和歌と俳句

小野篁

古今集・冬
花の色は雪にまじりて見えずとも 香をだににほへ 人の知るべく

古今集・羈旅小倉百人一首
わたの原八十島かけてこぎいでぬと 人にはつげよ あまの釣舟

古今集・哀傷 いもうとの身まかりにける時よみける
泣く涙雨とふらなん わたりがは水まさりなば かへりくるがに

古今集・哀傷 諒闇の年、池のほとりの花を見てよめる
水の面にしづく花の色 さやかにも君がみかげの思ほゆるかな

古今集・雑歌
然りとて背かれなくに 事しあればまづ嘆かれぬ あなう世の中

古今集・雑歌 隠岐の国に流されて侍りける時によめる
思ひきや ひなの別れに衰へて あまの縄たきいさりせんとは

新古今集・恋
うちとけて寝ぬものゆゑに夢を見て物思ひまさる頃にもあるかな

新古今集・恋
數ならばかからましやは世の中にいと悲しきは賤のをだまき