週刊てーて ひらく農園から
「おまつりのあと」
十月の第二土、日曜日に、ここ福田町の六社神社のお祭りが行われます。三十年前には十五台くらいの山車(屋台)が狭い本通り(旧国道百五十号)を東西に集まっていましたが、今では、二十台以上の山車が福田町のあちらこちらを練り歩いていて、神社色の薄いお祭りになっている様子です。メイン通りの中川通りが南北にできて、今年も土曜日の夜に山車が集結しましたが、何か問題が起きないかと警らの方々が蛍光色のジャンパーを着て見守る中を、一升瓶やビール瓶を抱えた法被姿の男女が入り乱れての大騒ぎは、一種異様な光景ではあります。
僕自身の十代の頃は、何のストレスか、お祭りのあとには必ず声が嗄れるほどに練り騒ぎ、吉田拓郎の「まつりのあと」をしみじみ口ずさんだものでした。帰農して、おまつりを収穫祭という意味合いに感じ始め、転じて地の神、水の神への一年の安堵の祈りと感じるこの頃では、大騒ぎからはちょっぴり離れたところで、旧友との会話を楽しんだり、まだ幼い子供たちを六社神社に顔見せに行く、ということに主題が移っています。
晴天に恵まれたお祭りが終わると、棚上げされた仕事がやっと乾いた畑に待っていました。雨のない長い夏が秋深く入り込んだと思ったら、遅い秋雨と台風の大雨で畑はぬかるみ、仕方なく納屋での種播きに精を出していたお祭り前です。定植する葉もの類や玉葱の苗が、順調に育ってきています。うちの畑では数少ない排水のよい部分に大根の種を播いてきたので、大根畑は追肥も中耕も済んで万全の気配ですが、その分だけ、他の葉もの類はぬかるみの影響を大きく受けています。できることをできる分だけやるほかはない、と毎日のように自分に言い聞かせていても、畑を見ると「うーん」と唸りたくなる日々です。
こんなに天候不順が続いていても、何らかの野菜が収穫できていることが不思議といえば不思議ですが、やはりあふれるばかりの野菜があることの豊かさを経験していると、何とかそれに近づきたくもなりますし、第一に野菜の単価を下げることができます。一年や二年で畑の状況が急によくなるわけではなく、天候不順が追い討ちをかけていることも事実です。それでも、やはり収穫できるものがあるということに、本当に助けられているなぁ、という思いを強くしています。
大雨が降っても強風にあおられても、異常な暑気が続いてもやはり、地の神、水の神を祀ってきた歴史は、農の中にわかりやすく息づいています。それは、形をもって祀るという歴史ではなく、地の神、水の神が自分自身の中に息づいているという歴史であり、祈りとは働くことなのだという、状況を選ばない強烈な諸刃の剣を自分自身に突きつけた歴史でもあるのです。
2002年10月17日 寺田潤史
今週の野菜
野菜 玉葱 |
播種日 2001/9/282000/1/25 2002/3/29 2001/9/20 2002/9/18 1999/2/1 2002/3/18 2002/3/15 2002/1/30 2002/3/17 2002/9/20 2002/1/30 2002/1/30 2002/1/30 2002/2/23 2002/8/20 2002/8/20 2002/8/20 2002/2/26 2002/9/18 |
品種 ターザンスーパーグリーンベルト わかさまパワー 遠州早生 雪峰 ウェルカム 寿 自家採種 黒潮 スターライト (自)宮重 セニョリータ 京みどり つばきグリーン メークイン なんそうべに オデッセイ おたふく 黒種衣笠 イーハトーブ |
ご覧いただきありがとうございます。
ご意見ご感想は、下記よりどうぞお寄せください。
このページの最初に 戻る