業務日誌(2003年6月その3)

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6月30日 「1円株式会社」のリスク

 日経新聞によれば、
「政府は株式会社や有限会社の設立に必要な最低資本金に関する規制を完全に撤廃する方針を固めた。すべての企業が無条件で資本金が1円でも起業できるようにし、起業の活発化を通じて民需主導による経済活性化につなげるのが狙い。」
だそうです。

 私が学生のころに教わった、商法における大原則「資本充実責任」なんかはもはやどこかに吹っ飛んでしまいましたね。

 起業を考えられている方はにとっては、資本金の払込証明を取るのに一苦労という場面がなくなり、グッドニュースであることは間違いありません。

 しかし、取引の相手方としてどうか、という問題の場合には、これまでより数倍リスクは増えることに注意が必要です。

 これまでは、株式会社を名乗る相手であれば、商業登記簿を確認し、真実であれば、「少なくとも1000万円の資本金は準備できた相手である」という最低限の信頼は確保できました。もちろん、現行法であっても、形骸化した法人を格安で買ったりということは可能であり、今目の前にいる代表者が会社設立者でない場合には注意が必要でしたが。

 しかし、これからは、1円でも株式会社を設立できてしまうのですから、設立から5年以内の株式会社(5年経つと1000万円の資本金が要求されるらしい)は、実際には個人と同程度の信用しかないという前提で取引を始める必要があります。

 さらに、株式会社の有限責任制度を悪用しようと思えば、1円で株式会社を設立し、5年経つ前に負債を放置して逃げてしまうことも可能なわけで、よく知らない新しい株式会社と取引に入るには、相当な覚悟が必要になっていくでしょう。

 こうなると、「株式会社」というものの信用自体ががた落ちになって、起業家に対する社会の目が逆に冷たくなるといった事態もあり得ます。正しい方向の施策なのか、検討が必要だと思います。




6月28日 法律家養成のコスト

 ある法学部大学生が法律家を志した場合、実際弁護士として登録できるまでにいくらくらいのコストがかかるのか。

 従来の司法試験制度の下では、
@ 司法試験に合格するまでの生活費
A 司法試験に合格するまでの予備校代
だけでした。司法試験に合格してしまえば、司法修習生の間は新卒キャリア並みの給料が支給されますので、少なくとも独り身では、贅沢を言わなければ暮らしていけました。

 例えば私の場合、司法試験受験を本気で決断した大学4年の時点で、アルバイトで貯めた貯金が約150万円。受験勉強に入り出してからのバイト(家庭教師)が月平均4万円くらい。
 自宅から大学と予備校に通い、学費と予備校代を支払って、3年目に合格したときは、ほぼ貯金が底をついていましたから、合格までには延べ250万円くらい使ったと言うことでしょうか。
 ただ、受験中もスキーに行ったりと、わりに悠々自適な生活を送っていましたので、正味は200万円弱と言うところでしょう。

 合格後、またバイトして、研修所入所時点で貯金が50万円くらい。起案のためパソコンを買い(当時は高い!)、盛岡に赴任して、現地で車が壊れて買い換え(;;)、修習を終えたときには貯金はゼロ、親に借金が120万円でした。

 ざっとみて、車はよけいな話としても、弁護士登録までに250万円の自己資金が必要という感じとなります。ま、これくらいなら贅沢をしなければ、弁護士登録後2年もあれば返せます。

 しかし、この秋から入試が始まるロースクールと、その後に続く新司法試験、修習ではこうはいきません。

 まずロースクール。私大だと年間200万円以上の学費がかかると言われています。2年間で400万円。
 
 そして新司法試験後の修習は、給与が「貸与制」になる公算が大だとか。だとすると、給与(貸与されるのなら「給与」じゃないですが)が現行どおりとして、1年で350万円の借金ができる勘定です。

 つまり、ロースクール後の法律家は、スタート地点で現在より750万円も多くの借財を背負っているわけです。

 何ともつらい現実、というか、私が現在学生だったら、法律家を目指すかどうか考えてしまう額の借金と言わざるを得ません。

 それでも医者よりはマシだろう、とか、どうせ弁護士になった後は儲けているんだから、と言う声が聞こえてきそうですが、お医者さんの世界も、医学部にかかる費用の高額さのために、志望段階で医者になる道をあきらめる人は相当います。

 これまでの弁護士の世界は、司法試験受験生時代は非常に苦労する方もいますが、合格後はガツガツしなくても弁護士登録にこぎ着けられ、スタート時点から自分のやりたい仕事を目指すことができました。今後はどうなんでしょうか?




6月26日 プチ日誌

 うーむ、プチ日誌しか書く暇がない(^^;
 昨日は「東弁理事者と若手弁護士の懇談会」というのに出てきました。
 で、東弁の会長と副会長を前に、「弁護士8年目はもう若手とは言わない。こんな奴ら集めてないで、どこぞの渉外事務所の5年目までの弁護士を集めて意見を聞け!」とくだを巻いてました(酔っぱらったときより素面の方が過激な私でした)。




6月23日 プチ日誌

 沖縄でまた米兵による事件が起こり、毎度のことながら日米地位協定の「不平等さ」が問題とされています。
 しかし、マスコミの論調でなぜか肝心な部分が欠落しています。なぜ米軍が引き渡しを拒むのか、という根拠の部分です。それは「日本の刑事司法では、被疑者取り調べに弁護人の立会が認められていない等、被疑者の権利が保護されていない。だから起訴までは引き渡せない」というものです。いわばアメリカからは、日本は刑事司法の「後進国」と見られているのですよ。
 この部分を放置していつまでも論じていても仕方ないのではないでしょうか?




6月22日 プチ日誌

久々に土日とも事務所でデスクワーク。
 例の刑事事件の控訴趣意書提出期限が迫っており(裁判所と大げんかして少し延ばしてはもらいましたが)、またまた当分はこれに忙殺されそうです………




6月21日 最近の我がネット事情

紫陽花
 6月16日の日誌で述べましたが、引っ越し先にBフレッツの工事が開通しましたが、どうも遅い。

 今度はマンションタイプ(最高10MB)ではなく、ニューファミリータイプ(最高100MB)なので、もはや無線LAN(802.11bなので実効スループット4MBくらい)では足りないなあ、今度は無線LANのアップグレードか?と思っていたのですが、それどころではなく、夜なんかISDNのころに比べても遅い気がする。

 これはおかしいと、NTTに問い合わせましたが「こちらの試験ではちゃんと速度が出ています。BIGLOBEの加入者が最近増えて、回線が混雑しているのが原因ではないですか?」とすげない返事。

 ふと思いついて、無線ルータ(NEC Warpstar75H)のファームウエアをバージョンアップしてみましたが、改善なし。ルータに原因があるわけではなさそうです。

 次に思いついたのはRWIN等の設定をいじること(これまでは何にもしなくても別に不満はなかったのですが)。ネットで検索して、EditMTUというフリーソフトをインストールして設定してみました。

 すると、目に見えて改善が。それでも深夜になるとちょっともたつきますが、とりあえず不満の溜まらないレベルまで来ましたので、これでよしとしました。

 ところで、暇な休日がなかなかやってこないため、ThinkPadX31の設定がいつまで経ってもできません(今日も仕事で出勤)。おかげでX20が未だに現役を張っているままです。来週あたり、できるかなあ………