玉葱畑のホトケノザの群生。 |
冬の間には、草の存在感の重みをそんなに感じないが、桜の花の咲くこの季節になって、草の脅威を感じるようになる。PHが安定してきた畑では、ホトケノザがいっきに野菜を飲み込んでしまう。うちでは今、貯蔵用の玉葱畑が危ない。特に紙マルチを使っている畝は、あのピンクの花が勝利を咲き誇り、このままでは収穫が危ぶまれる、という危機感を僕の長靴に刻むのだ。
ホトケノザは冬の草であるが、この時期は冬の草の終焉の季節にもあたり、と同時に夏の草の芽生えの時期でもある。玉葱畑のホトケノザもある程度は除去してあげなければならないが、そのあとの5月末の収穫前にはもう一度草に覆われてくる。これが、無農薬で野菜を育てるということの宿命なのだ。ここがポイントである。ここで、草を敵としてはいけない。草は除去するが、草こそ味方だ。この草が、畑を多相に保ってくれる大きな資本なのである。多用な、微生物の渾然一体となった形は、良い菌とされるものと悪い菌とされるものを併せ呑み込んでいる形だ。草は除去されても、根は残る。草を抜いてしまっても、細い毛根は土の中に残るのだ。草を除去することは、長靴を履いた足が、畝の中に入り込んで草や土とこすれあう状況を作り出す。素手で草を取れば、手の指先の感触が、草の相も土の相も記憶にとどめるという状況を作り出す。見ているだけでは、その状況はありえない。草は除去されても、人間も野菜も草も土も共同体のような一つの形が作られるのである。これが、無農薬の野菜の畑の現場の実態と言っていい。
実際には草に覆われてしまうことが多いのであるが、収穫できるということは草とのぎりぎりのバランス範囲にあるということだ。一方、草とりの嫌いな方が、除草剤だけは使って低農薬だとしていることもよくあることではあるが、以上のことから考えてみると無農薬とは正反対の位置にあるということがよくわかる。除草剤を使って微生物を皆殺し又は偏りを大きく生じさせることは、神ながらの農とはかけ離れてしまう印象がある。極論を言ってしまえば、人間のなす行為はすべてかならず微生物の偏りを生じさせることにはなる。しかし、堆肥を土に施すことで微生物の相は豊かになるであろうし、自然に生えた草には草の科学的な役割があるであろう。ビニールマルチフィルムを使ってさえ、草はどこまでも生命力を発揮してくる。皆殺しとは大きく趣を変えるのだ。
雑草の生命力とは、必然があるからこその生命力だ。その場所でしか生きられない草が育つ。何らかの因果関係をもってその地に種が落ちた時に、土の具合で芽を出すかどうかを判断するのであるから、必然がなければ草は生まれない。種を人間が採取して播くのなら話は別だが、雑草というものは、そこに種が落ちたから雑草なのである。連鎖を伴った因果関係を持ち合わせている、と言ってもいいだろう。そんな雑草と共にある野菜だ。無農薬で露地野菜を育てるということが、神ながらの状態に近いのは、そんな理由がある。ただ、人間の側が、神ながらに程遠いということが僕を含めて多いのだ。だが、長靴を履いた足が草の生えた畑を歩き回っている限り、神ながらの農は人間の手の中にある。土を触る手、草を触る手こそ、神ながらに一番近い場所にいるのである。
2005年4月7日 寺田潤史
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ホトケノザのアップがみずみずしい |
紙マルチが破れて土が露出し、そこから芽を出して伸びたホトケノザ。 |
第3弾の早生玉葱が太りだした。 |
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新着 | 野菜 | 品種名 | 科 | 種播き日 | 収穫開始日 | |
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1 | New | レタス | シスコ | キク科 | 2004年9月29日播種 | 2005年3月15日から収穫 |
2 | New | フリルレタス | グリーンリーフ | キク科 | 2004年10月6日播種 | 2005年3月18日から収穫 |
3 | サニーレタス | レッドファイヤー | キク科 | 2004年10月6日播種 | 2005年3月5日から収穫 | |
4 | New | 葉玉葱 | 浜育ち | ユリ科 | 2004年9月9日播種 | 2005年3月21日から収穫 |
5 | 小松菜 | 新黒葉小松菜 | アブラナ科 | 2004年12月22日播種 | 2005年2月21日から収穫 | |
6 | New | ニラ | スーパーグリーンベルト | ユリ科 | 2004年2月2日播種 | 2004年4月6日から収穫 |
7 | New | しろな | 京の四季しろな | アブラナ科 | 2005年1月22日播種 | 2005年4月1日から収穫 |
8 | New | 春菊 | さとゆたか | キク科 | 2004年12月22日播種 | 2005年3月4日から収穫 |
9 | New | ロケット | オデッセイ | アブラナ科 | 2005年1月22日播種 | 2005年3月30日から収穫 |
10 | ブロッコリー | 緑山 | アブラナ科 | 2004年8月19日播種 | 2005年2月8日から収穫 | |
11 | New | サラダ水菜 | 早生水菜 | アブラナ科 | 2005年1月22日播種 | 2005年3月30日から収穫 |
12 | New | アスパラガス | ウェルカム | ユリ科 | 2004年2月20日播種 | 2005年3月15日から収穫 |
13 | 菜の花 | レタサイ | アブラナ科 | 2004年9月10日播種 | 2005年1月15日から収穫 | |
14 | 葉ねぎ | わかさまパワー | ユリ科 | 2004年10月6日播種 | 2005年3月4日から収穫 | |
15 | ほうれんそう | ラルゴ | アカザ科 | 2004年12月22日播種 | 2005年2月15日から収穫 | |
16 | New | 白菜あおな | ミニ黄作 | アブラナ科 | 2004年12月22日播種 | 2005年3月31日から収穫 |
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18 | ||||||
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21 | 卵 | 赤鶏 | 平飼いの自然卵 | |||
22 | 自家製味噌 | 自家栽培米の糀 | 無農薬大豆使用 | 2001年仕込み |
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