これは先月発売の某誌で使った写真です。管理釣り場のインストラクターがごっついフライタックルで魚を一気に抜いてネットでキャッチする瞬間です。読んでくれた人は気づいたと思いますが、“この方法は行わないでください”という注意書きをつけました。最初はおもしろい写真が撮れたと思ったのですが、後になってこれはいけないなとキャプションを追加したのでした。インストラクター氏によれば、遊ばせずに一気に抜いたほうが魚が弱らないとのことで、けっしてパフォーマンスで行っているのではないのですが、これが流行ったら日本のルアー・フライが変な方向に行っちゃうんじゃないかと思ったからです。(2007/7/17)

 こういう取り込みで思い出すのはアユの友釣りです。友釣りが日本の伝統的釣法から数と効率ばかりを追求する釣りになってしまったのは、80年代に引き抜きが主流になってからではないかと私は感じています。

 むやみな数釣りなんてちっともカッコいいことじゃなかったはずなのに、いまはそういう釣り人の“心”がなくなっているように思えます。この変化は、魚を物扱いするかのような引き抜きがきっかけだったのではないか、というのはこじつけでしょうか?

 そんな数の亡者となったアユ釣り師がシーズン前の肩慣らしにやるのが、渓流釣りです。海からどんどん上ってくる(もはやそんな川は少数だが)アユと同じ感覚でヤマメやアマゴ、イワナを釣るわけです。

 そういう風潮で一番あおりを食ったのはフライマンです。最近フライ用品を撤去する釣具店が増えているそうです。フライマンが減っているのです。

 そりゃあそうでしょう。魚がフライに出る季節になる前に、アユ師の“肩慣らし”で川は空っぽ(ではないにしても危険を冒してまで水面の虫を食いにいく必要がないくらい個体が減っているということ)になっちゃってるんですからね。よっぽどのマゾかナルシストでない限り、ばかばかしくってやめちゃいますよ。

 写真のインストラクター氏の特殊なフライフィッシング(重いニンフを使う脈釣り的な方法)ならそんな川でも釣れるそうです。これでアユ師に負けない? むなしいです、そんなの。

 2007年7月7日、高原川のヤマメです。前回、スプーンのフックを標準のトリプルからシングルにすると動きが不安定になると書きました。バイトなら6gより7.5gのような肉厚タイプがシングルでもうまく泳ぐと書いたこともあります。しかし、私はもう10年くらいシングルフックオンリーなので“トリプルフックのほうが安定して泳ぐ”というのはかなり過去の記憶です。そこでこの日はあえてトリプルフックを持参して、スプーンの泳ぎを見てみました。結果は自分の記憶以上で、「こんなにスプーンって安定して泳ぐんだ!」というものでした。肉厚のほうがシングルに向くのもたしかで、バイト7.5gにシングルを付けたもの(写真)は、同6gにトリプルを付けたものにほぼ匹敵するものでした。 (2007/7/9)

 バイトの6gとマスターアングラーの5gに、トリプルフックは#6、シングルフックは丸セイゴ14号で作ったスイミングフックを付けました。丸セイゴはダクロンアイを6〜7mm付けていてオーナー・シングル59(既製品スプーンによく付いている軸長のもの)の4番(スミス・ヘブン7gに付いているサイズ)より少し長い感じです。

 トリプルフックを付けると、まったくバランスを崩さず、大きく尻を振りながら泳ぎます。同じスプーンをシングルにすると、バランスを崩す限界速度がぐんと落ちます。ゆっくり巻いたとしても、ときどき勝手にヒラを打ってしまいます。動きもウォブリングではなくひらひらとローリングする感じが強まります。

 ただ、そのシングルフック付きがダメかというと、それなりに実績があります。勝手にヒラを打つのがかえっていいのかもしれません(ハスルアーがそうでしょう)。

 スイミングフックと既成のシングルフックでは、既成シングルのほうが動きがギクシャクするように感じます。スイミングフックは水の抵抗が大きい分ややトリプルに近づくのではないかと思います。

 シングルでもトリプルの状態に近づけるには、以前も書いたようにスプリットリングをオモリとして追加するのが有効です。ただ、シンプルさがいいスプーンがごちゃごちゃした感じになるのがちょっと嫌かな。気にしなけりゃいいだけですが・・・。

 写真はバイト7.5g(6gの厚型)に丸セイゴ14号です。この日は魚がアタックしたのに掛からないケースが多くありました。マスバリやアユバリのほうが掛かりはいいのですが、バランスが取りにくいのと、ハリ先の耐久性に難があります。次はフトコロの広いチヌバリで作ってみようかな。こうしてフックの在庫が増える・・・。

 シングルフックによる動きの変化については先日忠さんとも話しましたが、あんがいフックを替えても動きまでは気にしていないようだということで、こういう点を指摘する人はいないそうです。もちろんここに書いたことは、忠さんのスプーンだけでなくすべてのスプーンに当てはまるはずです。

 2007年6月16日、高原川支流のイワナです。ここのところ石徹白川以来ちょくちょく写っているスプーンは、バイトの新サイズ3.3gと4.2g(3.3の肉厚タイプ)。たぶんいま全盛のミノープラグを使い込めばもっと釣れるんだろうと思いますし、いまでは私も使います。でも私は同じ釣るならスプーンで釣りたいし、特に忠さんのスプーンで釣りたいと思います。ルアー釣りは、これが釣れるからではなくて、これで釣りたいからやるものだと思うからです。 (2007/7/2)

 3.3gと4.2gは、サイズが渓流の魚にぴったりです。バイト4.8gとかマスターアングラー/ダムサイド5gでも釣れますが、川で釣れるくらいの魚だと口以外のところにフッキングするのが増えます。

 もうひとつ、従来サイズはトリプルフックの時代に生まれたため、シングルにすると動きが不安な気がすることです。3.3gと4.2gは当然シングル標準ですから、この点に不安はありません。

 シングルうんぬんは、人の目から見た動きですが・・・。それと6gとか7.5gはシングルでもうまく泳ぎます。

 2007年6月12日、根尾川のアマゴです。減水気味とはいえ黒津も大河原も何の反応もなし。最後の最後に堰堤下でやっとこさ1尾。こないだネット検索で見つけた某釣りクラブの釣り記録によると、根尾川では解禁前の谷釣りや体長制限無視の新子の数釣りが横行しているとか。たしかに魚薄いもんなあ。いつかも書いたように根尾川の友釣り専用区は昼だけ(夜になると組合員が網を打っちゃう)という釣り関係者の話もありますし、有志のフライマンが放したアマゴも網で一網打尽です。無法者を野放ししておいて、善良な釣り人からは高額な入漁料(年券6000円は高原川や庄川より高い!)を徴収。私は小泉・竹中(わしのことやなくて御用学者の平蔵な)の市場原理主義は絶対支持しませんが、こういう漁協(ここだけじゃないでしょう)が淘汰されないシステムは考えなくてはいけないと思います。 (2007/6/25) 

2007年6月9日、高原川のイワナです。魚野川釣行、忠さん訪問の帰り、高速代節約を兼ねて富山で下りて高原川へ。帰りにちょっとだけのつもりが、いざ川を見るといけません。寒気流入で前日から10度も気温が下がっていたのだし、この魚が1尾釣れたところでやめればいいものを、ついつい夕方まで。結局魚はこれっきりで、なくさなくていいルアーを4個も根掛かりでなくしただけでした。釣りはやめどきが難しい・・・。 (2007/6/21)

 2007年6月8日、魚野川のヤマメです。はるばる新潟まで行ったのは、6年ぶりに忠さんこと常見忠氏を訪問するためでもありました。いろいろ話しましたが、ご他聞にもれずここ魚野川でもだんだん魚が釣れなくなってきているそうです。忠さんはやはり尾数制限が必要だろうといいます。“伝説の”銀山湖が釣り人の乱獲により5年でダメになったのを見てきた人らしい見解です。 (2007/6/15)

 これも忠さんがおっしゃっていましたが、そもそも、日本の河川の「15cm以下再放流」の釣獲制限に効果はないのです。自然淘汰される可能性の高い小型魚を川に戻し、産卵するサイズに育った中大型を獲っちゃうわけですからね。大型魚の遺伝子も摘み取っちゃうのだし。

 こういう考え方を理解する漁協の組合員もいるのですが、いざエライ人の前となると黙っちゃうんですって。田舎の体質というか・・・きっと、日本中の漁協がこんなふうなんでしょうね。

 2007年6月8日、魚野川のニジマスです。尾びれが丸いので、放流(もしくは養魚場からの脱走)から時間が経っていないようですが、大きめのスプーン(オリエン8g)に飛びつき、ジャンプと疾走を繰り返しました。やっぱ川の魚は違います。さらに、カーディナル3Xのおかげでファイトが2倍楽しめました。だって巻けないんだもん。 (2007/6/11)

 2007年5月30、31日、九頭竜川にニゴイを釣りに行きました。大きいのが釣れておもしろかったです。外道のサクラマスは1匹も釣れませんでした。九頭竜川のバカヤロー。 (2007/6/1)

 2007年5月20日、石徹白川支流峠川のイワナです。朝暗いうちから石徹白川本流に入ったもののぽつんと1尾釣れただけ。そこで、ひさびさにキャッチアンドリリース区間に入ったところ、ポイントらしいポイントからちゃんと魚が出てきます。もう少しで二桁などという下品極まりない釣果になるところでした。でも、後で冷静になったらむなしくなりました。いつも行っている他の川は一体なんなんだ? (2007/5/25)

 まさか誤読する人はいないと思いますが、“もう少しで二桁になるところだった”というのはいつも三桁なのに二桁になるところだったという意味ではなく、いつも1、2尾しか釣れない人が10尾の一歩手前まで釣っておののいたという意味です。わかっとるって?

 峠川は自然繁殖に任せるため、放流はしていないそうです。漁協HPによると無断で成魚放流されたらしいイワナがいるとかですが、この魚のヒレのとがり方を見ても川で育ったものでしょうね。

 仮に放流だったとしても、CR区間じゃなかったら解禁とともに消えちゃうわけです。他の川はみんなそうなんだから。

 いったんクルマに戻って見ていたら、私がこのイワナを釣ったポイントに入ったテンカラ師が、同じところでまたイワナを掛けていました。こんな魚、エサ師がやりたい放題やったらすぐ根絶やしですよね。

 フライマン中心のCR区間はほとんどゴミらしいゴミは落ちていませんでしたが、エサ師ばかりの区間外本流は、ハリスの空スプール、ミミズの空容器、空き缶、ペットボトル、タバコの空き箱・・・。

 庄川や飛騨川では5月にアマゴ釣り大会が行われたみたいです。活性化か経営努力のつもりなのでしょうけど、発想が古くないですか。もっとも、根尾の漁協みたいに有志のフライマンが放流したアマゴまで網でかっさらっていくようなところまであるのですから、漁協に期待するほうがまちがっているのかも知れませんが。

 そんななか、同じ岐阜で石徹白川のようなところがあるのは、奇跡といってもいいでしょう。がんばれ石徹白漁協!

 2007年5月9日、高原川のイワナその2です。前回の魚の次にまた釣れた30cmクラス。まずはルアーをくわえたお顔のアップをとシャッターを切った瞬間バシャ。動くなよぉと手を魚にもっていったらまたバシャ。遊んでいたほうのフックが手にブス。ゲッと思った瞬間魚に掛かっていたほうのフックが外れてイワナ先生はお帰りになられました。魚は撮影し損ねましたが、これがもしバーブ付きフックだったらと思うとぞっとします。 (2007/5/21)

 前回の魚でチヌバリ自作シングル(バーブレス)が曲がってしまったので、このときはオーナーSBL-55M(S-55BLM)に替えていました。

 最近ミノー用には自作シングルより既製品のフックを使うのが多くなりました。アイまで金属の既製品のほうが自重があるはずなので、トリプルから換装したときミノーの動きに与える影響が少ない気がするからです(めんどくさくなってきたというのもあるが・・・)。

 バスデイの川島氏によると、写真のヴィクセン(ここだけの話?ですがバスデイ製)のようにオフセットリップのルアーはフックによる動きへの影響が少ないそうです。全部シングルに替えちゃう私が使って実績(3年前にルアー付きのイワナを釣ったのも同じルアー)が高いのは、このせいみたいです。

 ヴィクセンは例外的に売れたモデルですが、ルアーマンの描く「ミノーの顔」と違うせいか、オフセットリップにするとなかなか人間が釣れてくれないそうです。商品は難しいもんですね。

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