長い菜種梅雨のあと、乾燥した日々が続いた。井戸水を出して畑に散水をはじめたが、まもなく井戸水は出なくなってしまった。地下水位が下がってしまったのだろうか？これには参った。雨ばかりで植え付けができなかった畑に、満を持して苗を植え付けたものが瀕死の状況になってしまう。毎朝毎晩、水道水をジョーロで水遣りに時間をかけたのだ。

　世の中の端境期をよそに、うちの畑では葉ものの収穫が真っ盛りだ。だから、出荷も忙しい。一日が出荷と水遣りで終わってしまう。草も伸びるから、草刈もしなければいけないし、植え付ける苗たちも、早く早くと出番を待っている。５月４日、とうとう雨が降った。その雨を見越して、３日に葉もの類を植え付ける。あの雨は、嬉しい雨だった。小雨の中を、嬉々として仕事を片付けていく。草も抜きやすくなるので、草取りもする。乾燥したら乾燥したでやることばかり、雨が降ればまたやることばかり。

　３日と４日は、長男のサッカーの試合もあった。見に行くつもりだったが、とてもじゃないけれど行けない。ここぞとばかりに仕事を片付ける。夜、連れ合いに撮ってもらった長男の試合のビデオを見る。３日の試合で、５年生に遠慮しているのか、コーチング（声だし指示）も少ないし、前からの守備も緩慢であったところを、きつく指摘する。すると、４日の試合では、コーチング、前線からの守備ともに旺盛で、長男をほめる。それにしても、５年生のユニフォームは、３年生の長男には大きすぎて、まるでユニフォームが歩いているようでもある。そんないでたちで、５年生を指さし、「マーク！」などとコーチングする姿は、傍から見れば妙であろう。

　あまりに体格差がありすぎたけれど、長男にとっては大きな体相手の試合をカラダにしみこませるという意味で、とても良い経験だった。１点しか得点できなかったが、学年に関係なくコーチングできることもわかったし、闘争心を表に出す姿勢も学年に関係なく通用するものだ。今後も５年生の試合に出ることができるかどうかはわからないが、３年生の試合、４年生の試合と、今月は毎週試合である。サッカーの試合も忙しくなるから、日々の練習はさらに重要になる。

　僕のカラダは悲鳴を上げている。朝晩、少しでも休息しないと。５日の子供の日も、出荷を片付けて、夕方、野菜の納品に車で出かけると、同級生のＫ君の車とすれ違う。先の５年生の試合にも出た息子を持つＫ君とは、小学校、中学、高校と一緒で、小学校の時にはよく遊んだし、高校では１年の時にサッカー部で一緒だった。車を運転しながら、疲れ果てた気分が「一杯やろう」の電話を掛ける気にさせた。そして、その夜、うちで飲んだ。

　Ｋ君の子供は、ビデオで見るとカラダは大きいけれど、気持ちが優しすぎるのがよく伝わってくる子だ。自分からボール奪取をしにいくことはなく、ボールが来たら守備をするという印象だ。サッカーをするのが楽しそうに見えない。Ｋ君に聞いてみる。「シュート練習してる？」「いや。まったくやったことがないくらい」「そうだろうなぁ。楽しそうじゃないもんね。サッカーって、シュートが一番楽しいでしょ？うちの長男は、毎日１００本以上シュート打ってるよ。それが好きでサッカーやってるようなもの」と、夜中まで会話は続いた。

2015年5月7日　寺田潤史

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