週刊てーて ひらく農園から
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「厨房に入りてダシをとる!その五」
農と食はとても深いつながりを持っているが、農と食のつながりの大きなパイプ役として「味覚」がある。その人なりの味覚というものがまずあって、その上に見栄えというものが重要視される現代であるが、実際には見栄え優先の時代である。それでも、厨房に入れば、やはり味覚優先となってくれなければ、味覚は衰えるばかりである。そう、味覚は体力と同じように衰えるものなのである。しかも、幼少期の味覚が一生を覆うといってもいいかもしれない。
僕の少年期のことを少し述べさせてもらう。お袋の実家は、愛知県にほど近い佐久間町の山の中にある。夏休みやお正月には、よく泊まりに行ったものだ。僕はそこでいただいた味噌汁が大好きで、自宅に戻って出される味噌汁の味との違いに不平を言ったことを、お袋は今でも覚えている。化学調味料のたっぷり入ったお袋の味噌汁を食べると気分が悪くなるようになり、しだいに食べられなくなっていった。お袋の実家では、何年ものかわからないほど年季の入った自家製味噌を使っていたのである。
学生時代に東京での一人暮らしを始めた僕は、すねかじりであるにもかかわらず常にお金に窮していた。仕送りまでのあと一週間を、百円で過ごさなければならないなんてことはざらにあり、当時35円で買えたマルシンハンバーグとご飯という組み合わせもしょっちゅうであった。ところが本の影響であるかどういう理由からか、玄米を炊くようになっていった。阿佐ヶ谷でも国立でも、近くに自然食品屋さんがあったことが大きな要因であったかもしれない。お金が無いのに、アルバイト料をもらうと、自然食品屋さんに行って買出しをする二十代であった。音楽一辺倒の生活から百姓生活に転じた根っこには、貧窮を味わっていたがゆえの「人間はパンのみで生きているわけではないが、やはり食べなければ生きていけない」という現実を思い知らされていたということがある。
農中心の生活では、野性味のある野菜をたっぷりと食べられる。ビニールハウスを使っていなければ、お日様も風も雨もすべてたっぷりと含んだ野性味を堪能できるのである。そうすると、素の味が素晴らしいことも野性味が教えてくれる。素の味の正反対に位置するものが味の素ということになると言うと、皮肉が強すぎるだろうか?素の味の素晴らしさは、添加物や化学調味料を寄せ付けないくらいのものである。合わないといったほうが語弊が無いかもしれない。だから、鰹節や昆布、出し煮干、椎茸などの天然の出しとよく合うのだ。それが自然の流れというものだろう。味噌だって、普通に大豆と糀(種類はいろいろあるが)と塩で出来たものがおいしい。妙なものを入れてお金儲けをしよう、というようなものに素の味はあわない。そして、こうしたものを毎日食べていたなら、味覚は維持されるどころか、研ぎ澄まされていくに違いない、と妄想するのも案外間違いではないかもしれないと思うのである。
今朝もいつものとおり味噌汁の用意をしたが、昨日は八十九歳の祖母がしまっておいた古い鰹節を使ってみた。鰹節で味が変わることを発見することもまた味覚の進化ではあるまいか?
2004年5月13日 寺田潤史
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