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「山深く養生す」

 例年通りに、奈良県最南端に位置する十津川村は上湯温泉に湯治に来ている。日に四度の入浴と休養で、一年の腰の疲れや足の疲れ、内臓その他の蓄積した疲れを癒している。この休養に当たっては、野菜を長年買っていただいている同じ福田町に住む中山さんに鶏のお世話をお願いした。中山さんは、「鶏と遊ぶ会」とおっしゃられて快く引き受けてくださった。ありがたいことこの上ない。おかげで、僕たちは農作業のことを頭から離して空っぽになれているのだ。

 海辺に住む僕たちが、山々に囲まれた場所に移動すると、やはりその景観とともに山奥までの開発具合に目が向く。くねくねとした細い道路を進んでいくので、広々としたまっすぐな道路が現れると運転しやすいし移動が早い。新しい道路の建設に従事している人たちの大変さの一部分にも自然と目が向く。土砂崩れや、道路建設後のメンテナンスに莫大な時間と労働が必要であることも目の当たりにする。一方で、木を切って道路を作ることで悪循環が生じることにもなる。木を切ってしまえば、土砂は崩れ落ち易くなり、土砂が川に流れ込むと、川の流れが変わり川は変形し、その結果道路が崩れる恐れが出てくるので、堆積した土砂の撤去も重要な仕事になる。パワーシャベルとダンプカーのあるところには、道路の交通整理のために警備員が必ず配置されている。つまるところ、木を切って道路を建設するということは、メンテナンスも含めて莫大な費用が長期にわたって投下されるという意味を持つのである。便利さと雇用の創出が手に入るのだが、木を切った山は山でなくなる。山であり続けるには、できうる限り木を残していかなければならない。そこに住む人々の願いは交錯しているに違いない、なんて考えながら山道を進むのである。。

 宿のテレビで、北海道の襟裳岬の漁師たちの森の再生の数十年の苦労の歴史を見た。昆布漁を再生するために、強烈な風砂に何度も打ち砕かれながら黒松を植えて森を作り、その腐葉土が海に豊饒をもたらすようになったという歴史である。「海もまた、木があるから海であり続ける」ということなのだ。「山は、木があるから山であり続ける」のであるから、海は山があるから海であり続けるということにもなり、田んぼがあるから平地であり続けることと同義のように思われる。この島国では、海も平地も山も一体なのである。海も平地も山も一体であるということは、その上にある雲も空も一体であるということではあるまいか。エスカレートした今年の天候不順は、その一体感のバランスが失われたからであると思えてならない。

 人間は便利なものを求めるものである。そして、お手軽なものが巷にあふれるようになった。食生活もお手軽なもので済ませる風潮も広がっている。逆に、本当においしいものを求める気運も確実に広がっている。本当においしいものはお手軽ではない。手間をかけたもの、新鮮なものはやはりおいしい。しかも、体に馴染む。その元には必ず根っこがある。素材の源は常に大地との接点にある。野菜でいえば土の表層だ。森の木で言えば腐葉土だ。海のものさえ、腐葉土なのだという。山は腐葉土の宝庫だ。腐葉土は、二十年で一p程度しかできないそうだ。実に手間がかかっている。その腐葉土を、お手軽に失くしてはならない。人間の歴史も腐葉土のようなものである。その一番上に現代の便利さが乗っかっているが、それはほんの一部に過ぎない。山深く養生しながら、そんな夢想をしている。

2003年12月11日 寺田潤史

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