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「奇妙な気候」

 夕べから突然に寒くなりました。

 アメリカの唄に「奇妙な果実」(Strange Fruite)という歌があります。ビリー・ホリデイの歌がなんともやるせなくて、悲しみを持った風刺を感じさせます。木に死んだ黒人がぶら下がっているという光景を、痛烈な黒人差別批判として歌ったものだったと思います。黒人差別は、その後顕著ではなくなってきているとは思いますが、今でもなくなったとはいえないでしょう。

 この春という大木にぶら下がっている気候は、人間の偏りから生まれたものであるでしょうか?人間以外のものの存在をあまりに過小評価しすぎてきた二十世紀の横暴を、僕たちは省みることを続けなければなりません。雨が続けば雨ばかり、例年よりも寒い日々のあとにようやく訪れた暖かい日々をあざ笑うかのようなこの冷え込み。地球の自浄作用と信じたいこの気候の変動は、資本主義の副産物でありましょうか?富の偏りを狙ったとしか考えられない資本主義の末路は、そう簡単には抜け出せない仕組みにあえいでいますが、その犠牲となるものは人間だけでなく、地球上のすべてのものです。

 子供たちが、庭に畑に発見する、なんの変哲もない虫たち。 「ちょうちょだ!」 「だんごむし!」 「うわー、ナメクジ???うひゃー」 それらの反応を感動を、僕たちは軽視し過ぎています。人間が人間に感動を与えることばかりを目標にしていると、大事なことが足元に転がっていることを忘れてしまいがちです。その土地その土地の風土や気候の中にだけ存在するもの、それが木にぶら下がる果実でなければなりません。

 冷え込んだので、畑の虫たちの活動は少し鈍っているようですが、今日は庭の大きな水溜りと化した小池に、アメンボの姿を見つけました。そして、ふと見上げると、百日紅の木に新芽が芽吹いています。畑のアヤメの花も咲き出したものがあります。もう五月です。畑では、エンドウ類が謳歌を極めています。ミニトマトの実や、ズッキーニの実も小さく形を現しはじめました。「奇妙な気候」には、旬の力強さをもって対処していくほかはありません。でも、なんだかやるせない心持がするのです。

2003年5月1日 寺田潤史

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↑アヤメがやっと咲き出した。
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↑ズッキーニの葉が大きくなった。
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ズッキーニに小さな実がつき始めた。
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↑ミニトマトの実も。
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↑七宝早生7号も収穫期。
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↑さやえんどうとスナックえんどうは背丈を越す。
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↑百日紅の木にも新芽が。

今週の野菜
(すべて無農薬無化学肥料栽培です)
  野菜 品種 播種日






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