週刊てーて ひらく農園から
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「旬を食べる、旬を育てる その二」
蒸し暑かったり、肌寒かったりのおかしな気候にもめげずに、旬は維持されているようだ。三月四日に播いたインゲンの種は、三月十七日には「とーと畑」に植えつけられ、五月十七日に誘引ネットを張ってからぐんぐんと成長を早めた。そして、五月末には、全盛期のようにインゲンの実を収穫できるにいたったのである。このインゲン、秋遅くまで収穫できる長期物だ。真夏の暑い時は苦手であるから、冷涼な山のあるような地方で主に栽培されている。こちらの亜熱帯に近い地方で栽培するには、やはり早播きが適している。八月のお盆くらいからひと月ほど収穫らしい収穫がないが、秋にはまた元気になる。
以前は、インゲンでもツルの伸びないツルなしインゲンをよく育てていたのだが、あまりにも栽培期間が短く、そしてどっとたくさん収穫しなければならないので、多品目野菜を育てる僕たちには不向きであった。数年前から在来の「黒種衣笠」という品種一本やりで、支柱を立てネットを張ってツルありのインゲンを育てている。真夏と冬が旬でないということであるから、大雑把に言って五月下旬から十一月上旬までのあいだじゅう旬の中にあるといってよい。細長く小さな実を両手で収穫しなければならないので、手間のかかる野菜の一つである。片手で収穫するとインゲンのツルを傷めてしまう。マメ科の野菜ではあるが、肥料分を多く吸収するので、不耕起栽培では実が小さくなりやすい。虫もつくし、風が吹くと実がこすれて傷がつく。手間暇かけても育てるのは、その風味にある。インゲンを好まない方が少ないこともある。コンスタントに需要のある野菜の一つだ。それはそうだ。旬が長いものは、たいてい好まれる。
今なら、ズッキーニと相性がよい。肉類と相性がよいことはステーキ店に入ればよくわかる。定番の形で肉に添えられることが多いし、ソースにも合う水分の少なさも決め手だ。家庭では、インゲンの筋を取り除かなければならない場合は手間がかかるが、「黒種衣笠」の場合、若莢ならば筋を取らなくてよい。うちでは販売できないと判断してはねた実のいったインゲンばかり食べるので、筋を取ることが多い。手間であるが、これも農家の骨休みと思えばよい。昨日も、ズッキーニとインゲンと豚肉を基本のダシを多めに入れて炒め、中華風だしと塩、醤油を各少々入れて味付けしたものを子供たちはよく食べて、食が進んだ。
インゲンの畝が長期にわたって使われるということは、畝がその間中耕されることなく、地下の水みちを形成してくれるということでもある。今年は、排水の悪いところを選んで、インゲンやナス、ピーマン、オクラなどの長期作物を作付けた。果たして、しっかり収穫できるのだろうか?という不安があったが、今のところ大丈夫のようだ。畑というものは、ひと夏を超えることが出来れば、秋の雨も超えられるようになり、初冬までこぎつけたなら、かなりよい感じの土になるものだ。もっともインゲンやナス類を作付けられるようになるまでに十年近くを要しているが。インゲンの畝にひざまずいて収穫していると、不毛の「とーと畑」の十年の歴史がふっと頭を掠める。インゲンの可憐なむらさきの花がこんなにきれいに咲くようになったよ、と土の神に頭をたれるのであった。
2004年6月3日 寺田潤史
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