週刊てーて ひらく農園から
「真夏の空の消失」
とうとう、夏が来ませんでした。ということが大げさでないほどの事態になりました。残暑見舞いという季語も消え失せました。夏空の消失見舞いなら書くことができるかもしれません。末世の悪い予感を彷彿とさせるような事件が相次いでいます。天候も地球規模でバランスを崩してしまいました。果たして、地球に自浄作用はあるのでしょうか?人間の作った世界は、破壊が突出して自浄どころではありません。
長女の妃袈里が、夏休みで家にごろごろとしています。この天候と恭さんのつわりで、子供と過ごす時間をたくさんいただいています。妃袈里は絵を描くことが好きで、学校の宿題はほっぽらかして暇さえあれば絵を描いています。絵といっても、漫画チックな感じの想像上の絵が多いので、僕はいつも「本物を見て描けよ」と声をかけ、サンプルを提供することにしています。シシトウの収穫を妃袈里に手伝ってもらったときに、妃袈里が「これ、おおきい!」とシシトウを持って得意そうにしていたので、「それ、描けば?」というと、うれしそうに部屋に跳んで帰り、描いたシシトウの絵を見せるために跳んで来たこともありました。
昨日は、風景の絵の宿題が出ていたので、お手本を見せるために、僕が外で松ノ木や蟹の絵を書きました。絵を描くなんて、何十年ぶりのことでしょうか。「下手でもいいんだから、自分が見たものを思ったように描けばいいんだよ」と半ば自分に言い聞かせるようにして、妃袈里と運搬車の荷台に並んで鉛筆でスケッチを描きました。時間を置いて、仕事の合間にクレヨンで色づけもしました。いつも見ている松ノ木の肌がこんな具合であったのかと驚き、松ノ木の肌の色がこんな具合であったのかと発見しました。
真夏の空を消失して、末世を感じさせる日々ではありますが、僕たちを突き動かすに足りるエネルギーは、事実の感触の記憶にあるのだと思い至りました。松ノ木の大木の肌の感触は、子供のころの木登りで得た感触が残っており、松ノ木に触らずともイメージが出来ます。しかし、松ノ木の肌の皮の割れ具合や色は、絵を描いてはじめてイメージとして残りました。蟹の足の曲がり具合があんなであったことも、どぶ板をはずして現れた大きなアカテガニ(?)を描いてはじめて知りました。僕がいつも素手で触っている草草の感触や、数々の野菜の実や葉の感触、これが丸ごと最も重要なことなんだと。これらが丸ごと地球そのものであると思い至ったのでありました。
僕たちが子供たちに伝えることのひとつに、季節そのものがあります。子供たちが季節を体で堪能してくれればよいのです。何も言わなくたって、子供たちは蟹や蝉、花、草、蛾、蝶など変化のあるものには目が釘付けです。子供たちの存在自体が自浄作用なのです。真夏の空は、僕たち大人の中からは感触として消え失せることはありません。しかし、子供たちには真夏の空が必要なのです。子供たちに対して、地球をおかしくしてしまうという大罪を犯した僕たち大人には、その罪を償う責任があります。十年、二十年とたてば、今の子供たち自身がその罪を償う側になってしまうのです。
2003年8月21日 寺田潤史
  | 野菜 | 品種 | 科 | 播種日 |
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にら 玉葱 葉ねぎ モロヘイヤ なす 青しそ ししとう ピーマン ミニトマト 胡瓜 トマト インゲン オクラ にんにく 煎茶 自然卵 自家製味噌 |
スーパーグリーン 七宝甘七十 わかさまパワー 自家採種 千両2号 自然発芽 つばきグリーン 京波、京みどり レッドメゴ ときわ地這 サンロード 黒種衣笠 スターライト 遠州早生 やぶきた ブラウン 自家米のこうじ |
ユリ ユリ ユリ シナノキ ナス シソ マメ ナス ナス ウリ ナス マメ アオイ ユリ 海の精塩 |
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