弁護士の選び方・頼み方講座



Q16 通常の事件で、弁護士に依頼するとどんな費用がかかるか?

 まず、実費がかかります。
 実費には、交通費、通信費等の経費のほか、訴訟提起のためには郵便切手(数千円程度)、印紙代(事件の種類によります)がかかります。
 純粋に弁護士が受け取る報酬としては、着手金、中間報酬、成功報酬等があります。これらの費用に代えて、いわゆるタイムチャージ制を取る弁護士もあります。これはその事件の対応に従事した時間について、1時間あたりの単価を決めて報酬を受け取る仕組みです。
 この他、地方出張の場合には日当を受け取ってよいことになっています。

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Q17 着手金・報酬とは何か?

 弁護士がある事件を引き受ける場合、その事件が成功裏のうちに解決するかは、やってみなければわからないものといわざるを得ません。紛争には常に相手方が存在する以上、最初のもくろみ通りに解決することは必ずしも保障できませんし、同じ種類の事件は同じような手法を取れば必ず解決できるとも限らないからです。

 その一方で、弁護士としても、事件受任の当初から、一定の解決を目指して取るべき手段を取り、時間をかけて事件に対処することは事実ですので、その見返りとして、事件を受任する段階で契約金のような形でいただくのが「着手金」です。

 「着手金」とは文字通り、着手するためにいただくお金であり、支払われるまでは弁護士は事件に着手しなくてよいことになっています。また、事件の結果がどうあれ原則としてお返しはしません。

 これに対し、事件が成功裏のうちに解決し、依頼者が一定の利益を得たと考えられる場合、その利益の程度に応じて弁護士にも分け前を下さい、というのが成功報酬です。成功報酬ですから、当然、依頼者が何の利益を得ていない場合にはいただくことはありません。

 つまり、弁護士を頼む場合には、原則として最初と最後にお金がかかることになります。

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Q18 着手金の額はどうやって決まるのか?

 弁護士の着手金も報酬金も、原則として解決すべき争いの対象となる経済的利益がいくらかによって決するものとされています。

 通常の訴訟事件を例に取りましょう。
 日弁連の報酬基準(近い将来なくなる可能性が強いですが)によれば、一般の訴訟事件の着手金は、
 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合、その経済的利益の8%
 (ただし、最低10万円)
 300万円を超え、3000万円以下の場合、同じく5%+9万円
 3000万円を超え、3億円以下の場合、同じく3%+69万円
 3億円を超える場合、同じく2%+369万円
となっています。

 例えば1000万円の売掛金のうち、300万円は回収済みだが、残り700万円を支払ってもらえない。そこで訴訟を起こすことを弁護士に頼んだ場合、着手金はいくらかかるでしょうか。

 この場合、回収すべき700万円が経済的利益の額となります。

 上記の計算式に当てはめると、300万円を超え3000万円以下の部分にあてはまりますので、700万円×5%+9万円=44万円が着手金の基準額になります。

 しかし、日弁連の基準では、同時に「事件の難易によって、30%の範囲内で増減可能」とされていますので、結局着手金の額は、30万8000円から57万2000円の範囲内ということになります。

 実際にはほとんどの弁護士は、日弁連の基準のうち、30%の「増額」規定の方はあまり使っていないと思われます。

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Q19 報酬の額はどうやって決まるのか?

 成功報酬の額は、実際に得た利益が「経済的利益」となります。従って、裁判で負けてしまった場合には、原則として報酬は発生しません(タイムチャージ制や特約を結んでいた場合を除きます)。

 日弁連の報酬基準(近い将来なくなる可能性が強いですが)によれば、一般の訴訟事件の報酬は、基本的に着手金の倍です。すなわち、
 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合、その経済的利益の16%
 300万円を超え、3000万円以下の場合、同じく10%+18万円
 3000万円を超え、3億円以下の場合、同じく6%+138万円
 3億円を超える場合、同じく1%+738万円
となっています。

 Q18で取り上げた例の場合、例えば裁判の結果、500万円の回収に成功した場合、この500万円が経済的利益と考えます。

 上記の計算式に当てはめると、500万円×10%+18万円=68万円が報酬金の基準額です。

 報酬についても「事件の難易によって、30%の範囲内で増減可能」とされていますので、報酬金の額は、47万6000円から88万4000円の範囲内ということになります。

 実際にはほとんどの弁護士は、日弁連の基準のうち、30%の「増額」規定の方はあまり使っていないと思われるというのも着手金の場合と同じです。

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Q20 債務整理の場合、着手金・報酬はどうなるのか?

 債務整理の場合、上述の「経済的利益」の基準はあまり妥当しません。日弁連の報酬基準もあるにはありますが、ある程度以上の事業規模の事業家や企業を念頭に定められているため、給与所得者や零細事業の方の債務整理に適用すると、あまりにも非現実的な金額になってしまいます。

 そこで、東京3会では、クレジット・サラ金法律相談センターの相談担当弁護士に対して独自の基準を定めており(これもなくなるかも?)、当職もこの相談で受けた事件はもちろん、他のルートから受けた事件に関しても、原則この基準に準じて弁護士報酬を定めています。

@任意整理の場合、債権者ごとに交渉の手間が発生することから、債権者の数を基準として着手金を定め、成功報酬には依頼者の得た利益を加味します。
  着手金   2万円×債権者数
  成功報酬 和解した債権者1社ごとに2万円
        +(債権者主張の残元金−和解金額)×10%
        +(過払い金を交渉によって返還させた場合はその金額)×20%

 例えば、ある債権者が当初、50万円の残元金を主張していたが、利息制限法に基づく引き直し計算により、逆に35万円の過払いであることが判明し、交渉によって30万円を返還させて和解した場合、この債権者についての成功報酬は、
  2万円+(50万円−0)×10%+30万円×20%=13万円になります。

A自己破産申立の場合、債務総額が1000万円以下であれば、大まかに債権者数で決まります。
  債権者数が10社以下 着手金20万円
  11社から15社     同25万円
  16社以上        同30万円

 成功報酬は免責決定が出た時点で着手金と同額です。

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