週刊てーて ひらく農園から
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「旬を食べる、旬を育てる その三」
旬は変わるものである。季節が変わるから旬が変わるということは、この移ろいやすい季節を保持する島国の日本の本質の一つでもある。もう一つ、旬が変わる要因がある。旬は食べ物を指しているので、食べ方が変わると旬も変わるのだ。食べ方が変わるということは、たとえば野菜ならば、育て方も変わるということだ。
ここで一つ断らなければならないことがある。旬の定義だ。これは微妙なところがある。トマトを一年中食べたいからと言ってハウス栽培のトマトを冬に食べて旬だという人はあまりいないだろう。というと、露地栽培が前提となるのが旬の定義の重要なところとなる。ところが、露地栽培に育苗期も含めてしまうと、旬が著しく変わってくるのである。典型的な例が夏野菜だ。トマトでもナスでもスイカでもいいが、暖めない場所に三月はじめに種をまくと、芽はいつまでたっても出てこない。昔実際にやってみたが、スイカなどは五月にならないと露地では発芽しない。五月にスイカの種をまいて育てると、収穫は八月下旬になる。厳密に言えばこれが旬であるといえるかもしれない。人間がスイカを食べたいと思うのは、七月から八月中旬にかけてであることが多い。とすると、完全露地育苗では旬をはずすことになる。ここが微妙であるのだ。であるから、僕たちの無農薬の野菜仲間では、育苗はハウスまたはビニールトンネル、夏野菜の苗を植えつける時期は霜との兼ね合いで地域によって変わってくる、ということをいつも話している。旬は、食べる側に合わせる時代であるのか?
そばの薬味としても風味豊かな葉ねぎ。この葉ねぎは、人間の需要によって周年露地で育てられるようになった。葉ねぎの旬は一年中ということになるのだろうか?僕たちも一年中育てている。まあ、真夏の旧盆あたりは出荷が難しい時もあるが。通常の大型スーパーで売られている葉ねぎは、ほとんどハウスで水耕栽培だ。あれは旬ではない。おまけに大地で育っていない。風味もへったくれもない。僕たちの葉ねぎの露地栽培では、虫あるいは病気の少ない時期が旬であると言える。一年に数回あるいは十回ほど葉ねぎの種をまくが、畑に植えられてから虫の付きだす時期までが毎回旬となる。臭いをかいでくさくなければ美味しい葉ねぎとなる。若いうちはまず大丈夫だ。若々しい肌はやはり素晴らしいといえるが、香りの出てこない時期の若々しさではだめで、味も香りも出てくる時期が一番の旬だ。
テレビや雑誌では、料理研究家が旬でない野菜を使って平気でレシピを公開している。旬のわからない主婦を、おかしな料理研究家が作りだしているようなものだ。たとえば、辰巳芳子さんのようなまっとうな料理研究家は、旬もよく知っているから、ダシもきっちりとっている。旬には風味があることをよく知っている。旬を食すということは、季節に生きるということであり、季節を知るということが日本を知るということにつながる。新しい食べ方はいくらあってもよいが、大地を抱いた風味をいただくのが、野菜を使った食事の本質ではないだろうか?ダシをとったそばつゆに葉ねぎの風味がのっかれば、幸せな蕎麦の時間となる。一年中、その幸せをいただけるのならば、旬の変化もまたよいようにも思うのだが。
2004年6月10日 寺田潤史
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