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「2025年に向けて」



 年末には、東急沿線に住む3人の娘も帰省して、5人の子供たちと賑やかな年末年始を過ごすことができた。本音を言えば畑仕事を進めたかったのだが、5人揃うのは正月と冠婚葬祭だけだろうし、それぞれの話しを沢山聞きたかった。大晦日まで出荷をこなして、明けて二日三日四日と、ファーマーズマーケットに挨拶がてら少しずつ野菜を納品した。その間に、長男の引越しの準備を進め、昨日は出荷を休んで引越しを済ませてきた。これでとりあえず28年間の子育てを終えた気分になる。もちろん、3月まで長男は高校生であるから、まだ書類などの面倒を見る場面はあるが、七日からは新しいサッカーチームでの始動となるから、もう船出と言っていい。社会人としての仕事は4月からだけれど…。

 今日、引っ越しを終えて家に帰り、16時くらいから連れ合いと共に畑に出た。引っ越し先の街中とは違い、空気がキリッと気持ちよく感じた。僕たちの居場所はやはり良い、と思うと同時に、カラダを動かす場所が樹々や植物に囲まれた土の上であること、それこそがこの上なく幸せなことだとも改めて思う。今年も変わりなく、ここでカラダを動かしながら動植物たちに教えを乞う日々を積み重ねることができたらラッキーだ。

 畑においては、少しだけ不耕起のやり方を増やす方向に行こうと思っている。ただ、絶対的にそうしなければいけないとは思っていないので、観察をしながら、出来ることを模索しようと思う。去年の暮れに、小麦の種を少しだけ播いた。35年ぶりの小麦で、種を獲るためと畑への好影響を観察することが主眼だ。そのような試みを少しずつやれたなら面白いと思っている。僕の音楽のように、少しずつ歩みを進めることが、やはり僕の性に合っているかな?

 畑に草があると、それを観察して、それまでの畑の歴史を繋いでくれたなぁと思う。30年余り前に造成された「とーと畑」には、草が1本もなかった。そこから草を生やし、堆肥を繰り返し施しながら、野菜を作付けていった。草が生えるようになると、少しずつ草の種類が変わっていく。今は、いろいろな野菜が育つようになってきたが、今でも、まだ熟成されていないところでは芝草が多く生えている。その芝草を見ると、ああまだまだやな、と感じていた。今は、芝草も役割があって生えてくれるんやな、と思う。草が生えるには理由がある、と強く感じているからだ。漠然と感じることと、強く感じることとでは、明らかに違いがあり、行動の具体性にそれが顕れる。そこで、その場所に合わせて野菜の組み合わせを考えるのだ。

 人にも一人一人違いがあり、時間の尺度も違う。畑の土も、その場所の条件、つまり日光の当たり具合、風のあたり具合、水の流れ具合など、どの場所にも違いがあって、虫や草、動物から微生物まで生き方が違う。そこに良いも悪いもない。人間だけがそこから育った野菜に優劣をつけるのだ。僕たちは、育った野菜を買ってくれる人やお店に持っていく。こんな野菜はいらないよ、と言われれば持って帰るだけだ。しかし、僕たちが種を播いて育てなければ、僕たちの野菜を食べることはできない。だから僕は今年も種を播く。あとは野菜に仕事をさせられるわけだが、それが僕たちと野菜、自然界の共作になる。

2025年1月6日




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