週刊てーて ひらく農園から
「無農薬の中身」
またしても雨の日々を徘徊している。この時期に重要な仕事である玉葱の植え付けが思うように進まないでいる。仕方がないから、うちで唯一の砂地の「ちーち」畑を工面することにした。なぜ工面かといえば、生えている草をトラクターですき込んで耕して草を腐熟させる時間が取れないために、草を手で取って畑から持ち出す、という作業をしなければならないからだ。
排水の悪い部分が大部分であり、良く言えば水持ちの良い畑である「とーと畑」は、貯蔵用の玉葱の栽培には適している。淡路島などの貯蔵用玉葱の産地は大体において田んぼの裏作である。排水の極上に良い砂地の「ちーち畑」では、貯蔵性の良い玉葱は出来ないのだ。逆に、砂地の利点の一つである昇温性を利用して、早生種の玉葱栽培が、同じ静岡県の篠原町や愛知県の知多半島などでなされている。そのことを思い出し、雨の日々とを考慮して、急遽「ちーち畑」の草取りを始めたのである。
ここで、面白いことに気付いた。農薬の使われている慣行農業では、ほとんど畑に草がない。作物の収穫が終わり、その残渣である茎葉を畑から撤収すれば、すぐに次の作物が植えつけることが出来るのは当たり前のことなのだ。除草剤という便利な代物のおかげで、作の終わるまで草なしでいられるというわけだ。無農薬栽培では、草取りもすることが多いけれど、畑に植え付けられてから収穫までのあいだずっと除草されているわけではない。それはそうだ。除草剤を使わないのだから、畝間を小型耕耘機で耕すか草を手で取るという手段がほとんどで、ある程度作物が大きくなって草に負けないくらいであれば草をとる手間はかけていられない。すると、作物の収穫終了の時点で草は株元にいっぱい生えている状態で、忙しくてそのままの状態を放置すれば草茫々ということになる。そこを逆に利用し、雑草緑肥として畑の繊維質を補給する方法を長年とっている。その場合、草をすき込んでしばらくおいて府熟させ、それから堆肥をまいて耕して、さらにまた畝立てして次の作の植え付けとなるのが通常のやり方だ。不耕起という方法もあって、その場合はもっぱら手を使って草をとることになる。これらのことから、農薬を使うということと使わないということは、畑の作業自体がまるで異質のものであることが良くわかる。
「ちーち畑」は砂地であるから、草取りもしやすい。草を畑から運び出して、堆肥を散布し、トラクターで畝立てして玉葱の植え付けとなるのだが、トラクターでの畝立ても砂地ではすんなりと行くし、機械で植えつけてからの補植もしやすいのだ。砂であるから、苗をさすのも何の苦もなく出来る。砂地であるということは、それだけで感謝したくなってしまうくらいのものだ。それでも、たくさんの面積の草を手でいっきに取ってしまうのは骨の折れる仕事だ。草を取りながら思う。こんなことは、誰もがやっていることじゃないんだ。だけど、長いサイクルで見つめなおせば、誰もがやってきたことでもあるような気がする。むしろ除草剤で草を取ったつもりになっている現状のほうが、特異な状況であるのだ。農を、数字と偏った合理性で突き詰めて満足しているに過ぎない。農はすなわち食であることを多くの人が忘れているのである、と。
2003年11月20日 寺田潤史
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