週刊てーて ひらく農園から
「不耕起露地トマト」
トマトを不耕起で育てるようになって十年を超えました。この亜熱帯に近いくらいの福田町の海岸畑で、露地のトマトを育てること自体が無茶なことと言えそうです。ビニールハウスを使わないことは、極端に言えば「雨、風を信じたい」ということで、この天候不順が常の時代において、無謀を承知の沙汰としています。
トマトは病気が出易い野菜なので、耕さないことが最良の病気を出さない方法だと考えます。たくさんの品目の野菜と関わっていますから、トマトにかかりきりになることはできません。省力という意味でも、耕さない、肥料が少なくて済むという利点があります。耕さないから、根が傷つきにくいですし土の中にできた水の道は壊されずにあります。肥料も土の中になく、土の表面にあって、微生物の動きを待って彼らに根との取持ちを託します。にらを混植しているので、拮抗微生物の働きも豊かでしょうし、肥料分の集中が起こりにくく、トマトの木があばれにくくなります。
今年の肥料は生の米ぬかだけです。四月十九日に苗を植えて元肥もなく、六月十二日なって初めて米ぬかを撒いたところで、ちょっとトマトにはしんどかったかとすまない気持ちです。例年は今頃になると僕のからだに疲れが出て、後半のトマトの世話ができなくなることが多いのだけれど、今年は半月以上早く疲れが来たので、後半勝負の趣きです。からだの疲れで、今葉ものが無く二十種類以上あった野菜も三分の二くらいに減っています。出始めのミニトマトがとても貴重に感じられて、トマトの収穫作業をおごそかに済ませると味わい深いものに包まれます。耕さないことは素晴らしいと僕も思います。雨、風だけでなく、土の中の見えない部分も信じることができるということは、一層素晴らしいことに思えてくるのです。
二〇〇一年六月十四日 寺田潤史
ミニトマト |
米ぬか表面散布後のトマト畑 |
ご意見ご感想は、下記よりどうぞお寄せください。
このページの最初に 戻る