週刊てーて ひらく農園から
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「旬を食べる、旬を育てる その一」
こかぶが「とーと畑」からもうすぐなくなる。二月二十二日に露地に種を播いて、四月二日から「かぶの抜き菜」として販売し始めた記録が残っている。わずかな面積に密集して種を播いたし、急に温暖な気候になった時期でもあるから、正直なところ二週間持てばいいほうかな、くらいの気持ちでいた。それが何と五月いっぱいまで収穫できてしまったのである。
春は温度変化が激しい。今年はまたそれが極端だ。次から次へと、収穫できる野菜が変わってくる。木々も新緑が美しい季節であるが、野菜もその瑞々しさを堪能できる季節だ。葉もの類はすぐに花芽が来てしまうので、収穫期間が著しく短い。だから、何度も種を播く。かぶは元来収穫期間の長い野菜の部類に入る。昨秋の種播きは十月十一日で、十一月十九日から収穫し始めて、今年の二月十六日まで販売している。冬は、温度も低く温度差もそんなに激しくないのである程度は畑に置いておいても野菜は大丈夫なものであるが、春先はそういうわけにはいかないはずだ。それが今年はどういうわけか二ヶ月間も収穫し続けることができたのだ。これはまさしく旬にはまったというべきであろうか?
旬であるということは、野菜にとって育つに適した気候であるということに他ならない。そのことに加えて、土の条件と人間の添うやり方が間違っていないことが要求されるだろう。気候は、たとえばこの静岡県西部地方でも海岸端と台地の上とではかなり違ってくる。旬は住んでいる場所に近いということが最も重要な要素だ。今回のこかぶについては、品種の力というものも無視できないかもしれない。旬と品種がぴたっと合った時には、人間が考えるよりもずっと強力な力が発揮されることが多い。潜在能力が表に出てくるのだ。この時期はナメクジも絶大な勢力を発揮する。野菜という野菜にはほとんど潜んでいるんじゃないかというくらいだ。そのナメクジが当然かぶの葉っぱにもついている。かぶの太った根部も食害する。ところが密集してかぶがあるので、大きくなったかぶがおとりのようになって食害され、周りのこかぶは大丈夫であることが多い。かぶは密集に強い野菜といえるだろう。これが葉もの類ならば、すぐに腐敗しやすくなるし、その前に花芽が来る。
食害された外葉を欠いて欠いてほとんど葉っぱが数枚になるまで欠いて、収穫されたこかぶが、いざ食卓に上ると独特の風味を出してくれる。先日の田植え時に多くの助っ人に恵まれて、お昼の味噌汁を作ったが、四種のだしをたっぷりと使っても、こかぶを入れただけでかぶの風味が上に来る感じであった。また、ズッキーニ入りの洋風おじやでも、主役はかぶで、ズッキーニは脇役といった印象である。春のかぶは、醤油味のだしよりも洋風のほうが似合っていた。子供たちも好んで食べるかぶの浅漬けは、二ヶ月続いてもあきがこない。大きくなったかぶは、皮をむいて火を入れると驚くほど柔らかく食べられる。かぶの葉っぱはカルシウムが多いことも知られている。これだけ、かぶを堪能できれば、もう冬近くまでかぶがなくてもよい。旬とは、心ゆくまで堪能するものであり、それが季節をいただくということであり、季節の中にいるということの一つなのである。
2004年5月27日 寺田潤史
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