和歌と俳句

古今和歌集

よみ人しらず
わが君は千世にやちよに さゞれ石の巌となりて苔のむすまで

よみ人しらず
わたつうみの浜の真砂を数へつゝ 君が千歳のありかずにせん

よみ人しらず
しほ山のさしでの磯にすむ千鳥 君がみ代をばやちよとぞ鳴く

よみ人しらず
わが齢君がやちよにとりそへてとゞめおきてば 思ひいでにせよ

仁和の御時僧正遍昭に七十の賀たまひける時の御歌
かくしつゝとにもかくにもながらへて 君がやちよにあふよしもがな

僧正遍昭
ちはやぶる神やきりけん つくからに千歳の坂もこえぬべらなり

在原業平
櫻花ちりかひくもれ 老いらくの来むといふなる道まがふがに

きのこれをか
かめのをの山の岩根をとめておつる滝のしら玉 千世のかずかも

ふぢはらのおきかぜ
いたづらにすぐす月日はおもほえで 花みてくらす春ぞすくなき

紀貫之
春くればやどにまづさく梅の花 きみが千歳のかざしとぞ見る

素性法師
いにしへにありきあらずは知らねども 千歳のためし君に始めむ

素性法師
ふして思ひおきてかぞふる万代は 神ぞ知るらん わが君のため