90年代の初めごろでした。アウトドア雑誌ビーパルは、当時建設が進んでいた長良川河口堰の問題をさかんに取り上げていました。私も心強く思いながら読んでいたものです。正確な年は忘れましたが、次号の予告として「長良川河口堰のバランスシート」というのが載っていました。かなり大きな河口堰特集のようです。私はその特集が載っているはずの号を心待ちにして書店で手に取りました。ところが、長良川河口堰の記事はどこにもありません。不思議に思って編集後記を見たら編集長が「今月をもってGOROに転属になりました」と書いていました。何があったのでしょうね。 (2007/9/20) 

 その号は買わなかったので、あくまでこれは私の記憶です。「確かにそうだった!」という人は知らせていただけるとありがたいです。

 2007年8月26日、九州の(笑)島根県で行われたシマノのアユ釣り大会です。各釣り具メーカーは釣りをさかんにすべくこういった大会をアユ、磯、投げ、へら、などなどあらゆる釣りで開催しています。どーなんでしょうなあ、完全武装した選手が最先端の高級釣り具を駆使して魚を釣りまくるのを見て「釣りをやってみたいなあ」と思うものなのでしょうか。むしろ釣りをとっつきにくいものにしているように思います。そもそもたくさん釣る人が偉いなんていう価値観は数十年前のものでしょう。もっと釣りを通じて心豊かに過ごしている人の姿を見せたほうがいいのではないかと思うのですが。 (2007/9/12)

 もともと釣りは生き物を傷つける罪深い遊びなのに、さらに魚を点数に置き換えて競争するなんて・・・。

  ええんか、取材しといてこういうこと言うて。

舛添馬脚

 2007年6月16日、高原川のヤマメです。(私としては)悪いサイズじゃないけどネットでかすぎ。かといって出るときは5月9日みたいのも出るからなあ。撮影用にネット3サイズくらいぶら下げて行こうか…。リールは中国製308。70年代の308や408もあるのになぜこれをわざわざ使うかという気もしますが、このてのほうがなんか安心するんですね。70年代の308/408とかカーディナル33あたりはミーハーな感じがしちゃって落ち着かないのです。ここまでマイナー志向な私は異常でしょうか?(2007/9/2)

 ローターに赤ラインが入って、ハンドル折りたたみネジが樹脂になり、ドラグノブが3枚羽根になったのは80年代中ごろでした。たしかいったん倒産したミッチェルがフィリップ・ブリム氏という新社長で建て直しにかかったころです。

 それまでのフランス生産オンリーから、松尾工業の2200/2300RDシリーズ、トリガードラグの3500RD、5500RDなどをラインナップに加えました。

 当時唯一のルアー&フライ専門誌だったアングリングをフィリップ・ブリム氏が訪れた記事が同誌に載っていたことがあります。

 それによると、当時の製品は「宇宙船をデザインしたこともある工業デザイナー・マトラー氏のデザイン」で、フランスのデザイン賞(だったっと思う)のスポーツ部門大賞になったということでした。

 そう思って見ると、ドラグノブやハンドルが変わった308のデザインも未来的に見えてきます。60年代にデザインされながら少しのパーツ変更でそう見えてしまうあたり、308のデザインは完成されたものだったのだなと思います(とわかったようなことをいってみる)。

 そんなわけで、マニアやコレクターが相手にしなさそうなこのデザインの308も、私は好きなのです。

 そうそう、最近こんなサイトを見つけました。かつての工場の内部や耐久テストの写真まであります(と、書いておいたら管理人さんから「君のサイトを経由して日本から400アクセスもあった。ありがとう」とメールが来ました。アクセス解析してたのね。でも、うちのサイトには「アメリカ帝国主義からミッチェルを取り戻せ」とか「アメリカ人は選挙の票も数えられへんくらいとろくさい」とか「戦争屋ブッシュ」とかむちゃくちゃ書いとるところがあるのに、いいのか?)。

 シマノのリールオイルです。スプレーで売っているやつですが、飛び散るのがいやなので空になったオイル注しに入れて使っています。入れた直後は透明ですが、何日かすると本来の色になってきます。この色はたぶん「カウンタールーブ」と呼ばれていたオイルですね。20年前、シマノに船釣り用水深カウンターのタナトルというのがあったのですが、これが売っても売っても塩がみで返ってきていました。この問題をなんとかできないかと作られたのがこのオイルでした。あるものを薄めたものなのですが、組立工場のオイルをこれに変更したらぴたりと塩がみ修理がなくなったそうです。なに? 色がいやらしい? 何を考えとるんじゃチミらは・・・と言いたいですが、たしかにそうね。ここでひとつ企業秘密をばらしましょう。S社(ここだけ伏字にしてもしょうがないだろ)の釣具開発課に置いてあったカウンタールーブのビンには、マジックでこう大書してありました。「イクイクオイル」。(2007/8/23)

 S社は私がいなくなった後とっても厳しい会社になったそうなので、そんな「雪の中の二人」のようなことはもうやっていないと思います。たぶん。

 上のような容器に入れ替えたときは、フタを開けたまましばらく放置して溶剤分を飛ばすようにします。そうしないと口からオイルが噴き出してひどい目にあいます。フタを開けてあっても溶剤分を早く飛ばそうと振ったりしたらビール瓶を振ったときのようになるのでご注意。経験者は語る・・・。

 「企業秘密」ってのは、ビンに落書きがしてあったということであって、「あるものを薄めた」の「あるもの」がとんでもないものだったということではないぞ。誤読する人がいるといかんので一応書いときます(いねえよ)。

ご辞退を !?

 1997年8月1日、琵琶湖のバスです。最近やってないのでバスの写真はどれも古いです。とうとう防衛大臣になってしまった小池百合子氏がアメリカで「私は日本のライスと呼ばれている」と発言して失笑を買っています。この発言の陰に隠れてしまいましたが、むしろ私が引っかかったのは「私が環境庁長官になったときは1100人の部下しかいませんでした。でも今は26万人が私の指揮下にいます」というものです。ものすごい権力志向ですね。あらためて調べたらこのヒト、日本新党を皮切りに、新進党、自由党、保守党、自民党と権力を求めて渡り歩いています。釣りがらみでは、検討を続けることになりかけていたバスの特定外来生物指定を鶴の一声で決めたことで知られています。正直いうと当時私は「バスを指定せんかったら法律の意味ないやろ」と思っていました(こっちのほうが釣り業界的には問題発言か?)。でも、このヒトの経歴や世渡りのうまさを考えると、バスを強引に特定外来生物に指定したのも「バスは日本の魚を全部食べちゃう」程度のイメージしか持っていない大衆の支持を見込んだ人気取りだったのかなと思えてきます。(2007/8/12)

 小池渡り鳥大臣、ライス長官に「今度いっしょにゴルフをやろう」と言ったそうです。ゴルフって、山を丸坊主にしたところでやるわけで、自然を人間好みに作り変えて楽しむという点ではバス釣りと同じか、もっと悪いんとちゃうの?

 文中の「1100人」と「26万人」のくだりの正確な数字は違うかもしれません。この発言はテレビのニュースで見たのですが、なぜか新聞(うちは朝日新聞)には載っていません。ネット上のニュースを検索してもないみたい。あまりに受けが悪そうだから圧力でもかかったか?

 圧力っていえば、メール問題で失脚したはずの前原ネオコン誠司民主党前代表が最近テレビによく出てくるのも某所からの圧力だっていう見方があるみたいね。そういえば、この人も日本新党出身者か。

 最近政治的なこと書きすぎかい?

 政治的サイトといえば、なんできっこは児島玲子のファンなんだ?

 2007年8月5日、峠川(石徹白川CR区間)のイワナです。ヒレがきれいにとがっています。リールはミッチェル・アイディール2000。脚が長すぎてスプールが遠いとかハンドルが長いとか糸ヨレがひどいとかであまり使っていませんでしたが、あらためて使ってみるとトータルベールコントロール(ベールオープン時にストッパーがキャンセルされる機構)はやはりいいものです。でも、ほぼ同じ効果はローターブレーキでも得られるわけで、コストを考えたら特許問題(実際のところは不明)がなくても消え去る運命だったのかもしれません。ローターブレーキ(フリクションベール)ですら下のモデルまでまじめに展開してるのはシマノ(エルフまで)だけだし、ダイワなんかレブロス(およびその金型を使った輸出モデル)以下は不採用です。PF系にいたってはまったくなし。元祖はアブだろうに・・・。ほとんどの人は投げっぱなしでフェザリングなんかしないということか。(2007/8/6)

 私のリールの糸ヨレは、投げた後一瞬でも糸を緩めたら、穂先から出ている部分やガイドとガイドの間に、「ここに枝バリ結んでね」といわんばかりにヨリ糸が何ヶ所も発生するくらいでした。原因はローター(アルミ製)のベールアーム(アームカム)支持部が磨耗してラインローラーが内向きに倒れてきたためだったようです。

 ローターのベールアーム裏の突起が当たる部分に真鍮板をはさんでラインローラーを水平にし、支持部の磨耗が進まないようにベールスプリングを1巻きカットしました。この釣行では気になるほどの糸ヨレは発生しませんでした。

 以前、日本語の取り説の付いたアイディールが香港で売られていたという情報をもらいました。トラブルを恐れて国内販売をやめたのかもしれません。シマノの持ってる特許は機構がまったく別物なんですが・・・。(私のせいなのかなあ)

 トータルベールコントロールやローターブレーキなどフェザリングを補助する機構がいまひとつ受けないのは、メーカーにも責任があるでしょう。昔のミッチェルの取り説は正しい持ち方に加えてフェザリングの方法や重要性も書いていたのに、今は(というかここ20年くらい)どこもやってませんからね。こういうただ売りさえすればいいという釣り具業界の姿勢が、せっかくの機構が理解されない悲しい現状を作ったとはいえないでしょうか。

 2007年7月22日の揖斐川上流徳山ダムです。まだ満水ではないものの、湖はほぼその姿を現したといっていいでしょう。銀山湖(奥只見ダム)を上回る国内最大の貯水量から、銀山湖みたいに大イワナが釣れるようになるのではと期待する釣り人もいるようです。私はならないと思います。いつかも書いたように、漁協がなくなってから毒流しや密漁が横行、移転前の最後っ屁に水源林を伐採と川は荒れているからです。かつての銀山湖のような秘境でもありません。クルマで楽々行けます。常見忠氏によれば銀山湖ですら釣り人が押し寄せるようになって「5年でダメになった」そうです。仮に一時的に魚が釣れたとしても同じコースをたどるだけでしょう。(2007/7/31)

 銀山湖は常見氏などの努力で永年禁漁河川を設けるなどして復活しているようですが、こんなことが行われるとは思えません。庄川水系など岐阜の他のダムを見ればわかることです。

 こんなことを言いながらいつか私も釣行するかもしれません。でもそれは単に近いから。長良川のマスは(河口堰がある限り)釣りに行かなくても揖斐川へは冷やかしに行くのと同じこと(揖斐・長良の話は後日)。

 それにしても、「5年でダメになった」のは銀山湖だけではないはずです。それなのに、漁協も釣り人も何にも学んでいないように見えます。私は岐阜で魚をリリースするルアーマンに会ったことがありません。庄川水系ではいまだストリンガーをぶら下げている人が普通にいます。あんなのワイヤーリーダーと同じ“70年代カン違いグッズ”でしょ。

 地元はここを観光資源にしたいそう。だからぼちぼち魚の放流も考えようといっている人もいるようです。でも、漁協も釣り人も70年代と同じ意識なら、同じことを繰り返すだけでしょうね。

 そやけど、水があるとまず「釣り場」として見てしまう釣り人という人種は、浅ましいねえ。僕も含めて。やだやだ。

「そのほか」ってなんだよ

 2007年7月22日、坂内川のアマゴです。ルアーはバイトの4.2g。最近ひさしぶりに使っているのはミッチェル308X。欠点がないとはいえない・・・というより困った点の方が多いリールですが、それをおぎなうものがあります。最初は「これが300後継?」と感じたデザインも、いま見るとああこれでよかったのだなと思えます。少々えぐみがあるものの時間とともに納得させられてしまうのは、フランス車に通じるものがありそうです。どれも同じようなものばかりになってしまったリールの中で、そんなお国柄を感じさせるものがあったのは、とても素敵なことだったのではないでしょうか。(2007/7/23)

 私の308Xは、ベールアームを支持するローターのボス、亜鉛のベールスプリングガイド、ベール反転カムが数回の釣行で磨耗し、ベール反転機構が働かなくなりました。

 ローターボスの磨耗は300Xでは起きませんでした。樹脂成型の状態が悪い個体だけで起きるようです。そういえば、ボスの磨耗はカーディナルC602(同じ工場らしい)でも起きて、ラインローラーが傾いてきました。

 他には、300Xともどもウォームシャフトポール(クロスギアピン)が早々に摩滅・・・。

 ただし、私のリールは300X、308Xともに正規輸入が始まる前の並行品で、PFJが正規に売ったものとは製造ロットがかなり違うようです。たとえばPFJから取り寄せて交換したウォームシャフトポールは磨耗を起こしませんでした。だから、上に書いたことがすべてのリールに当てはまるわけではないはずです。

 でも、ほかにも、ねじ込みハンドルの入る軸部は、亜鉛ドライブギア一体のためにクリープでベアリングが取れなくなります。スプールの幅に対してストロークが足りません。オシュレーションは速すぎます。細い糸だとドラグノブに巻きます。ベールワイヤの反対側に糸が掛かったまま巻いていることもあります。ローターはオモリだらけ・・・。

 それでも私は、 ローターボスの磨耗部に0.1mmの真鍮板を貼り、ベールスプリングガイドがベールアームに入るところにはあまっていたマイコンのラインローラースリーブを押し込み、ベール反転カムの磨耗には相手側のボディー凸部に0.3mmの真鍮板を貼って、使ってます。

 ハンドルを回してベールを閉じると気持ちのいい反転で幸せな気分になります。釣りながら手元に目をやると、なんだかかっこいい。脚やハンドルの長さが適正でしっくりきます。

 300Xシリーズは、フランスでデザインされた最後のリールです。いわば「最後のミッチェル」。PFによる買収とともに、フランス開発部隊は廃止されてしまいました。これだけトホホなものを作ってたんじゃ仕方ないかもしれませんが、なんとかこの味と個性を残せなかったのかなと思います。

上にリストがないときはここをクリック 21へ 19へ