東京 ことば悦覧 2008年春   home 

  和田マコトさん 2008 4月10日  
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 その02 15分07秒〜30分14秒

和田:いえいえそういう事もあるかなと
佐藤:ほとんどないよね。自分で売り込みに行って、自分の情報を建築の専門媒体に載せてほしいと。建築の評論集も翻訳本もそうでしょうし、小説なども雑誌社に持ち込みだと思います。雑誌社持ち歩いたり、投稿したり。ということをご存じ無かったですか?

和田:わらう
佐藤:建築家の多くの本もみなそうでしょう。理論書も。「こんな本うれないからださない」とは断らないが、放置される。出版社何十軒も廻って、地方のチッチャナ出版会社から出たり。「しょうがね〜な」といわれ300部ぐらいやっと出す。それが普通の出方ですよね。雑誌の載っているメデァのなかの建築。自分がメディア参加し、積極的に自分が発信していかない限りは、載らないのだ、ということを学ばれたとわけですね。

和田:目の当たりにしたというか。
佐藤:そんな事やめようと思ってますか。めんどくさいから〜
和田:わらい、いやそうですね〜、それが一番大事だとは思わないですね
佐藤:人生でとか人間にとってとか、建築にとってとか、どういうレベルで大事だと思わないんですか?

和田:個人にとってですね
佐藤:個人にとってあまり意味がないと。それほどシャカリキに成って情報を発信することでもないと

和田:う〜難しいですね〜
佐藤:では「自分の名前で事務所をね始めよう」と言う動機とか、それはどんな感じで?一級建築士として登録をして。僕にいただいた名詞にね、事務所の名前が書いてあるわけだけど。社会的責任が生まれちゃったわけですよね。渡したので必然的に。
和田:そうですね
佐藤;だからそれをこそが和田さんにとってどういう事なんですか?
和田:それは大きな社会との関係と考えてしたという事は無くって、単純に自分で決定して自分で責任で建てたいと言う動機ですよ

佐藤:自分で建てて、責任をもって建てたいと。自分のアイデァはどうするんですか?構想と言うか。発注者をどうやって捜すかも
和田:それはどうしたら良いだろうと思いますけども
佐藤:とりあえずソンなことは、考えないで。建築を離れて他のもっと楽珍な仕事をしようとは思わなかったですか?

和田:ラクチンな仕事って何だ
佐藤:わからない主観的な感覚だから。建て主探さなければいけないし、自分の家賃は払わなければいけないし、食事代も。勤めた方が楽じゃないですか

和田:人の下でと言うのは
佐藤:嫌なの?
和田:嫌ですね〜
佐藤:なんでかな?でも修業時代。ヨコミゾ事務所でずーっと居て、ずーと嫌だったんですか?
和田:最終的に自分一人の成ると言う事を前提としていたので

佐藤:結構生意気ですね、自分で責任負いたいって
和田:いや負いたいと言うか
佐藤:生意気と言うかそういう自意識だけが突出しているみたいで
和田:あそうですか

佐藤:
自分がアイデアと持っていてね、これを事務所でガンガン言って、どうも採用してくれないと。自分のアイデァがある、自分自身が惚れ込んでいて、。それを具現化したいので自分でやると言うじゃなくって、責任を持ちたいと言う話だから。その感情は僕には理解できない。

和田:言葉が悪いかもしれないけど、自分のアイディアが事務所で通らないからと言うんでは無いです。

 喫茶店内デキシーふうジャズがながれている長い沈黙

佐藤:
その辺のところはまだぼやりしていると言うことでいんじゃないでしょうかね。ぼんやりさせたくなかったら 考えて喋ればいいけど

和田:吹き出してわらう いや。まあ自分で最終的に決定したいと言うことだと思います
佐藤:最終的に何を決定したいんですか?カタチですか。人を動かすと言うことですか?マネージメントですか。
和田:トータルなものです

佐藤:
建築は色んな関わり方ができる。世の中にアウトプットして使い込まれて朽ち果てるまでの間には色んな建築との関係の持ち方があるわけですよね。それは不動産屋で使う人を捜すと言う建築との関係のしかたもあるし。土地を捜して来て作り上げていく時に関わると言う関係もある。お金が無いけど建てたい、土地は持っているというそこに関わると言うやりかたも。 建築を記録する関わりもあるし。建築と社会を結びつけるためには色んな職種があると思うですけども。設計をすると言う決めちゃって居るわけですか。

和田:そうです
佐藤:それは何でですか?

長い沈黙  軽快なクラリネットのジャズが店を大きな満たしている

佐藤:
僕が考えている建築家像と言うのは何でもやる人間だと思っているんですよね。僕が一番理想としている建築家像は重源という 荘園社会の中世から武士の世界へとの 移行期に現れ消えたお坊さんなんですけども。その人に会ったことはないですけども、実態はとうだったかは分からないですよ。情報によると、マネージメントを全部やって、お金も集めて、宗教家でもあるけども、乞食から天皇まで全ての人からお金をとって、東大寺の南大門とか大仏を再興する。浄土寺浄土堂を作る。現代で言えばクリスト夫妻。ご存じですか。

建物や橋や島のまわりを布でつつんじゃったりして。その行為をするためには100億円ぐらいかかるのしょうが一時期やって終わる。お金自分で集めるわけですね。ドイツだったかな、国会議事堂を布で包むためには許可を得ないと包めないですよね。 建築以上に色んな社会との関係の謎を解いていって、勿論お金も自分で集めるわけですよね。そういうプロジェクト。 やりたいから、設計図を売って費用を集めてそれを実行するわけですね。構想から具現化するまで何十年もかかるたりするのでしょう。そういう人を僕は想う。

 建築家とは言いないかもしれないけど。建築家と言う言葉が必要だとも思わないですけども、そうことをやるのが建築家かな〜と。僕の中にはあるですよね。

だから和田さんの中には建築を専門にして、建築と社会の関係の仕方、一杯あるからどこの所で自分を定着させて、決めて。そこから関わって行こうとしているのか、まだ話を聞いててわからないのですが。設計図だけ描ければ良いのか

和田:いやそうではないですよね。ただ。うん〜。こうありたいと言うのは明確にはしたくないですね
佐藤:それはどうしてですか?そうありたいと思わないとそうならないじゃないですか。
和田:う〜ん
佐藤:成り行き任せで生きて行こうと言うのも、良いと思うだけども
和田:そうかもしんない

佐藤:札幌時代に雑誌を読んで遅れているとかね。この場所に居ては全然だめじゃないと感じたと言うことは、何かの目的に向かって進まなきゃ〜価値がないんだと。人間はいけないんだみたいに、思わされていた。とさっきの話聞いていて想ったので。

そんなのどっちでもいいじゃないと思うんだけど。雑誌に載った情報がね、価値が高くって載っていないの、情報が価値が無いと言うわけじゃなくって。そんな事はどうでも良いと思うだけども。和田さんが若い時にそう言う切っ掛けで東京まで出てきてしまう衝撃を与えてるわけだよね。雑誌が、情報が持っていた力が。

だからそういう意味ではあまり目的に囚われず、自分の先行きと言うのか、これからやって行こうと、思っているのかもしれないし。それはそれで良いと思んですよ。

岩見沢に居たときのように目的を持った人間、ここにむかっていくぞ〜と。やりかたでも良いしね。コンプレックスみたいなものをエネルギーに換えて開店して行く。そう言うありかたでも良いような気がする。それを建築の上でやると言うのはかなり難しいから。建築を作るって色んな条件も、色んな人間関係あるし。

最終的に決定するって。複雑過ぎるじゃないですか。だからもっと単純に決定できる行為で・例えば、だけ描いてそれを売って社会と関わって行くと言う方が。言葉だけ発して社会と関わって詩人のように生きていくって方が楽、というか手っ取り早い。路上で歌うったって。ああいう表現者のほうが 素早く社会と直接関われるじゃないですか。 建築の場合は靄を掴むような、手がかりがないって言うかそんな感じするんですけどもね。

和田:そうですね。誰かが「建てたい」と言う事からしか始まらないですからね

佐藤
:誰かが建てたい。何処に居るのかも判らないし、どうやって捜すんだろうか。とりあえず何かに 騙されたように 一級建築士とったけど、何も役に立たないかも。4年に一回だか 5年い一回だか講習かなにか受させられて、仕事を供給されもせずに講習代だけ取られて。なんなだこれは?。そういう怒り湧かないですか?

和田まあそうですね
佐藤:一級建築士の資格与えたら仕事供給せいや〜と思いませんか。資格を持たないで図面書いている人間がタンマリいる現実。医師の資格なしで治療してるようなものなのです。無資格者には 規制し罰せろ〜って。どうして一級建築士登録するときに銭とられなければいけないの?っってね

和田:まぁ取りすぎだとは思います
佐藤:今いくら取られたんですか
和田:6万
佐藤:そんな高いのですか。その金あったら1ヶ月生活できますものね。俺2ヶ月生きられるから、冗談じゃネーよ。
和田:家賃払える

佐藤:一級建築士と建築家の違いは和田さんの中では何かありますかね。さっきの質問に戻ってもいいですけども、迷走しながら

和田:これは長くなるかもしれないですね。わらい一級建築士と建築家の違いですか?
佐藤:短くしたかったら和田さんが「これで」と喋れば終わります。わらい。30分位経ちましたかね

 長い沈黙 ビリーホリデーのようなジャズが流れている

佐藤:喋っていてね、何か決めぜりふを言って終わると言うインタビューじゃないですから。雑誌じゃないので。ネットに公開するので、延々やっても構わないし。決めぜりふも必要ないですね。

20年後には和田さんの自伝集に成っていると言う、自伝集のデータベースに成っている、というカタチが僕の考えているインタビューの結末なので。20年前この喫茶店で、アップルパイみたいなものを共に喰いながら、何か喋っていた、と言うのは意外に貴重だと僕は思っているので。沈黙30分とかそれで良いですよ。意味があるんですから。だたその沈黙の意味をね文字に出来ないだけなので、それでかまわないんですけど。 黙ってお茶をすすって、コウヒー呑んで別れる。とういうインタビューも俺はいい〜と実は思っているんです。殴り合ってもね。 忙しいのに ふざけんじゃね〜と 過激なインタビューでモネ。良いとも思っている。 だから今まで色々言ったので和田さんがお好きなように

 ジャズボーカルがとうとうと店を満たしている

和田:建築家と一級建築士の違いですね
佐藤:自分のなかで何かありますか?

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