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週刊てーて ひらく農園から

「不思議な田植え」

 先週の週刊てーて「晴れの日のうれしさ」に、「何事も準備が大変で本番の仕事はあっという間に終わってしまう、という風に持っていくこと、これこそがお天気との相談の結果であります」と書いたばかりですが、いい意味でも悪い意味でも現実とは常に想像を超えたところにあるもので、日曜日の田植えは予期せぬ結果となりました。

 ここ数年は、田植え、お茶摘み、稲刈りなどの重要な行事仕事の折、娘たちを恭さんの実家あるいは僕の母親にあずかってもらうことがほとんどで、今年の田植えの際も前日から子供たちは浜松にお泊りに行きました。その前日の土曜日には、子供たちのにぎやかさの中で田植えの準備として、畦の草刈と草の搬出、一メートル間隔に田んぼの南北に支柱を立てて、田植え時のマーカーとしての線を張るなどしておりました。毎年、数名の助っ人が来てくれるのですが、何人助っ人が来るかどうかは不確定なので、心構えとしては夫婦二人だけでも田植えができるように準備しておくのが慣例です。

 いざ、田植え当日の朝になってみると、鶏の餌やりや野菜の苗の水遣り、大きくなったズッキーニの収穫など、やるべきことがたくさんあって、稲の苗を軽トラックに載せて出発しようとしたのは九時半を回っていました。そこへ、どっと九名の助っ人が早くも到着。田んぼへ行ってみれば、さらに一家族と一名が合流して、久しぶりににぎやかな田植えとなりました。十時ごろからマーカーの線を張り、僕が目印の稲苗を33.3cmおきに植え始めましたが、恭さんは人の多さに早々とお昼ご飯の支度のために家に戻りました。

 さあて、今日の田植えはどうなることやら、と半ばあきらめの境地に足を突っ込みかけていたのが本当のところです。まだ田んぼを始めたばかりの十数年前に、たくさんの人が集まってとても統制の取れない状況に陥った経験がチラッと横切ったのであります。今回の予期せぬ助っ人の中で、静岡大学農学部の女子学生さん三人は、それはそれはおぼつかない足取りで田んぼに素足を踏み入れたので、あきらめの境地は案の定かと思われました。ところがどっこい、何と何と、僕は大雑把に段取りするだけで田植えはマーカー以外ほとんどしないにもかかわらず、片づけまで含めて午後の一時には一反半の田んぼのほとんどを植え終えてしまったのでした。友人の子供たちのザリガニ取りにも加わり、皆でおしゃべりをしながらの三時間です。毎年、夕方までかかって田植えしていたのがうそのようです。

 手植えの田植えというものは、人の数なのでしょうか?「こんなことなら、子供たちをあずけなくても十分だった」「あー、神様が今日もそばにいてくれた」と、安堵安堵の不思議な田植えでした。

2003年5月29日 寺田潤史

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↑手植えはなかなかまっすぐに植えられない
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↑土つきのポット苗288本入りのトレーを持って植える
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↑田植えとはお尻が並ぶもの

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