週刊てーて ひらく農園から
「夏の朝の空の青」
予想に反して空梅雨に終わってしまったこの静岡西部の沿岸地方は、例年通り亜熱帯の夏空です。午前十一時から午後三時くらいまではできるだけ畑に出ないようにしていて、この強烈な陽射しを避けています。秋冬野菜の種まきがいつもなら始まっている頃ですが、三月下旬からの少雨に今後の予定をはっきりできずにいます。
この乾燥を利用して、 相変わらずトラクターに乗っています。排水の良くない畑をできる限り均平にするチャンスはそうそうあるものではなくて、昨日は午後四時から7時半まで「とーと畑」の砂ぼこりの中にいました。厚手の青のつなぎ服で陽射しから身を守り、首にタオルをまき、マスクをして、耳当てのついた帽子といういつものいでたちです。今朝、耕されたとーと畑を見ると、「大地」という感じの畑も気持ちよいけれど、朝でしか見ることのできない「空」がまったくもって青いのです。北の空に秒単位で変わる雲の動きに、畑の表情も違って見えます。こんな時には、
「おー、神はいつでもそこにいるのだなあ」
と思い起こします。
このところ何年も天候不順の中にいるようなもので、大変だ大変だと口癖になっています。この天候不順は確実に僕たち人間が引き起こしたものです。存在するすべてのものが神だとしたなら、この天候不順という神は何を語っているのでしょう?その答えは預言者の言を待つとして、僕たちは天候不順という神に従うばかりです。真昼の、太陽の陽射しや畑の土の乾き、野菜のしおれを見ていると、この先どうなるのか心配ばかりしていることになります。幸いなことに朝のあの空の青は、前に進む心持ちにしてくれます。
「陽射しが強ければ守りなさい、暑いのなら家の中にいなさい」
と昼間は諭され、朝には、
「ほらこの青の中には秋の色が見えるでしょう?」
と教えてくれて、夏の朝の空の青に救われた思いです。
二〇〇一年七月十二日 寺田潤史
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