人間の食べているものの素材の由来は、本来、天然自然に帰するものであったろう。農耕民族になってから、天然自然から離れたのであろうが、それでも人間の手でお米や野菜を育てるという、天然自然の営みからはそんなに離れてはいなかったと想像できる。この数十年せいぜい百年でその形が変わってきた。化学合成されたものを混ぜた食品を口に入れるようになった。その結果、ネイティブな感覚が退化してきたことは事実だろう。しかし、遺伝子のどこかにネイティブな感覚は眠っているはずだ。

　僕たちの食べているものが、天然自然に由来あるいは天然自然からかけ離れていなければ、その食べ物の中には、収穫の喜びというものが大いに含まれていることになる。野菜や米に限ったことではなく、漁師にしても杜氏にしてもしかりである。その喜びをイメージできることが、生きる喜びに直結しているような気がしてならない。ものを作る喜びもまた同じだ。自殺者の増えている近年だが、消費する喜びの限界が無気力となって蔓延しているような気がしてならない。本来の消費とは、収穫の喜びやものを作る喜びのためにあるものなのではないかと、妄想してみたくなる。そして、食事や鑑賞というものがその喜びを熟成させて生活の中にある、そのことが豊かさの原点ではないかと思うのである。　

2005年4月14日　寺田潤史

☆　te-teの語りによる今週の「週刊てーて」をお聞きになりたい方はこちらへお入りください。

可憐なさやえんどうの花。偶然下に写っているのはちょうちょ？

花盛り。

スナックエンドウの白い花。

(↑写真の上にカーソルを載せると説明が出ます。
Mozilla Firefoxなどのブラウザでは表示されません。
その場合、画像を右クリックしてプロパティから代替テキストをご覧ください。)