈夫だ、問題ない。 (2012/4/16)

 モデルになっているロッドは、流行のマイクロガイドシステムのロッド・・・ではなくて1998年に常見忠氏がプロデュースしたバイトキャスターBCB-80です。小さなガイドがたくさん付いているのは、ティップ部分がカーボンソリッドになっているからです。

 忠さんによると、「8gくらいの軽いスプーンを投げるベイトロッドがなかったので作ってみました」とのことで、軽い(といっても忠さん的に・・・)ルアーを投げるためにこうしたティップをつけたのでした。といっても、ソリッドティップとなったのは当時製造元だった天龍が軽いミノーを投げるソリッドティップのベイトロッドを作っていたためで、同じ設計を売り込んできたのでしょう。

 ただ、残念ながらソリッドティップのダンピングの悪さで、ピシッと投げるとバックラッシュしてしまいます。軟らかいから軽いルアーも飛ぶだろうと、アベイルスプール入りの2500Cと組んで3gくらいのルアーを投げたことがありますが、軽いルアーほどティップのブレではたかれたときの影響が大きいためゆったり投げてもバックラッシュを起こしやすく、やはり表示どおりの6〜13gのスプーンに対応するロッドです。それならチューブラーで充分だったでしょう。当時でも細くてしなやかなチューブラーティップは可能だったと思いますから、組んだ相手が・・・という気がしないでもありません。

 じゃあダメな竿かというと、本来竿というのは好みの分かれる道具なわけで、指定範囲のルアーを使ってゆったりと重みを乗っけて投げるなら、なんともいえない味があります。このころ忠さんはハーディーのバンブーロッドをサーモン用に使っていましたから、そういうゆったりしたアクションを狙ったのだと思うと納得できます。

 それにしても、適合ルアーの下限6g、上限13g、狙った8g共にバイトの重さというのがすごいというかなんというか・・・。ただ、私個人的には、「バイトキャスター」という名前を付けられるとバイトしか投げちゃいかんような気がしてしまうので、「マスターアングラー」のほうがよかったなと思います。

 と書くと、マスターアングラーだって、スプーンの名前じゃないのっていう人がいそうです。ふふ、違うんだな。マスターアングラーというのはもともとセントラルフィッシングのキャッチフレーズみたいにルアーのパッケージに使われていたほかに、昔はロッドの名前にもなっていたのです。いまマスター(アングラー)といっている細長いスプーンはもともとレイカーという名前だったのです。

 よく知られているように忠さんのスプーンは開高健のネーミングで、バイト、レイカー、ダムサイド、ギンザンをその場で付けてくれたそうです。ところが、レイカーだけは商標登録の関係で使うことができなくなって、やむを得ずマスターアングラーに変えたのだそうです。ちょうどシマノの販売網で売ったころだったので、おそらくシマノが商標を調べてそういうことになったのでしょうね。

 これは何かといいますと、スイミングフックのスレッドに瞬間接着剤を塗るためのブースです。黒くて四角いのは電動ファンで、竿の輸送に使うダンボールケースをパイプにして窓の外に出しています。瞬間接着剤の気化したものを吸うと体調がおかしくなるので廃物利用で作ってみました。 (2012/4/7)

 竿のガイドに使うエポキシもそうなのですが、どうも化学物質過敏症っぽいです。この前スイミングフックを作ったときは、いつもエポキシを扱うとき使っていた塗装用のマスクをしたのですが、なぜかその後数日間調子がおかしくなりました。

 塗装用のマスクをしたのになぜだろうと瞬間接着剤について調べてみたら、瞬間接着剤は空気中の水分と反応して固まるのだそうです。瞬間接着剤を付けすぎると白くなりますが、これは気化したものが空気中の水分と反応してできるのだそうです。

 で、塗装用のマスクをしていても調子が悪くなったのは、目から入ったからではないかと考えました。塗装用のマスクをして瞬間接着剤を塗ったとき、あの刺激臭はまったく感じられませんでした。でも、そのためにいつもなら刺激臭に顔を背けるところを、顔の近くで長く接着剤を使ってしまった気がします。このとき、気化した成分は水に反応するため、顔の中でいちばん水っぽい目の表面にたくさん吸着されたのでは、ということです。

 じゃあ今度はゴーグルも・・・というのはいかにも仰々しいので、写真のようなものを作ったのでした。

 面白くない(?)のは、瞬間接着剤については「医療用に使用されるほどだから無害である」と書いてあることです。で、しつこくググってみたら、気管支系に症状が出る人はいるみたいです。

 私の場合はIBSとの複合汚染なので、腹にくるのが困ったところです。という話をこの前IBSの薬をもらっているお医者さんにしてみたら、「化学物質過敏症なんてのは半分くらい精神的なもんだよ」といわれてしまいました。以前かかっていた胃腸科の医者はIBSを知らず、レントゲンなどの検査で異常がなかったからと「健康です」と言い切り、あげく「これで腹を壊すのはお前の飯の食い方がわるい」と言い放ちました。その胃腸科のヤブ医者に比べればいまIBSでかかっている心療内科の先生はずっといいお医者さんだと思いますけど、どうも医師というのは自分の専門外の病気を軽く見ちゃうみたいですね。

 そういえば、昔バスの雑誌で、某有名トップウォータープラグの原型を作ったルアービルダーの人は、塗装作業で胃が悪くなってルアー作りをやめたと読んだ記憶があります。気化したものを吸って胃腸に症状が出るのは一見関連性がないのでホンマかいなと思いがち(だから私はエポキシで腹を壊していたのを10年以上自覚できなかったしこの記事を読んだときもピンとこなかった)ですが、この方も同じケースではないでしょうか。ほんと、いま大丈夫な人も、極力この手のものは吸わないようにするのがいいです。

 いまさらながらボウズでした。なんかBMをいじっていたら無性に投げたくなって、行ってきてしまいました。で、例によってお賽銭1500円を払っただけ。3月4日はちょうど根尾川の成魚放流最終日だから、そっち行って釣っときゃあいいものを・・・。うろついている放流魚が沈んだらいつきを含めて釣れ始めるのは3月終わりからですし、昨日みたいに寒波が来たらまだまだダメだもん。ムダなことしたもんです。 (2012/4/2)

 このBMは遠心マグのツインコントロールシステムを持ついわゆるニューBMのほうです。旧BMことBB-2もいいのですが、ニューBMのほうがギアが強そう(ドライブギアでウォームシャフト用ギアを回すBBに対しウォームシャフト用ギア駆動ギアを独立させてドライブギアを大きくしているしスプールシャフトも2点受けから3点受けになっている)ですし、ツインコントロールを投げたくなったのですな。

 この日は寒さでオイルが硬化していたせいかいまいちの調子でしたが、ツインコントロールは遠心のキャストフィールにマグの微調整が加わってなかなかいいものです。で、S社在職中、なんでこれを他のリールに付けないのかと聞いてみたことがあります。すると、ありゃあダイワの特許なんだと教えられました。商品化してなくても、特許を取ってたんですね。

 こういうパターンはよくあって、代表的なのはマグブレーキと圧縮コイルベールスプリングでしょう。どちらも欧米のリールを作っていないメーカーが特許を押さえていて、長年世界中の釣り人はバックラッシュや突然のベールスプリング折れに悩まされ続けたわけです。

 と聞くと、記憶力のいい人は、でもダイワのマグサーボとかシマノのマグキャストのマグブレーキや、ウィスカートーナメントSSやチタノスツインパワーGTの圧縮コイルベールスプリングは、どれも広告やカタログにPAT.Pと書いてあったぞと思うことでしょう。

 あれはですな、枝葉の部分で特許にしてるんですね。たとえばダイワのマグサーボの場合、スプールにブレーキローターがついているのが特許だったのだそうです。シマノもマグキャスト、マグプラス、マグナムライトまではブレーキローターが付いていたのですが、後にこれが特許に引っかかるらしいってことになって、スピードマスターの途中でスプール側面に直接磁石を近づける方式に変えたものです(たまにうちのサイトの内容を誤読して自分のブログその他にトンチンカンなことを書いてる人がいるので書いときますが、この場合のブレーキローターは今のダイワの出たり入ったりするやつじゃなくて、単にスプールにくっついているブレーキローターのことです。老婆心ながら)。

 大森製作所が末期に作ったダイヤモンドキングというリールのカタログ説明にダイワ精工のパテントナンバー何番の平行巻き機構を使用していますと書いてあったのをおぼえている人がいるかもしれません。あれも枝葉だったのです。ウォームシャフトをスピニングに使うこと自体は、リョービのプロスカイヤー7が最初だったはずなのになぜダイワの特許になるのかというと、ウォームシャフトの配置の仕方や支持の方法が特許だったのです。

 だからチタノスツインパワーGTは途中からウォームシャフトの前側の軸受けをクロスギア用ギアの後ろから前にもっていく変更をしたものです。ところが、どうもそれでもあかんらしいぞということになって、クロスギア用ギアとピニオンギアの間に中間ギアを入れるという変更を強いられました。90年代初めくらいのリールはそうなっていたはずです(いまはほかの要素をからめて別の方式という解釈にしたのか、中間ギアは使っていません)。

 いまさらの話を蒸し返しますが、数年前こっそりアップしたフィッシングタックルの現象学最終回(読みたい人はサイトのどこかにあるから探してちょ)なんて、いま書いたことに比べりゃホント上っ面なぞっただけのペラペラなものなんですね。こんな手抜き原稿でいいのかしらんと思ってたくらいなのに、それを「こんな突っ込んだものはスポンサー様ににらまれますぅ〜」なんて掲載を拒否されたんじゃ、こちとらやっとれんわけです。ああ、また腹立ってきたわ。

 こういう思い出し怒りみたいなことは精神衛生上悪いからやめたほうがいいのかしら。

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