数年前までは、堆肥を運搬車あるいは一輪車にスコップを使って積み込み、畑にもスコップで散布していた。これが、時間がかかるし、腰は痛くなるし、おまけにまばらな散布状況を作り出した。そうすると、堆肥があっても散布が億劫になることが多く、したがってボカシ肥料で誤魔化すことも多くなった。体に支障が出ることや高齢になったときのことも考えて、マニュアスプレッダーを導入したのだ。一年中野菜を多品目で販売しているのだから、一年中作付けがあり、よってマニュアスプレッダーも一年中使い続けていることになる。堆肥を使う限りは、ずっとマニュアスプレッダーのお世話になるのである。と言っても、手作業で堆肥を散布することもなくなったわけではない。作物が長期にわたる収穫である場合など、どうしても機械が入れないところも出てくるので、そんな場合はスコップと一輪車が活躍している。

　先週も書いた玉葱移植機は、玉葱だけのために貢献しているのではない。玉葱の植え付け期は、十月下旬から十二月初めと、一月下旬だけである。玉葱の専門農家であればそのためだけにこの高価な機械を導入しても価値があるだろうが、いくら玉葱が主要な野菜の一つであると言っても、多品目農家にとってはあくまでも玉葱の占める割合は数分の一だ。実は、玉葱移植機を導入するちょっと前から、葉ものをトレーに真空播種機で播いて苗を育て、トレーを手に持って手作業で畑に植え付けるということを試していた。そこで、玉葱移植機を玉葱は勿論のこと、葉もの類にも使えば、一年中使用できて、気持ちの上でも元を取った気分になれるという読みを恭さんに伝えた。そして、その読みは見事に当たった。雨の日や夜に、納屋で種を播くということが、これまた一年中続くことになった。何といっても、葉ものも一年中必要とされるのだ。

　先週末には、第二弾の枝豆をとうもろこしとともに定植した。第一弾を三月下旬に植えた時は、不耕起畝に手で植えて時間を消費して腰も痛んだ。今回は雨が来るからと、急いであれこれとたくさんの種類を植えつけなければならない境遇である。汎用の半自動の移植機の登場だ。トレーから手で苗を引き抜いて回転するポットに入れていくと、移植機が植えつけてくれる代物だ。こちらもあっという間に移植が終わり、腰はまったく痛くならない。おかげで、手植えの胡瓜やピーマン、なす、シシトウ類、西瓜まで雨前に無事修了した。こうなってくると機械様さまである。多品目野菜というのは、複合的に仕事が降ってわいてくる。農繁期真っ只中であれば、なおさらだ。手作業というものはなくならないであろう。だからこそ、機械で体を楽にすることが、長続きの秘訣になるかもしれない。その人柱になれるかな？　

2005年5月5日　寺田潤史

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ジャガイモの花も咲き始めている。

分解されたマニュアスプレッダー。

クローバーに何の虫？。

スナックエンドウは実もたくさん、花もまだまだたくさん。

ヒメジョオンの花。

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