週刊てーて ひらく農園から
「旬を食べる、旬を育てる その九」
未だかつてない酷暑を体験している。気温もさることながら、この浮遊熱のような熱波の中を、あと何日持ちこたえることが出来るであろうか?畑はもはや、陽炎に揺られて、日中は近寄りがたい風情すらある。夏真っ盛りの今、オクラやモロヘイヤが旱魃にもめげずにその実や新葉を伸ばす事を見るにつけ、旬というものはこういうものであるかと驚きだ。一方で、胡瓜の葉はしおれ、茄子の実の収穫が激減し、ピーマンは一日ごとに枯れるものが出てくるという状況は、熱波に旬を吹き飛ばされたようなお手上げの感覚だ。
夏のものを冬に収穫できるようにした立役者はビニールハウスで、いわば旬崩壊の張本人だが、冬のものを夏に収穫する事はいまだに出来ない。畑にクーラーを入れる事など出来ないし、出来たとしても莫大な経費がかかる。あまり経費がかからないで旬を少しだけ引き伸ばしたものには、冷蔵庫が挙げられる。ビニールハウスを導入していないのは百姓仲間で唯一うちだけだが、冷蔵庫は4年ほど前に導入した。玉葱を一年中供給しようという目的での導入で、その成果は達成感が強い。今年は、玉葱の収穫量が少なかったので、冷蔵庫がいっぱいになっていない。そこで、冷蔵庫の設定温度を4度に上げ、玉葱やにんにくのほかにジャガイモも適温内におさめ、胡瓜やインゲンの予冷にも重宝している。この頃は、あまりに暑いのでオクラも予冷している。
2.5坪の冷蔵庫は厚いパネルを選択したことで、外気との遮断が確実に行われている。ファンを屋外に置く事で熱効率もよく、6月から7月の暑い時期に開け閉めを頻繁に行っても、動力の基本料を入れて月に4千円ほどの電気料で済んだ。ジャガイモや玉葱は、冷蔵庫の中でも腐るものはやっぱり腐るのだが、腐ったものでも水分が飛ばされ他へ腐りが移らないのである。ジャガイモを常温貯蔵すると、まず明るさを遮断しなければならない。これはジャガイモが緑化してしまうからだ。呼吸熱が充満すると腐りやすいので熱にも注意しなければいけない。蛾の幼虫がついていたならば、孵化する事にも注意を怠る事が出来ない。これは、ジャガイモの産地では深刻な問題となっている。こういったことが冷蔵庫ではすんなりと解決する。ジャガイモの芽は時期になれば出てきてしまうので、旬を伸ばした事にはならないが、腐ったジャガイモが激減するので効率はかなりよい。
どこの家庭にも、家庭用の冷蔵庫は間違いなく備え付けられている時代だ。冷蔵庫に入れっぱなしになったものも、いつかはカビが生えたり腐る事は誰でも知っている。新鮮なものを手に入れても、一度に使い切らない限りは冷蔵庫にしまわれる。現代では、新鮮なものが腐らないうちにきっちり使われる事が、家庭人のなすべき重要な仕事の一つだ。野菜を新聞紙などのぬれた紙でくるみ、ビニール袋に入れて冷蔵庫にしまえば、1週間は必ず保存できる。時に保存できない場合があれば、保存方法に問題がない場合それは野菜に問題がある場合だろう。旬に育ったものをきっちり使い切っていただく。これが旬への礼儀だ。もっとも、うちのように旬のものがあふれて、家庭用冷蔵庫がいっぱいになり、常に古い野菜を食べさせられるなんてことのないように、 複数のまなざしが必要な場合もあるが。
2004年7月22日 寺田潤史
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