週刊てーて ひらく農園から
「農家にとっての無農薬」
ほぼ一年を通してねぎ類を出荷しています。葉ねぎ、白ねぎ、わけぎにわけられますが、七割くらいは葉ねぎです。今出しているのは、白ねぎへと移行中のもので土寄せが少しなされています。
ねぎ栽培で労力を要するのが、草取りと、出荷直前の調整作業です。以前は種を畑に直接播いていたので、発芽に時間のかかるねぎの幼芽はすぐに草におおわれて、種をたくさん無駄にしていました。今は種をトレーに播いて育苗するので、幼苗時の草取りは必要なくなり、ほとんどの種は生かされるようになりました。除草剤を使わないということは、育苗が重要なポイントになってきます。それでも畑で苗が大きくなるまでは手で草取りをします。
ねぎを収穫後、痛んだ葉を取り除いて調整するのに時間を費やします。葉に虫食いのあとがあると、そこは葉が苦くなってしまうので、虫食いの無いところまで葉を欠いていきます。茎の下のほうに虫食いがあれば、まるごと捨ててしまうこともしょっちゅうです。ねぎ農家さんが農薬を散布する気持ちもわかるような気がします。せっかく育てたものが売り物にならなければ、労働は報われません。
僕たちは、ねぎだけでなくすべての野菜を多めに作付けています。必要な量の二倍くらい作付けるものもあります。虫に半分はあげるくらいの気持ちでなければ無農薬を貫けません。ここにコストのかかる一つの要因があります。その分機械化でコスト削減を図っていて、玉葱などではその成果が出ています。
農薬を使う農家も使わない農家も、品質の良いものを収穫したいということに変わりはありません。虫や草のある中で育った免疫力のある野菜かどうか、に違いががあると言えます。良い菌もよくないとされる菌も、渾然一体となってそこここに偏在しています。虫食いには虫食いの要因が土の中に厳然とあるわけです。つまるところ、農家にとって無農薬とは「土を信じる」ということになるのではないでしょうか?
2001年7月5日 寺田潤史
ねぎ畑(品種 夏場所)
ご意見ご感想は、下記よりどうぞお寄せください。
このページの最初に 戻る