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「養生の初夏」



 畑にとってこの大事な時期に二週間以上の休養をいただきまして、大変に恐縮しております。ひとつの区切りとして、昨日、聖隷浜松病院(住吉)で検査を受けてきました。病気の診療に来る多くの方々の中に入りますと、いろいろと考えさせられます。検査の結果は、肺にも気管支にもどこにも異常が認められずに、時を移してもう一度レントゲン写真を撮ってみればよいでしょう、ということでした。自分のことで嬉しいなぁと感じたのは久しぶりのことのような気がします。気管支あるいは肺の炎症はこの十二日間できれいに治っているといわれ、気管支拡張症も認められないということでした。多分、肺炎だったのではないか、ということです。

 総合病院で診察を受けるということが実に二十五年ぶりのことで、いろいろな検査を受けるのも大人になってから初めてのことでした。自分の体に過信していた部分があったわけではなく、体の声は声として聞いていたつもりだったので、検査結果に喜んでいても、戒めの気配は依然として大きな部分を占めています。どのように自分の体と折り合いをつけて、畑と向き合っていくかが大きな課題です。

 それにしても大きな病院というところは、患者さんも多ければ働く人も多いものだと驚いています。すべてがコンピューター化され、お医者さんは診察中にほとんどコンピューターのマウスから手をはなさないでいました。受付、看護婦、検査など完全に分業化されているのですから、効率もよいけれど医療費が莫大であるわけで、補助金がなければとても無理なことがよくわかります。それにも増して、働く人の態度がすばらしいと感じた部分が多かったのは、聖隷だからでしょうか?現代においての専門性の重要さを改めて感じました。農業において、分業を推進すれば市場経済になるであろうし、単作あるいは年に二,三作ということになるでしょう。僕たちのような少量多作では、もちろん補助金などありませんから、体が犠牲になってしまうのは仕方のないことなのでしょうか?僕たちの無農薬野菜の仲間も皆、次々と病に倒れているのが現状です。

 畑に出ると草がひどくて、植えられた野菜たちが瀕死の状態で、植えつけるものも山ほどあって、一度にやろうと思えばまた倒れてしまうでしょう。参ったなぁと畑を回っていると、もうあやめが咲いているではありませんか。カラーの白い花も水ため(生活廃水の流れ行く場所)に群れています。ちょっと早いけれど、季節は今年も巡ってくれています。それだけでよいのでしょう。養生をくれた初夏にありがとうを込めて。

                            2002年4月25日 寺田潤史

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↑カラー(サトイモ科)↓

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↓えんどう脇のアヤメ

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