週刊てーて ひらく農園から
「焼け石に水」
お盆過ぎまでの雨続きから一転して、雨のない日々がもう一月も続いています。途中、ぱらぱらっと2,3度雨が降ったにしても、畑はカラカラ状態です。先週末も雨の予報に小躍りして、やっと葉もの類の定植にこぎつけたと思ったら、一滴の雨も降らずに、毎日の水遣りの甲斐もなく葉もの類は全滅状態です。
葉もの類は、苗を育てて畑に植えるので、畑がカラカラの状態では、苗自身の土の湿り気すら膨大な畑の乾いた土に吸い取られてしまいます。水を日に3度やったってたいしたことがありません。それでも、一縷の望みに期待して水遣りにせっせと励みます。水をやらなきゃ一日で枯れてしまう今の気候です。水をやったって、雨が来なければ枯れてしまうのは目に見えています。そうとわかっていても、水をやりにいくのです。そうして苗はどんどんなくなっていきました。無駄なことを、日に何時間もかけて毎日しているようなものです。
日照りは、人間の体も心も疲弊させます。日本の歴史の、世界の歴史の中にどれほどの日照りがあって、どれほどの疲弊を生んできたことか、こういうときは連想に難くありません。現代においては、ほとんど日照りとは縁のないもの、と思っている人たちが圧倒的多数を占めていることでしょう。コンクリートで固められた用水路が全国に張り巡らされて、政策上、日照りはあってはならないものになっていますから。しかし、政策は常に多数に便利にできているものですから、少数の人たちには何の恩恵もなく、個人でそれをやろうとすれば莫大なお金がかかってしまうものです。このことは日本だけでなく、世界中でたいした差はないように思われます。日照りのことだけでなく、多数のうちに入らなければ生きていくのが大変、であるのが政治を頂点とした社会であるのです。
雨がないから、瀕死の状態であったナスやピーマンやシシトウたちにも日に一度は水をやり続けています。こちらは立派に根を張った大人の木ですから、そう簡単に枯れてしまわないですけれど、1本2本と枯れてきてはいました。ここ数日で大分涼しくなってきたことと水遣りのおかげで、ようやくまた収穫が増えてきました。焼け石に水といいつつも水遣りを続けたことが、成就されたようで充実したうれしさが畑に漂っています。無駄を重ねて全滅した葉もの類とは対照的な空気が、ひとつ畑の中に共存しているのです。朝から晩までお天気のことを気にしている百姓というものは、雑事の中でしか物を考えることができずに、ただただ、その収穫物に自分のやってきたことを投影して生きているものです。途方にくれることがあまりにも多すぎるからこそ、その収穫物に一喜一憂するのです。今、シシトウの実を収穫して、ほとんどが柔らかい実であること、これが嬉しくて嬉しくて大きなエネルギーとなり、次の新しい種をまく原動力となっていくのです。
2003年9月18日 寺田潤史
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