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週刊てーて ひらく農園から

「お芋がお芋であること」


 あまりに早過ぎる冬の到来に、農を営む者の不可解は極まるばかりですが、釣瓶落としに日が暮れるので、慌てふためいて仕事を片付けるこの頃です。テレビやラジオのニュースは、アメリカの中間選挙の速報や朝鮮半島付近の状況を伝えて、何やら断定的な世界を形作ろうとしています。メディアあるいは広報を意図的に操作して民意とする政治はもうどれくらい続いているでしょうか?

 「早過ぎる冬の到来」という断定に農民は懐疑的になりますが、受け入れることの変わり身が農民の身の上です。天然自然の営みほど、断定的な世界はありません。天然自然の営みには人間の意図が見えませんから、右に言っても左に行ってもありがたく受け入れる他はないのです。

 先週には、あちこちで掘り取りの遅れたサツマイモ畑が目に付いたものですが、十一月に入って一斉にサツマイモ畑が片付けられ始めました。うちの「とーと畑」でも、昨日から機械を使った掘り取りが始まりました。今年のサツマイモは、夏の日照りで成長が遅れたことから、太りも遅いけれど味も今ひとつ乗ってこない印象です。九月十月に掘り取った芋はあまり太っていないものが多く、今年は種芋を確保できないんじゃないかと思っていました。昨日掘り取った芋は違いました。ああ、これが芋ほりだ、という気分にさせてくれたのですから、予想以上に大きくなってくれていて、何とか、種芋を確保できました。

 昨日掘り取ったサツマイモ畑は、紙マルチを施した畝でした。八月の雨のない時期に、強烈な太陽光線を和らげてくれたのはこの紙マルチでした。たった一枚の再生紙がサツマイモ畑の地上部にある蔓と土の間に入っただけで、サツマイモの葉は萎れることなく茂ってくれていました。ビニールマルチを施した畑は、見るも無残なくらいに萎れていました。使えばゴミになるビニールマルチに比して、畑の土へと還る紙マルチはコストが二倍から三倍はかかります。しかし、この通年の異常気象の中で、お芋がお芋であることに手を貸してくれたのは紙マルチでした。コストがかかってもトータルでバランスが取れることの喜びには代えられません。自然界と与えられた環境、そして自分の労働とのバランスが取れているかどうかは、結果に左右されてしまいます。収穫の喜びという結果は翌年の大きな糧となります。きっと来年も厳しい断定に晒されることになるでしょうけれど、お芋がお芋であることを願って、僕らは体を動かすことになります。


2002年11月7日 寺田潤史

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機械で土を動かして手で彫り上げる

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サツマイモの束

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紙マルチは跡形もない

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蔓を運搬車に乗せてから掘り取り

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さやえんどうの種

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ビニールマルチを連続利用、不耕起

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オクラの畝の中に絹さやの種を播く

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手前の畝は葉ものの定植予定地

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オクラは寒くてもうおしまい

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わけぎの芽がでてくる

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わけぎは種からでなく種球を植える

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白玉葱はビニールマルチ

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ぬかるんだ畑をようやく耕した

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にらの株元に米ぬかを散布

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にらの葉を惜しげもなく刈り取る

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とーと畑を南東から見る

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大根の太りが遅いのも寒さのせい

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遠くに見える松の木が冬は日陰を作る

今週の野菜

野菜

品種

播種日

玉葱
にら
葉ねぎ
ほうれんそう
にんにく
レタス
春菊
ロケット
なす
小かぶ
大根ぬきな
菜の花
ピーマン
ししとう
小松菜
サニーレタス
さつまいも
べかな
セニョリータ
京みぶな

お茶(煎茶)
ターザン
スーパーグリーンベルト
わかさまパワー
イーハトーブ
上海早生
シスコ
おたふく
オデッセイ
黒潮
雪峰
(自)宮重
広東サイシン
京みどり
つばきグリーン
新黒葉小松菜
なんそうべに
寿
はまみなとべかな
セニョリータ
早生みぶな

やぶきた
ユリ
ユリ
ユリ
アカザ
ユリ
キク
キク
アブラナ
ナス
アブラナ
アブラナ
アブラナ
ナス
ナス
アブラナ
キク
ヒルガオ
アブラナ
ナス
アブラナ


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