雲と水面

2001年10月13日 
三重県阿曽浦・隆福丸


  5ヶ月ぶりの隆福丸。期待が高まる。大鯛は春のノッコミの時期が多いが、数は少ないながら秋にもあちこちで大きな鯛が上がっているのも事実だ。小さな可能性に大きな期待を込めて久しぶりの隆福丸へ出かけた。出航時間が早いので前の晩に出発して車の中で仮眠を取る。
  今日のポイントは先週と同じクニシ。日の出と同時に“オモリ100号で68mから始めてください”という船長の言葉を合図に釣りを開始した。しかし鯛の食いは渋くて先週の貧果が頭をよぎる。マダイを求めて棚を探るが当たりがない。フグにエサを取られたり仕掛けを切られてしまう。
  サブローの竿に小さな当たりが。引きも弱いので簡単にリールが巻ける。上がってきたのはソーダガツオ。その後小さな可愛い鯛も上がってきた。今日もエサ取りが先週同様多い。何とかマダイを釣ろうと棚を色々探るが当たりが無い。
  一度サブローの竿先にはっきりと分かる当たりが出た。サブローはぐっとあわせて巻き始めた。ところが48mあたりで糸が切れてしまった。注意して糸をみるとそのあたり数カ所にはっきりとした傷が付いている。多分先回の釣行で傷が付いたものだろう。糸切れの原因が分かった。糸を取り換えなければいけない。買ったばかりのカゴも無くしてしまった。
  仕掛けを下げすぎてハゼが掛かった。そうこうしている内にサブローの竿にはっきりとした当たりが出た。竿から伝わる重さから40p代のマダイが期待された。しかし上がってきたのはマダイにしてはやけに赤い魚だ。まるで金魚みたい。船長に聞いてみると「キントキ、ちかめキントキ」だという。どぎつい赤色に果たして食べられるのだろうかか疑問がわく。船長が“これは煮付けにすると美味しいよ。”と言う。安心した。

        
サブローのキントキ

キントキ

逆転サヨナラホームラン!
  一方でミキコにはぜんぜん魚が寄ってこない。サブローが“名人、今日はどうしたの?ボーズだね!”とからかう。朝からずっとコマセを続けるだけだ。おかげでミキコはコマセの腕が上がって、コマセなら誰にも負けないほど巧くなった。去年の3月から続いていたビギナーズラックが消えてしまったのだろうか。
  午前11時、船長が今日は11時20分に上がると告げる。2週連続で駄目だった。海水温が高いのだろう。ヨコワの顔は見られなかった。マダイもいい型のものは上がらなかった。ミキコはサブローの意見を入れてちょっと前にオモリを100号から60号に代えて、棚も75mにしていた。今のところミキコはボーズだ。この調子では本当にボーズで終わりそうだ。サブローは来月に期待しようと片付けを始めた。11時も15分ほど回った頃だろうか、ミキコが“リールが巻けない。根掛かりしたかも。”と申し訳なさそうに小さな声で言う。片付ける時になって根掛かりさせるとは、とサブローは内心思ったが、どれどれと竿を持って糸を引っ張ってみると、少し上がってくる。針先には何か重いものが付いているみたいだ。“大丈夫、根掛かりしてないみたい。”とのんびりした会話を交わしていると船長が後ろから飛んできて、“ワラサかもしれん、ちょっと貸して。”と竿を持って糸を巻き始めた。“これはワラサだ。ヒラマサかもしれん。根に潜られないところまで巻いて上げるわ。”と慎重にリールを巻き始めた。途中50mあたりで糸に傷が付いてるのを船長が見つけてくれた。50m以上糸を持って行かれないように気をつけるように言って、竿をもミキコに渡す。残りは約30m。
  しかし、ミキコは竿を受け取ったまま両足を踏ん張るだけ。リールは巻けない。船長が“天然の70pのワラサは釣り堀での1mクラスに匹敵するほど引きは強い。”という。ミキコは相変わらず竿を持って仁王立ち。サブローが“どう、俺にまかせたら?”と言うと“イヤ!”と一言。話をする余裕はなさそうだ。10分ほどそのままだっただろうか。ようやくゆっくりとリールが巻けるようになってきた。横でサブローが“落ち着いてゆっくり巻け。”と応援。船長は“慌てなくていいよ。”と言ってくれる。サッカーで言えばロスタイムだ。時間は過ぎて20分は経っただろうか。苦労の末ようやく魚が水面に上がってきた。丸々と太ったワラサだ。ミキコが“釣りたい釣りたい”と言っていた念願の天然ワラサ。苦労のしがいがあったというものだ。それまでのボーズがすっ飛んでいってしまって、ミキコはニッコニコ。(~o~)。9回裏ツーアウトで逆転サヨナラホームランをかっ飛ばしたようなものだ。 
  船長が“あんたらは我慢強いわ。これだけコマセを打てば絶対魚は寄っとるはずで、やっぱりおったなぁ!それにしてもあんたらは辛抱強い。やっぱり奥さんは名人かもしれんな。”と感心することしきり。当たりも少ないのに船を移動させなかった森船長は「絶対釣れる」という信念と自信があったのだろう。

ミキコ奮闘
          
奮闘するミキコ


  上がってきたのは73p、3.4sのワラサ。ミキコは大喜び。サブローは m(_ _)m 参りました、名人!
  
天然ワラサ
           
価値ある天然ワラサ。


  青物は1日寝かせた方が美味しい、と船長に教わったので、翌日おろして刺身にした。締め方も良かったのかもしれないが、刺身は今まで食べたワラサの中では一番柔らかくて美味しかった。初めて天然ワラサを口にしてその美味しさに感動した。もっとも感動したのはミキコだろう。ボーズが一転して大物を釣ったのだから。
  ついでながらご報告するとソーダガツオの刺身は最高だった。新鮮な内は特に美味しい。

11月3日 辨屋・海上釣り堀の釣果

  

ご挨拶

釣り場

仕掛け&えさ

魚料理に合うワイン

食べある記

あっちこっち旅行記

掲示板

リンク集

トップ アイコン
トップ


雲と水面