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「二〇〇五年に向けて」

 想像を絶する二〇〇四年であった。今、急速に自然界は、人間界と対峙するがごとく変化を表に出してきている。人間界にとって脅威となる意味合いを持つ。しかし、この脅威は、敵ではない。人間界の行く方向が間違っていた事の結果である。間違った事をしたことへの、修正のなさ、への警告が結果となって顕れたに過ぎない。もともと自然界の一部である人間なのだから、自分自身の行いが自らを苦しめている。病理が加速を始めたのである。

 人類の発展は、間違いと警告そして修正、の繰り返しである。自然界も発展している。しかし、発展するということが淘汰も伴うということであれば、常に危険との隣りあわせを強いられることを意味する。少し話はそれるが、僕は畑で作業をしている時、年々恐怖感に近いものを感じるようになった。人間の作った道具である機械が、人を傷つけあるいは人の命を奪ってしまうことも少なからずあるという恐怖感がその一つだ。もうひとつ、最近の集中豪雨の過多で、作物が取れなくなってしまうのではないかという恐怖感である。農薬を使わないで野菜を育て続けることも、淘汰されてしまうかもしれないという危惧もその中に少し入っている。しかしながら、農薬を使わないで野菜を育て続けたい、この環境こそが子供たちには最善の環境のうちの一つである、自分の吟味できる範囲のものをできる限り使っていくことが人への伝達手段としてもっともわかりやすいんだ、などなど、強力な思いを再確認することによって、恐怖感をその瞬間だけの危惧に押しとどめているようにも思う。つまり、危険との隣り合わせを実感しながらも、強力な思いによってかろうじて歩を進めているという実感があるということだ。人類の発展の中に「添加物のない、農薬を使わない、化学的に生成した肥料を使わない食品の継続」ということが含まれるには、間違いは修正していかなければならないし、何が間違いかも考察していかなければならないだろう。そして、間違いではなくとも、たとえば自然災害というようなことも乗り越えていかなければならないのだ。これは容易な道ではない。

 作業の配慮のなさによる失敗は次の作のよい経験となる。一方、大雨の多発は失敗ではない。強力な途方感が工夫に頭をひねらせる。アイデアを次々に試していく。去年の成功例は、夏野菜の畑の準備を一月中に終えたということだった。三月中にほとんどの夏野菜を植えた。仲間からは「何をあわてているんだ?」という目で見られた。出産という別の理由がそうさせた。去年の失敗例は、夏が暑くて秋冬野菜の準備をお盆前までにできなかったことで、今年は晴天が続いたなら何が何でも早め早めに畑を準備しなければならない。多品目栽培というものは、畑の空きが少ないことが多いので、作付け計画も無理のないところでやっていかなければならない。気温が全体に高いのだから、前倒し前倒しで、霜を恐れないでどんどん種を播いて、どんどん畑に植え付けていけばよいのだ。去年の前半は、これが利いて、野菜の貯金のような感じになった。年の後半までこれを続けるとなると、結局行きつくところは体の休養になる。夏の異常な暑さは体力の消耗をまねいた。ここは、工夫のしどころだ。アイデアを試すことは楽しいことでもあるから、二〇〇五年はアイデアの実行を増やしていこうと思う。

2005年1月6日 寺田潤史


納屋で

恭さん

(↑写真の上にカーソルを載せると説明が出ます。)


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