ことば悦覧in東京2010 春版 記録集               home  

 佐藤敏宏 本瀬あゆみさんに聞く 2010年5月9日東京駅前晴れ 

生い立ちから01 02 03 04 05 06)  (RAJあれこれ 07 08 09) 

 その04 
 
 (多・階段住宅) 

本瀬:持って来ましたよ 
佐藤:じゃそれを撮ってと
本瀬:     はずか しい!

佐藤:これは自分で作った本ですか 
本瀬:自分で作った本です、ポートフォリオです、でもここから載せることないって!!みんなに言われてるんですけど。最初に作った住宅です
佐藤:階段がやたらにありますね〜階段屋敷どうなっているんですか

本瀬:これは個室が在って、階段で分かれているただそれだけなんです、これ出すのはちょっと拙い
佐藤:本瀬さんの原形じゃないですか
本瀬: まあ そうですね
佐藤:階段はあるけど 1階は何なの

本瀬:1階は駐車場があって、上にリビングが在って、で階段で下りていくとそれぞれの個室があるみたいな。
佐藤:階段が一部屋一階段!備わっている。各個室往き来できないのね。
本瀬: 往き来できちゃっている

佐藤:個室の間は壁じゃないの
本瀬: 壁 無いですね
佐藤:暴力的な階段の数! じゃないですか
本瀬ふふ ふふ  ふ ふ

佐藤:登りは始めに隙間がないですよね
本瀬ああ 無いですね
佐藤:ガラス面から いきなり階段が始まっている ふふふ だから面白いですよ数も多いし
本瀬:横から のぼれるんじゃねーかみたいな
佐藤:それは面白いね〜 普通の階段 じゃなくってね

本瀬:これ横から昇るんじゃないですか
佐藤:正常な階段も付いているし。勾配45度の急勾配ですね
本瀬:危ないです
佐藤:家族構成とか考えているんですか

本瀬:家族構成は夫婦・子供・子供です
佐藤:4人家族で、各部屋同じ大きさで割り付けている。その特徴が乱暴で、いいじゃないですか。階段も凄いですね、2種類の階段がどうしてこんなに在るのか!不思議だね〜。
本瀬:そうですね
佐藤:今だったら考えられないでしょうこのプランは
本瀬:そうです、今は考えられないですね〜
佐藤:これが出来ちゃう!のがいい だからいい、面白いよね

本瀬:    たしかに
佐藤:この階段と
本瀬:しかもエントランス無いから、入れるのかよ これ
佐藤:いろんな機能のようなものが無いのが 凄い面白いよ
本瀬:そうです 

佐藤:一応車2台 駐めてあるってことはパパとママがそれぞれ運転するのかな〜
本瀬:でも車のプロポーション違いますよ
佐藤:外車じゃないの、違いますね長いですね、またここにも階段があるどこに行くんだ
本瀬:2階に行くリビングに、その一回のぼるみたいな話たぶん。
佐藤:どうしてこんな多くの階段付けちゃったのか 面白いよね



 (一人用の部屋)

本瀬:これは2年生、一人用の部屋をつくるみたいな話で、こういうふうに家具を
佐藤:一人用の家 棺桶みたいな家だね
本瀬:そうですね、これは植田さんの授業だったんですよ。スライドが凄い面白かったですね
佐藤:植田実さんの課題ですか
本瀬: は い で1帖で2700ぐらいの高さで、その中に自分のスペースを作りなさいみたいな。
佐藤:これはどうなっているんですか

本瀬:これは、座ったりするような、ものがボイドになって抜けてるみたいな感じの
佐藤:そのボイドは何?窓それとも
本瀬窓じゃないんですよ、この

佐藤:これは内部と関係なく突き通っていて、鳥や虫が巣をつくれる外部なんだ
本瀬:そうですそうです
佐藤:部屋の内部からはこの突き抜けたボイドには入れないと。凝ってますね
本瀬:ふふふっふふふ

佐藤
:内部は繋がっているけど外部が浸食し突き抜けているボイド。内部が浸食されたような外部には直には入れない。内部ではクネクネ体曲げたり腹這いになって進んだりして使い込むんだ
本瀬:そうですねそれでここに座ったりして突き抜けたボイドがテーブルになっているみたい

佐藤:野鳥や虫や生き物用に突き抜けるボイド! 内部から見ると家具なんだけど絶縁されている。あるいは邪魔になったりの 巨大な障害物であると
本瀬そうですね、邪魔な
佐藤:これも面白いですね、凄い暴力的な内・外部の対話と融合だね
本瀬:そうですね
佐藤:これがおおきくなって 住宅や巨大な建築物になったら! 外に住んでいる人と内部に暮らす人が関係せずに暮らせる。二世帯、多数者用建築のようなもんだ。内部は一所帯かもしれないけど外部には何人も暮らせるってことだよね
本瀬:そうですね

佐藤:あるいは路上生活者に開放された今晩の私の部屋でもあるような 野鳥の家でもあるような。
本瀬:     そうですね
佐藤:これ面白いですね、箱って書いてあるこれが2年生です
本瀬:2年生ですね

佐藤:この当たりは本瀬イケイケで 佳き時代だった  と
本瀬:この時代はいけいけでしたねふふふ
佐藤:大建築家になれるかも〜で。これ面白いよ この計画
本瀬:はい

佐藤:このようなビルが在ると本当にいいよね、俺が来たらここに泊まって暮らせる穴がある
本瀬:はははは

佐藤:
建築基準法改正してビルには他者に開放された巨大なボイドを設けなければならないとなって ビルが出来ると、社会は変わるよね。ビルとビルを貫通連結してると面白い。高速道路が貫通してるビルはみたことあるけど。誰でも使えるボイドが抜けている、備えているボイドがビルの ド出っ腹に差し込んであるみたい ははははははは。新しい建築の概念が産まれるよね そんなことは考えてないんでしょう

本瀬:
ふふふ そんなことは考えてない 外部に居る こっちの人が向こうが見えたりとかというぐらい
佐藤:おれ想像し過ぎてる ふふふ 俺このボイドに住めたらいいな〜って想った ちゃたから
本瀬:想像しすぎ です!ははあははははは
佐藤:9×18で 高さ27mだったら可能だよね
本瀬:たしかに人住めますね
佐藤:凄いね


 (小学校計画) 

本瀬:これも小学校で さっきの、これは2年生の後期、でこれも住宅と似ているんですけど。中にオフイスが入っているんですよ。全体が小学校の中で
佐藤:外形変わってますね、敷地そのまま なぞった形ですか
本瀬:敷地そのままです

佐藤:ピンクに色つけしてある部分が外部ですか
本瀬:オフィスです
佐藤:あ そうか 学校とオフィスが融合して在るんだ。
本瀬:凄い恥ずかしいですよ。がすごいランドスケープになって この事務所に入る人達は上から下りてくるんですよ

佐藤:
恥ずかしくないよ! なるほど さっきの箱住宅が横に倒れたんだ。似てますね〜
本瀬:そうです似てるんですけど。で 間スペースは小学校に使っている
佐藤:屋根の表層が1階まで落ちてきて、穴があき 小学校に溶け込んで在るんだ、お互いは見えるんですが

本瀬:見えますね
佐藤:いいね〜!お父さんお母さんの仕事ぶりと、子供の学習振りが互いに見渡せるんだ。箱住宅と同じですけ 見通し合えるんだは進歩ですね。外形は敷地に合わせた適応性はあるけど
本瀬:同じですね
佐藤:本瀬主義 噴出ですよ! 箱住宅が横に倒れて膨張し敷地形状まで育った。二機能 融合建築なんだね ふふふふふふ
本瀬:ふふふふふふ、あんまり成長してないんですけど。まあこれで
佐藤:そうかな〜本瀬も なかなかやるねと、ラウンドスーケープ建築まで育ってイケイケ本瀬だった



 (いきづまる)

本瀬:
この辺まではイケイケだったんですよ。でこれはワークショップですね。
佐藤:3年生の時はワークショップですか
本瀬:いや3年生は こういうのやっていたんですけど。

佐藤:これはなんですか
本瀬:集合住宅で、これ芦原さんの課題で。宣教師たちの家をつくれみたいな。時代の最先端をいく その集合住宅をつくりさないさい
佐藤:分かりませね、時代のと最先端を行くですか〜 ポストモダンにあってはその定義の付け方が 分かりませんね〜

本瀬
:そうなんですね〜。ちょっと分かんなかったんで、個人的に最先端の土地を
佐藤:最先端の土地って何ですかふふっふうふふふ
本瀬晴海なんですけど
佐藤:あ岬か、列島の最先端ふふふふふ

本瀬:はははは まあそれに近い
佐藤:ダジャレで返したんだ ふふふ
本瀬:ははははは ですねここは凄い車社会なんで、そういう車が直接入って行けるような
佐藤:課題の出し方が時代不適合で本瀬さんが消化出来なかっただけじゃないですね
本瀬:そうですね、もうちょっと賢くやろうと思えば出来た。これはこの配置がやりたかったんです。

佐藤:
じゃこの配置を説明してください。この不定型な
本瀬:不定型なのと周りが全部、敷地が実際こういうふうな土地なんですけど。もともと普通の敷地なんですけど、広場をとって
佐藤:薄墨入っているところは広場じゃないの
本瀬:広場ですね
佐藤:中庭も広場になっているんだ、説明したくない感じなので これ以上 聞くのやめよう
本瀬:ふふふふふふこの辺もあんまり説明したくない
佐藤:はい分かりました!ああそうか、これちらっと見た感じだと、一番最初の植田さんの課題から出発してて それぞれのこ課題に適応させることで、本瀬建築を目指して もがいた痕跡は見て分かるよね。箱がずぶずブスに複相していて、構成的だよね。構成主義だよね
本瀬:そうですね

佐藤:色んなものを貫通させようとしてたんだけど、その姿勢が機能を与えるときに巧く消化出来ずに中座している感じですね
本瀬:そういう感じですね
佐藤:イケイケ本瀬は 3,4生で悩みに悩んで!! 自分の建築化の技をつくれずと
本瀬:3年の中頃まではよかったんですけど、ちょっと3年4年は難しかったですね〜
佐藤:機能が複雑になっていった訳じゃないけど。本瀬さんがもっていた構成主義的手法を成熟させる。機能を発明する方法が見付からなかったんだ。本瀬建築に機能を与えるときに、構成や その説明の仕方が見付からなかった そして 全体を統合する力が無かったと
本瀬:     そうですね
佐藤:とりあえずやっけで 出したと。破綻してしまえば前進できたんだろうけど、
本瀬:はい
佐藤:破綻してないように処理してしまったから、良くなかったんじゃない。破綻した方が現代的だったと思うな
本瀬:そうですね
佐藤:そこは最初から最後まで昆虫育てて 飛ばさなければならない夢少女が 邪魔してたかな ふふふ
本瀬:ふふふふ
佐藤:昆虫主義者が足をひっぱた感じで 破綻的建築主義者になり!突き抜けてまう。出来ないと 悶々状況の苦悩が見え隠れしてますね、これも説明したくない感じですか
本瀬:そうですねこれも、あんまり説明したくないふふふっふふ

佐藤:4年生は無事卒業ですか
本瀬:4年生 無事卒業しました
佐藤:おめでとうございました
本瀬:あははははあははは


 (卒業設計 悩の世界へ ) 

佐藤:修士とか行くわけですか
本瀬:これ卒業設計なんですけど。で
佐藤:これ地図みたいだね。
本瀬:地図みたいですね〜

佐藤:地図の上に数字が書いてありますね〜
本瀬:そうですね〜
佐藤:この数字と図柄はなんですか
本瀬:これは東京の低い場所なんですよ。で、過去に
佐藤:この数字はなんですか

本瀬:過去に浸水事故が在った
佐藤:ああ!水害や浸水した範囲の模様と日付ですか。昆虫採集の軌跡、思い出のようだ
本瀬:これでちょっとランドスケープみたいなの出来ないかな〜
佐藤:浸水したことで 顕在化する地形を表示して、地図に落として、低い土地をつないで いって ランドスケープ建築とすると、それで そうしたの

本瀬:ははは 地図に隠れた、土地の特性みたいなのを活かして建物を作る。みたいな感じで考えてたんですけど。
佐藤:建物まで消化できず 建物まで可視化できなかった! 従来の建築には成らなかった
本瀬:あまり説明したくないからふふふ
佐藤:はははははは、一応リサーチで終わりでしたと
本瀬:リサーチで終わって建物は力ずくで作ってしまった感じ

佐藤:浸水している地形に目が行く当たりは昆虫採集少女! 面目躍如ですよね。少女時代の体験や記憶が顕在化してて良いですよね。再発見しようという態度は悪くないですよね。それが建築に構成仕切れずに、構成し始めると言葉を失ったようになって他者に説明出来ないと。
本瀬:そうですね〜
佐藤:だんだに建築とは何か?という
本瀬:悩みの世界に 入っていった

佐藤:深い悩みだね〜ふふふふふふこれだと悩みの世界に突入するよね必ず、それは順当ですね


本瀬:で今度 東工大に移った
佐藤:ちょっと待ってね 4年生でリサーチを建築化するにも難儀してそれでも出て来ちゃう、成績悪くっても卒業できちゃった、一応プレゼン5選には 選ばれなかったけど、
本瀬:そうですね
佐藤:まあいいやと。深い悩みだしね
本瀬:はい、卒業できました

佐藤:誰かアドバイス くれないの
本瀬:これは無いですね、芸大は研究室ないので。 

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