週刊てーて ひらく農園から
「もみじ三号は玉葱の王様か」
六月四日に納屋の軒下に収納された貯蔵玉葱「もみじ三号」は、それから五十一日間コンテナの中で呼吸熱を発散させながら自然乾燥されてきました。納屋の奥に資材などが入っているのですが、ここに玉葱を入れると呼吸熱が充満して腐りやすいのです。納屋の軒下に玉葱を積み上げ、納屋の奥の空間を空気の循環場所ととらえることによって、呼吸熱はコンテナとコンテナの隙間を通る風とともに外に放出されたようです。おかげで一トン以上ある「もみじ三号」の中で腐りを見つけ出したのは数個だけでした。
冷蔵庫に入れてあった甘玉葱「七宝甘七十」を出して、「もみじ三号」を冷蔵庫に無事入庫することができました。ここまで乾燥した玉葱を、今度は零度の環境に置くわけです。常温でコンテナに入れておけば、腐りのきた玉葱がどんどん周りに影響を及ぼしていきますが、冷蔵庫の中では腐りの水分が停滞することなく周りに影響を及ぼしません。零度ですから芽や根の伸張もほとんどありません。とはいえ、ここのところは品種の力に依存します。去年、十二月までの貯蔵品種と二月までの貯蔵品種と比べてみたところ、十二月までの貯蔵品種は十二月に入って芽が伸びてきたのに対して、二月までの貯蔵品種は大丈夫でした。今年の「もみじ三号」は四月いっぱいまで大丈夫という触れ込みです。本当に大丈夫ならばまさに玉葱の王様と言えるでしょう。今のところ、手で触れてみた感じではとても良い感じです。
いかに玉葱の王様と言えども、栽培がうまくいって、貯蔵の仕方に注意を払ってのことです。十月一日に種を播いて十ヵ月たってようやくひと段落して、さらに半年後からやっと出荷されていくのですから、王様と寄り添うのも大変なことであります。
2001年7月26日 寺田潤史
2.5坪の玉葱貯蔵冷蔵庫 |
冷蔵庫から出して乾燥中の「七宝甘70」 |
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