《白ワイン》 肉には赤ワイン、魚には白ワイン。ということはよくいわれるが、これはあくまでも原則。これにも例外があって赤ワインの方がよく合う魚料理があることを忘れてはいけない。 刺身やマリネのように生で食べる魚料理には、フレッシュでフルーティーな白ワインがよく合う。味は辛口(ドライ)のほうがおすすめ。ただし、間違えても木樽で熟成したワインは選ばないこと。樽熟したワインは生の魚介料理との相性が悪い。 刺身や煮付けによく合うワイン シャブリ(Chablis) フランス・ブルゴーニュ地方産辛口白ワイン。刺身料理によく合うが、このワインは特に生牡蠣との相性がいいことで世界中のグルメに知られている。これは本当にそう思う。以前、約20種類の白ワインの銘柄を隠して、生牡蠣に合うワインを探した時、過半数の人が挙げたワインがシャブリだった。 シャブリといってもワインは1種類ではないので話はややこしくなる。シャブリとはブルゴーニュ地方の地名だから、シャブリという名前のワインはいっぱいある。だから美味しいシャブリを見つけたら醸造元を覚えておくことが大事。2回目に買うときは「〇〇のシャブリを」と指定しないと同じものを買うことはできないので要注意。 名古屋市名東区にあるワインショップ・ヴァンマルシェ(http://www.ymco.co.jp/)ではシャルル・ドワイヤンというブランドのシャブリを輸入直売(卸も)している。ここのシャブリはシャルドネ種独特の香りが豊かで、ボディーがしっかりしている。新鮮なうちも美味しいが、2,3年、熟成させるとなお旨味が増す。 ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌ(Muscadet) フランス中西部ロワール渓谷ミュスカデ地区の辛口白ワイン。日本で一時はフランス白ワインを代表するワインだったが、売れ行きの好調さに調子に乗って値上げしすぎた反発で、その後人気は降下。しかし、その後値下がり。価格の安さを考えれば魚介類に合ういいワインだ。おすすめは、「シュル・リー」とラベルに表示してある、発酵後数ヶ月の間果皮も一緒につけ込みコクを出したもので、その上澄みだけをビン詰めするところからシュル・リーと呼ばれるものだ。 フィラボア(Fillaboa ) ポルトガルのすぐ北にあるスペイン北西部リアスバイシャス地方産の白ワイン。リアス式海岸で有名なこの地方独特のアルバリーニョ種のぶどうを使ったワインで、低価格のワインが多いスペインワインの中ではやや高めの部類に入るが、味の方はフルーティーでこくのある辛口ワインだ。いきのいい刺身には最適とも言える。ただこのワインを置いている酒屋さんが少ないので入手は簡単ではないかもしれないが、探す価値はあり。 トレッビアーノ・ダブルッツォ(Trebbiano D'Abruzzo) イタリアはローマの東にあるアブルッツォ州の辛口白ワイン。スッキリとしてフルーティー。何よりこのワインは安いところがいい。だいたい1000円札でお釣りがくる。気軽に飲めるところがこのワインを一段と美味しくしている。魚介類の料理にはもちろん、あまりクセがないので和食や中華料理などたいていの料理によく合う。おすすめの一品。 ソースを使った料理によく合う白ワイン 西洋料理では魚は生で食べることは少なく、ほとんど調理される。マリネや白身魚のカルパッチオ、それにオランダ人が好むニシンの酢漬けなどは例外の方だろう。 ヨーロッパで一番多い魚料理はソール(舌平目)やカレイのムニエールだろうか。ほかにサーモン、ヒラメ、スズキ、タイ、タラなどの料理が有名だ。これらにはたいていバターソースか、ベシャメルソースなどのソースが添えられている。この手の料理には、先に書いた白ワインも合うのだが、料理の味をいっそう引き立たせるには、木樽熟成した白ワインがよく合う。例えば、フランスワインではシャトー・カルボニュー・ブランのようにバニラやナッツ、杉のような香りをもったワインを選ぶとよい。レストランなどでワインを注文するときに銘柄が分からなければ、ソムリエかボーイ(ギャルソン)に聞くのが早道。 イタリアでよく出るトマトソースには木樽熟成してないワインの方が合うかもしれない。 《赤ワイン》 一般に魚料理に赤ワインは合わないと思われているが、イワシや脂ののったマグロやウナギなどには軽い赤ワインの方がよく合う。魚介料理に合う赤ワインとしては ボージョレー(Beaujolais) フランス・ブルゴーニュ地方ボージョレー地区でつくられるワインで、毎年11月第3木曜日に解禁とされる“ボージョレー・ヌーボー”はあまりにも有名。ボージョレーのワインはガメー種というぶどう100%で作られていて、ピノ・ノワール種で作られている他のブルゴーニュ・ワインにくらべると、スミレのような香りをもっていてよりフルーティーで渋み(タンニン)が少なく軽やかだ。肉料理にももちろん合うのだが、例えばイワシの塩焼きや香草焼きなどにはぴったりのワインだ。サブローはシャルル・ドワイヤン社のボージョレー・ヴィラージュやブルイィが好みだ。 ヴィーニャ・イラーチェ (Vina Irache) スペイン北部ナバーラ地方のワイン。フルーティーでミディアムボディー(やや重)タイプの辛口赤ワイン。イワシの香草焼きやヅケに合う。値段も手頃で、晩酌するにも最適。名古屋市名東区にある“おけい鮨”では定番ワインになっている。 また、このほかスペイン・バルセロナの南、ペネデス地方で造られる軽めの赤ワインやビノ・デ・メサ(Vino de Mesa)やホーベン(Joven)と呼ばれる若飲みタイプの軽い赤ワインはイワシやマグロなど脂の多い魚料理によく合う。ただし、あくまでも木樽熟成していないもに限る。 キアンティ (Chianti) イタリアの古都フィレエンツェの南に広がる一帯で造られているワインで、一時はイタリアワインの代名詞のように云われていた時代もあった。このワインは重いワインもあるが、軽めのものはボージョレーと同じように脂ののった魚料理によく合う。 ところで、料理とワインが合う、合わないというのはどういうことだろうか?疑問に思われる方も多いと思う。これは実際に試してみるとよく分かるので、ここは勉強のためにワインを買ってきて貰いたい。 必要なものは@ワイン(2000円〜3000円くらいで木樽熟成した赤ワイン1本。これはお近くのお店で確認して買うこと)と安い赤ワイン1本、例えばボージョレー)。それに白ワインはシャブリ(安いものでもOK)も1本。準備する料理は、白身やトロの刺身、ウナギの蒲焼き、イワシの塩焼きまたは香草焼きなど。それに、スルメも。 相性の悪い料理とワイン、例えば木樽熟成した赤ワインとスルメでは、口中が生臭くなってせっかくの美味しいワインやスルメが台無しになってしまう。逆に相性がいい場合は、それぞれの素材の美味しさが引き立てられて幸せ感にひたることができる。という次第。いちどお試し下さい。 |
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