ミッチェル408と508です。最近魚の写真がないって? 最近体調悪くて釣り行ってないのよ。エポキシとかの化学物質系の臭いで体がおかしくなると書いたことがありますけど、最近2ヶ月くらいずっとそんな感じ。原因まったく不明です。道を挟んで斜め向かいで建売住宅の工事が始まったころからなんですけど、いまの家なんて部品持ってきて組み立てる方式だから塗装やってるわけでもないし、シックハウス症候群とかいうのもあるそうですけど、20mから30mも離れていて症状が出るような家なら、買って住む人いやそれ以前に工事している人がいっちゃうでしょうから、それもありえません。会社員辞めてから11年健康診断らしい健康診断してないから、腹の中でとんでもない事態が進行してたりして・・・。(2012/6/25)

 まあ、単純に運動不足でしょう。まだETCのついていないシトロエンAXに乗っていたころ、高速にあまり乗れず、しかもAXが修理代をガバガバ食いやがるわいつ止まるか分からんわで、近くの根尾川や坂内川、粕川ばかり行っていた年があります。あの年は釣り場が近い代わりに週2回ずつくらい川を歩いていたせいか、ずっと体調良かったですもん。

 ここ数ヶ月、『忠さんのスプーン人生』を作っていて、すべての原稿を自分で打ち込んできて豪快な釣りばかり疑似体験したものですから、お寒い限りの日本の渓流に行くのがやんなってきちゃったていうのも釣行の減った原因かもしれません。

 欧米に比べたらただでさえしょぼい川を官民こぞって破壊した上に、これまた欧米に比べたらはるかにしょぼいレギュレーションで魚ぶん捕りあってるなんてねえ。エサに比べりゃ意識が高いと思っていたルアーの人間ですら、レギュレーション守ってるんだ大釣りしてなにが悪いなんて書いているブロガーを見つけてしまったりすると悲しくなります。「法律は最低限の道徳である」という言葉の「法律」はレギュレーションにも置き換えられるはずですし、日本のレギュレーションなんて甘いにもほどがあるのにね。

 それはさておき、写真は常見忠さんの使われていたリールです。1月にご自宅にうかがって、資料を探すとともに、使用タックルを撮影したときのものです。本当は「忠さんのタックル写真館」みたいなページも考えていたのですが、原稿に登場するアンバサダー5000Cも、モンゴルでタイメンを釣ったシマノ・ファイティングGT(5000番くらい?)も、ロシアで巨大タイメンを“誤射”で逃がしたときのフェンウィックも、(『河は眠らない』のエサ釣りではなく)スプーンのキャスティングでキングサーモンを釣ったカルカッタ400も、そのときのバンブーロッドも、ありませんでした。モノには執着されない方だったようで、人に譲ってしまったりオークションで売って奥只見の魚を育てる会に寄付したりしてしまったようです。

 リールで残っていたのは、上のミッチェル408、508の他、シマノ・バンタム100、1000SG、BM-1、カルカッタ100、MLX200、カスタム3000、ファイティングGT2000、ツインパワーBB-Xスペシャル3000(?)GT、ダイワ・エンブレムX1500iA、ダイヤモンド・マイコン101、アブ・カーディナルC4、アンバサダー821、BM3600Cくらいでした。シマノとミッチェルが多いのは、欲しいという人が少なかったのか、私と同じマイナーびいきな傾向があったのか(!?)。

 さて、その『忠さんのスプーン人生』ですが、諸々ありまして遅れます。現時点で発売は8月もしくは10月の予定です。しかし、中身は面白いものになっています。ご期待ください。

 これはですな、アブ・ガルシアのレボALTというリールです。これは『ロックフィシュマガジン』というムックのために借りて撮影したものですが、この写真は結局使わなかったので、まあええやろと。最近体調悪くて釣りに行ってないから魚の写真もないし・・・。で、ベイト浦島太郎の私としてはALTえらいコンパクトでええなあ、と思ってしまいました。そして、思わずナチュラムで同型ベイトフィネススプールのLTというモデルを買ってしまいました。でも、バンタム100(アベイルスプール入り)ですら今年2回川に持っていっていずれも5投以内に背後のブッシュをひっかけて試合終了してるのに、何に使うんや? (2012/6/18)

 まあ、早い話が、リールがいじくりたいだけなのです。

 レボというと、最初のやつがダイワそっくりだったせいでコピー商品というイメージが染み付いちゃってどうもいけませんでした。あのサムレストのハの字穴はダメでしょう。ミッチェル300Xeの3穴エンジンプレートにしてもそうなのですが、(どういう分担で作っているのか知りませんが)OEMで作らせた先がやっちゃったとしたらブランド側でやめさせるべきですし、ブランド側のデザイナーがやったのなら、そいつをクビにすべきでしょう。

 でも、さすがに改心したと見えて、現行モデルからはあのハの字穴はなくなったので、まあいいかと。

 まずマグネシウムフレーム・カーボンサイドカバーのMGX(中溝スプール)、LTX(浅溝スプール)というのがあって、それらの海で使えるアルミフレーム・カーボンサイドカバーのALT(中溝スプール)、LT(浅溝スプール)というのが出たのですね。

 いずれも他のレボの35mmスプールに対し、33mmスプールのコンパクトモデルです。コンパクトな別ラインかと思っていたのですが、米国のアブ・ガルシアサイトを見ると、次期レボはすべてALTベースになるみたいです。アルデバラン(たぶんあちらのコア)が32mm、ダイワT3が34mmなので、これらに合わせてダウンサイジングしたのでしょう。MGXは現在米国のハイエンドモデルになっていますが、ALT相当品は現時点で未発売ですから、日本ではひと足早く新型が投入されたということになります。

 日本市場が実験台にされたのか、日本市場に力を入れているということなのかというところですが、米国にはないLTX、LTなど見ても、日本側ががんばっているということでしょう。とくに浅溝スプールのモデルを米国市場の遠心から電磁ブレーキに変更しているあたり、なかなかやるなというところ。アベイルスプールが(多くの場合)電磁ブレーキとセットで売られていることを考えても、こういう浅溝スプールは電磁ブレーキのほうが向いているはずです。おそらく遠心のままなら、加速が急激になりすぎる半面、高速域でブレーキ過剰となり扱いにくいリールになるはずです。

 LTを買っちゃった理由に、こいつは何者なのやと思ったこともあります。メイド・イン・コリアですが、どうも某ブランドのベイトとパーツが似ているので同じところで作ってんじゃないかという気がします。この前タックルツアーを見たらオクマのベイトが出ていましたが、これもパーツがそっくりで韓国製とのことでした。スピニングは中国に手広くやっているメーカーがあるようですが、ベイトは韓国にそういうメーカーがあるのかもしれません。いまやサムスンがソニーを追い込む時代です。まして複数のブランドの製品を請け負っていれば、さまざまな市場情報が入ってきますし、多くのモデルを作るうちにそうした情報をどんどん盛り込んで改良していけます。出来上がった製品が悪かろうはずがありません。そこに、浅溝スプールプラス電磁ブレーキのような日本のアイデアが融合できるなら、けっこうなことではありませんか(単に韓国製だから嫌という片山さつきみたいな人は知りませんが)。

 レボシリーズのハイエンドはIBというモデルで、電磁ブレーキと遠心ブレーキが併用されています。遠心ブレーキは普通のではなく、ブロックにスプリングをつけたやつです。たしかこういうブレーキは上州屋に譲渡されたころのリョービブランドから出ていたキャスプロメタルライトについていた記憶があります。あのリールは、昔バンタム100を設計したN田次長が移籍して作ったと聞いた記憶があります。その流れを汲んでいるとするならば、いまのアブにはN田次長つまりバンタムの血が入っている・・・!? なんてのは考えすぎかもしれませんが、そんなことを思いながらアブのベイトを使ってみるのもオツなものかいなと思ったのです。

 常見忠さんの本、『忠さんのスプーン人生』に使う文章の初出をリストアップしているところです。6月初旬発売の予定でしたが、少々遅れています。開高健氏の写真や文章の引用部分があるため、肖像権や著作権を管理している開高健記念会にそれらの使用申請を出していたのですが、月イチの記念会総会とタイミングが合わずに目いっぱい時間がかかってしまいました。というと、私が難しい交渉をやっているように思われそうですが、それは出版社のほうでやっているので、私はそんな大層なことをやっているわけではありません・・・。内容が知りたい? 目を凝らせば読めるでしょ? (2012/6/9)

 著作権は、文章だけでなくて銀山湖の案内を頼んだ手紙とかインタビューの発言を起こしたのにまで及ぶそうです。

 もともとは『ギジー』連載「伝説のヘッドウォーター」を元に諸々書き加えていただいて本にするはずだったのですが、昨年あのようなことになってしまったため、あらゆる著作や雑誌、新聞の文章、発見された未発表原稿を集めて本を編んでいます。

 結果、「伝説のヘッドウォーター」からは1割くらいでしょうか。あの連載を読んでいた人でも、十分新鮮なものになるはずです。結果的に文章は、古いものからもってきたものが多くなりました。やはりリアルタイムにより近いもののほうが熱くて濃いからです。

 初出のリストアップであらためてタイトル類をながめても、わくわくします。初めてヤマメを釣った少年時代に始まり、甲子園のマウンドからプロにまで進んだ野球選手時代、再開した釣りと偶然ともいえるルアーとの出会い・・・。そのルアーを使って銀山の大イワナを釣るくだりは前半のクライマックスですが、その前後の(「伝説の・・・」には含まれていなかった)エピソードもなかなかに面白い。

 『釣りキチ三平』の「O池の滝太郎」には水に落ちたヘビをイワナが襲うシーンがありますが、銀山湖のエピソードにはその元になったのではないかというような話も入っています。

 開高健氏との出会いから、アラスカ、モンゴル、シベリアへと続く旅は、ご存知のとおりです。かつて野球の夢を絶たれた人が、野球の神様 川上哲治氏と釣行して釣りの手ほどきすることになるのも、運命の不思議でしょう。

 パールカラーやブランクスプーンの生まれたわけや、トラウト以外の異色な釣行など、ちょっとオタクなものもあります。

 常見忠氏の足跡を綴ったものとしてはベストなものになると思っております。もうしばらくお待ちください。

 2012年6月3日、犀川のニジマスです。ここの魚は体高があってめちゃくちゃ引きます。ルアーはダムサイド10g。ダムサイトじゃなくてダムサイドです。言葉的にはダムの建設用地を指すDamsiteが正解なのですが、ルアーの裏にもDamsideと刻印してあります。忠さん英語間違えた・・・ということではないと思います。このスプーンもバイトと同じく開高健氏によるネーミングです。「ダムサイト」では語感にしまりがないため、開高氏がわざとこうしたのではないでしょうか。 (2012/6/4)

 帰りにサービスエリアでうとうとしながらミッチェル・クォーツをながめていたら、ラインローラーに糸溝が出来はじめているのを見つけてしまいました。このリールのラインローラーはグレーなのでセラミック系のものかと思っていましたが、薄く銀色の金属光沢が見えているので、金属に何らかの表面処理がしてあるようです。

 困りました。300や408などのインスプールなら、長く作られただけあってパーツを売っているところもあるし、ネットオークションにパーツやパーツ取りにできそうなリールも出てきますが、クォーツとなると難しい。

 糸が掛かる部分がラインローラー中央からやや右にずれているので、とりあえず左右を逆にしてしのごうかというところです。あと、ラインローラー内のベアリングに入れているグリスをACE-2からスプレー入りの純正グリスに替えて回転を軽くし、ローラー表面でラインがスリップしないようにしようかと思います。

 申し送れましたが、このリールのラインローラーは本来ポリアセタールと思われるブッシュ仕様です。私はラインローラーベアリング否定派ですが、このリールの場合ラインローラー支持軸が強化樹脂ベールと一体で樹脂製のため、ベアリングに替えました。ポリアセタールのような樹脂は、金属やセラミックなどと組み合わせたとき高い耐磨耗性を発揮しますが、樹脂対樹脂ではよくないと思っているからです(確証はありませんが感覚的にそう思います)。

 もともとブッシュ仕様なのですから、あまり回転しすぎても糸ヨレが起きるかもしれないと思い、ベアリングには粘っこいACE-2(ベイトのドラグ用)を入れていました。たしかベアリング化したのは10年位前で、そのときベアリングのシールを片側外してACE-2を入れたのですが、以来グリスアップしてません。おいおいというところですが、サイズ的に年間3〜5回くらいしか使わないのと、横に長いラインローラーなのでラインに付いてきた水が浸入することがほとんどなく、大丈夫です。実際、ACE-2の粘っこい回転のままで、異音もしていません。

 ラインローラーに糸溝が出来かけた理由として、ローラーに異物が入って回転が悪くなっていた可能性もあります。釣行前ローラーを指で回してみたら少し引っかかったことがありました。すぐ正常に戻ってしまったのでそのまま使ってしまいましたが、サイドに砂粒でもはさまっていたのかもしれません。

 入ったとしたら上のように魚といっしょに撮影したときでしょう。いつもやっていますが、本当はこういう写真の撮り方は、やらないほうがいいです。良い子はまねをしないように・・・。

 2012年5月4日、坂内川のイワナです。揖斐川でサツキを朝一番に釣ってから時間があったのでこっちへも行きました。なぜ4日の写真かというと今週末は釣りに行ってないからです。先週ニジマスを釣った根尾川もすでにアユ釣りでいうところの垢ぐされ状態の大減水。あれからずっと雨らしい雨が降ってないんだからダメでしょう。年を食って早起きがしんどいというのもあるのですけどね。 (2012/5/27)

 坂内川も根尾川もだんだん釣りにくくなります。魚が釣りにくくというよりも、釣り場所がなくなっていきます。年々河原らしい河原がなくなるのです。

 ダムができると砂浜がなくなるといいますが、ダムとまで行かなくても砂防堰堤が出来ると河原が消えるのですね。根尾川の薄墨橋のあたりだって、90年代初めフライに凝ったころのことを思い出すと、もっと河原があってアマゴの小さいのがいっぱいいました。黒津の辺もここ数年水辺まで背の低い木で覆われてきました。揖斐川のR21の下流は中学生のころから行ってますが、昔はもっときれいな河原らしい河原があったんですよ。

 川なんてものは上流から石を運んで堆積させ、ときどきあふれて平野を形成するわけで、堰堤や堤防を作った時点でこういう変化が始まって、どの川もいよいよおかしくなってきたということです。かといって、堤防や堰堤を取っ払って自然の状態に戻したら人間が住めないわけですが。

 でも、そういえば、九頭竜川にサクラをひやかしに行ったら、「浅瀬を回復する工事をやっています。砂利の浅瀬にしか棲めない魚のためです」という看板が立っていました。くだらないダムや河口堰を作るくらいなら、こういう工事でもやったらどうなんでしょうか。もっとも、それが本格化したら利権に業界がたかって、日本中の川が年がら年中工事で泥濁りになるのが落ちかもしれません。なんたって、公共事業費の3%はその仕事をくれた政治家に献金するルールがあるんですから。

 なわけで、今週末は家にいたのですが、なんですかねテレビは。某芸人さんの生活保護費騒ぎ一色です。日曜の番組は娯楽色が強いからとはいえ、金曜夜のNHK9時のニュースでまでトップ項目になっていたのはいかにも異様でした。奇しくもこの日、厚生労働大臣が生活保護費引き下げ発言をしています。

 原発報道で官報複合体なんて言葉が使われましたが、これもきっとそうでしょう。権力による世論誘導です。世論操作のためなら、芸人の一人や二人抹殺するのなんてなんとも思ってないのでしょう、この筋書きを書いた連中は。

 誇大妄想ですと? 誇大妄想っていえば、この問題で正義の味方気取りの片山某が日曜朝のニュースショーに出て、巨大な闇と戦っているんです身の危険を感じてますとかいって泣き崩れたそうです(吐き気がするので直接番組は見てませんが)。このオバハン、生活保護費奪取をもくろむ悪の秘密組織かなにかと戦っているつもりらしいですぜ。

 それにしても、相変わらず日本人は上見て暮らすな仲間を叩けですな。大衆同士でいがみ合いねたみ合わせておけば、権力層は安泰です。

 その一方で従業員を月何百時間も働かせて過労自殺に追い込んだ居酒屋チェーンの社長はにこやかにテレビに出続けています。日本って本当に素晴らしい国ですね。

 2012年5月20日、根尾川のニジマスです。このポイントは、中流域なのに過去イワナが釣れたことがあるので、どうも上流にある養魚場から脱走する魚がいるようです。リールはミッチェル3310Zですが、これが遺影になってしまうかもしれません。朝タックルを準備していて、運転席に置いたリール袋を誤って地面に落としてしまったのです。そのときはなんともなかったのですが、釣っているとき少し回転に引っかかりを感じました。上がってからクルマの中でくるくる回して様子を見て、ストッパー関係かなあと、ハンドルを前後させてカンカンカンとやったら、完全に回らなくなってしまいました。 (2012/5/20)

 原因は、落下時たまたま逆回転方向に衝撃を受けたローターに、ストッパーがかかっていたピニオンが食い込み、ピニオン内径が締まったのでした。さらにストッパーの調子を見たとき、落下でつぶれかけた角が完全に食い込んでしまったのです。

 もちろん、基本的には落とした私が悪いのですが、3310Zは240gもないリールです。私の車はコンパクトカーなので、運転席から地面までもそれほど高いわけではありません。おそらく普通のリールならこうしたことは起きなかったのではないかと思います。昔々、ストッパー強度のテストは、硬めのロッドにリールを付けてラインの先を何かに結んで固定し、ガンガンと空アワセして行っていました。当時の感覚からいっても、このくらいの落下で壊れるならアワセ衝撃でも同じことが起きると思います。おそらく3310Zはピニオンが変形して回転不良となる市場クレームが頻発したのではないかと推測されます。

 普通のリールはピニオンの先の部分に二面を切ってローターの小判穴に組み込んでいますが、3310の場合はピニオンの先の加工が二面ではなく一面だけのカットで、それと同じ形状の半月穴をあけた金属板を樹脂ローターの上にはめて回り止めとしています。しかも、多くの小型スピニングのピニオン先端の径が7mmなのに対し、3310のピニオン先端は6mmと細くなっています。

 現在のカーディナルやミッチェルの(というよりこれらを作っている中国のリールメーカーの)最小サイズのピニオン先端も6mmですが、3310やたいていの小型スピニングが4mmとしているメインシャフト径を3.5mmに落とし、ピニオン先端部の肉厚を確保しています。3310のピニオン外径6mm、メインシャフト径4mmでは肉厚はわずか1mm、さらに回り止めの面加工をすれば肉はペラペラ、さらにネジ溝の分も肉がそがれています。おそらく先端回り止めを二面ではなく一面にしているのは、二面切ってしまうと強度がますますもたないからではないかと思います。

 なぜ6mmなのかというと、3310のローターが908や308Sなどと同じだからです。908や308Sはベベルギアのため、この部分が太くできず、308、408と同じ6mmでした(持ってないがそのはず)。308、408はローター(アルミ)自体がネジになっていて、六角ナットを止めナットのようにしてピニオンを固定していました。しかし、908はローターを樹脂にしたため、固定方式を変えざるを得なかったのでしょう。しかも、初期の308や408のピニオンがスチールだったのに対し、3310のピニオンは真鍮です。

 おそらく908などもローター・ピニオン結合部の強度は同じだと思いますが、あちらはストッパーが308などと同じなので、衝撃が駆動系全体で吸収され多少壊れにくくなっている可能性があります。さらに基本308と同じなので、「ストッパーはオフで使え」という世界一わがままなマニュアルが適応され、そういう心配はありません(!?)。

 3300/4400のマニュアルがどうなっていたかは不明ですが、ピニオンにラチェットを装着したタイプのストッパーをオフで使えというのはさすがの私も納得いきません。あれは、アワセの衝撃を駆動系に伝えないための設計なのですから。しかも、3310のストッパーの歯は、鋼材から削り出した、カーディナル33より頑丈そうなものが付いています。ストッパースイッチの位置も“ミッチェル式”ではありません。

 Zが付く前の3310はカリカリと音のするタイプのストッパーでしたが、マイナーチェンジでZ付きになったとき、サイレントストッパーになっています。音のするタイプならストッパーの遊びは小さく、ストッパー作動時の衝撃は小さくて済みます。しかし、この時代のサイレントストッパーは遊びが倍以上に大きくなるため、アワセ時の衝撃が格段に大きくなってしまいます。より危険なのはこちらのタイプです。マイナーチェンジの改良版のほうが弱くてはいけませんが、Zが付く前のモデルの修理がそれほどなかったため、そのままの設計でサイレントにしてしまったのかもしれません。

 とはいうものの、普通の会社なら(少なくとも私がいたころのS社なら)、何らかの設計変更をしたら一通りの強度・耐久テストはするはずなので、強度不足の製品は本来生まれないはずです。やっぱり、Zが付いたのはいったんミッチェルが倒産した後のことですから、品質管理部門などがどうにかなってしまっていたのかなと思います。

 さてさてせっかく気に入って使い始めた3310Zですが、どうしましょうか。中古を買ってエンジン載せ替えも考えられますが、うっかり根掛かりをあおったりしたらまた同じことが起きるかもしれません(私のリールの打ち所が悪かっただけならいいのですが・・・)。しかも、帰宅後分解しようとしたところ、そもそもローター上の金属プレートに食い込んだピニオンが外れません。困ったなあ。

 2012年5月13日、庄川のヤマメです。朝マズメは某ダムBWへ行ったもののちっこいニジマスが1尾出ただけ。日が上がってから川へ行ってこれ1尾。しょぼ。この日は4gくらいまでのスプーンを入れたワレットを忘れたので、写真のダムサイドやマスターアングラーの5gやバイトの4.8gばかり使っていました。前も書いたとおり意外に魚が出ます。渓流ミノーの標準サイズと同じ5cmあるのでむしろこのくらいのほうがアピールするのかもしれません。ただしフッキング率は悪いです。5cmのミノーをテールフックだけで使っているようなものですし、スプーンはフックを振り回して泳ぐからです。 (2012/5/14)

 リールはミッチェル3310Z。Zが付くのは、いったん倒産したミッチェルをフィリップブリム氏という新社長が立て直しにかかったころのもので、日本ではミッチェルジャパンと上州屋が取り扱ったころです。

 3300とその高級品4400シリーズは、アウトスプールの新型で、最後の二桁がサイズを示し、10は最小サイズでした。10サイズのスプールとローターは308Sと同じものだったようです。スプールはアルミでしたが908とも同じということになります。

 908は408をアウトスプールにした後継機となるのでしょうけれど、そのころすでにスパイラルベベルギアをやめてしまっていたので、908はギア比4.9対1のストレートベベルギアだったはずです。

 一方、3310/4410のギア比は5.6対1です。これは408の5.5対1と同じものです。0.1違うように見えますが、どちらもドライブギアの歯数をピニオンギアの歯数の5.5倍プラス1にしていて、モジュールが小さくて歯が多いベベルギアの408は四捨五入で5.5になり、モジュールが大きくて歯が少ないフェースギアの3310/4410は四捨五入で5.6になるのです。ギアの歯数を半端にするのは、歯を総当りさせることによって、磨耗とグリスのまわりを均一にして編磨耗を防ぐためのものです。

 以上のようなことを考えると、ベベルギアでギア比を上げることができなかった908の代わりに、そのスプールとローターを使った3310/4410に408のギア比を与えたのだということがわかります。すなわち、3310/4410こそ408の正当な後継機と考えることができます。

 使った感じも408そっくりで、巻き取り速度が程よく渓流に合っています(ローターのブルブルもそっくり・・・)。ベールシステムがインスプールと同じなので、意識して強く回さなくてもスムーズに巻き取りに移れ、手で閉じられない不便さを補って余りある快適さです。このリールをやっていたころのミッチェルのベール開閉耐久テスト10万回をクリアできたのもインスプール同様のシステムならではですし、当然スプリング折れの心配もありません。

 Zが付いたころのベールは同時期以降の308Aのようなステンレスベールです。となると、ラインローラー部のナットが出っ張っていて糸がここに巻きつくはず・・・と思っていたのですが、1日釣って1回も起きませんでした。よく見ると308Aに対しベールアームに補強のリブが付いていて、そのリブがラインをかわして巻きつかないようにしていたのでした。この部分への糸絡みはワンピースベールの408でも、308Aに比べれば頻度がすくないとはいえ起きましたから、これはありがたい。

 遊びの大きいストッパーはかけっぱなしでもフェザリングをじゃましませんし、ラインピックアップもミスしにくく、現在のスピニングリールよりずっと使いやすいものです。

 なかなかやるなというところ。これでデザインが308/408みたいな卵ボディーだったらなあというところですが、クォーツともどもそうした過去をばっさり捨てるところがミッチェルのかっこいいところ、なのでしょう。

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