週刊てーて ひらく農園から
「もう一年」
テレビ画面の中に、ビルディングに突っ込んでいく旅客機が時間を変えて二基、という稀有な光景を見せつけられてもう一年になります。それからの数ヶ月、テレビという媒体が良くも悪くも、ブッシュといういわば軍需産業の申し子を常にトップニュースのキャラクターとして流し続けてきました。世界が驚愕したといっていいこの事件をきっかけに、さまざまな人の発言もまたメディアの中に見つけ出すことができます。
報復、や「親の敵!」などというようなあだ討ちは、常に歴史の中で正当化されてきました。名目があれば、戦いは奨励されてきたのです。人間がもともと持っているであろう闘争本能は、この戦いの奨励という土壌の中に摩り替えられて数千年を生き抜いてきたかのようです。
たとえば農に従事する僕が、非戦のプラカードを掲げることは、板に棒をつけてマジックインキで報復反対と書く労力を惜しまなければすぐにでもできます。しかしながら、そのことによってひとつの満足は達成されるかもしれませんが、僕の求めている満足とは質が違うことをすぐに発見できるでしょう。畑という他者との戦いが比較的少ない世界に身をおいていても、家庭の中では、さまざまなすれ違いが山盛りになって通り過ぎていくのです。この身近な家庭や地域の中で非戦が達成される努力を続けなければ満足とは程遠いことがよくわかります。
具体例として、恭さんは仕事(収穫、調整、配達など)と家事に追われ、そこへ子供たちの要求が多くなるとストレスがたまってきて、「お母さんはいつも怒ってる!」と子供に言われるようになります。もともと家事より仕事にエネルギーを使いたい恭さんを差し置いて、僕が一日十三時間労働をしているならば、戦いの元であるストレスは膨らんでしまいます。そこで僕は方針を変えて、家事をできるだけ分担するようにしました。掃除や朝晩の食後の片付けぐらいのことですからたいしたことはありませんが、恭さんにとっては大きな違いのようです。人によって大変だと思うことの種類が違います。恭さんは畑で鶏糞の堆肥を運ぶことのほうが大変だと思わないようです。僕は一人暮らしを東京でしていたので、家事を大変だとは思いませんし、今年は体のほうが大変でしたから、家事は骨休めになるのです。お茶碗を丁寧に洗って、この一年を振り返っています。
妙な具体例と思われるかもしれませんが、身の回りのことからがすべてのスタートであると考えます。非戦とは、受け入れることであり、受け入れることは自分の行動様式を変えていくことだと思うのです。
2002年9月12日 寺田潤史
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