ことば悦覧in東京2010 春版 記録集 home 佐藤敏宏 本瀬あゆみさんに聞く 2010年5月9日東京駅前晴れ (生い立ちから01 02 03 04 05 06) (RAJあれこれ 07 08 09) その05 佐藤:これって図面上の数字は浸水した日時が書いてあるんでしょう 本瀬:そうですね。 佐藤:同じ地図上でも時間によって形態が変化し続けるとか、相互領域も同時に変わる。変化し続ける建築空間であると。この白地の部分が植田さんの箱の家の外壁=本瀬あゆみの領域で。この水の領域が穴の開いている他者の領域というか自然の領域・昆虫の領域、空間だって読み替えれ考えれば分かるね。 常に変容し続ける建築形態を誘導出来たと思うんだけど、面白くなるんじゃない 本瀬:まあそうですよね そういう作品性みたいなものを していかないといけないですよね。 佐藤:ボイドの窓のような他領域が生き物でもあるかのように、大きくなったり小さくなったり、状況対応によって変化し続けると。昆虫が増えると大きくなり季節が去ると小さな領域になるんだな。両領域が伸縮自在の境界で出来ている まるで宇宙空間に似ている気がしてきたよ。生物の皮膚・脱皮した抜け殻みたいなもんでもある。抜け殻に他者が住め込むって考えると 機能が融合合体しつつ他者が変容し続ける宇宙の軌跡や生き物の成長に似た建築になるかもしれないね。たぶんそういう建築を考え出したかったんじゃないのかな 本瀬:その頃はそういう広い、広い視点で見れて無かったように思う 佐藤:広く見ようとして居てたけどそこに行く筋道付けるてこうじゃないかというか、誘導してくれる人が要るよね、自分の言語能力で突破していくかしたいね。本瀬さんが何を考えているのか、審査する先生たちも分からなかったし、自分自身も分からなかったと。よくあることだよね。 本瀬:そうですね。 佐藤:今 話聞いてきて、そういう筋道が浮かび出していると思んだよね。建物の領域や境界が、昆虫の領域や地形形状を顕在化させる水の役割を果たしてもいいわけじゃない。具体的にどう作るかっていう話ではないかのかな、長い時間で考えると当然行われているじゃない建築の内部でも外部でも。 100年前にはこの東京駅前のような巨大なビルの空間領域を想像してなかったんだし。木造の建築や低層のビルが並んでたんだろうから。そのまま人の営みの痕跡にも見えるし。時間を圧縮し観察したときに建築化されていくようだ。いろいろな考えを建築に向かって統合する力が無かっただけだから、残念だったな〜と 本瀬:ふふふふふふ 佐藤:今自分が何を作っているか解釈する力とか分析して語る力とか言葉が無いと建築化出来にくいよね。形作って構成しても建築にはならないんだと実証されたと。 本瀬:それはそうだ、そういうことですよね〜。それで卒業して (東工大へ) 佐藤:東工大へはどうして進んだんですか 本瀬:それは、こういう卒業設計の状態なんで、とにかく何か論理的に 喋れるようになんないといけないという危機感は有ったんですよ。 佐藤:自分の弱点が分かってたんだね 本瀬: そう 自分の弱点は分かってた 佐藤:アイデアはあるんだけどロジックと 巧いその場での喋りが要るんだと。言葉の跳躍力が 建築のためには要るんだと気が付いたんだ 本瀬: そうです そうです 佐藤:構成し描く力はあったけど言葉・理論が足りてなかったんだと、言葉要る!要る!と 本瀬:そうですね 佐藤:言葉が要る要るが 何で東工大なの 本瀬:言葉の力を養うためには歴史系みたいに論文を書くような研究室に行かなきゃ いけないな〜と思ったんですね。建築歴史の研究室を探してて。 ごーごーごーごー 佐藤:ビル風凄く吹きだしたきたね、ここ。西風が出てきてビル風が大きくなってきました ごー ごー ゴー 本瀬:そしたら藤岡先生が良いなという話を聞いて。で論文を読んでみたですよ。それが文化会館の系譜っていうか 佐藤:芸大の目と鼻の先に前川国男先生の文化会館ですか 本瀬:それとか、全国に文化会館って在るんですけど。凄い近代建築が始まってから、初めて文化会館っていう。ビルディングタイプが出来て。それをどうやって建築家が建築にしたかっていうような論文で。面白かったんです。 佐藤:本瀬さんにぴったりじゃないですか 本瀬:そうですね、それ面白いな〜と思って。ちょっと意匠研に行く気は無かったんですね。全然違う価値観になっちゃうし。けっこう内弁慶な感じなんで芸大とかは。 佐藤:構成や絵を描いて表現する力はあるから言葉だと。藤岡洋保さんの論文読んだら、ああ、自分が求めているロジックに近いと。いまだ無き 文化会館を日本に根付かせる建築家の建築化へのロジックの道が書いてあったと。これがいいと 本瀬:そうですね 佐藤:勘が良いんだね 本瀬:そうですか 佐藤:勘がいいじゃない、色々経験して来て自分の弱点補う為には、どこに行けば良いか?す〜と分かってね、すーっと行動出来るんだから 本瀬: まあ そうなんですね。 佐藤:今 自分に足らない力はロジックや自分の考えを建築化するときの言葉だと。自分の建築のために新しい言葉を作ったりする力だと。藤岡さんの研究室に行ったらなんとかなるだろうと、力から付けたいと 本瀬:ふふふ何とかなるだろうと思って。 佐藤:勘はは良かったけど 講義について行けなかったとか言わないでよねふふふふ 論文書くんですよね 本瀬:論文書きました、論文の話はちょっとふふふ 佐藤:したくないと。 論文のタイトルぐらい教えたっていいじゃないのふふふふふふ 本瀬:ふふふ、修士論文書きましたね〜 佐藤:今盛んに広げているんは修士作品なの 本瀬:これはですね、設計スタジオも一杯在ったので、坂本さんたちのスタジオ、せっかくだからやったんですよ。 佐藤:東工大の修士2年間の間にね。論文書きながらせっかくスタディーもしようと。坂本一成さんのスタジオに行って、何ですかいきなり。空き地? 本瀬:これも 何か似たような地と図の話なんですけど。 集合住宅の課題だったんですよ。でやっぱりこの街区の中の旗竿敷地とか、そうい部分って結構 戸建て住宅で作っちゃうと利用価値が無いんで。 こういうのを広場にして、集合住宅で集約しようという話ですね。ここを広場にして戸建てで割るんじゃなくって集合住宅を一個建てて。あとは共有広場にして。 佐藤:旗竿敷地の使いにくそうな 地形を地図上から拾って集合住宅を計画したと 本瀬:そうですね 佐藤:似てるね 最初のと 本瀬:そうですね、 佐藤:構成はずーっと強く生き残っているね 本瀬:そうですね はい、脱出 できないですね〜ふふふふでもまあ何か形にまとまって言葉でも説明出来て、まあ割と。 佐藤:まずまずと。1階はオープンスペースになっていて、2,3階かな。建物の形は敷地に合わせるよに不定形だけども、何人か住めるような 随分ちまちまして る 集合住宅だと。 本瀬:面白いですよね、チマチマしてっての感想がけっこう 佐藤:チマチマしゎしぁ〜って虫っぽい〜って。旗竿敷地の食い破り方が 虫 なんとなく感じたんで 本瀬:ははははは 佐藤:虫が隙間に無理矢理 巣を作り始めたような、突如として吹き出し上がっている。上は大胆な形してますね〜外観は カマキリですね〜 本瀬:カマキリですか 普通ですよ 佐藤:住宅 じゅ〜うたく してないですね。なんだろう不思議だな〜1階は潰れたドライブインか何か、ちょっと不思議な感じですね。ドライ・ドライで、殺風景な感じが出てて良いですね。荒野主義者現れる、原野主義っていうか。これはね う〜なるほど。そこで修士1年、2年はどうしたんですか 本瀬:えーと2年はずーっと論文に集中してましたね。 佐藤:論文タイトルなんですか俺にください。 本瀬:論文は歴史の話です。丹下健三の言説を選びました。であの人結構色んな言葉を作った人で。空間とかいう話を設計にもち込んだりしたのも、丹下健三でなんです 佐藤:悪い人ですね。自分の弱点、本瀬さんの弱点は言語を作ることであるから そこへすっと適切ですね〜。新し本瀬言語を発明するために、多数新し建築言語を作っているのは丹下健三だから、そこを研究してしまおう という目論見でね。いいですね〜 本瀬:まあそうですね、藤岡先生研究色々貯めていて。それをまとめたような感じなんですけど。 佐藤:とういうことは今日の俺の感想はまんざらか 当たっていたっていうことだね。新しい言葉を作らないと、その言葉を編み出さないと本瀬建築は立ちゆかないと 本瀬:そうですね。 佐藤:まだ編み出していないんだよね、俺は今日初めて本瀬さんの話は聞いたんで 原野主義とか昆虫主義とか適当な言葉を言いはなっているけ 本瀬:はははははは 佐藤:なんて言ったらいいんだろうね 本瀬さんは図と地って言っていたけど。環境の もと潜在力の建築化だよね。 雨が降ってうまれる 水溜まりってう異界の物体が空間をつくり出していく、虫かな何かのように そこに棲息できると 1:11:06 その06へ |