業務日誌(2004年9月その1)

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9月15日 SP2恐るべし………
 
 本日もあわただしく午後の外の用事から帰ってきて、早速事務所での来客との打ち合わせに入ろうと思いきや、事務局が深刻な顔で「パソコンがLANにつながらなくなっちゃったんですけど………」と。

 何と、私のいない間に気を利かせてWindowsUpdateをやってくれたらしく、XPのサービスパック2をインストールしてくれちゃったようです(普段はそんなにまめにバッチを当てておらず、私が休日出勤中にバッチ当て作業を行っていることが多いのに………)。そして、見事にセキュリティの強化されたWindowsは、事務所のLANへのポートまで閉じてくれちゃったらしい。打ち合わせ前に腰が抜けました………

 打ち合わせ後、いろいろやってみましたが、私の技術ではSP2の未知のブロックには対抗できず、結局システムの復元で元に戻しちゃいました。




9月14日 死刑の執行
 

 宅間死刑囚に対して死刑の執行がされたようです。

 通常は、事件自体が相当風化していったい何の事件だったが容易には思い出せないころになって、おもむろに執行されることが多い死刑ですが、今回は死刑の確定から1年足らずでの執行です。世論に後押しされたような感じなのでしょうが、何となく姑息な感じもします。

 刑事政策の教科書を開けば必ず書いてあることですが、何のために犯罪に対して刑を科すのか、これは結構難題です。

 カント的観念論からは、罪を犯した以上当然の応報として刑が科されるべき、ということになりますが、ハムラビ法典の「目には目を」の時代ならともかく、罪刑の均衡が完全に保たれている訳ではない近代国家では、このような観念論だけでは説明不可能でしょう。

 被害者に指摘復讐を禁じたことに対する代償としての意味であるとか、より広く社会一般の応報感情を満たすためという意味合いは現実にも存在するでしょう。江戸時代の「市中引き回し」や「さらし首」は、何よりこのような意味合いを強調した措置であると思われます。

 しかし、講学上もっともよく言われるのは、「一般予防効果」と「特別予防効果」という二つの功利主義的観点からの刑罰の正当化です。「一般予防」とは、刑罰のつらさを社会に示すことにより、社会一般の犯罪に対するプレッシャーを高めて犯罪を一般的に予防しようとすることです。これに対し、「特別予防」とは、刑罰による教育効果により、犯人自身を更生させて犯罪の再発を予防しようとするものです。

 もちろん、犯人自身を殺してしまう「死刑」には、特別予防的効果はありません。従って、正当化の理由は一般予防の観点のみ、ということになります。

 しかし、振り返って宅間死刑囚の場合、最後まで「死ぬことは怖くない」と強がっていた彼に死刑を執行することに、一般予防の効果は果たしてあったのでしょうか。

 マスコミの論調に共通しているのが「最後まで謝罪の言葉がなかった」という点ですが、そもそも特別予防の余地なし=更生の可能性なし、として社会の側が切り捨ててしまうはずの死刑囚に対し、死刑囚の側からは社会(被害者)に対し、謝罪の言葉を期待するというのは、ちょっと論理矛盾ではないかな、という気がします。

 それほど死刑、というのは説明の付けにくい刑罰です。




9月10日 弁護士職務基本規程

 弁護士が業務遂行に当たって拘束される法規には、弁護士法という法律と、日弁連及び各弁護士会の定める会規があります。

 これとは別に、日弁連が定めている弁護士倫理というものがあります。これは法律とも会規とも違うちょっと不思議な位置づけで、弁護士の守るべき道徳律というか、紳士協定というか、まあそんな感じです。要は、違反しても直ちに懲戒等の対象になるわけではないという、訓辞的な定めなのです。ま、個々の内容を見てもらえばわかるとおり、精神論的な定めが多いのも事実ですが。

 この弁護士倫理の大改正が現在日弁連で議論されています。
 総論を簡単に言えば、弁護士倫理の内容をもっと具体的な内容にした「職務基本規程」とするとともに、会規化する=違反すれば直ちに懲戒の対象となる強制力を持ったものにするというものです。

 この改正の方向性を巡って、いつものごとく弁護士会内で賛否両論が火花を散らしているわけです。反対論の論拠としては、「裁判所や検察官からの懲戒請求に名を借りた弁護士弾圧が行われやすくなる」「弁護士の職務の独立と自治を危うくする」というものがあります。

 実はこの問題の根底には、このときの日誌で私が書いた「弁護士自治」=「弁護士の自治」と捉えるか、「弁護士自治」=「弁護士会による自治」ととらえるかのスタンスの違いが色濃く影を落としています。前者の感覚がある人は、「弁護士自治に対する侵害だ!」と叫びたくなるわけです。

 しかし、前にも書いたように私から見ると、弁護士自治とは、国民の権利を守るべき弁護士は、国家権力から独立したところに拠り所を保障されることに本来の意義があるわけですから、個々の弁護士が誰からも拘束されないことまで当然に保障されるものではないと思われます。むしろ、国家権力からの独立を守るためには、自治の内部では厳しい自律が必要なわけで、弁護士会による自律は当然必要なのではないかと思われます。

 というわけで、私自身は(各論はともかく)総論では弁護士職務規程の方向性には賛成です。




9月7日 50,000アクセス
 
 本日午前中に大台に乗ったようです。30,000、40,000ときて、50,000ともなると、それなりの達成感はありますね。アクセス数だけがこのサイトの目的ではないにせよ、毎日コンスタントにこのサイトをチェックしてくれる方もいらっしゃるようで、頭が下がるばかりです。




9月2日 最長ブランク(^^;
 
 気がついたら何と13日も日誌を更新できずに日にちが過ぎてしまいました。うーむ。

 原因はいろいろあり、お盆明け&当職の休み明けで仕事が溜まっているところに、オリンピックが重なってついつい家でパソコンに向かう時間がなくなり、一度日誌更新をさぼり出すと復帰するのに心理的壁がさらに高まる、という悪循環状態(^^;

 当職の業務上も、8月下旬から証人尋問は立て続けに入るは新件は立て続けに来るはで、しばらく息がつけそうにありません。