週刊てーて ひらく農園から
「旬を食べる、旬を育てる その十」
数日前の雨で、井戸水をとめることが出来た。一瞬の涼しげな数時間の後、また暑さの中に戻されたのだが、今度は奇妙な蛇行をする台風だ。三十四度の気温が続いても、風があるから涼しいが、東風に対して東側に窓のない僕たちの部屋は風の入り口を失って、異常な熱が蔓延している。テレビもパソコンも電源を切って、熱の発生源は人間の体温だけであるのに。子供が四人大人が二人一つ部屋に寝ているということは、寝返りをすれば汗をかいた肌が触れ合うという事でもある。仕方がないから、恭さんと子供たちを寝かせて、僕は涼しい風の通る外に出た。
昼間の異常な暑さの中を、無理して仕事をするのは良くない。昨日は珍しく昼寝を深くいただいた。おかげで、夜の涼しさの中に出て、納屋に入り、念願の種播きができた。秋作のズッキーニと胡瓜、秋一番のキャベツの種播きである。しばらく種播きというものから離れていたので、準備が整っていなかった。実は夕方に種を播こうとしてはたと気がついた。種播き用の台にするコンパネを工作に切って使ってしまっていたのだ。あわててホームセンターにコンパネを買いだしに行ったのだから、いかに種播きから遠ざかっていたかがわかる。葉もの類は、暑くて苗を作っても育たない事がわかっていたので、しばらく種を播いていなかったのだ。
以前は七月の初旬に秋作の種播きをしていた。それが、年を追うごとに苗を育てにくくなり、苗を植え付けにくくなってきた。八月下旬の台風を目安にしていた雨が予定通りに来なくなって、苗を植えつけても枯れてしまうことが多くなってきたし、太陽の光が強烈になったのか、今ひとつ苗が丈夫に育ってくれないという事も要因として挙げられる。大体、台風が五月から来るようになったのだから、天候の予測はちょっとつきにくい。入梅前に雨が多かったので、空梅雨は予想できても、これほどの熱波のような日々は予想できっこない。旬が旬であって旬でないような不思議な天候であるので、確固たる予想はできずに感に頼るほかないのである。百姓の感である。
仕事が立て込んでいたという事のほかに、種播きをしてもしょうがないじゃないかという天候であったから、体が反応しなかったというのが本当のところか?微妙なのだが、吹く風の中に秋の気配を見つける事が出来ると、体は反応するのだ。ズッキーニなどは七月はじめに播いたほうが良い年もあった。それが今年は、とても播く気になれなかった。昨夜、ようやく播く気になったのだ。秋作のキャベツにしても胡瓜にしても、これが最後の期限だというところまで体が反応しなかったというべきか。夜中に、納屋で自家製培土をトレーに詰めて、種を播き、覆土していく一連の流れが復活してはじめて、ああ秋が来るんだな、という一種背筋の伸びるような気構えになった。暑さから逃げてばかりいた夏から、攻めへと転換する時期だ。攻撃するわけじゃないが、先手先手と季節を先取りするには、体も前に進む事が出来なければならない。そうしているうちに、気がついたら旬の中にいた、旬のものを食べていた、というのが実際のところだ。そういう意味では、今は旬の中にいる気がしない。季節を外れたところにただ漠然とたたずんでいるほかはないような感じがする。そういうことはたまにある。やりすごすしか方法がないときは、眠るに限る。やはり旬は、いただくものなのだ。
2004年7月29日 寺田潤史
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