弁護士の選び方・頼み方講座



Q11 若手弁護士とベテラン弁護士、どちらがおすすめか?

 ここで亀の甲より年の功、と言ってしまえば、はいそれまでで、若手の端くれたる私の出番はなくなってしまうので、少し言わせてください。

 確かに弁護士にとって、場数を踏んでいるという経験はかけがえのない財産です。単に度胸が据わっている、ブラフが効く、駆け引きがうまくなるということのほかにも、ノウハウという財産は単に勉強で得られた知識にはかなわないものがあることは認めざるを得ません。

 しかし、年とともに頭脳はやはり柔軟性を失っていくものです。特に変革期の現在、新しい立法や運用についていくのはなかなか大変なことです。また、相談者の話一つ聞くことをとっても、年とともに、経験により「聞き上手」になる技術と、頭が固くなって先入観が抜けなくなる可能性と相半ばします。

 これに対し、若手弁護士は経験こそありませんが、それを補ってあまりある熱心さとフットワークの軽さがあってこそ、ベテラン弁護士をしのぐ場合もあります。

 なお、司法試験合格者は必ずしも若者だけではないため、年齢だけで弁護士の経験を判断するのは危険です。同業者では、司法研修所を卒業した「期」によって、経験年数が判断できます。

 例えば、私は48期ですから、平成14年現在、弁護士7年目です。当事務所の所長、由岐は36期で、弁護士19年目です。弁護士会内では、私は駆け出しから中堅にさしかかり始めたところ、由岐は中堅からベテランにさしかかり始めたところといえましょうか。

 一般的には、弁護士登録後3年程度あれば、一般的な事件については最低限のノウハウは身につけているとは言えるでしょう。事件の見通しについても、ある程度はわかるため、見通しを誤って後で難渋する確率は低いといえましょう。

 それより経験の浅い弁護士の場合は、事件の見通しという意味ではやや不安があることは事実ですが、きちんとした調査能力と熱意があれば、これを補うことは可能でしょう。

 3年以上以後は、基本的には経験年数が多ければ多いほど、ノウハウはあると思ってもいいでしょうが、前述のように、「老害」が発現していないかには注意が必要かもしれません。

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Q12 相談をするのに予約が必要か?

 ここが医者にかかるのとは最も大きく違うことかも知れません。

 医者であれば、診察時間が決まっていて、その間に行けば間違いなく診察は受けられます。しかし弁護士の場合、予約なしに飛び込みで事務所に行ったとして、弁護士が相談に応じてくれる可能性はかなり低いと言わざるを得ないでしょう。

 その理由は、
@ 弁護士は相談をしているだけではなく、裁判所にも出かけますし、相手方との交渉や調査等しょっちゅう外出します。弁護士会の会議に出かけることも多いです。これらは日中のランダムな時間に入りますから、「何曜日の何時には必ず事務所にいます」ということは約束できません。ですから、そもそも飛び込みで訪問したその瞬間に弁護士が在所している可能性は五分五分です。

A 医者と異なり、弁護士は依頼者との相談や打ち合わせに最低30分程度、長ければ2〜3時間はかけなければなりません。突然訪問されても、その瞬間に他の依頼者との打ち合わせを行っていればお待ちいただかざるを得ないし、その後も予定が入っていれば、その方に割ける時間を作ることは不可能な場合もあります。

 ですから、弁護士に相談される場合にはあらかじめ電話やメールで予約を入れていただくことは不可欠といってよいでしょう。

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Q13 相談する際に注意すべきことは何か?

 まず、持ち物です。

 弁護士に相談するようなトラブルですから、契約書や請求書、通知文など、何か参考になる書面や資料がある場合が多いでしょう。手ぶらで相談に行っても、弁護士は相談者のいっていることが本当に正しいのかどうか、判別できません。書面を見ればたちどころに問題点がわかるはずなのに、相談者が問題点の把握を間違えているために話が飛んでもない方向に行ってしまう場合もあります。必ず、関係のありそうな資料はお持ち下さい。

 次に相談の仕方。

 突き放すような言い方をするようですが、弁護士は相談者の身の上話を聞くために相談を受けているわけではありません。トラブルの内容を把握し、具体的な解決方法を探るために相談を聞いているのです。

 ですから、できるだけ率直に、修飾や憶測、誇張を交えず事実の概要とあなたが困っている点を伝え、解決の方向性について希望がある場合にはそれも率直に話すべきでしょう。

 背景事情が長くなる場合には、時系列に沿ってメモにまとめてきてくださると、弁護士は大変助かります。問題点や疑問点を箇条書きにメモでまとめておけば、あなた自身も聞きはぐれることはなくなるでしょう。

 それから、一番大切なことは、「あなたにとって一番不利だと思われる事情も含めて弁護士に話す。隠し立てをしない」ということです。

 弁護士には守秘義務がありますから、あなたが不利な事情を話したからといって、その事実が相手方に漏れる心配はありません。むしろ、あなたが不利な事情を隠すことにより、弁護士が判断を誤り、解決の方向性を誤ってしまうことが少なからずあります。

 場合によっては取り返しのつかないミスにつながる可能性もあります。今ある手持ちの材料を全て弁護士と共有した上でないと、正しい解決は望めません。

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Q14 法律相談料はいくらか?

 具体的には相談する直の相手の弁護士によって異なりますので、直接問い合わせていただくのが一番です。という前提の元で、一般論を述べれば………

 東京弁護士会の報酬会規によれば、法律相談料は、

 初回市民法律相談     30分ごとに5,000円
(事件単位で個人から受ける初めての法律相談で、事業に関するものを除く)

 その他の一般法律相談  30分ごとに5,000円以上25,000円以下

と規定されています。

 この規定は一つの目安に過ぎませんので、渉外弁護士など、これより高い相談料を取る弁護士もいます。しかしながら、普通の相談であれば、まあ1時間で1万円程度が相場と思ってだいたい結構かと思います。

 なお、この相談料は、あくまで当該相談自体にかかる料金です。相談した結果、弁護士にその場の助言以上の何らかの行動を依頼する場合には当然そのための料金がかかりますので、ご注意下さい。

 逆に、相談の結果、直ちに弁護士が何らかのアクションを起こす方がいいという話になり、あなたがすぐにその弁護士に正式に依頼し、着手金等の弁護士費用を支払う場合には、その回の法律相談料は独立しては支払わなくてもいい(つまり着手金等に含まれている扱いを取る)場合もあります。私などはこのような扱いをよく取っています。

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Q15 あなたが相談した弁護士は信頼できるか?

 とある弁護士に初めて相談に行った結果、何らかのアクションを起こすべきという結論に至ったとき、普通はその弁護士に「お願いします」という流れになると思われます。あなたが選んだ弁護士ですから、ケチをつけるつもりはありませんが、後で後悔しないために、一応私なりのチェック項目を挙げておきます。

@ その弁護士は、あなたが取るべき手段、取りうる手段について十分説明してくれているか。

 これから何をすべきなのかについて、ろくに説明もせずに「私に任しておきなさい」という弁護士は、太っ腹な人とは言えるかも知れませんが、リスクが高い弁護士であるのは確かでしょう。

 最悪の場合、着手金は支払ったけれども、その後何にもしてくれずに、結局依頼した件は手遅れに………という悪夢のような結末も考えられます。

 依頼する件について、交渉をするのか裁判を起こすのか、どのような手順を踏むのか、どのような解決を目指すのか、弁護士はできる限り見通しを依頼者に説明する義務があります。これらの点について、何も具体的に話してくれない弁護士は注意した方が無難です。

A その弁護士は、あなたに都合のいい話だけをしていないか。

 法的紛争において、一方が100%悪く一方が全く落ち度がない、あるいは一方には何の言い分も成り立たない、という事態はあまりありません。双方に言い分があるから紛争が起こるのです。

 相手のあるトラブルである以上、結果が当方にとって常に満足行くものとは限りません。裁判を起こしても、敗訴の危険は常にあります。

 それを、「必ず勝てる」とか「絶対大丈夫」という弁護士は、ちょっと注意した方が無難でしょう。

 「良薬口に苦し」という言葉がありますが、弁護士も同じです。あなたにとって耳の痛いこと、あなたにとっての弱みも敢えて指摘してくれる弁護士こそ、本当は信頼に足るものと考えるべきです。

B その弁護士は、弁護士費用について合理的に説明してくれているか。

 弁護士費用には、弁護士会の定める一定の基準があり、具体的な金額はその事件の性質を考えて、弁護士と依頼者の協議で決定されます。といっても、初めて弁護士に依頼される方にとっては「協議」といわれても、相場も根拠もわからず、弁護士の言い値を飲む場合がほとんどでしょう。

 ですから、具体的な金額について、せめてどういう算定基準に基づいてこの金額になるのかは弁護士に説明を求めるべきでしょう。この点について、はぐらかそうとしたり、訳のわからない説明をする弁護士は、注意すべきでしょう。

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