東京 ことば悦覧 2008年7月   home 

 2008年7月5日 晴れ 加山由起さん

 その01 その02 その03 その04 

その03 

加山:だから両親も美術家でしょう、でみんながそういうふうに
佐藤:なぜそういうふうに反発感じるのかね、同じになっちゃ行けないっていうね
加山:やっぱりなんだろう、理性的に考えられる人が必要なんですよ。どこかで。でそれが居ないと、誰かに騙されちゃうんですよ。本当に

佐藤:ドンドン巻き込まれて行っちゃう
加山:そう、それで金銭的にスッカラカンに成るんだったら良いんだけど、作品の評価がネガティブに成るっていうの凄く嫌なの私は。例えばあの人は凄く良い物を作っていたって言ってみんなが凄く褒めていたのに、その一回の失敗のせいで。あの人は結局こういう人だったよっていう。
佐藤:他者の評価を気にするんだ
加山:他者に評価っていうか、それが自分のことだったら良いけど。家全体の事だから。でそれがやっぱり祖父の事であったり、父の事であったり。母の事であり、自分の家全体の事あるわけ。そこで失敗は出来ないな〜と思って

佐藤:長女の重荷だね
加山:そうそうそう、それで別の道を見付けたいなと思って。じゃー何が一番面白いかな〜と思ったら。その頃村井純さんが慶応大学でSFCでいろいろインタネーットがね社会を変えると言い始めたから。じゃーって言うことで

佐藤:それで俺とネット友達に成ることが出来たんだ
加山:そうそう。インターネットというもものが出て来た時に、祖父が凄く興味を持って家にマックを2台入れて
佐藤:それはいつ頃ですか
加山:96年位です
佐藤:Win95出たとたんにマック買って、そんとき大学生
加山:私はまだ高校生。で知り合いにマックに詳しい人がいたので。セットアップしてくれて。祖父はそこでパソコンに色々絵を描き始めた

佐藤:凄いね爺さんPCでも絵を描いていた
加山:そうそうそう。なんでも自分が挑戦出来る事は何でもやった。私はそれを私はそれを見てああこういうのがあるんだって
佐藤:困ったおじちゃんだね何でもやる、どっか駄目な処があった方がいいのに
加山:駄目な処は一杯あるんですけども。 色んなその時代のエロスって言うかな即物的な処から本当はもっと高尚な処まですごいレーヤーがあるじゃないですか
佐藤:そうだね

加山:女性の美っていうのは。それ全部知りたかったんだと思うの
佐藤:なるのど判る。奥深くね
加山:そうそう
佐藤:世間で流行っているエロスも知っておいて対極に自分が追求する美があるかもしれないからね
加山:そうそうそう。そしたらもう買ってきてって頼む。それで私結構 かってたんですよ。
佐藤:いい話じゃん
加山:いい話でしょう。

佐藤:お爺ちゃん マックのPC二台いれていじり出すんだ。
加山SFC行きたいな〜と思って受験しようとしたら、落ちて。成蹊大学に入って。成蹊大学も悪い大学じゃなくって。宇野重明先生は国際政治学者なんですけど。中国の専門家で。もの凄く、共産党政府ともそれから中国のリベラル派とも繋がりが深い方だった。
佐藤:今となっては中国の勉強は佳かったんじゃないですか
加山:そうそう。で面白かったというか

佐藤:その当時と今の中国では大分ン違うでしょうから
加山:そう
佐藤:成蹊大学に入って中国の事を勉強したんだ。中国語も喋れるんだ
加山:若干喋れます。SFCにもし行っていたら、本当にメディアアートに方に行っていたと思うんですよ。政治とメディアとの何かに当たりに居たと思うんですよ。

佐藤:正しい選択だったんじゃないの、今はアーテストでも政治抜きに語れないじゃない
加山:そうそうそう。だけど、そこはご縁が無かったと言うことで。成蹊大学は行ったら宇野先生がいらっして中国へ行く機会があって。大学に入った日に中を歩いてたら、チラシが置いてあって。夏の成蹊大学特別プログラム、北京大学に1ヶ月滞在みたいな。そういうチラシが置いてあって、申込期間が4月の30日まで。結構お金の掛かるものだったんで祖父の処に急いで行って。お金出してくれって。
佐藤;ふふふふふふ
加山:お願いしますって言って。うちの祖父は中国語ちょっとやっているんです。随分中国にも通っていた。
佐藤:日本画の源流があるからね
加山:それで、中央美術学院という中国の大学、美術大学でけっこう教えているんですよ。
佐藤:なるほどね。

加山:で中国行きたいのって言われて。どういう事で行きたいのって。一応問答をして。だったら行ってらっしゃいと。惜しまないで行かせてもらって。そしたら凄く面白くって。何もかもが面白いんです。全然違う。コンクリートが竹筋とかね。
佐藤:今では鉄入っているんだろうけど、昔は無かったか

加山:それに古い町の裏手にもの凄い高層のマンション建てて。それの振動のせいで胡同(ふーとん)が壊れたりとかしてて。もの凄く街がグッチャグチャニ成っている所で、オリンピックがあるからとか色々がーっと成っている時で。凄くエネルギーを感じて。中国って凄く面白いな〜って思って帰って来て。でその頃ハングルサークルにも入っていたんです。要は東アジアっていうものに凄く興味があって。文化圏としてね。全然違うけど、凄く動きがあるなって。これは近い将来衝突があるにしても繋がって行くにしても、もの凄く自分が動くのに有利になるなと思ったんですよ。

佐藤:それは正しかったね
加山:何でも知っている事がすごく役に立つ
佐藤:隣の国のことを知らないからね、政治の鬱憤を 互いにナショナリズムかえさして吹き出させているケースが多いけど。

加山:お互いがお互いを理解してないって言うのはあるし、それから逆に言うとそれを繋ごうとしてる人達を邪魔しようとしている人達も居るっていうのもね。
佐藤:戦後の歴史認識がお互いに確認共有されてない、してこなかった。共通の考え方を作ってこなかった。ここまでは共有しましょうと話し合ってないから。南京大虐殺など事実として在ったにもかかわらず相変わらずね、大騒ぎになるじゃないですか。お互いに学者も居るわけだし

加山:検証すればいいんですよ。例えば南京に何万にの人が住んでいて、本当に殺せるとしたらどのくらいだったのかとか。そういう検証しないでお互いにああだこうだと言っている、やっぱり日本が侵略したっていうかね、その当時にどんな事情があったにしろ。中国に進攻したっていうのは本当なんですよ。で植民地になったのも本当なんだから。創氏改名っていうのは日本人が強制したわけじゃないにしても、実際にそういう流れがあって、みんなが日本名にしたっていうのは本当にあった事なんだから。
佐藤:名前を換えさせるのは、それは暴力的だね
加山:うんだからそういう事を、色んなテキストで読んでね、右左っていう言い方もおかしいですけども。韓国にもよらず、中国にもよらず、日本にもよらずっていう視点。自分の視点ていうのを何処かで持たなければいけないじゃないですか。それを大学の中で凄く学ばせてもらった。

佐藤:日本では近・現代の歴史をキチンと教えないからね、日本史は大学の入試からもはじいちゃって、高校で履修し無くっていいみたいなことになってて、ドンドンドンドン馬鹿に成って行く
加山:馬鹿になっていく。
佐藤:歴史を知って出掛けないと問題を起こすようになるよね
加山:うん
佐藤:それは教えてほしいよね。それを大学で学んで

加山:北京大学には夏の1ヶ月間行っていたんですけど
佐藤:大学へ入って。今では誰でも知ってナキャいけないような基礎教養を学んでるわけだね。中国の現在の社会を
加山:そうですね
佐藤:民主主義の国じゃないからね、
加山:社会主義の国だし
佐藤:でも資本主義をも採用しているし、その辺の処の今後の展開がね
加山:凄く複雑なところをリアルに見られて良かった〜

佐藤:四合院みたいな住居があって新しい建物があって、貧乏人と金持ちが住んでいて、貧乏人の方が多いから、中国共産党の人々が巨大な格差をどうやって調整しまとめて行くのか。オリンピック後の課題だよね
加山;そうですね、話それちゃって。そういう話を続けると。中国の共産党というのは精華大学っていう大学出身者が多いんですよ。で中国の北京大学って一番日本では有名ですけど、こっちはリベラル派ですね、どっちかというと。そうすると北京大学出身者って言うのはみんな海外に流失しちゃうんですよ。優秀な人材は。

佐藤:ふふふふふふ
加山:ハーバードとか東大とかソウル大学とかロンドン大学とか。精華大学というのは理系大学でようは凄く頭の固い人達で、確かに頭は凄くいいです
佐藤:役人向きだね
加山:うん。そいう事で役人向きな人達が中国共産党をつくっててしかも、思想はかなり洗脳されちゃってますからね。リベラル教育を受けてないんだから、そうすると中央政府自体がドンドン固まって来てて。だから何かあってもしょうがないなと。そういう中国の理解っていうのは、私も成蹊大学に行かなかったら判らなかったと思うんですよ。実際に北京大学に1ヶ月住んだりしなかったら分かんなかったと思うですよ。

佐藤:どういう人達が政治を動かしているのか、現地でみないと判らないよね
加山:判らない
佐藤:リベラル人はドンドン海外に流れて行く、優秀で精密機械のような人達が政治を動かしてる
加山:だから日本で会う中国人とか、いいかげんな人ももちろん居ますけども、北京大学出身ですという人は明るくって人当たりがよくって、中国人ってみんなこうなんだというふうに思っちゃうと、それは間違っている。実際に生活して北京大学の人に会うとがっかりすることもありました。

佐藤:それはそうだろう、色んな人が居るっていうことだ
加山:そうそうそう、でそういう2極化とかね。そういう事を学んで
佐藤:これから必要な教養を10年前に学んだんで
加山:大学生っていうのは本当そういう時期じゃないですか?日本だとモラトリアム期間になってるから

佐藤;そうだね。俺の家に来たのは大学卒業する当たりかな
加山:そうですね。
佐藤:俺もそのあたりでネット始めたから縁が出来てね
加山;私がネットするようになったのは
佐藤:お爺ちゃんのPCが切っ掛けなんでしょう
加山:そうですね、で北京大学の人とかに連絡取るのに当時は国際電話というのがもの凄く高くつくので、メールが一番安かったんで、それでメールを使うようになった

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