週刊てーて ひらく農園から
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「二〇〇五年に向けて その三」
十五年前、農の生活に入ったばかりの時、自給自足ということに意識は傾いていた。それまで住んでいた東京では予想の範囲にしかない自給自足という生活に、近づけてみたかったのだ。肉類の自給はさしあたり無理そうであったし、菜食に近い生活を東京でもしていたから、野菜の自給へと意識は向かった。魚も自分で採って食べられるようにと、船舶の免許も取ったが、今はなき親父が四百万円もする船を買ったのを見て、そちらの世界からは遠のいた。その頃の僕には、小さなことから始めよう、ということしか興味がなかったのである。アルバイトでトラックの運転手をしながら野菜を細々と売り始めてみて、当分自給自足なんて無理だなと理解した。
先週書いたように、鶏を加工に出して食べた。肉類の自給ははじめてである。二年前からその鶏の卵の自給がはじまっている。肉類の自給といっても、自分自身で解体したわけではないから、厳密に言えば自給自足ではない。自分の子供たちが男の子であれば、解体にも興味を示すかもしれないので、勇気を持ってやればできないこともないだろうが、女の子ばかりではそんなものは見たくないようだ。手間もかかるし、一羽あたり四百二十円で解体してもらうほうが効率的だ。野菜類はこの十三年くらいはほぼ自給できている。果物は半分程度は自給している。米は完全に自給だ。乳製品や小麦、大豆などはまだ自給できていない。ここ数年、小麦と大豆は何とか自給できないものかと考えているのだが、野菜が忙しいのと、例の悪天候続きなのが重なってそれどころではなかった。
この冬も、小麦を播けなかった。あの天候では、種すら注文する気にならない。しかし、できれば今年は播いてみたい。去年のお米が不作であったために、大事をとってパン食を一日一回とっている。まだお米は一昨年のものを食べている。パンは恭さんが仕込む。自家製のどぶろくを飲んでいて、そのどぶろくを酵母としても利用している。子供たちにも大人気で、おやつ兼夕食の主食としてあっという間になくなってしまう。四女もかじりついて放さない。毎日、ストーブの近くに種生地の入ったボールが置かれて発酵を待っている。ここまで毎日小麦を常用するとなると、やはり自給したいと思う。強力粉はこの地方では無理だが、それに近いものを作付けてみたい。天候の安寧を祈りたい。
もう一つの大豆。味噌も十年以上自家製で足りている。塩と大豆は買っている。去年は、仲間の大豆で仕込むことができたから、遠州産だ。種播き時期が多品目野菜農家にとっては非常に厳しい時期で、収穫もたくさんあり気候も雨続きか炎天下のどちらかである七月だ。順調に種が播けたとしても、そのあとの気候が問題だ。よほど強い気持ちがないとまっとうできそうもない。初夏を過ぎて、その気持ちが残っていたなら、ぜひとも大豆の種を播いてみたい。
自給自足は、効率的なものでないことはやってみればよくわかる。節約的ではある。何よりも味わうことのできるものである。そして、中身が濃い。薪ストーブで一冬を越すのと似ている(うちの場合は納屋だけだが)。自分の家の周りの木だけで暖がとれるし、火の扱いを気遣う場ともなる。この自給自足へと向かう味わいを、子供たちに伝えていこうと思う。
2005年1月20日 寺田潤史
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