2011年11月23日、美濃フィッシングエリアのアマゴです。ストリームで3尾も釣りました。えへん。 ロッドはダイコーカーボンスピニングロッド#GL-256HS。30年前のロッドです。5〜10g指定の硬いロッド(バススピン?)ですが、むしろこのくらいのほうがドリフトトゥイッチャーをバンバンやれるし食ってきたら一発でかかる感じです。(2011/12/3)

 忠さんの話を書こうと思ったのですが、まとまらないので写真上のリンクにポロポロと付け足します。

 このロッドもたいがいいじくりたおしています。元々はバックナンバー4の上から5枚目のグリップで、本来はさらにスライドリングシートにゴムがかぶさっていました。スライドリングに見えるシルバーラインはデザインではなくてゴムを固定するためのものです。リングとコルクのクリアランスが大きく、メーカーに送ってフラット面にパテを盛ってもらいましたがまだリールは緩みがちでした。オリジナルのガイドは夜光リング入りのハードリングガイドでした。

 次がバックナンバー6の上から2枚で、うらしま堂渡辺つり具店のスライドリングシートに替えました。しかし、当時はロッドに合わせてコルクの長さを変えてもらえるのを知らずに、5cmくらい長いのをつけていました。また、自分は手が大きいと思っていた(身長174cmだから小さくはないが・・・)ので太いほうにしたのですが、やっぱり太い感じでした。このときガイドをSiCにしています。

 次がバックナンバー10の上から5枚目で、当時大垣にあった釣具店にグリップ部品用コルクと富士シートが置いてあったので、フロント用コルク2個とDPS17でスクリューシートにしました。でも20cmちょっとのショートグリップにフジパイプシートを使ったためいかにも不細工でした。

 で、最後(?)が今回の写真で、うらしま堂渡辺つり具店のコルクグリップの細いほうを今度こそぴったりの長さに作ってもらって付け直しました。

 ここまでお金をかけるなら新しいロッドを買ったほうがいいやろというところですが、使おうが使わまいが気に入らない状態にしておくのが我慢できない性分なのですな。それに、このロッドは中学か高校のころに買って以来あまり使わってなくて、ろくに魚を釣っていないのですね。だからなんだかもったいないという気持ちもあります。

 このロッドは初めて買ったカーボンロッドで、それまではオリーブULとかサンスピンL5とかのグラスロッドを使っていました。ロッド自体が軟らかく素材の重さでしなるグラスに比べると、#GL-256HSは棒みたいに硬くて最初なかなか投げられず、ガイドが巨大(バット30)でロッド自体が重く感じたことやリールシートがすぐ緩むこともあって、あまり使いませんでした。

 でもときたま引っ張り出すのは、ダイコーというブランドに引かれるからでしょう(といいつつダイコーの竿はこれしか持ってない。なら新しいの買えといわれそうだ・・・)。

 ダイコーはかつてルー・スピードスピン(日吉産業スピニットRD)にもかかわっていて、スピードスピンはダイコーでもテストされました。それで、設計した日吉産業の原さんにはこんな話を聞きました。

 当時のダイコーの製品テストをする係の人は強烈で、バスロッドの試作品が上がってくると、いきなりティップを下にして床に垂直に立て、手首をねじりながらバットまで一気に押し曲げてしまったそうです。そのテストで折れたら不合格、作り直しになったそうです。

 ルアーロッドはけっこう強いものですから意外にもってしまうのかもしれませんが、こういう一種伝説的な話を聞くとなんかうれしいですよね。だからなんだかときどき思い出したように引っ張り出して使ってしまうのです。

 #GL‐256HSはスピードスティックと同じような品番の付け方になっています。昔の雑誌でよく見たスピードスティックの品番に#1‐16HOBBというのがありました。最初の数字はパワーで、たしかUL、Lときて次から数字になって硬いのは6くらいまであった記憶があります。カーボンは頭にグラファイトのGが付きました。ハイフンの後ろは継ぎ数でその次が長さでしょう。Hはハードとかハイとかそんなところではないでしょうか。

 #GL‐256HSに関しては最後のSがスピニングなのですべてクリアになりますが、ベイトのOBBは謎です。昔タックルボックス誌でダイコーの人がHOBBの意味について聞かれて「特に意味はない」と答えていましたが、Sに対してだから、OBBはベイトロッドの意味ではないかと推理できます。となると、オフセットハンドル・バス・ベイトか、スピードスプールBBにならって最後にBBと付けたか・・・。でももう知ってる人もいないんだろうなあ。

 釣りブログを見て回っていたら、ペン716Zのベールワイヤーが90度曲げのところでぽっきり折れている写真を見つけました。716Zを最初手にしてベールを開閉したとき、普通のアウトスプールよりベール反転時の衝撃が大きいくらいだったので、こりゃベールワイヤーが折れそうだなあと思ったのですが、やっぱり思ったとおりでした。さすがはベール衝撃試験でベールワイヤーの折れを見逃し続けた人だけのことはあるな・・・。 (2011/11/28)

 写真のリールは、こりゃやばいぞと思って入手早々改造したものです。1mmドリルとピンバイスでベールが閉じるギリギリくらいの位置にスプリングのカギ部が入る穴をあけています。ただし、私のリールは、ミッチェル308/408のスプリングを使っていて、写真の穴位置は参考にならないのでご注意。ミッチェルのスプリングを使ったのは、私はこのスプリングをたくさん持っているからで、普通の人は元のスプリングを使って穴だけずらすのがいいでしょう。なお、ベールアームは真鍮なので、穴は手であきます。

 穴の位置は、ベールの先を5mm指で持ち上げて放したとき、元の位置に戻るくらいにします。閉じきらずにそのままの位置で止まってしまったらダメです。ダメというか、これはS社(のみならずおそらくあらゆるリールメーカー共通)のベール検査法なので、クリアしないと気分が悪いということですな。ついでにいうとベールを開いてからローターを手でゆっくり回してベールが閉じること、というのも検査項目です。うーむ、07ルビアスは出荷検査をどうやったのだらう(いらんことをいうな)。

 実はこの改造は、ペン716Zのみならず、シェイクスピア2200U、2200、ダイヤモンド・プロライン101、コメットG1でもやっています。どれもベール反転が“ガチャン !!”という感じで感触が悪いだけでなく、ベールまわりが壊れそうだと思ったからです。そういえば最近308と408も穴をすこしずらしました。ミッチェルはそれほどベールが閉じる衝撃が強くありませんが、ローラーガイド式のワンピースベールはローターにストッパー部がちょっとしか当たってなくて、見ているうちに不安になってきたからです。ただ、ミッチェルでこれをやると、勢いよくハンドルを回してベールを閉じようとしたとき、ベールワイヤーに働く遠心力にスプリングが負けて、ベールが開いたままぐるぐる回ってしまうので、そういうのが嫌な人はやらないほうがいいかもしれません。

 メーカーが設定したベール反転力を弱くしたら何か不具合が起きるのではないかと不安に思う人がいるかもしれません。投げた瞬間にローターがベール反転位置まで回ることががよくある人はベール返りが増えるのでやめたほうがいいかもしれませんが、そういうことがなければ、こと耐久性においてプラスにこそなれマイナスにはなりません。

 では、なぜメーカーはこんなにベールの閉じ力を強くしているのでしょうか。市場でベール返りクレームが出ないようにということもあるでしょうけれど、おそらく不良率低減による生産性アップとクレーム修理を減らすのが大きな理由ではないかと思います。ベールが閉じるギリギリくらいにスプリングを弱く設計したら、ベールワイヤーの形状が出ていなかったり組み立て担当者が不慣れだったりしたときに、ベール検査での不良率がぐんと上がるはずです。92年版のカーディナル33のスプリング巻き数が減らされていたのも、おそらく製造ラインを止めないためでしょう。ケースは違いますが、シマノ現行モデルのベールが細いのも(軽量化とか回転バランスとかがあるにせよ)、製造ラインの流しやすさをある程度考えてのことだと思います。ダイワのエアベールとかカーディナル33の2.5mmもあるステンワイヤーなどと比べたら、絶対組みやすいはずですもの。

 さらに、市場に出してからも、ユーザーの中にはリールを落っことしたりぶつけたりする人が必ずいます。油一滴注さない人もたくさんいます。しかも、そういう人に限って、ベールが動かないといってクレーム修理を出してきたりするものです。

 だから、リールをちゃんとしたコンディションに保てる人ならば、ベールスプリングの力は閉じるギリギリで十分だし、ベールワイヤー、ベールスプリング、反転機構などパーツの寿命からいってもそのほうが絶対いいのです。ベールスプリングはバネ屋さんに頼めば作れますが、ラインローラーサポートやベール取り付けカム(反転側の部品)が組になっているベールワイヤーが折れたら、事実上再生不可能ですからね。

 なお、上の写真は撮影のためにベールアームスクリューのみを外していますが、スプリングの交換や支持部の清掃を行うときはラインローラー部を先に外します(某スプリング屋さんのHPは33のベールを組んだままスプリングを替えているように見えますけど、私そんなアクロバットみたいなことようしまへんで・・・)。

 もうひとつつけたし。シェイクスピアとプロラインにミッチェルのスプリングを入れると、おそらくカギ部とストッパーの位置関係が理由で、最後がいまひとつ閉じきらない感じになります。

 さらにもうひとつつけたし。ベールスプリングは弱くてよいというのはインスプールの話。アウトスプールでも圧縮コイルをカットすることができますが、アウトスプールはキャスト時ローターが回らなくてもベールに加わる衝撃でベール返りを起こすようになる可能性があるので注意。また、ダイワツイストバスターはスプリングが弱いとラインローラーのフランジ部にラインが当たる力でわずかに(ローラーが水平になる程度に)ベールが開いて、ラインテンションによって巻き上がりが変わる現象が起きます。

 ちょっと前ヤフオクで見つけて買ってしまったシマノGX100です。これこそが、私が勝手にAR-Cスプールの原型だと思っているスプールです。形状は違いますが、ラインの接触するエッジ部と糸巻き面の位置関係は同じです。ライントラブルを防ぐにはラインを控えめに巻けばよいのですが、そうしたとき問題になるのはスプールエッジのキワから放出されるラインの抵抗です。ならばエッジを前進させてやれば・・・という発想ではないかと思います。なかなか面白いでしょ。 (2011/11/20)

 たしかこのリールはシルバーボディーでエルムGXという名前だったと思うのですが、写真のものは単にGXという名前でした。輸出モデルかもしれません。前身モデルとしてエルムGというのがあったのですが、エルムGXはその発展型で折りたたみ式のベールや後のダイワシュアトリップベールのような半内蹴り機構、横折れ式折りたたみハンドルなどが採用されていました。

 このクラスは1から4(モデルによって10から40とか100から400になる)の4サイズが展開される中低価格汎用シリーズでした。1と2がギア比3.8対1の亜鉛ストレートピニオン&亜鉛ドライブギア、0BB、クランク平行巻きで自重300g後半くらい、3と4がギア比4.8対1の真鍮ヘリカルピニオン&亜鉛ドライブギア、1BB、リダクション平行巻きで自重500g前後という変則シリーズ構成でした。1と2はよりコスト優先で、スプールが3と4のアルミに対しABS樹脂(2はアルミだったかも)で、ラインローラーはラインローラーサポート一体の硬質クロームメッキ固定式でした。(こんなページを見つけました。輸出用GXの展開図です。300や400もクランク方式です。輸出用はワンタッチスプールに変わっています)

 私がダイワノーマンの次に買ってもらったのが、このクラスのMG1というもので、MGといってもマグネシウムではなく「メカグランド1」の略でした。じゃあMG4は4番目のメカなのかと突っ込みたくなるネーミングです。MGシリーズは金型を(たぶん)流用してエルムGになりました。

 エルムGはセルフセンタリングを採用したリールで、当時テレビコマーシャルも流されたものです。おじさんが砂浜からカレイを釣るものでしたが、リーリングするときリールシートの10cmくらい後ろを持っていて、当時中学生だった(小学生だったかも)私は大丈夫かシマノ、と思ったものです。

 セルフセンタリング採用ものとしては、ミグSシリーズというのもありました。ダイワがファントムでシマノはミグとは冗談みたいやなあと思っていましたが、入社後聞いたら本当にソ連兵がミグ25戦闘機で北海道に亡命してきたニュースを見て付けたそうで、すげー名前の付け方だと思ったものです。

 ミグの名はその後も使われて、低価格モデルのミグZはけっこうなロングセラーで、ボディーのダイキャスト型がもうダメだとダイキャスト屋さんがいってきてもだましだまし作り続けたそうです。安物だったので、私の部署にいたT係長氏は、釣りが下手な人に「おっさんみたいなへたくそははミグZで十分や!」みたいにいっていたものです。

 と、いうような話は、ダイワとかオリムピックのリールなら「知ってる、知ってる」という人が多そうですが、当時のシマノはマイナーでしたから、ほとんどの人はわからんでしょうね。どうせやるならダイワのSSかスポーツラインでやれっていわれそうです。SSとはロングスプールのウィスカートーナメントSSのことではなくて無塗装ボディー「完成度98%」のSSです。そういえばSSに対抗してシマノKXの足の裏には「無塗装コーティングリール/無塗装アルマイト処理の上に塗装を施しています」という意味不明なシールが貼ってあったものです。スポーツラインは当時のスピニングリールの名前で、いまの非DAIWA低価格ブランドのことではありません(よけいなことやけどあれってプラスになるのかな・・・)。

 今年購入した11ツインパワーC2000HGSのベール支持部がやっぱり減ってしまったので、0.1mm真鍮板を巻いて接着中の図です。接着剤メーカーのHPに耐油性の実験データが載っていて、その条件として接着後7日おいてから油に浸けたと書いてあったので現在放置中です。こうしてみると、金色のベールとメッキ仕上げのベールスプリングカバーはないほうがいいですね。08TPと並べてみると11モデルのデザインは無理やり変えた感があります。しなくてもいいデザイン変えを要求されるデザイナーも酷ですよね。 (2011/11/14)

 08TPと11TPはローター金型が共通なので、たぶんベール支持部はまた減るだろうと思っていましたが、やっぱり減りました。08TPはベールをすこし指で持ち上げたときそこで止まってしまうのが顕著になりましたが、11TPはベールスプリングがすこし強くなっていてそれが目立ちませんでした。しかし、その分磨耗は早くて早々にベールアームの内側に固定スクリューの頭が接触していました。スクリューの頭でそれ以上のガタ増加はなさそうですが、そんなもので支持されているのもおかしなことなので、08TPに続いてボスを直すことにしました。

 真鍮の板を巻いてもベールアームが磨耗してガラスが浮き出ているのですぐ真鍮粉を吹いてまたガタガタになるだろうと思っていましたが、同じ補修をした08TPは案外大丈夫でした。たぶん、クリアランスがつまったのとベールアームの傾きに沿って磨耗したため、面当たりになって磨耗が進みにくくなったのだと思います。そう考えると、磨耗のスタートはベールアームの傾きによって角当たりになり、そこからガラスを含んだ磨耗粉が出ることではないかという推測ができます。同じ材料のはずなのになぜか磨耗が進んでいない旧アルテグラADなどは、わずかな金型の上がりの違いなどの理由で、この部分が最初から面当たりになっているのかもしれません。

 TPにせよ真鍮パイプで補修した10セルテートにせよ、ボスの長さが3mmなので傾き方向の力には弱そうです。ボスより外周のベールアーム裏側は下半分にローターとの接触部がなく傾き放題です。昔のリールはステンレスなどのスプリングカバーでこの部分を支えていましたし、ベールアームスクリューも大きな頭のネジが使ってあって傾きを抑えるようになっていたものですが、そのことを思うといまのリールはいかにも頼りないものです。

 ボスの長さについて、ミッチェル・クォーツはユニークな設計になっています。ローターから立ち上がるボスが元から先まですべてベールアームに入り込んでいて、その長さは8mmもあります。そんなことをしたらボスが長すぎて折れたりたわんだりしそうですが、ローターと同じガラス入り樹脂のカバーがボスにかぶさっていて、カバーごとベールアームスクリューで固定されるようになっています。単なるカバーでなくローターの構造体の一部になっているのです。さすが支持部が長いのとカバーとローター壁が傾きを抑えるため、ガタの増加や角度の狂いは生じていません。スバラシイといいたいところですが、後に出た300Xシリーズは普通の止め方に戻っていて、私の買った308Xはベール反転機構が働かなくなるくらいガタガタになったのですから、単なるデザイン上の偶然だったのかもしれません。

 ベール支持部といえば、昔シマノの3本脚リアドラグ(国内でファイティングGTといっていたもの)の米国向け高級品のベールアームに、ベアリングを入れたことがありました。ガタ対策ではなく、それまで3BBが最高だったのでその上のモデルを作る際、無理やり入れるところを作ったのでした。なにをやっとるんやと当時は思っていましたが、現在のドラグやハンドルノブなどどうでもいいところに入れるよりはよかったのかなと思います。

 2011年11月5日、天竜川のニジマスです。あそこまで行ってこのサイズではという気もしますが、ボウズも何度か食らっているし、まあこのへんで堪忍したるかというところです。ロッドはフェンウィックイーグルGTですが、フロントグリップがちょっと変わりました。これは05年にカベラスで買ったものなのですが、フロントグリップが(たぶん内部のネジ部の改良のため)ずん胴に変えられていてカッコ悪かったので、ティムコで正規に売られていたころの形状に削ってしまいました。このほうが“らしい”ですよね・・・と思ったものの、この手のグリップになったのはたしか90年代のはずで、これを見てフェンウィックらしいと感じるのは、ちとずれているのかな。 (2011/11/8)

 フェンウィックの全盛期はたぶん70年代のはずですが、当時のフェンウィックイメージは手元にクロス巻きのあるグラスロッドくらいで、HMGとかボロンXとか名前くらいは知っているものの、これがフェンウィックだという(特にデザイン面の)イメージはあまり残っていません。私の場合は、初めて買ったのが92年ころのレガシーだったので、それが刷り込みになっているのでしょう。

 70年代から80年代のフェンウィックイメージが私にとって希薄なのは、どっちみち手の届かない高級品だったことの他に、“ルアーロッド”は舶来でなくてもあったからではないかと思います。ダイワやオリムピック、シマノなどの総合メーカーのみならず、ダイコーや(すこし遅れて)UFMウエダなどもありましたし、ウェルナーみたいなショップオリジナルも80年代初めには出てきていて、総合メーカー系とは違うイメージでした。だから、ロッドに関しては(あくまで私の印象ですが)舶来信仰が薄れるのがけっこう早かったのではないかと思います。

 これに対し、このころの日本に“ルアー用スピニング”というイメージのものはあまりありませんでした。70年代はまだ不恰好なアタリをひざに付けた外蹴り機構(エクスターナルベールトリップ)が主流でした。ルアーに適した内蹴り機構(インターナルベールトリップ)が出てきたのは70年代終わりですが、それほど時間をおかずにリアドラグブームが起こり、そのままゴテゴテとした過剰装備のリールの時代に突入していってしまいました。しかも日本メーカーの国内向け仕様は、磯のオジサン向けのでっかいウッド製のT字型ノブに、非実用的なワンタッチ折りたたみハンドルというものが主でした。

 リアドラグの時代が終わって85年のトーナメントSSをスタートにロングスプールが登場すると、ベール反転機構は外蹴りに逆戻りしてしまいました。平行巻き機構が高コストで輸出が見込めず、日本国内の磯上物をメインに見たからでしょう。日本のスピニングリールが“ルアー用”のイメージになるのは、トーナメントEXやそれに続く輸出用(半)内蹴りロングスプール(あのころPR-Hシリーズをようけテストしたなあ・・・)が登場し、90年代に入ってステラが出たころようやくという印象です。

 もっとも、私が“ルアー用”ぽくないと思っていた国産リアドラグは、アメリカではファーストキャストトリガーを付けてバリバリルアー用のリールだったのですが、ファーストキャストは日本では受け入れられないため、日本では80年代いっぱいルアー用らしからぬスピニングの時代が続いたのです。

 フェンウィックに話を戻すと、写真のグリップにフェンウィックらしさを感じるのは、往年の人からすればずれているのでしょう。でもやはり、どの時代のものにらしさを感じるかはやはり最初に見たときの印象のようで、たとえば私なんかはいわゆる赤メタを名機だという人にそれを思います。たしかにあれは優れたリールだし、現在のベイトリールの基になったものでしょう。でも私はやっぱりシマノのというか日本のベイトといえばBMかバンタム100だろと思います。いやこの場合は私が古すぎるのか・・・。

 10月3日からEテレ(教育テレビ)で「チャレンジ!ホビー・海のルアーフィッシング入門」という番組が放送されています。たまたま3日の第1回を見ていたら、講師役の児島玲子さんが正しいスピニングのグリップやキャスティング方法を説明していました。ところが、実釣になると生徒役のダニエル・カール氏は、堤防釣りのオッサンがよくやるような、リールの前で握ったブランクとラインをいっぺんに放して、最後は左手でリアグリップだけを持つ投げ方をしていました。ちょうどパソコンを開いていたので、番組のHP宛に、入門番組で生徒が講師の教えたとおりにやらないなんてダメでしょう、とメールを打ちました。僕ってヒマ人? (2011/10/30)

 すると、数日後、なんとNHKから返事がきました。ところがその内容は、指摘を受けてビデオを見直したがそんなことはないちゃんと投げている、というものでした。

 なにぃ〜と思った私は、NHKオンデマンドで105円もの巨費を投じて「チャレンジ!ホビー」の初回の動画を購入し、再確認しました。すると、やっぱり私の記憶の通りだったので、何分何秒と何分何秒と何分何秒のカールさんの投げ方と、何分何秒の児島さんの指導を比較してみてくださいと、再度メールを打ちました。

 すると、またまた返事がきました。その通りでしたとは書いてあったものの、あんたの書き方がきつかったからこっちも誤解したんじゃみたいな前置きのあとに、最初から指導どおりにはできないから今後の上達を見守ってほしいと書いてありました。

 でも、第2回のサバも堤防のオッサン投げのままでした。第3回はタイラバで両軸リールだったため不明でしたが、第4回のシーバスもやっぱり堤防のオッサン投げのままでした。第5回最終回は明日放送で、どうなるか知りませんが、8割ダメなら十分です。だいたい、最初からはできないったって、堤防のオッサン投げを繰り返しているうちに突然正しいキャスティングができるなんてことはないでしょう。そのまま身についてしまうだけです。

 紀行番組ならまだしも、入門番組でこれはいけないでしょう。他のスポーツがテーマのときに、講師の指導を無視するようなことがありますか。釣りを馬鹿にしています(と書いてNHK担当者を怒らせたのだが本当のことなんだから仕方がない)。道具の使い方だって、釣りの文化ですよ。

 昔から言っていることですが、こうした問題に関して、やはり日本の釣り具メーカーの罪は重いと思います。リールを売るだけで、正しい使い方の普及をやってこなかったのですから。写真はミッチェル304/314のマニュアルです。ミッチェルは普及型の304/314にすらこんなマニュアルをつけていたのです。日本のメーカーは使い方の普及をしないどころか、知らないやつには知らないまま売ってしまえと、長年スピニングを右ハンドルで売り続けました。それも、日本台湾オーストラリアなど釣りの後進国にだけ!

 でもまあ、NHKからの回答といい、一般の人から見たら、どーでもいいことなんすかねえ・・・。

 NHKといえば、30年来のあこがれの杉浦圭子アナが、以前プロフィールページに、ぞうきんのしぼり方がちがうと視聴者から指摘を受けた話を書かれていました。私はぞうきんのしぼり方にいちいち投書する小うるさいしゅうとババさのような人なのでありませうか。

 (ロッドの持ち方って、ぞうきんのしぼ方よりどうでもいいってことなのかぁ?)

 【2011/11/7しゅうとババさついでに追記】 5日のシマノの釣り番組でもゲストの元モー娘さんが堤防のオッサン投げでした。若山富三郎だったか、時代劇の撮影で若い俳優がはかまのはき方を知らないとひどく叱り飛ばすと聞いたことがありますけど・・・。シマノもあんな映像を流してたんじゃあ、メーカーとして恥ずかしいよぉ。


怪しい
パブコメ

 2011年10月12日、道東の川でアメマスを釣っているところです。川の名前は忘れました。見るからに暑そうな格好です。出発前カゼ気味だったもので、なんとなくこんなものを着ていってしまいました。吸湿発熱のアンダーまで着ています。全身汗でグショグショ。174cmで50kgあるかないかの人が、これ以上体重を絞ってどうするのでせうか。 (2011/10/24)

 この釣行は、アートフィッシングの小田さんが「車代出すから写真撮ってくれ」ということでいっしょに行ったものでした(ここだけの話、電話をいい加減に聞いていたので「車代」ではなく「交通費」だと思っていて、敦賀新港で勘違いに気づきました。今回は取材でもないのだし、そんなおいしい話はそうそうないわな・・・)。

 で、11日の夜に苫小牧港にフェリーで着いて、3時間くらい走って釧路だったかのビジネスホテルに泊まりました。川の名前は忘れたとか釧路だったかのとかいい加減なことをいってますが、普段ほとんど単独行動の人なので、たまに人と釣りに行くとまかせっきりにしてしまい、忘れちゃうというか最初っから覚えてもいないというか、そういう人なのですな。

 そのビジネスホテルは9月にオープンしたばかりとかで、部屋に入ったら新車のにおいみたいのが充満しておりました。前も書いたことがありますが、私は揮発成分が大して入っていると思えないエポキシコーティング剤や普通の人は大丈夫(?)な液体蚊取り、果ては靴クリームでも体調(腹)を崩す人なので、ヤバイと思ったのですが、窓も小さいのがあるだけだし、だいたい最低気温3度では開けっ放すわけにもいきません。

 なわけで、翌12日、朝飯も食わないうちから腹が暴れだして、途中のJRの駅のトイレで難を逃れる始末でした(CSとIBSの疑いですが、こういうことがしょっちゅうあるのもほとんど人と釣りに行かない理由であります)。そしてその日の午後入ったのが写真の川ですが、そんな調子だったので朝からなんにも食べてません。ガイドの人はさすが現地の人だけあって歩くの速いし、しかもこの服装ですから全身蒸し風呂状態、ヘロヘロです。

 翌13日、元々これがメインだった忠類川へ。ところが誰もいません。休止日やがや! これも単独釣行ならありえないのですが、人と行くと気分的にまかせてしまって、意識の外だったのですね。なわけで、この日もまたまた道東の川を蒸し風呂状態で歩きました。

 メインの(つもりだった)忠類川は苫小牧へ帰る翌14日の朝ちょろっとやっただけでした。でも、バラシを含めて4回ヒットがあって、なんとか満足というところです。

 道東の藪の川は体調不良でついてくのが精一杯、疲れちゃったんで忠類川はのんびり釣っていて、結局写真はほとんど撮りませんでした。小田さんを運転手にして北海道に行ってきただけという感じがしないでもありません。こんなことでよかったのだらうか。

 2011年10月14日、忠類川のカラフトマスです。誰だい、海外って北海道かよっていってるのは。必殺カラー(と思い込んでいる)シルバーにピンクとイエローを入れたバイト7.5gをヒラヒラと下流に流してこのサイズを2尾釣りました。忠類川に初めて行ったのは2001年でしたが、釣り人が減りましたね。これ以上減ると存続しないかもしれないそうです。ここが開くまでは泣いても笑っても日本でサーモンフィッシングはできなかったわけで、そういう事態はなんとか避けてほしいなと思います。 (2011/10/17)

 釣り人が減った理由はいろいろあるようですが、魚が釣れなくなったのが大きいそうです。原因は諸説あって、海水温の変化とか、山林破壊や河川改修によるものとかいわれているそうです。

 海水温の変化となるとどうしようもない面もありますが、河川環境の悪化となると原因は日本の側にあります。忠類川でも上流の木が伐採されて川の流量がかつてより減っているそうです。たしかに2001年より川が痩せたように思います。釣り場になっているところからはわかりませんが、上流では河川改修も進んでいるそうで、コンクリートのあくも悪さをしているのではとのことです。

 現実問題、産業のない地方では河川改修をはじめとする公共土木事業が雇用をになうものになってしまっているのですが、その公共土木事業が、公共土木事業以外のアイデアでがんばった好例たる忠類川のサーモンフィッシングをダメにしつつあるとしたら、本当に由々しきことだと思います。

 ど素人考えですけど、同じ産業のない地方に金をばら撒くなら、企業が工場を途上国に移転する代わりに国内の過疎地に建てた場合、その工場の従業員の給料は全部国で見てやるとかしたらダメなんでしょうかね。そんなむちゃくちゃなというところですが、公共土木事業の金だって税金ですよ。税金使って美しい国土を破壊したり(長良川河口堰なんていい例です)、忠類川みたいに自然を生かしてせっかく地域おこしに成功しかけたところをつぶしたりするくらいなら、そのほうがずっといいんじゃないかって思ってしまいます。

 そんな政策をやったらやったで癒着が起こっておかしなことになるのかもしれませんが、そもそも途上国に工場を持っていくなんて、産業のノウハウだって取られちゃうわけだし、日本だって失業率が上がってるのに外人食わせてやってるんですよ!

 なんてことを考えながら、サーモンを釣っておりました。

 これはですね、2010年5月12日に釣った徳山ダムのシラメです。バックナンバー37の上から6個目の魚です。その次(上)のところに書いてあるとおり、このときは徳山ダム周辺も揖斐川上流漁協の管轄だと思い込んでいて釣ってしまったのですが、実際は禁漁だそうで、それ以来行っておりません。人に見せられない・言えない魚なんて釣っても仕方ありませんからね。 (2011/10/9)

 で、今月6日のことです、夕方何気なくNHKテレビを見ていたら、岐阜放送局制作のほっとイブニングぎふの中で徳山ダムの映像が流れていました。その中の水中映像で小さなアマゴが映りました。画面には「アマゴ」というテロップがついています。続いて湖で成長したと思われるサツキマスが映りました。ところが、その下に「ニジマス」というテロップが出たのでびっくりしました。

 すると画面が切り替わり、名古屋の水中映像制作会社アアクエイトテレビのY社長が出てきました。そして、こんなところにニジマスがいるのは釣り人の密放流だ、自分の楽しみのためにこういうことをするのはけしからんとかなんとかいいます。

 一瞬とはいえテレビに映った魚にはニジマス特有の斑点がありませんでした。顔つきもいまどきのニジマスのような丸いものではなくちょうど上の写真の魚のようにとがっていました。

 それに、考えてみてください。釣り人がニジマスの密放流なんてすると思いますか? 戦後日本中に放流しまくったのに北海道を除けばほとんど定着しなかった魚を、釣り人レベルの数入れたからといって、何の効果もないでしょう。徳山ダムは日本最大の貯水量です。しかも、ニジマスのみならずトラウト類は、バスみたいにバケツにエアポンプで運べる魚でも、野池で釣って調達できる魚でもありません。さらに、徳山ダムはほとんど立ち入り禁止です。入れたところで釣る場所もありません。

 Y氏とはバックナンバー43の上から6個目に書いたような人です。またこの人か!と思った私は、ちょうど開いていたパソコンでNHK岐阜放送局の番組サイトに、あれはニジマスではない、湖でアマゴが大きくなったサツキマスだとメールを打ちました。

 翌日NHKから電話がかかってきたので、名古屋テレビのバス番組の件も含めてしっかり説明しておきました。どうなりますか、というところなのですが、私は明日から1週間ほど海外に行ってしまいますので番組は見られません。もっとも、そんな指摘は私1人だったそうで、ほとんど普通の人には関心のないことですし、なんにもならんのでしょうな。

 (ただ、ニュース映像も一瞬見ただけなので、絶対サツキマスかというと難しい面もあります。ニジマスでなかったのは確かですが、バックナンバー26の上から3番目や33の上から5番目のようなホウライマスなら、見分けるのは難しくなります。それでも、あんなところにマス類を持ち込んだ人がいるとは思えませんけどねえ・・・)

 追記:番組サイトに動画がアップされていました。「旧徳山村の自然」の4分30秒からです。あらためて見ると、サツキマスの朱点がありません。ニジマスの赤っぽいラインがほんのり見えるような気もします。でも顔やスタイルはアマゴ(サツキマス)系のものに見えます。なんでしょうか、これ。

 追記の追記:15日現在、上の番組サイトの動画は次の「岐阜の名画展」になって、「旧徳山村の自然」は写真とテキストに置き換わっています。動画では死んだイワナの次に問題の“ニジマス”が映ったのですが、写真・テキスト版では省かれてます。朱点がないのでサツキマスとは言い切れないかもしれませんが、かといってニジマスと断言できる映像でもありませんでしたから、なくしたのかもしれませんね。(2011/10/15)

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