弁護士の選び方・頼み方講座 Q1 どのようなときに弁護士に相談すべきか? まずイメージしてもらいたいのは、「弁護士は社会生活上の『医者』である」ということです。 世の中には医者にしょっちゅうかかる人もいれば、医者要らずと言う人もいます。医者要らず、という方は、きわめて頑健な体の持ち主で、滅多に風邪も引かないか、引いても自己流の治療で治してしまう、あるいは強靱な自己回復力でちょっと節制すればすぐ健康回復という方でしょう。 しかし、中には単なる体調不良に見えて、命に関わる大病の初期症状という場合もあります。この場合には自己流で治そうとしているうちに、手遅れになってしまう可能性もあります。それを考えれば、ちょっとした体調不良に見えても、できるだけ信頼できる主治医に見てもらった方が安全であるに決まってます。 弁護士も同じです。多少の法律知識があって、多少のトラブルくらいなら解決できる交渉能力の持ち主の方でも、生兵法で対処しているうちに、深刻なトラブルになってしまう可能性もあります。ですから、一番いいのはちょっとしたことでも気さくに相談できる主治医のような弁護士を知っておくことでしょう。 「弁護士なんか関係なくやってきたよ。」という方でも、実際には法的紛争が絡む細かいトラブルはたくさん遭遇しているはずです。例えば、 ・隣近所とのトラブル ・職場の上司とのトラブル ・相続にまつわるトラブル ・アパートの大家さんとのトラブル などはよくありませんか? indexに戻る トップページへもどる Q2 知り合いに紹介された弁護士は信用できるか? トラブルが起こり、さあ困った、弁護士に頼まなきゃと知り合いを聞き回ったところ、とある知り合いが「自分の知っているいい弁護士がいる」という。さあ、無条件に信頼していいものか? ま、会う前から無条件に信頼していい弁護士などいませんね。それはいいとしても、会ってしまうとその知り合いに対する義理から「頼まないと悪いな」という気持ちになってしまい、冷静な判断ができないおそれはあるでしょう。 従って、会う前にある程度、客観的に「信頼できそうだ」という最低限の条件を確認しておくべきでしょう。 最も大事なのは、その弁護士を紹介してくれた当の本人が信頼できる人か?という点でしょう。誠実さに欠ける人が紹介してくれる人というのは、やはりどこか誠実さに欠けていることが多いように思われます。 次に確認すべきは、紹介者とその弁護士はどのようなつながりなのか?という点です。 @ 紹介者というのが実は「紹介屋」的な存在で、その弁護士やあなたから紹介料を取ろうとしている場合は論外ですので(弁護士法違反にもなります)、絶対におやめ下さい。 A 紹介者が弁護士と単なる知り合い、という場合は、まあその弁護士の職務能力の判断材料にはなりませんので、とりあえずニュートラルな状態で会ってみるしかないでしょう。 B 紹介者が「この弁護士に自分の事件でお世話になった」という場合は、できればその時の話を詳しく紹介者から聞いてみてください。その上でその弁護士の対応がいちいち納得がいく場合は、紹介者の言うとおり信頼に足る弁護士と考えても差し支えないことが多いでしょう。 しかし、最後は直接自分が会って確かめてみないと最終的には分からないことは言うまでもありませんので、くれぐれも即断はしないようにご注意を。 indexに戻る トップページへもどる Q3 ツテがないときに最も安全な弁護士の選択方法は? 知り合いに聞いても弁護士が見あたらない。 そんなときはどうすべきか? 一番安全なのは、弁護士会の主催する法律相談を利用することでしょう。 東京弁護士会を例に取れば、こちらをどうぞ。 なぜ、弁護士会の法律相談が最も安全なのか? @ あまり評判の悪い弁護士は相談担当者から外されますので、大外れという危険は少ない。 A 相談をした弁護士に依頼する場合、弁護士会の審査があるので、法外な報酬を請求されるおそれは少ない。 B 事件の進行について、弁護士から弁護士会への報告が義務づけられていますので、いい加減な仕事をされる危険は少ない。 からです。 indexに戻る トップページへもどる Q4 広告から弁護士を捜すときに注意すべき点は? せっかく広告があるのだから、広告で良さそうな弁護士を捜したい。そのお気持ちはもっともです。 しかしながら、まだ弁護士広告は解禁されたばかり。広告の手法が確立されていないこともあり、まだほとんどの弁護士が広告を出すことに対しては「様子見」であるのが事実です。 そのような中で、現在広告を出しているのは、ベンチャー精神を持った気鋭の弁護士と、怪しげな弁護士の2種類が多いという傾向にあります。 広告媒体でいえば、週刊誌やスポーツ新聞、電車内の広告等は怪しげな弁護士の割合が高いように思われます。HPは、結構大手法律事務所も作成している場合が多いので、まだましな状況といえましょう。 一番注意すべきは、債務整理を依頼しようとしている方々。 債務整理のプロであることを売り物にしている広告の弁護士は、現状ではかなりの部分「提携弁護士」の疑いがある人のため、ご注意下さい。 本当の債務整理のプロはほとんどの場合、弁護士会の法律相談の担当もやってます。逆にそのような弁護士は「債務整理のプロ」であることを必要以上にひけらかしたりしません。 その他、あまりにバラ色の夢を振りまくような宣伝文句が多い弁護士は逆に「?」と思った方がいいでしょう。本当の弁護士は、常にリスクを説明しながら(つまり厳しいことも言いながら)相談に乗るものです。 indexに戻る トップページへもどる Q5 「提携弁護士」って何? 「提携弁護士」とは、紹介屋、整理屋と結託した弁護士のことです。 ………といっても何だかおわかりにならない方が多いかも知れません。 神田や新橋、新宿の駅のトイレや電話ボックスには必ずと言っていいほど「借入先が多くてお困りの方、低利で一本化します!」的な文句のチラシがおいてあります。 藁をもすがる思いで、このチラシの連絡先に足を運んでみると、窓口の人が「お気の毒ですが、審査の結果、あなたには貸せません」と冷たい宣告。がっくりするあなたに対して、親切そうな顔で「もしお困りでしたら、いい弁護士さんを知っていますよ」と、誘いの言葉が来ます。 これが「紹介屋」です。 渡された地図を頼りにその事務所に行ってみると、こちらの用向きなどすっかり分かってる風に出迎えられます。ここであなたがもし事務所の中を注意深く見れば(見られる場所を通った場合の話ですが)、事務員の数が妙に多いのに気がつくでしょう。 応接室に通され、待っていると、弁護士さんらしき人が入ってきて、あなたに名刺を渡します。しかし、渡された名刺の肩書きをよく見ると「事務局長」と書いてあります。 簡単に債務整理の説明をされ、契約書に書き込む段階になって、ようやく本物の弁護士が登場。名刺を渡されます。しかし、この弁護士、名刺を渡すと、話もそぞろに「あとはこの人とよく相談して頑張ってください」と退席してしまいます。以後、あなたがこの弁護士の顔を見る機会はありません。 この「事務局長」が「整理屋」です。そして紹介屋、整理屋と結託しているから「提携弁護士」と呼ばれるのです。 で、具体的に何が問題なのか。 @ 提携弁護士は、要は自分で事件処理を全くしません。「弁護士」という肩書きを貸しているだけです。提携弁護士の事務所は整理屋に乗っ取られているわけです。あなたの債務整理を行うのは、もっぱら整理屋です。 A 紹介屋、整理屋は貸金業者と闇のつながりを持った集団です。ですから、貸金業者とケンカはしません。あなたの立場に立ってとことん戦ってくれません。大量に事件を受けるため、めんどくさいこともしません。利息制限法による引き直し計算もきちんとしない場合が多くあります。 B 法外な報酬を取ります。というより、弁護士に払ったお金のうち、いくらが債権者に支払われ、いくらが報酬になったのか、なかなかわからない場合が多いです。 つまり、あなたにとって大損をする可能性があります。 提携弁護士に事件を依頼することがどれほど危険かということについては、医者の場合に当てはめて考えてみてください。 あなたが病気になったとして、病院に行った場合、医者は出てきて自己紹介をしただけで奥に引っ込んでしまい、あとは看護婦さんが病状を聞き、聴診器をあて、薬を処方したとしたら、あなたはその病院に引き続きみてもらう気がしますか? 提携弁護士に依頼するのも同じことなのです。 indexに戻る トップページへもどる 次ページへ |