2015年1月4日、初釣りはサンクチュアリでした。天竜川は高速の混雑が心配、朽木は雪が心配で、ここにしました。実際、朝6時のラジオの交通情報ですでに東名は5キロ渋滞、朽木どころかサンクの行きも橋の上でABSが作動する有様で、やはりここが一番妥当でありました。 (2015/1/5)

 10年ぶりくらいに引っ張り出したロッドは、ミッチェル・リバティ56ULの97年リミテッドエディション。ミッチェルの名前は入っていますが、もちろんフランスで作っているわけはなく(そもそも往時でもロッドは作っていないはず)、おそらく本社フランスとは関係なく当時の輸入元が企画したロッドだったのだろうと思います。

 当時はダイコーかテンリュウ製かなと思っていましたが、中国か台湾か韓国製だったのではないかと思います。97年ころはまだいまほど中国製の竿はなかった記憶なので、台湾か韓国ではないかと思います。

 そうはいっても、(たぶん)日本の要求で作ったロッドらしくベンディングカーブはきれいで、同時期の台湾製フェンウィックみたいないびつなカーブは描きません。硬さも当時のウルトラライトらしい標準的なものです。

 半透明の赤いブランクのグラスロッドで、バットに見える黒い部分はカーボンの補助パターンです。同じことがジョイントの前後にもやってあります。このカーボン巻きとスウェルドバット、ミッチェルの旧ロゴ、ゴールドフレームガイドは、リミテッドのみの仕様でした。

 あらためて使ってみた感想は、けっこういけるやんというもの。ガイドはニューガイドコンセプト以前のサイズのLVSGを使ったものです。グラスにこのガイド構成なので、自重でけっこうしなりますが、懐かしい感触といえばいえます。飛距離は可もなく不可もなくですが、若干コントロールをつけにくく感じたのは、自重でしなる特性のためか、大きめのガイドでブランクがねじれるからか、管釣り専用でないため管釣りルアーには硬かったせいか、はたまた私の腕が落ちたのか、というところ。といっても、悪いというほどではありません。

 釣り味は良く感じました。魚の暴れる感じがグングンと伝わってきます。グラスだからいいとは限りませんが、このロッドは懐かしい釣り味です。ひとつかふたつ前の『フライの雑誌』にテンリュウの昔の人の話が載っていて、グラスからカーボンになって魚からのグングンという感触がなくなっちゃったというようなことが書いてありました。グラスのほうが釣り味がいいというのは、昔自分がスレていなかったころの記憶のせいかと思ってきましたが、やはり何か違うのかもしれません。(今より)大きなガイドが付いた太くて赤いブランクが魚の動きに合わせてグングン曲がるのも、いい眺めです。

 当時の輸入元、スキューバプロ・アジアはこのロッドのみならずフライロッドなど数多くのロッドを出していましたが、クォーツのあたりで撤退してしまいました。アブ・ガルシアは曲がりなりにも丸型アンバサダーやそれなりに使える近代風リールがありますが、ミッチェルはすでに308などが品質的に問題ありの台湾製になっていて、台湾から部品をフランスに持っていって組み立てた「フランス製」もいまひとつでした。メインの商品があれでは、難しかったでしょうね。

 あらためてリバティを見ると、けっこういいじゃないのと思いますが、当時でも組むリールがなかった感じがします。ロッドとリールでブランドが違っても気にしなけりゃいいのですが、ことミッチェルは元がリール専業の会社なので、それ以外のメーカーのリールと組むのは気になっちゃう人が多かったのではないかと思います。

 ともあれ、けっこういい感じだったので、今年は川でも使いそうです。

 キンドル本第6弾、『TACKLE RESEARCH[スピニングリール編]』が出ました。複数のリールを集めて、ドラグ特性やラインの巻き上がりなどを調べた雑誌記事5本を入れています。「スピニングリール編」があれば「ベイトリール編」も当然あると思うのが人情ですが、ありません。じゃあ何があるんだ。 (2014/12/27)

 今までの5冊はどっちかというと文章中心だったので、写真は掲載時のものをそのまま使っていました。そのため、写真はページの上半分くらいを占めるだけになっていました。これに対し、今度のは写真中心なので、写真の面積を増やすべく、トリミングして基本、正方形にしています。

 写真については、少し前まではアマゾンのほうの大きさ制限が1枚あたり127MBだったので、圧縮率を上げて軽くした画像を使っていました。これが、1枚5MBにアップされたので、前の『Let's Inner Spool!』から、圧縮率を下げて画質を上げました。

 ところがところが、そうして作ったデータを一太郎でEPUB(キンドル用データの前段階)に変換しようとしたら、エラーが起きてしまいました。調べてみたら、トータルのサイズが45MBにもなっていました。写真を正方形にして面積を増したのと圧縮率を下げことでデータ量が増えすぎたのでした。そらまあワープロソフトで45MBのデータを扱うようにはできてませんわな……。

 で、数百枚の写真ページをすべてやり直して、データ量を減らし、なんとかかんとか変換して出来上がりました。といっても『TACKLE STUDY』同等なので、ディスプレイで見る限り、問題はありません。

 写真中心の記事だったので、本文が少なくてあっさりしています。リールが広報用の借り物なので書いてある内容もおとなしいものです。それにしても、最初のステラのところなど宣伝臭も漂っていたので、なんかやだなあと思って、各章ごとに「○年後の総括&解説」を付けました。別にそこでボロカス書いてるってわけじゃありませんが、こっちのほうが面白いかもしれません。にしても「総括」って、70年代の赤軍派みたいやな。

 2014年12月14日、昼前BB-2昼からフライで釣ったときの昼から編です。すごくテキトーな写真で、コンデジをバッグから出したままで撮ったので広角すぎて小さい魚がさらに小さく見えます。1万ちょっとの最廉価版防水コンデジでしたが、ちょっちょっと撮れてけっこう便利。もうちっとええのを買っといてもよかったような。 (2014/12/22)

 それと、前の写真みたいにタックルを持ったまま撮れるので、リールやロッドを地面に置いて傷める心配がないのもいいです。渓流でいつもやってますが、タックルには百害あって、ですからね。

 ロッドは、チタンSiC化したブルックストーン906です。10月に初めて使ったときほどラインの出がよく感じられなかったのは、寒さのせいだったのかもしれないと、あとで気づきました。

 ラインが15年以上前に巻いたシュープリーム2で、巻きぐせ付きまくりに加えて、気温の低さで硬くなりガイド抵抗が増えていたのではないかと思います。

 シュープリーム2はサイエンティフィックアングラーズの一番安いもので・・・・・・と書いてみたもののとっくに廃番でした。あらためてティムコカタログを見ると、何が何やらわからんくらいフライラインの種類が増えていて浦島太郎状態です。ついでに、オービスとかループとかの目ん玉が飛び出そうな価格のロッドが並んでいて、いまフライ市場はどうなっとるんだろうと思いました。格差拡大で高いのは高いので売れるのかしら。

 もうひとつ飛びが悪く感じた理由として、投げ釣り用のフィンガープロテクターを使っていたため、革でこすれてフライラインドレッシングが早々になくなってしまったことも考えられます。プロテクターを使い始めたのは、90年代に琵琶湖でバスを釣っていたころでした。人さし指にラインをかけた状態でリトリーブすると、第一関節のところの皮膚が摩耗して血が出そうになるからです。

 このリールにシュープリーム2を巻いたのは、その前に使っていた高級品のウルトラ2でひどく指が摩耗したからでした。ウルトラ2は潤滑剤含有をうたっていたラインで、多孔質だったのではないかと思います。そのため、表面の微細な穴が水でふやけた皮膚を削ってしまうのではないかと思い、普通の塩ビっぽいシュープリーム2に戻したのでした。今は昔の話です。

 管理釣り場はみなさんたいていインジケーターを付けて釣っていますが、ウキ釣りみたいなので付けずに、マラブーウーリーをリトリーブして釣りました。さすがにサンクチュアリで、2〜3投に1回アタリがきました。インジケーターでアタリを取ったらもっと食っていたのかもしれません。

 ところが、フライをオリーブからブラウンに替えたら、ばたっとアタリがなくなりました。やっぱ釣りは難しいもんやなあと思いました。

 2014年12月14日、10月11月と某管理釣り場で2連続ボウズの憂き目にあったため、今回はちゃんと魚の釣れる方の管理釣り場に行きました。昼前はアベイル入りBB-2で、昼からは2連続ボウズのおかげでまだ魚を釣っていなかったSiCブルックストーンで釣りました。どっちもちゃんと魚が釣れました。めでたしめでたし。当たり前か。 (2014/12/15)

 当然やが期日前投票は済ませとるぞ。

 雪の降る寒い日で、オイルが硬化していてちょっとスプール回転は重めに感じましたが、それでも2gから上なら実用上十分な飛距離が出ました。オイル硬化の副産物かノーサミングでもほとんどスプール上のラインが緩まず、バックラッシュも皆無でした。ブレーキブロックは純正青2個オイルつき、ベアリングも含めてオイルはバンタムオイルです。

 ロッドがもっと軟らかかったら1gクラスでも……はさすがにスプールを回す力がないから意味ないのかな。

 ロッドは、2010年に渡辺つり具店のフレックスULスピンの6フィートにTCS16を使ったグリップ(図を描いて作ってもらった)を付けてもらい自分でガイドを巻いたベイトロッドです。名前の通りスローテーパーの細いブランクですが、渡辺さんいわく、作ったときは軟らかかったが硬くなってしまったとのこと。ガイドが小型化したりエリア用などさらに軟らかいロッドが出てきて、特に軟らかいというほどではなくなってしまったそうです。

 適合ウエイト2〜7gは一昔前のウルトラライトロッドの標準ですが、使った感じもこの通りで、7gまで普通に投げられ、最近の1g台のエリアルアーになるとちょっと乗りが悪いかもという感じ。もっともそれは、ベイトリールのスプール抵抗のせいかもしれません。スピニングだとバットガイドの重さだけでももっと軟らかい振り調子になりそうです。

 ガイドはニューガイドコンセプトでEカラーのステンフレームSiCを付けています。サイズは富士工業のカタログ通り(自分で選んだ)で、K・Rコンセプトやマイクロガイドになる前のニューガイドコンセプトのウルトラライトベイトなら全体にワンサイズ落としたくらいが標準みたいです。市販ロッドのガイドサイズは、シマノやダイワのHPにあるパーツ価格表を見るとパーツとしてガイドの品番が載っているので参考にできます。

 だから、ロッドに対してガイドが重いといえそうですが、もしかするとこれが振ったときのしなりを生んで、軽いルアーを投げやすくしているのかもしれません。今までガイドを巻き替えたロッドで、ファーストテーパー気味のものはガイドを小さくするといい感じになったものが多いのですが、スローテーパーのものはかえって投げにくくなることが多かったので、案外この方がよかったのかもと思っています。

 本当のところは同じブランクでガイドを変えたものを作って比較しないとわかりませんが、現状でもエリアから渓流まで十分使えてバックラッシュもしにくいのですから、これでいいのです。

 2014年11月30日、メバルが釣れないかと敦賀に行ったらこんな魚が数匹釣れました。魚種がわからんので、帰宅後昔の釣りサンデーの『釣魚図鑑』を引っ張り出しましたが、カサゴのページにもクロソイのページにもこれとそっくりの写真が載っていてどっちにも見えます。このほか小チヌと小アイナメが釣れましたが、メバルは釣れず。塩水誌の記事のために各地のメバル名人の話を聞いているはずなのに、なんで釣れへんのや。 (2014/12/7)

 この魚が危ないかどうかはわかりませんが、海はようわからん魚がたまに釣れるので、やっぱフックをバーブレスにしておくとハリだけつまんではずせていいです。ワームは“主義”でシマノの生分解です。あ、でも、種類が少ないことを言い訳にジグヘッドはいつの間にか鉛ヘッドを使うようになっちまいました。いかんな、TGものを探すか。

 リールは初代ルビアス2004で、ラインはフロロ0.6号(2Lb)です。今までこの手の釣りにはツインパワーC2000Sやセルテート2004にフロロ0.8号(3Lb)かPE0.4号を巻いて使っていましたが、やっぱ標準的なラインを使ってみようとフロロ2Lbを買ってきました。リールは単にスプールが空のがこれだけだったからです。

 ラインはサンライン・スモールゲームFCの150m巻きですが、どー考えても軽いジグヘッドなぞ20mも飛ばないし、小型のメタルジグを付けてもその倍飛ぶかどうか(もうちょっといくか?)なので、ハンドル回転による概算で半分の75mだけ巻きました。

 だから、写真の通り巻き量不足で、遠心ブレーキのききすぎたベイトリールみたいな投げ心地でした。とはいえ、0.6号だったらもうちょっと飛びそうなものなのにという感じもしました。

 このリールのころは今のR4系よりストロークが長く、かつ往復スピードも速かったため、現在より強い綾巻きになります。そのため、比重の大きいフロロカーボンはスプール上でラインが前後にばたつくときの抵抗が大きく、飛距離がより落ちるのかもしれません。

 そんなことを考えていて、逆パターンだなあと思ったのが比重の小さいPEを密巻きリールに巻いたときです。R4以降ダイワはスプール往復スピードを落とし、シマノは上げて、どっちも普通の往復スピードに落ち着いていますが、なぜかピュア・フィッシング系のレボネオス、レイレックス、14ミッチェル300シリーズなどは、ハンドル3回転ほどでスプールが1往復するスローオシュレーションになっています。これらはPEを巻いて使っていますが、シマノ、ダイワのリールに比べてラインの出がよくない感じがします。

 PEは比重が小さくラインが軽いため、スプール上でラインが前後にばたつく抵抗がもともと小さくてスローオシュレーションにしても放出抵抗低減効果があまりないと考えられます。その一方で、編み糸で表面が滑らかでないことと張りのなさで糸離れが悪いため、糸同士が線接触になる密巻きでは抵抗が増し、むしろ適度な綾巻きのほうが点接触になって抵抗が減る、ということかもしれません。

 とはいえ、それぞれのリールについて各種のラインを巻いて同時に投げ比べたわけではないので、こういう考え方もできるかなあ、程度のものです。

 2014年11月16日、大安トラウトレイクです。この日と10月26日の2回、オールチタンSiCガイド化したブルックストーン906を持って釣行しました。実勢価格1万円強のロッドに総額1万円近いチタンフレームガイドを取り付けるとは我ながらとんでもないですが、これでこそ芸術なのであります。開高健も釣りは芸術だみたいなことを言っていたはずです。 (2014/12/1)

 一番安い竿とは、芸術にしてはセコいやろ。

 で、性能はどうやったんかということです。初めて使った10月26日はスッカンスッカンとラインが抜けるように出て行って感動しました。半日くらい投げてラインドレッシングが落ちてきたら、感動的なほどのラインの出ではなくなりましたが、スネークガイドでラインドレッシングが落ちたときよりはいいんじゃないかという印象でした。

 ただ、理由はよくわからないのですが、11月16日に行ったときはラインドレッシングが効いているはずの使いはじめも、悪いというほどではないもののそれほどでもない印象でした。

 なんといっても、このロッドを素で使ったことがないのと、比較対象が他の所有フライロッドになるのですが、フライ自体10数年ご無沙汰してしまっていたため、あまりにも記憶がおぼろげなのです。少なくとも悪いものではないし、10数年ぶりにフライロッドを振りながらそこそこ釣りになる程度は飛んでいたのでそれなりに効果はあるものと思いますが、いかんせん改造前改造後を同時に使い比べることはメーカーの人間でもない限り不可能なので、そういうことです。

 11月16日にいまいちだったのは、っていう理由にしてしまうのは少々八つ当たり気味ですが、あまりの釣れなさにげんなりしていたのも理由かもです(そういう気分的なことをいうなら前日天竜川に行ったばかりで疲れていたのもあるな)。

 10月26日は高水温で不調ということで、もう水温が下がったからいいかなと思って11月16日に再度行ったのですが、今度はターンオーバーの後遺症だとかで、まさかの管釣り2連続ボウズと相成りました。釣れないのは私だけではなくて、ターンオーバーから日にちが経っていて、かつ2日前に大型ニジやブラウンを入れたのにもかかわらず、まわりもほとんど釣れていませんでした。

 不調の原因は、(写真でもわかる)水質のせいじゃないかしらんと思います。元々、平地の池で水質があまりよくないところへ、マスを入れるだけでも死骸などで富栄養化が進みます。さらに、ここ何年かは池の半分をヘラ釣り場にしてしまったため、一層富栄養化が進んでいるはずです。だから、ターンオーバーが起こると底層の悪い水が全体にいきわたり、ターンオーバーが落ち着いてもマスには耐えがたい水質になってしまうのかもしれません。近年サンクチュアリにお客が流れてしまって、経営的に仕方なかったのだろうとは思いますが……。

 かといって、サンクチュアリだとフライは釣れすぎてしまうはずです。ルアーでそこそこ釣れる条件だとフライは釣れすぎます(だから朽木はルアー専門になったのでしょう)。

 釣れないのもヤだけど釣れすぎるのもヤだって、釣り人は勝手なもんです。

 (なお、現時点でHPを見ると、先日の雨で活性が上がったと書いてあります)

 2014年11月23日、大江川と五三川に行きました。とある原稿作成のために、昔『月刊フィッシング』でやっていた忠さんの連載のバス釣り編を読んでいたら、スプーンでバスを釣りたくなったのでした。11月だしスプーンオンリーなのでボウズ覚悟でしたが、数回のアタリと2回のバラシがあってびっくりしました。でもやっぱりボウズか。 (2014/11/23) 

 こういう場合はオデコというのか?

 この日は、フックの実験をしました。よーく見ると、シングルフックに黒い物が付いています。これは、ジークラック・ソフトタングステンマルチシンカーという、タングステン粉末をゴムで固めた中通しシンカーです。これの0.5gをフックのシャンクに通しています。

 ちょっと前、敦賀に行ったとき、小型のメタルジグを投げてみました。いつもはシングルフックにしてしまうのですが、この時はバーブだけつぶしてもともと付いていたトリプルフックのまま使いました。で、あらためて思ったのが、トリプルフックが付いているとジグもきれいに泳ぐなあということです。

 スプーンも同様で、泳ぎに関してはトリプルのほうがいいです。しかし、魚へのダメージや根掛かりの少なさ(トリプルは単純に3倍では済みません)から、シングルフックにしています。

 たとえば、忠さんのスプーンのバイトの場合、トリプルフック時代に作られた4.8g、6g、8g、13gは、シングルフックにすると泳ぎが不安定になります。そのため、シングルでも比較的安定して泳ぐそれぞれの肉厚タイプ7g、7.5g、10g、16gをメインに使ってきました。

 でも、それでもやや不安定さが残りますし、やっぱり忠さんがかつて作り出した泳ぎで釣りたい、と思いました。

 シングルの軽さを補うため、フックといっしょに太めのスプリットリングを通していた時期がありますが、見た目がすっきりしないのと、バイト4.8g〜7.5gは効果があるものの8g以上はボディが長いせいかいまひとつだったので、やめてしまいました。カミツブシをフックにかますといいと教えてもらったことがありますが、鉛に抵抗があって躊躇していました。さらに大きなシングルフックにすることも考えられますが、それでは何のためのシングルかわかりませんし、ジョイントプラグのような泳ぎになってしまうこともあります。

 で、今回、チューブ状のタングステンオモリがあったような記憶があったので、ネット検索して見つけたのがこれでした。運良く岐阜の某ショップにあったのでさっそく買ってきて試したのでした。

 DCバイト5.1g(ノーマルバイトの4.8g相当サイズだが4.9gかもしれん。種類が増えすぎてさすがのわしもわからん……)、バイト6g、8gにカルティバS-31の2番、13gにチヌバリ7号&ダクロン30lbアイ10mmのスイミングフックを付け、それぞれソフトタングステンマルチシンカー0.5g1個を付けました。

 結果は大変良好で、(人間の目で見る限り)トリプルフック時代の安定して大きく尻を振る泳ぎが再現されました。おそらく、フックの重心位置がトリプルフックに近くなるのと、オモリ自体が水の抵抗を増すからでしょう。6gの肉厚7.5gに付けてみても、泳ぎが悪化することはなく、安定感が増しました。

 特にバイト6gは単純にシングル化したものでもけっこう実績があるので、勝手にヒラを打つ泳ぎが効いている可能性もありますが、安定して泳ぐルアーのバランスを崩すことはできても、その逆は不可能です。「おー、これがバイトの泳ぎじゃあ」と一日スプーンを引っ張っていました。

 2014年11月15日、天竜川のニジマスです。最近魚の写真がありませんでした。釣りに行っていないのではなく、揖斐川下流のシーバス、大江川のバス、敦賀のアジ、大安トラウトレイクと、実に12釣行連続でボウズかそれに準ずる結果に終わっておりました。ガイドを変えた竿やらスプールを変えたリールやらの試しに気が行っていて時期とか時間とか場所とかルアーとかにあまり気をつかっていなかったから、というのはいいわけです。 (2014/11/17)

 にしても、うち管釣りで2回ボウズというのもすごいな。

 そんなわけで久々に釣ったそれなりの魚がこれ。もちろんシマノBB-2にはアベイル製スプールが入っています。ラインは、バス用に巻いていた3号ナイロンから1.2号ナイロンに変えています。

 ブレーキブロックは引き続きバンタム100用ブルーで、オイルを付けています。ラインはいずれも35m(それぞれハンドル回転90回と100回の概算)で、ラインが細くて巻き径が小さくなる分、ブレーキ力過剰かもと思いましたが、十分使える範囲でした。写真のようにバイト3gも投げられます。写真のミノージャックは厳しいですが、ロッドさえ軟らかければ2gくらいから投げられるはずです。

 同じくアベイルスプールを入れたバンタム100は、ブルーのブロック1個を乾燥状態で使うか、SVS用クリアを2個オイルを付けて使うかしていました。スプールが同径35mmなのに、BB-2より弱いブレーキで済んでいたのは、ブロックを乾燥状態で使ったときオイルが回って調子が変わると困るので、ベアリングをグリス潤滑にしていたためです。今年夏にバスに使ったときは気温が高かったのとベアリング中のグリスが飛んできていたのとで、すでにブルーのブロック2個オイル付きが適当なレベルになってきていました。

 スピードスプールBB-2は、シマノBM-2の輸出仕様だと思ってきました。ところが、どうもこれは違うようです。ここを見ると、国内で売られたスピードスプールBB-1、2は、Lewとの関係が切れてアメリカで出せなくなったリールのパーツを使って作られたものだったとのことです。しかも、アメリカで売られたBB-2は国内BM-4であり、BM-2に相当するモデルは日本国内でしか売られなかったとのことです。

 大阪の老舗プロショップのブログ(そういえば写真のレスターファインはここで買ったんだった)ですし、シマノHPによるBB-1とBB-2の販売時期から見ても、当たっていそうです。いそうですって、なんでお前が知らんのだといわれそうですが、私が入社したときすでにBM発売10年で、まわりのほとんどの人がBMはのちに出たツインコントロールのニューBMだけだと思っていたくらいです。

 海外で出せないものを国内で売り払うのは、昔よく行われていました。私が在職していた89年ころ、堺東の釣り具店をぶらついていたら、日本で売っているはずのないモデルのルアーロッドが数千円で並んでいるのを見つけました。何らかの事件ではないかと思って翌日会社でそのことを話したら、アメリカでの名称が変わって出せなくなったものを、国内市場に安く流したのだということでした。

 昔は国内ルアー市場は大変に軽視されていて、日吉産業の原さんは「日本市場は欧米メーカーのごみ捨て場だった」とまでいっていました。実際、アブ・カーディナル50シリーズにセルフセンタリングが付いたものが日本市場で売られたことがあり、私も学生のころ雑誌広告で見た記憶があります。しかしこれは、カタログに一度も載ったことのないものだったそうです。私の持っているミッチェル4420のスプールがのっぺらぼうなのも、そんなところでしょう。

 それはともかく、最近はeBayを通じてアメリカで販売されたリールが入ってきます。時々ヤフオクでもアメリカ向けBB-2つまりBM-4の輸出版が出ていますし、ショップが輸入することもあるようです。あくまで上のアベイルスプールは、BM-2相当の35mmスプール用なので注意してください。

 にしても、当時「ルアー専用BM-1、磯、防波堤釣りにBM-2、船釣りにBM-3」といって売っていて、米国仕様を無理やり国内の釣りに当てはめたのかと思っていましたが、BM-2/BB-2の35mm樹脂軽量スプールは、純粋に日本国内、それも磯、防波堤向きに企画されたということになります。それくらいまだ国内ルアー市場は小さかったのでしょう。でも、こんな高いリールを磯や防波堤に使った人いたのかな……。

 夏ごろから再発したロッド改造したい病は、フェンウィック・ワールドクラス83MLの先端Kガイド化、シマノ・ブルックストーン906のオールSiCガイド化と続き、このUSものフェンウィックFS64のKガイド巻き替えに行きつきました。名品への冒涜か……といっても、ワイヤーガイドが糸溝でザクザクになってたんでやっちまうことにしてしまいました。 (2014/11/10)

 前々回、きれいに仕上がったかに見えたブルックストーンですが、バット部分のコーティングを指でなぜたところなんだかぬるぬるします。よーく見ると、小さい泡のつぶれた跡が表面に点在していて、そこからぬるぬるしたものが出ているようです。こういった現象は、主剤よりも硬化剤が多いと生じますが、昔それで失敗して以来、若干主剤を多めにすることで、ここのところ起きたことがありませんでした。

 原因を特定する際、困ったことに、今回はいつもとやり方を変えた点がふたつありました。エポキシを初めて使うジャストエースにしたのと、泡飛ばしと表面をならすのをヘアドライヤーで行ったことです。

 最初に疑ったのはジャストエースでした。でも、ググってみても悪評は出てきません。いまの時代、なにか問題があればブログとかにぼろくそ書く人が絶対いるはずです。ではヘアドライヤーは、といってもこれも一般的に行われていることです。

 それで思い至ったのが、混合不足でした。エポキシは、時計を見ながら2分混ぜることにしていますが、コーティングのとき秒針が1周目だったか2周目だったかあやふやだった記憶がありました。実際、塗り始めのバットまわりでそうした現象がより起きていて、中間部から先に行くにしたがって症状が出ていないので、混合不良が主原因だと考えました。

 秒針を1回転見間違えたのだと思い、主剤と硬化剤をしっかり混ぜてグリップまわりから手元3個のガイドまでを再コーティングしました。2分半混ぜたこともあり、ほぼ満足できる仕上がりになりました。重ね塗りしたので、ちょっとぼてっとしたフェンウィックみたいな仕上がりになり、最初のコーティングで107gだった自重は109gになりました。それでもガイド交換前の110.5gよりは軽いので、ここで満足することにしました。

 次にとりかかったのが、写真のフェンウィックFS64です。ガイド構成とか前付いていたガイドの跡とか書きたいことはいろいろありますが、それはまたの機会にとっといて、結論からいうと、またまたまたまたブルックストーンの最初のコーティングで起きたのと同じ、ぬるぬるの入った泡が表面に浮く現象が起きてしまいました。

 ここでようやく、本当の原因に思い至りました。いままでは、部屋の温度に気をつかい、空調を入れて25度以上にしてからコーティングをしていました。しかし、今回、泡飛ばしにヘアドライヤーを使い、この時表面が均一になじんでくれるため、特に空調を入れなかったのです。

 温度が低かったため主剤・硬化剤の粘度が高く、混合が十分できなかったと考えられます。しかも、粘度が高いと泡が多く混ざり込むようになります。さらに、カップの底面や側面に混じりきらなかった成分が残りがちになるのと同じ理屈で、泡の表面には混じりきらなかった主剤・硬化剤の成分が多く存在していると考えられます。これが、ヘアドライヤーで熱したとき、表面に浮いてきて混合不良の穴を作ってしまったのだと考えられます(ただ、それにしても10月半ばでガレージの2階の部屋だから23度や24度はあったはずなのにと思うと、若干釈然としない部分も残るのではありますが)。

 FS64はバットガイドが特にひどかったので、(もともと糸目の残る仕上げなのであまりボテッとさせたくなかったこともあり)巻き直して再コートしました。このとき、混合前の主剤をカップの底から10秒くらいヘアドライヤーの熱風で温めたところ、スムーズに混合でき、泡も立ちませんでした。コーティングもきれいにでき、虫眼鏡で見ても泡の穴はありません。ようやく終わったものの、思えば、この夏から秋への3本のロッドで、ここに書ききれない原因での巻き直し塗り直しを含めて実に16回もエポキシを混ぜとりました。何をしとるのやら。

 で、完全硬化する1週間までは曲げたり使ったりしない方がいいので、1週間後、何とか出来上がったFS64をひゅんひゅんと振ってみました。

 チキチキチキチキ荻上チキ。

 音鳴りしとるやないか!!

 スレッドに、コーティングが染み込んでも色が変わらない(というか染み込まない)NCPタイプを使ったため、エポキシがガイドの足まで十分に回らなかったようです。このタイプのスレッドを使うときは、部屋を十分暖めておくか、薄め液を加えて粘度を落とした方がいいということか……。

 日々これ失敗。とほ。

 前回「つづく」と書いておきながら別の写真でごめん。昨日大江川にルアーを投げに行ってきました。リールはスピードスプールBB-2、一緒に写っているルアーはシャッドラップラパラSR-4です。バルサ製の1/8オンス(4g)のルアーがなぜ付いているかというと、このスプールはなんとAvail社製のBB-2/BM-2用スプールだからです。なお、ルアーを投げに行っただけなので、魚の写真はありません。だからボウズではありません。 (2014/11/3)

 ボウズやろ。

 BB-2/BM-2は樹脂スプールのため、糸を巻いたままにしておくと割れてしまうことがあります。私のスプールも割れてしまい、20年前に自分で図面を描いてアルミスプールを作ってもらい、それを使っていました。

 先日、BM-2を直すためアルミスプールの図面を欲しいという方が現れ、その話をフェイスブックでつぶやきました。すると、それを見ていたAvailの翠川さんから連絡があって、BB-2/BM-2用のスプールを作ることになったのでありました。写真は出来上がってきたスプールです。もちろん、ほかのAvailスプールと同じ浅溝軽量「マイクロキャストスプール」となります。

 写真は、ナイロン3号(12Lb)を35m巻いています。糸巻面の経26mmから少し巻いた経を28mmと仮定してギア比4.4対1よりハンドル1回転約39cmとし、ハンドル90回転分巻いています。普通にシングルハンドロッドでプラグを投げるなら十分です。

 ブレーキブロックはシマノ純正のバンタム100用ブルーで、オイルを付けました。BB/BMは、スプール右に遠心ブレーキがあり、すぐ近くにあるピニオンギア用二面カットからオイルが飛んでしまいます。だから、ブロックが乾いた状態で使い始めても、少し投げるといきなりブレーキが効かなくなります。だから、最初からオイルを付けた状態でブロックを選んだりキャスコン(メカニカルブレーキ)を調整したりするのがいいです。オリジナルの樹脂スプールのときは、リョービBBの巨大なブロックにしてオイルを付けて使っていたものです。

 ブルーのブロックにオイル付きで、プラグを投げるときは若干キャスコンを締める感じです。スプーンなど飛行速度の速いものはキャスコンフリーでいけますから、ちょうどいいのではないかと思います。スプールベアリングにはバンタムオイルが注してあります。

  バンタム100用ブルーのブロックは、石鯛リールの海魂シリーズに使われているので取り寄せられるはずです。私は2010年に「海魂3000(商品コード01372)」の部品として取り寄せました。現在海魂3000はシマノHPのパーツリストから落ちていますが、後継モデルも同じ遠心ブレーキを使っているはずです(確認はしていませんが変えるとは思えないので同じだと思います)。なお、ブロックを取り寄せると部品名は「B-100ブレーキカラー3.5」となっています。バンタム100の意味でしょう。

 もっとも、それにこだわらなくても、SVS用各サイズも使えます。ただ、SVS用はツバの部分がピニオンギアとの間に挟まりそうなので、ツバを外向きにして使うのがよさそうです(そう考えると昔リョービの大きいブロックを入れていたのは危ないことだったのか)。Avail社にも内径1.3mmのブロックがあります。なお、ブレーキピンは、オリジナルと同じ1.2mmにしてあります。

 それにしても、40年近く前のマイナーなリールのスプールを作っちゃってよかったのだらうか……。

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